新居のマンションが怪物だらけの蠱毒だった
僕の住んでいるマンション、どのお部屋にも緑色のドアが付いています。
みんなこの緑色の扉を開けて部屋から外の世界へ行き、またこの扉を開けて自分たちの住む世界に戻ります。
見た目は何の変哲もない普通のドアですよ。どこの家にもある玄関です。
でもね、この緑色のドア、めっちゃ重たいんです。開けるのにかなりの力が必要なんです。
ハンターハンターっていう漫画、読んだことあります?あれに出てくる「試しの門」と同じです。
この重過ぎる扉を開けられる実力者しか家に入ることを許されません。
あまりにも重くて、初めて我が家に来た人は鍵がかかっていると勘違いする程です。
まあ言ってしまえばただの重たい扉。それだけですよ。でもこれ、よく考えるとすごく怖いことなんですね。
もしも僕がこの先何十年もこの部屋に住み続けたとして、いずれ年老いて、この扉を開けられなくなる日が来るんです。
だってそれほどまでにこの扉は重たいのだから。
20代、力のあり余る今だって開ける時は気合いを入れなければなりません。
それが80代、90代になったらどうです?開けられるビジョンが全然浮かびません。
いつか僕はこの部屋から完全に出られなくなります。
もしくは、この部屋に入れない日がやってきます。
自分に力がないから外に出られない、家に帰れない日が確実にくるんですよ?怖すぎます。
だから僕は強くい続ける必要があるのです。
肉体的に強くなってドアの重みに負けないようにしなければなりません。
精神的に強くなって、ドアのプレッシャーに打ち勝たなければなりません。
何もしなくても時は進むわけで、僕がこの家から出られなくなるXデーが、今こうしている間にも迫ってきています。
そしてこれは僕だけの話ではありません。このマンションの全住人に当てはまることです。
住人全員がこの重たいドアを突破できる筋力と精神力を持っている…。
そう、ここは強い人間だけが住むことを許されたマンションなのです。
弱い人間は引越しせざるを得ません。弱き者は排除され、強者だけが残ることを許されます。
そんなマンションに、今僕は住んでいるんです。
マンションのレビューサイトがあるのをご存知ですか?
過去実際に住んでいた人や、現在住んでいる人がマンションの住み心地を口コミとして投稿できるサイトがあるんです。
僕も引越し前はよく参考にしていました。今の家に引っ越す時、本当にお世話になりましたね。
一昨年、引っ越しを考えていた僕はこのマンションに目をつけていました。
だってこの家って周辺相場より少し安いんですよ。それなのに築年数は浅く、設備も良く、室内も綺麗なんです。
この家に引っ越す前、それが結構気になっていて、事故物件の可能性を探るために大島てるを見ました。
結果僕の家は何事も無かったんですけど、周辺のマンションが全部訳ありだとわかりました。
ますます怪しい。事故物件でもない、結構綺麗なのになんでこの家は安いのか。
ついに最後の砦として、マンションのレビューサイトを開きました。
安い理由がわかりました。
この家、なぜかモンスター住人がひしめき合う「魔窟」だったんです。
レビューサイトに書いてある内容は様々で、騒音や奇行は当たり前。その種類の多さが、怪物の多さを物語っていました。
ますますこのマンションに興味を持った僕は、会員登録を済ませ、全てのレビューに目を通しました。
そしてわかったのが、この魔窟には各階に1人、名物モンスターがいるということでした。
「〇階にエグい騒音の人がいる」
「〇階には廊下で勝手に工事する人がいる」
「〇階には謎の看板をドアに貼る人がいる」
こういう情報を1つずつ繋ぎ合わせました。
このマンションにはヤバいやつらが住んでいて、そいつらも一目置くような「本物」が各フロアに鎮座している…。
完全にダンジョンでした。
このマンション、4階建てなんですよ。各フロアにいるボスたちはまさに四天王。RPG感がすごいですよね。
で、数多くの口コミに目を通し、1人の怪物がこの魔窟の頂点にいることがわかりました。
「とある階に、深夜になると少しだけ開いたドアから顔を出し、目が合うと高速でドアを閉める老婆がいる」
ゾクゾク来ましたね。この老婆に関する口コミがいくつもありました。
「挨拶をするとドアを閉められる」
「ドアを閉めるスピードが早くて危ない」
「深夜だから余計に怖く感じる」
「かなり初期から住んでいるらしい。管理会社にクレームを入れても変わらない」
どの階に住んでいるかはわかりませんでしたが、間違いない。こいつがこの魔窟の大ボスです。
ここまでの情報を一旦整理しましょう。
①基本的にやばい住人が多い
→騒音やゴミ出しのモラルがない程度
②各階に1人名物住人がいる
→度を超えた騒音や奇行が目立つ
③その頂点に謎の老婆がいる
→奇行で右に出るものはなし
なるほど、今まで色んな家に住みましたが、これは中々です。
気持ち良いくらいに中々です。このマンションは蠱毒なのだと思います。
毒虫たちを1つのツボに入れて戦わせ、残った最強の毒虫を呪いに使うという、あの蠱毒です。
このマンションはツボで、四天王をはじめとする多くの毒虫たちを放り込み、共食いをさせているんですよ。
じゃあ最後に生き残った住人は一体どうなってしまうのか。
それは生き残ってみないとわかりません。
レビューサイトには蠱毒だと知らずに迷い込んだ弱者たちの、泣く泣く引越しをする様も描かれていました。
そしてこれは僕の妄想なのですが、満を持して入居した毒虫の中にも、自分より上の存在に出会い、逃げ出した者がいるのではないでしょうか。
このマンションは残酷なのです。弱者は立ち去ることしかできません。
僕はこのマンションに決めました。
不動産の方にレビューサイトのことを話すと、初期費用が少し安くなりました。
そもそも僕が引越しをする理由として、前の家で家賃を払えなくなったからなんですね。
全て借金で精算し、ここから新しい人生のスタートを切るぞと、そんな野望に満ち溢れていたわけです。
その野望は魔窟の四天王にも負けません。老婆にだって負けません。
なんなら僕がこの四天王制に風穴を開け、ボスとして鎮座したいとすら思いました。
迷惑をかけたい訳ではありません。でもそれくらい当時の僕は這い上がろうという精神でいっぱいだったんです。
ある意味自分を奮い立たせるためにも、僕にはこの家が必要なのだと思いました。
忘れもしない一昨年の年末、この部屋に入居しました。
エントランスの掲示板にはおびただしい量の張り紙がしてありました。
「騒音禁止」
「毎日深夜に騒音を出す方がいます」
この掲示板が、魔窟の治安を表していました。
張り紙には騒音のことしか書いていません。
ほかの奇行については該当者がもういないのか、それとも言葉に表せなかっただけなのか…。
引越しを終えた夜、近所のコンビニに行こうとマンションを出ました。
マンション前に公共の消火器があるんですけど、それを盗もうとしているのか、あの赤いケースに打撃技を繰り返すお婆さんがいました。
なるほど、なるほど…!
また別の日、このマンションに越してきて2週間後くらいですかね。
終電で帰ってきた僕はマンションのエレベーターに乗り、自室のある3階を押しました。
3階に着いてエレベーターを降りると、エレベーターのすぐ横にある部屋のドアが少し開いていました。
僕がその隙間を覗き込もうとすると、「ガチャン!!!」と、ものすごい速さでドアが閉まりました。
なるほど、なるほど!!
どうやら伝説のボスは健在だったみたいです。そして僕と同じ階に住んでいたんですね。
中々痺れるマンションじゃないですか。怖さとワクワクが半々といったところでしょうか。
ボスの顔は見えませんでした。なんとなく女性だった気がしなくもないのですが、老婆とまで断定できませんでした。
そして消火器に攻撃をしていたあのお婆さんは何者なのでしょうか?ボスと同一人物なのでしょうか?
いや、多分違う。ボスの実力を肌で感じた僕にはわかります。
ボスがあの程度の打撃しかできないわけがない。
思い出してみてください。このマンションのドア、相当重たいんです。
僕だっていつこのドアを開けられなくなるかわかりません。
恐らくこのドアに泣いて、蠱毒からリタイアした住人もいたことでしょう。
それをですよ、そのドアを、ボスはあれだけのスピードで使いこなすわけです。
もう皆さんならわかりますよね?ボスは相当の実力者です。
そんなボスが、あんなチープな打撃技しかできないわけがないんですよ。
怪物たちがひしめき合う魔窟…。素晴らしいじゃないですか。
ここで本題から少し逸れます。この蠱毒で過ごして3ヶ月もしないうちに、四天王の実態がわかってきました。
せっかくなので、この魔窟に巣食う四天王たちを紹介させてください。
【四天王①】廊下で勝手に工事をするおじいさん
レビュー通りでした。工事というか工作って感じでしたね。
いつも廊下で工具を使って何やらやっています。遭遇頻度はまあまあ高く、こちらから挨拶をしても一切返してこず、四天王の敷居の高さを感じさせます。
大掛かりな工作をする場合は、駐輪場やエントランスにまで赴いています。
あとどんなに寒くても服を着ず、下着姿で作業をしていて、言葉を用いずに四天王の強さを伝えてくれます。
【四天王②】ドアに謎の看板を掲げるおじさん
説明が難しいんですけど、いつもドアに看板を掲げています。内容はよく分かりません。
そもそもこのマンションは事務所利用不可なので、どんなに真っ当な看板でも許されません。
たまに看板が廊下にはみ出していて迷惑そうです。
あとまあまあな頻度でドアを全開にしており、「いつでもかかって来なさい」と、四天王の風格を漂わせています。
【四天王③】騒音の王
騒音どころじゃないです。ボウリングの玉を垂直に落としたような轟音を響かせます。
厄介なのが、昼間は静かなのに深夜になるとうるさくなるんです。
日中はなぜ静かなのか…。まさか、こいつ働いているのか…?
四天王の中で唯一姿を見たことがないのですが、確実に存在しているという厄介な人物です。
あとたまに「今のは本当になんの音だろう」と思わせる怪音を鳴らします。
【四天王④】深夜にドアから顔を出す老婆
通称ボス。このマンションのKINGです。奇行においてこの方の右に出るものはなし。
本当にレビュー通りでした。深夜になるとドアを少し開けて顔を出し、目が合ったり声をかけたりするとものすごい速さでドアを閉めます。
あと結構多いのが、エレベーターが開くと同時にドアを閉めるパターンです。
廊下に出るとドアを閉めた音だけが残っているため、怖さが倍増します。
これはもはや達人の領域。人間が踏み込んではいけない神域なのです。
彼女の存在が四天王の調和を保っているのでしょうか。
僕、気づいてしまいましたよ…。
なぜこのマンションのドアがこんなにも重たいのか。
それはこの怪物たちを閉じ込めておくためなのではないでしょうか。
もしくはより強い毒虫を作るために、重たい扉に耐えられる人間だけを選別しているのか…。
流石にこのどちらかだと思います。あの怪物たちを並のドアで封じ込めるわけがありません。
ということは、ということはですよ?
冒頭に申し上げたような、「重たいドアに対抗するために鍛えよう」という僕の考えは、最も愚かなことでした。
だって、このドアは強者に合わせて、強者のために作られているのだから。
ドアに合わせて自分を変えようとするなんて、弱者の思考そのものです。
このドアを「重たい」と感じた時点で、僕に怪物の素質はなかったんだと思います。
それなのに背伸びしてドアに打ち勝とうとするなんて、僕はなんて惨めで健気なのでしょうか。
ドアが重たい理由、そして自分の限界に気づいてしまい、笑うことしかできませんでした。
話を戻すと、入居してからというもの、僕は各四天王の存在に圧倒されていました。
あーそうか、もう蠱毒は始まっていたのか。いや、蠱毒の最中に僕が入り込んだだけか。
もちろん嫌ですよ。騒音も奇行もない方がいいに決まっています。
それさえなければ、追い焚きは使えるし内装も綺麗なすごく良いマンションなのですから。
恐らくそんな設備や内観に惹かれて入居したものの、怪物たちに圧倒されて退去した人たちが何人もいたのでしょう。
僕だってこのマンションでは弱者かもしれませんが、ただやられるわけにはいきません。
僕は蠱毒の経験者なのですから。
あ、もちろん本物の蠱毒をやったことはないですよ。虫は嫌いです。
でもそれっぽいことはしてきました。
中学1年の時、移動教室で2泊3日で軽井沢に行きました。
初日の夕方、宿についた僕たちに、待ちに待った自由時間が与えられました。
部屋でトランプをしようか、それとも宿を探検しようか…。みんなレベル1の楽しみ方を満喫しようとしていました。
僕は8人部屋で口を開きました。
「ねえ、天下一武道会やろうよ!」
天下一武道会って知っていますか?ドラゴンボールに出てくる強さを競う大会のことです。
もちろん僕たちに格闘技の経験はありません。
結果ただの喧嘩の大会になりました。めちゃめちゃアホです。頭が悪すぎます。
本家の天下一武道会って、勝敗を決めるルールが2つあって、KOされるか場外に出てしまうかの2つです。
宿に場外はないし、KOなんてあってはならない。
結局最初の試合の勝敗がつかなくてトーナメント制は廃止。全員で乱闘をすることになりました。
最後に立っていた人が優勝という、蠱毒のような大会になってしまったんです。
主催の僕はというと、かなりボコボコにされました。
僕は喧嘩が好きとか血の気があるとかそんなことは全然なくて、ただ純粋に天下一武道会がやりたかっただけなんです。
それがなぜかこんな地獄を生み出してしまいました。
僕はボコボコにされて発熱してしまい、翌日の課外活動には行けず、1人宿に待機することになってしまいました。
あまりにも愚かで惨めです。中学に入学してまだ数ヶ月でこれですよ?最悪です。
そして忘れもしない中3。当時の僕はボクシングにハマっていました。
なんだかもう危なそうですよね。亀田三兄弟の試合を偶然テレビで見てからその世界に魅了され、数々のボクシング漫画を読み漁りました。
もうインプットだけでは我慢できなくなった僕は、自分でもボクシングがやりたくなったんです。
僕はどうしてもボクシングがやりたくなりました。やりたくてやりたくてどうしようもなかったんです。
だから中学の同級生に声をかけまくりました。「ボクシング大会を開くから出てくれ」と。
もちろんみんな参加したがりません。だってボクシングって、怖そうだし痛そうじゃないですか。
それでも僕はボクシングを諦められなくて、男子のほとんど全員に声をかけました。
迎えたボクシング大会当日、会場であるHくんの家にヤンキーが6人集まりました。
僕以外全員ヤンキーでした。そりゃあそうですよね。こんなの出てくれるの、ヤンキーしかいませんよね。
そして出場者の中で唯一ヤンキーではない僕が、1番やる気があって、なんなら主催してるって、異常ですよね。
で、大会開始間近になってある事に気が付きました。
ボクシンググローブがないんです。
正確には、誰も持っていないんです。だってそんなのどこに売ってるかわからないじゃないですか。
もちろん僕も持っていませんでした。そしてさらにやばいのが、誰もボクシングのルールをよくわかっていなかったんです。
さすがにやばすぎる。僕自身、あれだけ漫画とかで勉強したはずなのに、蓋を開ければ「キックがダメ」くらいしかわかっていませんでした。
結局グローブ問題もルール問題も解消せず、ただ素手で殴り合うだけの大会が開催されることになりました。
こんなのボクシングじゃない。トーナメント制の喧嘩です。
チャンピオンが決まるまで殴り合いが続く…。そんな狂気の大会が住宅街のど真ん中で開催されました。
第1試合は僕とヤンキーの誰かでした。
開始数分でヤンキーが片手を、僕は両手を骨折しました。
正確には剥離骨折です。
第1試合でボクシング大会は中止になりました。
あまりの痛さで貧血になり、僕はその場に倒れ込みます。
ヤンキーたちが「大丈夫か!?」と言って駆け寄ってくるその光景がものすごくスローに見えました。
これが学校で大問題になり、僕の中学ではボクシングが禁止になりました。
剥離骨折をしてしまった僕は、部活の大会を欠場することになりました。ボクシングのために本来の部活動を犠牲にしてしまったんです。
前にも書いた通り、僕は喧嘩とかむしろ嫌いだし、血の気が多い不良タイプでもないんです。
それなのになぜか蠱毒を主催しがちなんです。
そんな蠱毒を2回主催した僕が、今度はチャレンジャーとしてこのマンション蠱毒に参加しているんです。もはや運命というほかありません。
痺れる毎日です。そう、これが蠱毒だ。久しぶりの感覚です。
四天王の皆さん、新入りの僕はどうですか。
これまでの骨のないやつらとは一味違いますかね?
ここ数ヶ月、ボスの姿が見えなくて少し心配しています。
レビューサイトの通りなら、ボスはかなりの高齢なのでしょう。
そもそもボスにあの重たい扉は無理があったんです。
それなのにあのスピードでドアを使いこなし、数多くの伝説を残してくれました。
圧倒的な存在でいてくれてありがとうございました。
引越しが行われた感じはしないので、ボスは今もなおあのエレベーター横の扉の奥に鎮座されているのでしょう。
もしかしたらボスはもう自力で扉を開くことができなくなったのかもしれません。
どこか寂しさすら感じます。ボス1強、四天王が闊歩するあの群雄割拠の時代に終わりが近づいてきているのかもしれません。
でもそうですよね。1つの時代が終わるとしても、下の世代が全然育っていないですよね。
次の代の四天王が育っていないんですよね。
だからボスは引越しもせず、今もこの魔窟に居続けてくれているのかもしれませんね。
この前、四天王の1人、廊下で勝手に工事をするおじいさんに会いましたよ。
向こうから挨拶をしてきました。過去何度僕から挨拶をしても無視していたあの人がですよ?
四天王の弱体化を実感させられたというか、本当に悲しい気持ちになりました。
そしてもう1人の四天王、謎の看板を掲げるおじさんですが、看板のサイズがめっちゃ小さくなっていました。
なんでですか?なんで小さくする必要があるんですか?本当に謎です。
騒音の王者は相変わらずです。しかし心なしか、深夜に聞こえる騒音からどこか寂しさが伝わってきます。
みんなボスのことが心配なのではないでしょうか。ボスの存在が四天王を強くい続けさせてくれたのではないでしょうか。
もちろん四天王でもなんでもない僕にこんなことを言われて、嫌だと思います。
でもこの蠱毒に参加する者として、見過ごすわけにはいきません。
このままだとぬるい住人がどんどん入居してきます。
強かった僕たちのマンションが、普通のマンションに成り下がってしまいますよ!!
皆さんが作った伝統伝説が、こんな形でなくなるのは嫌なんですよ!!
残念ながら僕には失うものがあまりにも多くあるため、四天王に名乗りをあげることができません。
それでもこのマンションを愛しています。皆さんが作った時代を愛しているんです。
この世界に「不変」はないのだと教えられた気がしました。
どんなに楽しくて安心する日々があったとしても、それが一生続くことはありません。
変わらない日々、変わらず一緒にいてくれる仲間、これらの大切さを教えてくれたのは紛れもなくボスや四天王の皆さんでした。
このなんでもない「当たり前」を大切にしようと心に誓いました。
入居当初、四天王になってやると息巻いていた僕ですが、芸人になってしまったばかりにトラブルに対して敏感になってしまいました。
今は傍観者として、次の世代の台頭を待ちたいと思います。
このマンションがこれで終わりなわけありません。
絶対に新たな王者が、新たな四天王が産声を上げ、レビューサイトに活気をもたらす日々が帰ってくるはずです。
それを見届けたら僕も引っ越そうと思います。傍観者にだって、世代交代が必要ですからね。
そうですね、次はこんな魔窟ではなく、怪物のいない立派な家に住もうと思います。北川
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