姿勢の再考(壱)
これから暫く姿勢を再考してみようと思います。
ヒトは物を運ぶために 手を使うことから二足歩行が進化し 運動性の向上から 効率的な移動ができるようになりました。頭部・頚部のアライメントにも変化が起こり 姿勢や運動を修正したり 外的刺激に反応して 平衡を保つことも獲得しました。
ヒトが「立位保持・二足歩行」で安定した姿勢を保つためには 両足で囲まれた支持基底面内に身体重心を収めなければなりません。支持基底面から重心が逸脱することが「転倒」だからです。
身体重心の理解には足底圧中心(重心) 下半身重心 上半身重心 重心移動の把握は必須になります。
・足底圧重心 脛の前3cm〜6cmあたり
・下半身重心 大腿の1/2と大腿下2/3の中点
・上半身重心 胸椎の第7〜第9番あたり
・重心移動 足底の80%程度
上記以外によく認知されたものとして「丹田」があります。丹田は上半身重心と下半身重心を結んだ線の中心にあり 身体の中心の重心です。場所は 臍下3寸=臍下4横指の位置 言い換えると第2仙椎の高さです。
別の表現をすると 成人男性であれば 足底から身長の約56%のあたりにあり 成人女性であれば 足底から身長の約55%のあたりにある とも言われています
私たちが安楽に姿勢を保持するためには 適正な位置で 各重心が一致している必要があります。このことは 体重荷重を各関節に分配・分散させることであり 良質な姿勢から効率的な力が発揮されるこを意味しています。
さらに 歩行を含む動作時に 重心を支持基底面内でコントロールするには 足底での重心移動が安定的に繰り返されなければなりません。歩行時重心は踵から接地し母趾に移動します。一般的に足底の80%を使っていると言われています。高齢者や不良姿勢のヒトでは 足底の60%に満たない程度しか重心移動がみられていません。
足底前方への重心移動が乏しいということは 重心が後方 踵に近いということです。歩行時の効率的な推進力に影響があります。
支持基底面を相撲の土俵 「徳俵」に例えるなら 徳俵に近いところでの活動は 転倒と隣り合わせであり 外的刺激に対して常に無駄な労力を使っている状態です。
また スポーツ選手が踵重心でいることは リスタートの際に第1動作で足底での重心移動を行うという 余分な1動作が必要となり 動きだし一歩目で遅れをとる質の悪い動作になります。重心位置の把握・実践はとても重要です
現場では 動作時の各重心の一致を把握するために トライポッド姿勢がよく用いられています。パワーポジションとも言われています。
足底圧中心を維持したまま 上半身重心と下半身重心を合わせながらスクワット動作をします。足関節・膝関節・股関節・腰椎骨盤・胸郭・脊柱… 各関節の柔軟性 可動性を連動させて動きをコントロールする動作です。丹田の理解 丹田で重心をコントロールすることはここから始まります。
また 各関節には 歩行を含む動作時に 支持基底面内で身体重心をコントロールするための役割があります。その中で大きな考え方として 身体を2つの役割りに分けるパッセンジャーとロコモーターというものがあります。
・パッセンジャーはその名の通り「乗客=運ばれるもの」です。
骨盤から上半身全体を指していて 自らの姿勢の保持と安定に責任を持ちます。ロコモーターによって運ばれる「乗客」にはアライメント保持と自立度が重要です。
・ロコモーターは「運動器=運ぶもの」です。
骨盤より下の部分で 下半身全体を指しています。パッセンジャーを支えながら前方へ進む(運ぶ)ことが役割です。
双方の役割を担い繋ぐ骨盤の重要性が垣間見えます。
パッセンジャーの自立度が低く 不安定であれば バランスの保持のために無駄な労力を使うことになり 疲労度は増します。 ロコモーターの力不足があれば 歩行時の推進力の低下や歩行リズムに影響を与えます。
パッセンジャーとロコモーターは 互いに影響し合う関係性にあります。双方の連動性が崩れることは 動作の質の低下と転倒リスクを高めます。高齢者や不良姿勢のヒトたちは 無駄な労力を多いに払っているのです。スポーツ選手ではかなり致命的です。
パッセンジャーとロコモーターのバランスは 効率的な歩行に関与するだけではありません。動作の質を高め スポーツにおけるパフォーマンスを引き出してくれます。疲労の軽減につながり怪我のリスクの回避にも関係しています。
パッセンジャーとロコモータの効率的な関係は
「姿勢(アライメント)」から始まるのです。
Life is motion この視点から言うと 歩行を含む質の高い動作は 「適切な姿勢(アライメント)」から発揮されるということです。
トップアスリートの凄いところは 「姿勢」と言えます。姿勢保持自体がスキルなのです。
姿勢を語るには いかに重心・重心移動の理解ができているのか自問する必要があります。
あとがき
日常の身体重心のコントロールの際に 頭部・頚部 脊柱(胸椎) 体幹部 骨盤 下肢をどのような役割として扱うのか。固めるのか 柔らかくするのか 感覚をまず入力して動作を行ってみましょう。動作の感覚を経験することで 上手くできなかった時に 動作の修正に繋げられます。動作の不具合から動作の多様性を学習し 習慣化することが能力の獲得の早道です。
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