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猫のおまじない 短編


ある日、社畜社員レンは見かけないお店を見つけ中にはいる。扉を開けると中は喫茶店。ポツンとあるカウンターテーブル。
そこの店主はなんと黒猫だった。
不思議な魔法を唱えられ、レンは猫にされてしまう。
猫のような生活、猫の生き方から学ぶ。
人間の生きづらさから解放できるのか、、、?





「今日も疲れた」
鬼の残業終わりの夜12時。フラフラの状態で僕は帰り道をひたすら歩いていた。
いつもの路地裏を抜けると見慣れないお店を見つけた。
「こんなところに、お店なんかあったかな?」
そこは、赤いレンガ造りの外観をしていた。看板には「営業中」とだけ書かれている。 

 店の前の庭には、見たことのない石がいくつかも並べられていた。石に顔のようなものが彫ってある。物静かに佇むその石から「中へお入り」と、手招きをしているような気がした。
僕は吸い込まれるように、扉に近づいていく。気づいたときには、ドアノブに手をかけてガチャリと扉を開けていた。

カランカラン。

そこには薄暗い場所の奥にポツンと電気の明かりが灯されているカウンターテーブルがあった。
前に進もうとしたがその場所まで薄暗くてまわりの様子がほとんど見えない。


 客は、誰もいない。店内に流れるジャズの音源が聞こえるか聞こえないかくらいの音量でシャカシャカと流れている。
コーヒーの香りが店内を包み込み、僕はカウンター席に腰を下ろした。

「あ、あのぉ~...」
店員らしき人の姿はなかった。
ひたすらに周りをキョロキョロと左右、上下と見渡しても気配すら感じない。
僕は机の上に置かれたメニューを手に取ろうとした瞬間、背後から

「いらっしゃいませ、ようこそ 喫茶店またたび へ」


 不意に声を掛けられて、驚いた僕は腰掛けたイスから床に転げ落ちてしまった。
「イテテテ、、」
顔を上げると、そこにいたのは若い男だった。
サラサラした黒い髪に垂れ流した前髪、そこから見える瞳は澄んだ青い天色のようだった。
その目は瞬時に瞳孔が丸く開いた。
おそらく、この人がこの店の店主なのだろう。

「す、すみません!!!入ったら、だ、誰もいなくて!!!」   
慌てて身体起こしながらイスへしがみついた。

店主は少し笑みを並べて
「いえ、足を運んでいただきありがとうございます。少々、この店は特別、でしてね。」

「は、はぁ。」僕は空いた口が塞がらない。

「ところで、お客さんここは初めてで?」

「は、はい、歩いてたらここに辿り着いて。よ、夜中でもお店をあけているのですね」

「言ったでしょう、お客さん。ここは特別なところってね。貴方はとても運がいいですよ」

「運がいい?」

「ええ、ではこのメニューをご覧ください」


広げたメニューをみてみると、
ただの喫茶店のメニューのようだった。

どこが特別なんだ?なにか特別な豆でも使っているのか?
「で、ではホットコーヒーを1つ」

 僕は、無難に注文を済ませた。

「ありがとうございます。とっておきのを作って参ります」

 そう言うと、深々とお辞儀をして、キッチンの方へと消えていった。

 しばらくすると、
「お待たせ致しました」とコーヒーが置かれる。
コーヒーの香りがふわっと香る。
口にしたその時、コーヒーの香りと風味が同時に感じられた。啜っている間、まるで時間がゆっくり流れているような気がした。

「ところで、、」店主が静かに呟いた

「ところで、お客さん。なぜこのお店に入ろうと思ったんです?」

僕は驚いてコーヒーを口から吹き出しそうになった。
「い、いや、たまたま通りかかったら見慣れないお店があって、それで、、」


「そうですか。何も知らずにここへ来られるとは」

不思議に思った僕は店主に質問をした
「ここはどういったところなのでしょう?」

すると、パチリと瞬きをして店主は
「このコーヒーは普通のコーヒーではないのです。よく覗いてみてください」

僕はすぐさまコーヒーカップを両手に持ち、ゆっくりと覗いた。


「んー。よくわからないな」
そう僕が答えると、ゆっくりと僕の隣に近づき、
耳元で店主が囁いた。


「おいしさは病みつきになる。またたびのように。これもひとつのおまじないです。」


その時、目の前が一瞬真っ暗になった。
どこからか声が聞こえてくる。

だんだんと明るくなってきて見えたのは、庭でみたあのたくさんの石の塊だ。よくみたら猫の形をしている。
「明日の君は、猫になる。君はこのニンゲンという世界に疲れすぎだ。もっと猫のようになりなさい。3日もすればそれはもう虜さ、またたびのようにね」

そう言ってまた、暗くなり僕の意識は無くなっていった。



僕は目を覚ますと、ソファーで寝ていたようだった。
「イテテテ、背骨が痛い、、」
ぐぐぐと足を伸ばして伸びをする。


ここはいったいどこなんだろう。
立ちあがろうとしたその時、僕は何か違和感があった。

目線が低くなっている?
立ち上がったつもりだが、僕の知ってるテーブルは下から覗いている状態だった。


「気が付きましたか」
後ろで誰かが話しかけてきた声の方へ体を向けると、そこには黒猫が座っている。

「く、黒猫?」僕は驚いて目を大きくあけた。

「お忘れですか、あの時の店主ですよ」黒猫は
毛繕いしながら、あの時見た、澄んだ天色の瞳を見せた。

「あ!あの時の!?僕はどうなっちゃったの?」
動揺が隠せない僕は吃った声で黒猫に聞いた。

「言ったじゃないですか。おまじないですよ。少しの間貴方は猫になれます。猫好きな飼い主がそろそろ戻ってきますので存分に甘えてください」

「あ、甘える??そんな急に言われても困りますよ!!」焦りが治らない僕は知らぬ間に尻尾が垂れ下がっていた。

少々呆れていた黒猫は鋭い眼差しで僕の方をみた。さっきまで丸かった瞳孔が細くなり一瞬、パチリ と瞬きをし、「ニャン」と鳴いた。  

黒猫は完全に僕の人間としての記憶を消した。

僕は、鏡の前にたった。白と黒と茶色の三原色。
自分に驚いた。なんだ、僕じゃないか。

ここはどこだ。でも危険な匂いはしない。
黒猫がずっとこっちを見てくる。なんなんだろう。

トスントスントスン。誰かが階段から降りてくる音がした。
尻尾をくるんと上に上げて、様子をみた。

すると、人間の女が出てきてなにやら僕に話しかけているようだ。しかし、あまり分からなかった。何か、その女の姿に見覚えがあるような気がしたが僕はそれを追求しなかった。

女はなにかを話したあと、僕の首元をさすってきた。

(わわわわ!!なんだこの気持ちよさは!!!!
もっと!もっとそれをやってくれ!!!)
喉をゴロゴロと鳴らしながら自分の頭を女の手のひらに乗っけた。

すると、女は嬉しそうにたくさん撫でてくれた。
(なんて気持ちいいんだ!こんなの初めてだ!)

僕はそれからも、ご飯をもらった。
食べたことがない、歯応えのあるものをもらった。意外と美味しかった。

僕は満足して寝転ぶ。そして、妙に眠たかった。

「どうですか、居心地は」
細い目から見えた黒猫が話しかけてきた。

「すごいところだ。こんな気分は初めてだよ。
あのご飯をくれたヤツはとても優しいんだ」
僕はそう答えた。

「それはよかったです。あれはニンゲンというものでしてね。ご飯が欲しかったら、鳴けば寄ってきますよ。ニンゲンは甘いですからね。自由にしててください時間は有限ですからね」と黒猫は牙をチラつかせてぴょんぴょんっと高いところへ行ってしまった。


僕は、今日あったことを思い出しながらまた寝転んだ。
(何故僕がここにいるのか分からないけど、ニンゲンって面白いな。ずっと見てたけど、いつも忙しなくて、すぐどっか行っちゃうし。でもご飯もくれるしたまに撫でてくれるしいいヤツだ)

あれから、日中の大半を寝て、飼い主の留守中もお気に入りの場所でうたた寝し、お腹がすいたらご飯をつまみ、のどが渇けば水を飲み、思い出したかのように毛づくろいをして、再びうたた寝をする生活をしていた。
すると、夢の中で何かが頭の中に映った。

暑い中をひたすら歩いている。
人間なのか、それがたくさんいて知らない外の世界をずっと忙しそうにしている。
「○○○!!!○○○○!!!」
何か人間が、僕に大きな声で訴えている。
怒られているようだった。
地面をひたすら歩く。コンクリートと足元だけが見える。
部屋のシーンに切り替わり、何故が僕はたくさん泣いていた。


は!!!! 頭が痛い...なんなんだこの記憶は...。夢に魘されているのか。

僕は目をあけた。心臓がどくどくと強く波打っている。
「あれは、、僕?」小さな声でポロッと口に出したその時。

「ぁあ、記憶が少し戻っちゃいましたかね」
黒猫が背後からのそりのそりと近づきそう言った。

「どういうことですか?僕は、、うっ!!!」
また頭が痛くなった。また夢の記憶が蘇る。

「貴方はもともとニンゲンだったのですよ。はぁ、ニンゲンって本当に馬鹿ですよね。
あんなにたくさんいて群れて、毎回忙しくしてて、泣いたり怒ったり、、変ですよ」

「...僕がニンゲン?でも今は猫になって...あの記憶は僕の記憶...?待って、そういえば僕はあの時!!!」
だんだん人間の頃の記憶が戻ってきた。

黒猫は座り直し、尻尾を丸める。
「私はね、実は昔はニンゲンが嫌いだったんですよ。僕が外を散歩しているとこう言うんだ。
うわ、黒猫だ。不吉。 とね。
あっちいけと、罵声を浴びせられ、物を投げられたこともあった。私は恐怖に怯える日々で
食べ物もろくに獲ることもできず、カラスにつつかれていたところを彼女が助けてくれたんだ」

「あの、飼い主ですか?」

「ぁあ、そうです。手を差し伸べてくれたのですが私は彼女を爪で引っ掻いてしまった。
彼女は、血を流していても優しく包み込んでくれたんです。 私は、悪魔と言われているのに、怪我をして倒れてる私を彼女はずっとずっとそばにいてくれた」

続けて黒猫は話します。

「私は、彼女に育てられた。私は充分に甘えた。何不自由なく過ごしてきた。
私はずっと彼女をみていたんだ。
けど、彼女はずっと私といる以外では孤独でね。
1人で泣いてたりするんですよ、優しいニンゲンなのに、彼女は何故かいつも苦しそうだ」

僕は、ゆっくり口を開いた。
「なぜ飼い、、彼女は泣いているのでしょう。
僕もあの時の彼女の優しさは伝わります」

黒猫は窓を見ながらこう言った。
「分からない、外の世界はしばらく見ていないから。きっと危険なのだろう。彼女も私を外に出したがらないからね。
ニンゲンというものはわからないね、もっと気楽に生きてはいけないものなのか」

僕は、ニンゲンの世界を知っている。
夢に出てきた自分は、きっと人間の頃の自分だ。
仕事に追われ、上司には理不尽に怒られる。僕はあまり人と関わるのは好きではない。そしてこの社会も好きではない。苦しかった。
息抜きできないこの世の中はどうかしてる。

彼女、、彼女も何か悩んでいたのだろうか。
猫になっていたから、彼女がなんで言ってたのか分からなかったけれど人間に戻って話を聞いたら何かわかるかもしれない。

僕は、黒猫に言った。
「黒猫、、店主さん。僕をニンゲンに戻してくれませんか。僕、彼女に会います」

黒猫はまた瞳孔が開き目を丸くした。
「いいのですか?猫の世界にはもう戻ることはできませんよ?それにその為に貴方を猫の世界に連れていった訳ではありません。
たまたま窓からみていたら、貴方がひどく疲れていらっしゃったので、、私の出来心なのです、申し訳ございません。」

「そんなのいいですよ、猫の生活は楽しかったです。いい息抜きになりました。なにも考えない日、あってもいいですよね。正直ここ最近は、なにも見えてませんでした。当たり前の幸せとか、人の温もりとか。下を向きすぎて、上を見ることなかったですからね。貴方の猫らしい優しさも、ありがとうございます。なので、僕を人間に戻してください。必ず、彼女の役に立ちます。コーヒーのお礼です」

黒猫は、深くお辞儀をし
「こちらこそありがとうございます。では髭を一本、失礼」

と僕の髭を一本とって床に置き
鋭く尖った爪でなにかを切り出した。

すーーーーっとまた暗くなっていく。
遠くから声が聞こえてくる。

「猫の温もりは病みつきになる。これもまた1つのおまじないです」


目をパチリとあけると僕はあのお店の前に立っていた。僕はまた人間に戻っていた。

「店主さんいるかな」

僕はお店のドアノブに手をかけた。

カランカラン... 扉についている鈴が儚げに鳴る。

「あの、、誰かいますか?」僕は薄暗いお店の中で呼んでみる。

トスントスン、、誰かが階段から降りてくる音が聞こえた。


「あ、あの...もうそろそろ閉店時間なのですが...」

降りてきたのは、あの時の男の店主ではなく
ふんわりとした茶髪のポニーテールを揺らしながら女が出てきた。あの時の飼い主だった。

僕は、驚いて一度引き返そうとした。
しかし、一歩引いたところになにか足に当たった。

「ニャ〜」

あの黒猫がいて、きらりと光る天色の瞳でパチリと瞬く。しかし、僕の知ってる黒猫は優しいあの声ではなく、甘えた猫の鳴き声だった。

「あ、店しゅ、、黒猫...」

女は近づいて
「猫、お好きなのですか?この子の名前はダリルっていうんですよ」と優しい笑みを浮かべてくれた。

僕は一度引こうとしたがその優しい笑みに立ち止まってしまった。
「はい、猫にはご縁があって、、あ、あの、コーヒーを一杯だけいいですか?すぐ帰りますので...」

女はびっくりした表情をしたが、すぐに目を細め優しい笑顔で「はい、かしこまりました。席へご案内致します」とカウンターまで案内してくれた。

「お待たせいたしました、ホットコーヒーでございます」
コトン、と優しく置かれたホットコーヒーからは
入れたばかりのほろ苦い香りが広がった。

「いただきます」とコーヒーを口にして
ふと黒猫に目をやると、ちらっと目を合わしたがすぐに毛繕いをはじめてしまった。
なんだ、あんなに話してくれたのに本当にただの猫じゃないか。と少し口を尖らせた。

彼女は目の前のカウンターテーブルの奥で洗ったコーヒーカップを丁寧に拭きあげながら
ポツリ、ポツリ僕に話しかけてくれた。

「あの、ダリルは人見知りが酷いんですよ。小さい頃酷く痩せ細ってて...本当にガリガリで、カラスにつつかれているところを保護した猫なんです...。当初は私も引っ掻かれちゃったりして大変でした。私以外の人をみるとすぐ逃げちゃうんですけど...お客さんが入ってきてもダリルがこんなに近くにいるなんて珍しいんです」

「ははは、何故なんですかね。猫に導かれて実はここにくるの2回目なんですよ。その時も猫がいてなんていうか、猫におまじないをかけられまして」
何を言ってるんだと自分で顔を殴りそうになったが目の前の彼女は「ははは、猫のおまじないですか?なんて可愛いのかしら」と微笑んでくれた。

「けど、やっぱりお客さんは初めましてだけど、どこかで見た気がする。あ、申し遅れました、私ここで喫茶店またたびを経営してるハナともうします」

僕はなんだかドキッとしてしまった。
「あ、僕はレンといいます。不思議ですねどこかでお会いしてたんですかね」
本当は、猫になった時に貴女に会ってましたなんておかしい人に思われるのではないかと思って言えなかった。

ニコリと笑ってハナはまたコーヒーカップを拭きだした。
捲った腕にはなにか痣のようなものが見えた。

「怪我、、ですか」僕はハナさんに聞いた。

ハナは慌てて腕の痣を隠し、「すみません、見苦しいものを」と申し訳そうに、少し声を震わせていた。

「いや、いいんです」何も聞けなかった。

プルルルルルル。プルルルル。
お店の奥から電話が鳴った。

「すみません、ちょっと席を外しますね」
そう言ってハナは奥の方に行ってしまった。

「あの傷はなんだろう。なぁダリル。お前何もわからないのか?」

ダリルは、レンの座っている椅子の隣にピョンっと乗っかって、大あくびをした。

「もう喋れないのか、ついいつもの猫のようにタメ口で話してしまった」
大きなため息をついて、緩くなったホットコーヒーを飲み干した。

「ごちそうさまで...  ガシャン!!!!!!

ハナが向かった先で大きな音がした。

僕はすかさず音のする方へ向かう。
心臓がドクドクする。嫌な予感だ。

奥へ行くと、ハナが床に倒れ込んでいた。
「ハナさん!!!大丈夫ですか!!しっかり!!」レンは必死にハナに問いかける。

ハナはぐったりとしていてレンが言った事に応答することはなかった。

「救急車、救急車だ」
119番に通報し、ハナは病院へ向かった。


ハナはまだ呼吸器をつけて目を瞑ったまま。
医者に聞いてみると、ハナは過度のストレスだった。
貧血の状態で倒れたらしい。

しばらくして、ハナのおばあちゃんがきた。
おばあちゃんがいうには、ハナの父はすでに他界していて猫好きの父は喫茶店またたびの元店主だった。
父が大好きなものを無くしたくないとハナはその店を受け継ぎ今まで休みなく働いていたという。
ハナは小さい頃母親の虐待から両親が離婚し、父と暮らすようになり、後に父は認知症を患い当時ハナは16歳。1人でヤングケアラーとしてずっと父を支えてきた。父が昔から変わらなかったのは好きな猫と戯れること。そんな優しい父が大好きだったが2年前に他界し、ハナの精神もズタボロの状態だったようだ。

僕はおばあちゃんの話を聞いて後にした。
喫茶店またたびに戻ると黒猫のダリルが待っていた。

ダリルに話しかけるように、話をした。

「ハナさん、今の所命に別状はないけれど過度の疲れによるものだって。ハナさんのおばあさんもきて、ハナさんの過去、、ハナさんはずっとずっと1人で苦しんで、、頑張ってたんだ。
なのにいつも、あんな笑顔でいてくれてたんだよ。なぁダリル僕はどうしたらいい」

ポロリポロリと涙を流しながら、カウンターテーブルに頭をつけて自分の無力さに絶望していた。 

ダリルは小さい声で「ニャ〜」と鳴いた。

僕はとりあえず、ハナさんが戻るまで
お店を休みにして、ダリルの世話をしていた。

3日後、ハナは退院して店に戻ると聞いて、すぐにハナを迎えに行った。
ハナは深々とお辞儀をして
「すみません、ご心配おかけして。ダリルを預かってくださりありがとうございました」とダリルは抱っこしながら何度も何度も頭を下げた。、

「退院できてよかったです。とりあえずご無事でなによりです。お身体大事にしてくださいね。
ハナさんのお話は聞きました。遠方からハナさんのお婆様がいらっしゃって。その、過去の話とか。ハナさん。僕に手伝えることはありませんか。僕は、貴女に恩返しがしたいんです」

ハナは、驚いたように「恩返し?」とだけ返した。

「あ、あの、猫の、恩返しです。真面目です。これでも。」

「レンさん変な人」ハナはクスッと笑った。

「ニンゲンは変なんですよ。猫のように生きましょう。無理や我慢をしない、もうしなくていい。自分が一番安定していられる状態を僕と一緒に見つけましょう」

「まるで、猫になったことがあるみたいですね」

2人は、ハハハと笑顔になった。


      数ヶ月後。
ハナは、レンの助けを借りながら今日も笑顔で接客をする。

ダリルは気分屋看板猫として、ダリルてんちょうと呼ばれるようになった。1週間に1回顔を出してくれる。

レンは後に働いていた会社を辞め、ハナと一緒に経営を始めた。
レンはコーヒーの淹れ方を知らない為1から教えてもらった。

「♪おいしさは病みつきになりますよ〜、またたびのように〜」レンがコーヒーを注ぎながら呟いた。

「ちょっと、なんですかそれ」

「これは一つのおまじないです、先輩の教えです。ね、ダリルてんちょー」

「にゃあ〜」
















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雲晴 莉叶 読んでくださりありがとうございます。いただいたチップで私はnoteを書き続けて人々の人生変えたいと思います!

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