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Z世代「努力しても報われない」を一番知る世代

「最近の若者はすぐ辞める。」
「打たれ弱い。」
「もっと根性を持て。」
そんな言葉を耳にする機会は少なくありません。
SNSでは「Z世代は豊かさに甘えている」「自分たちがしてきたような努力が足りない」といった意見もよく見かけます。

でも、本当にそうなのでしょうか。

ジョナサン・ハイトの「不安の世代: スマホ・SNSが子どもと若者の心を蝕む理由」を読んでいて、とても考えさせられました。

私は、Z世代は怠けているのではない。現実をよく見た結果、努力する意味を見失っていると思います。ここでは、Z世代として、その理由について考えてみました。

① SNSは「失敗できない社会」を作った

昔は失敗しても、その場で終わりました。学生時代の黒歴史も、変な髪型も、恥ずかしい失敗も、時間が経てば忘れられていきました。

しかし今は違います。

写真や動画はSNSに残り続けます。誰かに撮影され、切り抜かれ、拡散されることも珍しくありません。つまり、「失敗」が一生ネット上に残る可能性があります。
だから挑戦しない。
挑戦しなければ失敗もしない。

一見すると消極的に見える行動も、本人にとっては自分を守るための合理的な選択なのです。

② 「努力すれば報われる」が信じられなくなった

親世代は、

  • 良い学校へ行く

  • 良い会社へ入る

  • 一生懸命働く というレールを歩けば、ある程度安定した生活を手に入れられる時代がありました。

しかし今はどうでしょう。

物価は上がり続け、住宅価格も高騰しています。
日本では実質賃金の伸び悩みが続き、「頑張っても生活が楽にならない」と感じる人は少なくありません。

そんな親や先輩の姿を見て育ったZ世代は、
「努力しても必ず報われるわけではない」という現実を早い段階で学んでしまいました。

だからZ世代は努力しないのではなく、努力の費用対効果を冷静に計算しているとも言えます。

③ 将来そのものに希望を持ちにくい

Z世代は子どもの頃から、

  • バブル崩壊

  • 気候変動

  • パンデミック

  • 戦争

  • そして、最近の円安と物価高といったニュースを見ながら育ってきました。

海外では、医学誌『The Lancet Planetary Health』に掲載された調査で、75%が「未来は恐ろしい」と感じ、56%が「人類は滅びる運命にある」と回答しました。また、約4割は気候変動への不安から子どもを持つことをためらうと答えています。

老後のために貯金しようと言われても、「その頃、本当に今の社会は続いているのだろうか」と考えてしまう若者もいると思います。

これは悲観的というより、毎日のニュースを見続けた結果なのかもしれません。

④ 比較され続ける時代

SNSには成功した人ばかりが流れてきます。
・20代で起業
・豪華な外食
・高級マンション
もちろん、それは人生のハイライトの一部です。

でも毎日見続けると、「自分だけ遅れている」という感覚になります。

比較は昔からありました。しかし今は24時間365日、世界中の「成功例」と比較し続ける時代です。スタートラインに立つ前から、「どうせ勝てない」と思ってしまう人が増えるのも無理はありません。

⑤ 「働く意味」が見えなくなっている

親世代は一生懸命働いてきました。
長時間労働
休日出勤
サービス残業
その結果、得られたのは豊かな生活だけではありませんでした。
過労死、燃え尽き症候群、家庭との両立の難しさなど、多くの課題もありました。

その姿を見て育ったZ世代は、「同じ人生を送りたいとは思わない」と考えていると思います。

仕事よりも、自分の時間や心の余裕を大切にしたい。

これは「やる気がない」のではなく、人生の優先順位が変わっただけだと思います。

前の世代との比較

実は、日本の若者を理解するには、「Z世代だけ」を見るのではなく、前の世代と比べることが大切です。

就職氷河期世代──「努力しても仕事がない」

1990年代後半から2000年代前半。バブル崩壊後の不況で、新卒採用は大幅に減少しました。大学を卒業しても正社員になれず、非正規雇用を選ばざるを得なかった人も少なくありません。

この世代にとって、「努力は必ず報われる」という言葉は、必ずしも現実ではありませんでした。

ゆとり世代──「努力しても心がもたない」

次に社会へ出たのが、ゆとり世代です。「ゆとり教育」で育ったこの世代が社会に出ると待っていたのは成果主義や長時間労働でした。

「好きなことを仕事にしよう。」
そんな言葉を信じて頑張ったものの、現実には過労や燃え尽き、メンタル不調に悩む人も少なくありませんでした。

仕事を頑張ることは正しい。でも、それだけでは幸せになれない。
そんな現実を体験した世代でもあります。

Z世代──「努力しても報われる保証がない」

そして今のZ世代。彼らは親や先輩を見て育ちました。就職氷河期世代の苦労も知っています。ゆとり世代が心身をすり減らして働く姿も見ています。「そんなに頑張って、本当に幸せになれるの?」という疑問も浮かんできます。

Z世代を「やる気がない」と誤解していないだろうか

確かに前の世代と比べると、「最近の若者は冷めている」と感じることがあります。
でも、その背景を知ると見方が変わります。
失敗はネットに残る。
努力しても報われる保証はない。
将来への不安は大きい。
毎日SNSで誰かと比較される。そんな環境で育てば、慎重になるのは自然なことです。
もちろん、すべてのZ世代が同じ考えではありません。

しかし、「やる気がない」の一言で片付けてしまうと、彼らが置かれている環境を見落としてしまいます。

Z世代は社会から目を背けているのではありません。

前の世代以上に現実を見つめ、その結果として「無理に頑張らない」という選択をしている世代なのかもしれません。

参考文献

  • ジョナサン・ハイト、『不安の世代: スマホ・SNSが子どもと若者の心を蝕む理由』

Hickman, C., et al. (2021). Climate anxiety in children and young people and their beliefs about government responses to climate change: a global survey. The Lancet Planetary Health,

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