友達に総資産を見せたら、自分の“赤字の正体”に気づいて、相手の人生まで動かした。
妻にはまだ伝えていない。
第4弾で完成させたシミュレーション表。
月ごとの収支、金融資産の推移、不動産のキャッシュフロー。
夫婦の人生設計が、すべて数字で見える。
なのに、妻には伝えていない。
理由は、妻が今、FP3級の勉強中だから。
妻は結婚時、貯金がほぼゼロだった。
その後、家賃管理法人の経営を通じて、事業運営のイロハを学んだ。
今は、金融知識を体系的に身につけるため、FP3級を勉強している。
第2弾で書いたとおり、妻とは一つ約束をしている。
「FP3級に合格したら、年収も総資産も教える」と。
シミュレーション表には、その全部が載っている。
だから合格したら、数字だけを伝えるのではなく、この表ごと見せるつもりだ。
知識を持った上で、対等な立場で、二人で人生設計を決める。
その時間を待っている。
順番が逆だと思う人もいるかもしれない。でも、これは妻を軽んじているのではない。妻との時間を、一番大切にしたいからこその順番だ。
その前に、信頼できる仲間2人に、このシミュレーション表を見せた。
正直、見せる直前は怖かった。
日本では、お金の話はタブーだ。総資産を明かして、関係が変わってしまわないか。
それでも見せたのは、この2人なら大丈夫だと思えたからだ。
結果は——タイトルの通りだ。
友達A:40代半ば、実家住まい。10年前にサラリーマンを辞めた。
今は、アルバイトや実家の手伝いで生活しながら、地域と交流している。
いわゆる「サイドFIRE」——資産と、少しの好きな労働で生きる形を、既に実現している人だ。
友達Aからのフィードバック
「2037年まで収支が赤字ですけど、夫婦で少しずつ働けば余裕でカバーできますよね。」
その一言で、ハッとした。
確かに、シミュレーション表では「赤字」と表示されている。
でも、それは「何もしない場合」の話だ。
友達Aは、その赤字を「問題」ではなく「余裕」と読み取った。
「資産を取り崩しても大丈夫なんでしょうが、何もしない事は多分ないですよね。」
その通りだ。
FIRE後、完全に働かないことはないだろう。
好きなキャンプを極めたり、筋トレを続けたり、地域に貢献したり。
その中で、少しずつ仕事をする。
それが、自然な流れだと思う。
友達Aが指摘したリスク
「何か始めて大失敗して借金が残るみたいなことでしょうか…(笑)」
起業リスク。
自分たちが好きなことを始めた時に、予想外の失敗が起きるかもしれない。
「あとは大不況が訪れて資産が暴落する事でしょうか。」
市場リスク。
世界経済が大きく落ち込めば、株式資産が半減するかもしれない。
でも、友達Aは最後に言った。
「でも株メインの自分と違って、不動産の収入がちゃんと入ってくればなんとかなりそうなんですかね。」
そこだ。
FIRE後は、不動産から月約30万円のキャッシュフローが入ってくる。
これが、最大のリスクヘッジになっている。
大不況が来ても、不動産は壊れない。
空室リスクは、シミュレーションに保守的に織り込んである。
毎月、確実に入ってくるお金がある。
それが、どれだけ心強いか。
友達Aの言葉で、改めて気づいた。
友達Aは、資産の中身にも目を留めた
「投資信託で米国、日本をカバーしてるので、現金の2,500万円がもったいないのであれば、こちらの積み立て額を少し増やしていくとか?」
確かに、現金2,500万円は多い。
年間の生活費が約400万円。2〜3年分の余裕を見ても、1,000万円程度あれば十分だ。
残り1,500万円は、もっと活用できるかもしれない。
「資産系はドル建てがない感じなんですかね?」
その通りだ。
今のポートフォリオは、ほぼ日本円と日本株、米国株(ドル建て投資信託経由)のみ。
直接的なドル資産は持っていない。
「ドルに替えておくのも分散としては一つありかと。MMFにしておいておけば3%くらいつくのでいいんですけど、懸念は為替がどうなるかはちょっと分からないっすねー。」
ドルMMFで3%の利回り。
それは確実な金利収入だ。
でも為替リスクがある。
「最近アメリカより日本の方が投資先としていいのかもと思ったりもしてるので、ドルに替える必要があるのか…、でも少しは分散としてドルを持ってた方がいいのか…。」
サイドFIREを実現した友達Aも、迷っている。
それが、今の投資環境の現実だ。
米国一強の時代は終わったのかもしれない。
日本の金利が上がり、株価も上昇している。
ドル資産も持つべきか、日本重視か。
その判断は、誰にも分からない。
だからこそ、「分散」が大切なんだ。
友達B:30代前半、パワーカップル。
新卒から投資をしている、しっかりもの。私と同じく、投資用不動産も持っている。
友達Bからのフィードバック
友達Bの指摘は、鋭かった。
「支出でNISA積み立てがあり、それが割合としても大きいですが、これは現預金から充当するわけではなく、別で調達する感じなんですかね?(だから収支が赤字?)」
痛いところを突かれた。
シミュレーション表の「赤字」の正体。その一部は、NISA積立という「未来の自分への仕送り」を支出に計上しているからだった。
今は給与から払っているので、支出に置いて違和感がなかった。
だが、FIRE後は給与がない。それでも表の上では積立が「支出」として続く——だから赤字に見えていた。
寝かせている現預金から移し替えるなら、この項目は「支出」ではなくなる。
表の見え方が、まるで変わる。

友達Bの一言で、表の構造そのものを見直すことになった。
「退職後のiDeCoはされない感じですかね?」
これも、ちゃんと考えていなかった。
今はDC+マッチング拠出で回している。退職後は拠出を続けず、運用指図者——積み立てはやめて運用だけ続ける形——で十分かもしれない。
こういう制度の細部は、一人で考えていると抜け落ちる。
「一時的に赤字になるとしても、アルバイトレベルの労働で賄えるのが見えると、心のハードルが大きく下がりますよね」
友達Aと同じ結論に、別の角度から辿り着いていた。
壁打ちは、一方通行ではなかった
友達Bから、こんな言葉も返ってきた。
「今までなあなあにしていた自分の不動産返済計画について、これを見てちゃんと考えなきゃいけないなと思いました。改めて確認したら、金利が3.7%になった物件もあって……(良い意味で)焦ってます」
金利3.7%。半年ごとに0.25〜0.5%ずつ上がってきたという。
私は借り換えの無料見積もりサービスを紹介した。友達Bは、その日のうちに申し込んだ。
私の表が、友達の計画を動かした。
友達の指摘が、私の表を進化させた。
壁打ちとは、そういうことだった。
率直なアドバイスをくれる仲間がいることが財産
このシミュレーション表を作った時、自分は「数字が見えるとFIREが現実味が出てきた」と思った。一方で、どんどん一人で突き進む前に、客観的な意見も欲しかった。それは、AIでは代替できないものだった。
今回の壁打ちで気づいたことがある。
それは、シミュレーション表そのものより、それについて「率直にアドバイスをくれる仲間がいること」が、本当の財産だということだ。
友達Aは、サイドFIRE達成者の立場から、「赤字は問題じゃない」という安心感と、「現金の活用」「ドル分散」という実践的な示唆をくれた。
友達Bは、現役の投資家の立場から、表の構造と制度の細部を突く鋭い問いをくれた。
二人とも、良い・悪いという判断基準ではなく、ただ率直にアドバイスをくれた。
そういう仲間がいるから、計画は磨かれていく。
友達からのアドバイスをもとに、動き始めた
「現金から株へシフトをしていこう」
これが、友達Aのアドバイスに基づいた判断だ。
そしてもう一つ、考え始めたことがある。
妻のNISA成長投資枠を、もっとうまく使えないか。
両学長の高配当ポートフォリオも参考にしながら、銘柄の検討を進めている。
——ただし、これはまだ私の中の構想だ。
妻がFP3級を取得したら、シミュレーション表と一緒に、この構想も話すつもりだ。
妻がFP3級を取得する日を楽しみにしている
妻は、FP3級の勉強をしている。
テキストを読み、問題集を解いている。
その先に、試験がある。
その先に、合格がある。
合格したら、妻にこのシミュレーション表を見せるつもりだ。
「これが、僕たちの人生設計だ」と。
その時、妻が何を言うのか。
どんな質問をするのか。
どんなアドバイスをするのか。
それが、今から楽しみだ。
妻が、知識を持った上で、対等な立場で、人生設計に参加する時間。
それは、数字だけのシミュレーション表よりも、もっと価値がある。
読者の皆さんへ
もし、信頼できる仲間がいるなら、自分のFIRE計画を見せてみてください。
予想外のアドバイスが、あなたの計画をより確実にしてくれるはずです。
そして、あなたの計画が、相手の人生を動かすかもしれません。
まだ見せられる仲間がいないなら、まずAIに壁打ち相手になってもらえばいい。その方法は、第4弾に書いた。
配偶者がいるなら、二人が対等に話せるタイミングを待つのもいい。
対等な立場で、人生を語り合う時間が、その後にある。
その時間が、FIRE後の人生を、もっと豊かにするから。
(友達に総資産を見せたら、自分の“赤字の正体”に気づいて、相手の人生まで動かした。/第5弾)
——次回からは、少し毛色の違う話をする。
なぜ、私たちがここまで本気でFIREを目指すのか。
その原点になった、去年の冬の出来事について。

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