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ヤバい後輩がいる。

後輩ってやつが苦手。
自分がなるのはまだしも、誰かになられると何ともむず痒くなってしまう。というか端的に困る。そんなに何もかも求めないでー、できることなんてそんなにないよ!って自ら枷を設けてしまう。ううう、対等にしようぜ、と。

ただそんな僕にも15年以上生粋の後輩がいる。なんというか別に普通の友達なんだけど、後輩力の異常な高さとその年月をその関係で過ごしたことによる最も居心地のいい関係性というやつが珍しく「先輩-後輩」だったりする。年齢の2つくらいしか変わらないから今出会ったら普通に対等なんだと思うけどわからないものです。そして「先輩-後輩」関係を上下みたいな書きましたが、別に全然そんなことはなくただ単にそういうムーブをお互いちょっとだけするってだけの対等な関係です、はい。

で、そんな前置きをしつつ一番伝えたかったのは、この後輩ヤバいんですよね。仕事柄色んな人に会います。起業家やクリエイターって変な人の集まり。いわゆる一般の人から遠ければ遠いほど良いとされてるくらいの職業集団です。でも、この後輩のヤバさは際立ってて、なんというかほんとに頑張って「普通」になろうとしてるんですよ。え、これ怖くないですか?みんなが、何とか自分は人とは違うんだよって声を張って、振る舞って、「ほら俺って特別(どやっ)」ってやってる中(僕のことです)、彼は、なんとか「普通」になれるように試行錯誤をしている。「わ、やった!普通にみられた」。こっわ。たすけて。

おそらく彼は今の社会との関わり方を選ばなければ、もっと闇の住人になってたと思う(し、なんなら今からも十分そうなれる素質を持っている)。特定されちゃうからあまり具体的なことは書けないんですが、まず彼と話すと「うわぁ、こんなに僕のことわかってくれるんだ」「わ、一緒一緒!」って思います。心を開きやすい。だからこそできる話、だからこそお願いする話、そういうものが彼には集まります。で、彼のすごいところは、情緒的な手段を使って手に入れたものを超ロジカルに処理します。ロジカルに感情を無視するわけではありません。「感情的にはこうだから」って感情を精緻に見積もって、その見積もりもロジックに活かします。こえぇ。だから周りの人は動かざるを得ません。「頭ではわかるけど心が…」がないんですよ?頭も心も納得してしまう。これを人情的な、包み込んでくれる本当に懐の深い人がやってるならいんですよ。その人はある意味相手のことを人間として扱ってるから。でも彼は違う。彼は、人情家と同じ振る舞いをした後、いっさい相手のことを忘れ去ります。「さよなら」って。ダメだ、書いてて怖い。すごく怖い。彼についての言語化を避けてたけど、これマジで怖い。相手からしたら衝撃ですよ。今まで自分のことを誰よりも大切にしてくれるって態度で接してくれてた彼が、ある時急に物を見るみたいに自分のことを見てくる。

これ悪気があってやってるならまだましなんですよ。それはつまり目的のために手段を選ばないって人間だから。でも、彼はそうじゃない。単にほんとに「そう」なんです。そんな彼が、人間社会に溶け込んでるのは奇跡だと思う。擬態。自分の隣にいる人が彼みたいな人だと思うと、僕は家から出たくなくなります。

そしてここからは面白いんですが、それ自体に彼は悩んでるんですよね。いや、正確にいうと自分のその性質タチはもうしゃぁないと思ってるんですが、その自分の状態でどうやってこのあとも社会を渡っていくかを真剣に考えてます。おもしろいですよね。みんなは「人とは違うところを」「才能はどこに?」「本当にやりたいことは!」みたいな問いを掲げて一生懸命生きてて、愚かで、でもそれが愛おしい。でも彼は「どうやって人と同じ道を」「逸脱しないためには」「明日も歩んでいくために仕組みを作るなら」です。宇宙人が人間に擬態するとこんな感じなのかなぁってよく思います。


彼の特異性は、現在とてもうまく人間社会にハマってて、地位としても、同じ性質を持つ人の中で最も高いんじゃないかってところまで登ってます。本人はそのこと自体があり得ないことだし、ありがたいことだし、でもいつまでも続くものではないものだってわかってるみたいです。彼が今後どんな人生を歩むのか、一読者としては楽しみ。


あなたの隣にいるのが「彼」かもしれません。
でもそれって、あなたが「普通」と切り捨ててた相手が、物語の主人公、いやどちらかというと敵役ですね。そういう存在かもしれないってことです。人間っておもしろ。


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→『頭の中がうるさい。でも、それでいいのかもしれない。

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