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アメリカ、リトルリーグの思い出①〜伸びしろの塊をつくる

以前、アメリカのニューイングランドに2年間、滞在していた事があります。そのとき、子供をリトルリーグ(小学校低学年)とファームリーグ(幼稚園生)に入れた経験があるのですが、アメリカ流の考え方を前に、かなりカルチャーショックがありました。アメリカを知るうえですごい良い経験ができたのでその頃の事を、いくつか書いてみます。
 あくまでも自分がみた状況なので、ほかの地域などでは全然違うかもしれません。

冬は休み、マルチスポーツ
 そもそもアメリカ、とくにニューイングランドでは1年を通じて野球はやりません。冬が相当寒いので、秋になったらシーズンは終了、暖かくなる春までは野球チームはお休みです。私の理解ではサッカーもお休みでした。
 その間みんな何をやっているかというと、ウインタースポーツである、アイスホッケーとかスケートとか、室内でできるプールなどですね。
 夏の間も普通にアメフトと両方やる子もいて、マルチスポーツ前提という感じでした。

春にキャンプとドラフト
 春になると、リトルリーグは体育館で、エクササイズキャンプが週末の昼にあります。これは、地域のチーム合同で数回開催されるもので、基本は小学生が数十人毎回来る感じ。体育館の中でできる、スローイングや基本動作を軽くやります。
 だいたい毎回最後に順番にバッターをやるミニゲームなのですが、おもちゃのバットとボールで様々な年齢が楽しむ感じです。
 そしてこのキャンプには、地域のチームの監督が毎回来てるんですよね。で、なんか良い感じの子がいると、良かったぞ〜とか声をかけます。
 なんでこんなことをやるかというと、最後の日に、ドラフトがあるんです。地域に6チームあるとすると、順番に1人ずつ指名していくんです。なんとかジャイアンツとか、なんとかカブスとか名前がついていて、監督が子供をピックしていきます。
 このあたりの運用は緩やかなルールで、また来年うちのチームに来てね、とか勧誘もありなのですが、原則的には毎年チームが変わりうる感じです。
 この時点で日本の少年野球と全く違いますよね。来シーズンは別のチームみたいなノリなので、すごい風通しがよいです。もちろんチームとしての作り込みみたいな部分は弱くなりますが、そもそも低学年ではそこを目指していないんです。

ひたすら試合をやる、教えない
 さあドラフトされて、無事チームも決まってこれから練習!と思いきや、練習はあまりしません。ともかく試合が組まれまくります。
 平日の夕方だいたい一試合、週末一試合、あと週末に二時間くらい練習。
 以上笑!

 まあこれはうちチームがとくに弱小だったのもあるのですが、ただみっちり練習というのは聞いたことがありませんでした。
 

リトルリーグの試合

 ゴロの取り方?ノック?かるくしかやりません。
 ボールの取り方とか、投げ方、打ち方も、何らかの形にはめる指導は一切無し。腰落とせ〜も、down ready!とか言うだけ。
 結果、ボロボロなわけですが、人数も少ないし、だいたいがみんな毎週試合に出続けます。
 え、試合の前にしばらくゴロの取り方とか、おしえたらいいのに、とか毎回思いました。なんでこんなに練習しないの?勝ちたくないの?
 いいんです、試合できれば。good job!とかnicely done!とかひたすらポジティブに声をかけます。叱責は一切無し。
 これは現地の小学校でも一緒で、基本的に子どもに怒るというのは、ほぼありえないことで、暴力沙汰でなければ怒られることはない感じでした。
 ピッチングマシーンとかはあるので、ふつうにバッティング練はあります。でもともかく野球を楽しむ。負けてもぜんぜん悔しがらないし、親もまったく気にする素振りがありませんでした。

そして天然芝。ただただグラウンドが美しかった
 このエリアは、グラウンドが非常に整備されていて、当然のように、天然芝。それはそれは美しいグラウンドばかりでした。
 アメリカでは一軒家を持つ場合、家のまわりの芝生をきれいにすることは、その家の責任という感覚が非常に強く、この常識が公園にも適用されている感じでした。手の行き届いた天然芝のすばらしさと安全性は、なかなか日本だと体験できないと思います。

ファームリーグの練習風景

でも基本は硬球!
 これだけゆるいのに、リトルリーグでもなぜか使うボールは大リーグと一緒の硬球。ファームリーグでも、キャッチボール用のものをつかったり、硬球を使ったりという感じでした。
 もちろん硬球の場合、デッドボールはとても危険で、試合で発生すると、その子はほぼ交代になりますし、ライナーフライ処理でも十分危険です。
 このあたりは日本の軟式を使ってもいいんじゃないかと思うんですが、野球やるなら硬球という発想は強かったですね。グラウンドには隅を探すとたいだい硬球がいくつか落ちている感じでした。
 さすがに初心者でいきなり硬球は危険なので、綿でできているようなキャッチボール用のものもチームでは使っていました。

ガチ勢はおそらくそれはそれでいる
 たぶんガチ勢はそれはそれでいるんだと思いますが、それはごく少数。校外にレッスンを受けられる場所もありますし、そもそもガレージでバッティングとかできるし、そこら中に少年野球球場があるので、やりたければいくらでもどうぞ、という感じ。

ファームリーグはTボールでひたすら楽しむ
 幼稚園生のファームリーグのほうは、かけっこして、ゴロ拾いして、なげてみて、Tボール打って、という感じで、ともかく楽しむ感じでした。それでも打つのは硬球!女の子もたくさん!

ファームリーグのTボール


結果としてのポテンシャルの塊、ポジティブエナジーの塊
 結果、低学年の時点では、ものすごい荒削りな、しかし野球大好きな、ポテンシャル満載な子どもたちが生まれます。 
 技術的にははっきり言って下手です。投げ方も、打ち方も、クセが強い。ピッチャーも、メカニクスとしてなんか変だよね、という投げ方の子ばかりでした。でも、よく言えば伸びしろしかない。そもそも同学年の日本人の子より頭ひとつ大きく、アメフトも水泳もやっていて、ぜんぜんチーム以外で野球を練習していないはずなのに、試合で特大のあたりを打ってしまう。
 この方式でよいのは、野球のすそ野がそれはそれは広く、体格にも優れているからで、もちろんそのまま日本でやるとうまくいかないかもしれません。大谷選手は別格として、菊地選手や吉田選手のように、日本できっちり土台を気づいたからこそ、メジャーでも大活躍で来ているのだと思います。ただ、この子たちが、やがて本気でコーチに教えてもらっていったら、どうなっちゃうの、という感じでした。 
 子供たちがポジティブなエナジーを持って、グラウンドに来る。その大事さを教えられた経験でした。

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