(不定期に)急に具合が悪くなる

 本作は2025年6月6日から物語が始まる。個人的な話にはなるが、その日は、自分が(精神的に)急に具合が悪くなった日でもある。職場に力を振り絞って電話して、休み、クリニックに受診したら「適応障害(うつ症状)」の診断。

 最初は6〜8月までの3ヶ月間の予定だったが8月終わりにサウナに行ったら、また急に具合が悪くなった。「ととのう」どころではなかった。産業医含めた面談で1ヶ月の延長。

 10月に復職して、短時間で働きながらも、ずっと万全ではなかった。心も体も労り続けたけれど、急に具合が悪くなることは何度もあった。映画に当てはめて言うならば「now/here」が全く上手くいかない。ヘタなままだった。

 2025年6月に休職した職場を、2026年5月末で退職した。今は「積極的休養」とか言って自分自身にも言い訳をしている。

 先日、映画館のライブビューイングでBEYOOOOONDSの横浜アリーナ公演を鑑賞した。公演は物凄く多幸感に溢れていて、微笑み感動したのだが、帰りながら余韻に浸る間もなく、自分の今と比較してしまって、数十分後には、また急に具合が悪くなった。自分で自分のことを近くで見て「まともじゃない」と思ってしまったのかな。映画を観た今だから思えることだけど。

 映画の本筋とは逸れるけれども、内容的には当てはまると思うので、この場を借りて、BEYOOOOONDSが自分にとっての「精神安定剤」になってることを、本当に感謝したい。「Now Now Ningen」って好きな曲があって、1番サビ終わりと2番Aメロ前に、こんな「人間への語りかけ」がある。(以下、歌詞を引用させていただきます。)

 「疲れたら、ゆっくり休むんだー!」
 「しあわせの種類、増やしてみるんだー!」
 「自分のことを大事にしてるかー?!」
 「誰かのことを思いやってるかー?!」

 この歌詞に幾度となく救われたことか。最新曲「ハイ!テンション」にも当てはまるが、(再度、歌詞を引用します。そんくらい好きです。)「音楽の力を信じさせてくれる」「世界の平和を願わせてくれる」のは、ひとえにBEYOOOOONDSのおかげです。本当にありがとうございます。

 映画の舞台はフランスのパリ。といっても、エッフェル塔や凱旋門がある地区ではなく、パリの13区あたりの話。パンフレットにも書いてあったが、数年前に「パリ13区」という映画があり、自分も映画館で鑑賞している。観光地ではない「日常」に根付いた映画だった「パリ13区」。同時期に公開してた「カモン カモン」と同じ白黒映画。どっちもビビットではない「淡さ」が滲み出ていた作品だった。

 本作も同様に「派手さ」はないが、その分、日常が醸し出す「淡さ」がとても出ていて、どこか微笑み、どこかほっこりして、そして、どこかしんみりする作品だった。

 (いわゆる)健常者も、疾患者も出てくる作品。狭く見たら、そこには「境界」があるかもしれないが、広く見たら、どちらも「人間」だということを本作は伝えてくれる。さらにいえば、本作はもっと広く捉えて鳥や猫も描いているので、全て「生物」であることを伝えてくれている。もっともっと広く捉えれば、映画に出てくる全てを「自然物」として描き捉えているので、ありとあらゆる「構造」を取っ払っている。

 本作は、ゆえに、構造を取っ払っていく過程を、境界を無くしていく過程を描いた映画であると思う。

 主人公である「同じ名前」の真理とマリーがコミュニケーションをとることで、2人の境界を無くしていく過程を中心にして、描かれているが、劇中には挙げたらキリがないくらい様々な構造も過程も出てくる。さらに映画内でも語られているように、そこには見えざる構造も境界もあることを伝えている。

 「近くで見たら、誰もまともな人はいない。」という印象的な台詞が出てくる。でも、近くで見てるってことは、それくらい親密ににコミュニケーションが取れてるって証拠だと思うし、それが、構造や境界を超える最善策だと思う。(間近で見ても、まだ知らないことはあるし。)まともじゃないかもしれない、けど、それって最高じゃない?ワークショップだって、演劇だって、(ラップだって!)「now/here」そして「nowhere」にとって必要だと確信させてくれる。

 「人生という長期戦」をゆっくり進んでも良いと思わせてくれる、とても優しく救ってくれる映画だった。

 ちなみに、先日観たBEYOOOOONDSの公演は、リーダー、高瀬くるみさんの卒業コンサート。そのコンサートの終盤。ドレス姿の高瀬くるみさんはじめとするメンバーが歌った楽曲は「伸びしろ〜Beyond the World〜」。そこにはこんな歌詞がある。(再再度、歌詞を引用させてください。そんくらい大好きです。)

 「歩こう ちょっとぶらぶら 歩こう 肩並べて くだらない話は 心を軽くする」

 淡くてもいい。ぶらぶら歩いてもいい。そう思って、自分も「人生という長期戦」を生き延びる。

 もし、また「急に具合が悪くなる」ことがあったら、この言葉を自分自身に言い聞かせる。

 「きっと大丈夫」
 「なんとかなるさ」

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