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21億円の夜、夫はまた「無敵」になった。 ~確率の21億 vs 必然の100万~

「ねぇKumi、今回のロト7、
キャリーオーバー21億円だって知ってる?」

金曜日の朝。
コーヒー片手に、夫が少年のように
目を輝かせた。

普段は、確率と優位性の話しかしない
冷静な男なのに。

けれど、キャリーオーバーの文字を見ると、
彼は変身する。
いわゆる「無敵モード」だ。

「しかも見てよ、今日は『一粒万倍日』なんだ。
21億の種を撒くのに、これ以上のタイミングある?」

スマホの『本日は一粒万倍日』という
派手なポップアップを得意げに見せてくる。
彼は独自開発したという『ビンゴ理論』の
メモを私に見せながら、熱く語り始めた。

21億円当たったらどうするか。
南の島を買うか、
それとも独自のヘッジファンドを
立ち上げるか。
その語り口は、すでに当選金が口座に
振り込まれた後のように自信に満ちている。

「宝くじなんて、愚者の税金だ」
投資の世界ではよくそう言われる。
確率論で言えば、期待値はマイナスだ。

でも、私はそうは思わない。
たった3,000円で、
数日間「もし当たったら…」と
心を遊ばせられるなら、安いものだと思う。
そんな日に、楽しそうに夢を語る時間には、
きっとそれだけの価値がある。

ただ、ふと思う。

21億円という天文学的な「運」を
追いかけて、熱く語る夫の横顔。
それも可愛いけれど。

私が本当に「この人は凄い」と
信じているのは、その顔ではない。

誰も見ていない深夜、モニターの光に
照らされながら、数千円、数万円の
利益を積み上げるために、黙々とチャートに
向き合い続けている背中だ。
派手な夢語りよりも、その無言の数時間の方が、
私にはずっとリアルで、尊いものに見える。

当たるかもしれない奇跡より、
積み上げられる現実の方が、
私たちの性に合っている。

ロト7は、素敵な「夢」。
トレードとコンテンツビジネスは、
確実な「現実」。

「で、Kumiならどの数字を選ぶ?」
夫に聞かれて、私は笑って答えた。

「私は選ばないわ。
 その運は、全部あなたにあげる」

私たちは、21億円の夢を見つつ、
再現性のある100万円を掴みにいく。

さあ、夢の話は終わり。
いつものチャートを見よう。

それが、私たちのやり方だ。Kumi

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