31歳。仕事を辞めたら妻がチャットレディを始めた 第1話
23歳。結婚
24歳。長女誕生
27歳。次女誕生
31歳。退職
31歳。妻がチャットレディを始めた…
31歳のGW明け。
仕事を辞めることを決意した。
10年間ストレスを溜め続けたコップが遂に溢れたのだ。
その晩
家に帰宅し、すぐに妻に話した。
俺「仕事やめるわ。」
妻は喜んだ。
妻は、以前から個人事業主として
時間も場所も自由に働き収入を得ている。
そんな妻は
数年前から俺にも個人事業主になって、同じ働き方をしてほしいと願っていた。
そして俺が生まれ育ったこの田舎を出たがっていた。
俺「フリーランスで頑張ってみたい。この田舎からも引っ越そう。」
ある意味ヤケになっていた俺は妻の願いを数年越しに受け入れた。
妻「ほんとに⁉じゃぁ引っ越すなら従姉妹が住んでいる○○市が良い!何度も遊びに行ってるから分かると思うけど良い街だと思わない?お店もいっぱいあるし自然もある。高速道路も空港もあるから簡単にどこにでも行けるし…」
早口で次々と言葉が出てくる妻。
中学生の頃からオタク気質だという妻は
好きなことや楽しい話になると早口になる。
早口で話す妻を見ていると容易に中学時代の妻を想像できる。
俺に話しかけているのか
ひとりごとなのかよくわからない話を
俺はほとんど聞き取れてはいないが
微笑みながら頷く。
とりあえず妻は賛成してくれて良かった。
まぁ反対はされないだろうとは分かっていた。
だが、会社の方はそう上手くはいかなかった。
8月末で退職したいことを伝えると
社長がブチギレた。
この社長、感情にコントロールされるタイプで
過去には業者さんやお客さんを怒鳴り
胸ぐらを掴んでいるところを何度か見たことがある。ケツを蹴られたこともある。
今まで先輩や後輩が辞めていくのを見ていたので
ある程度想定していたが
怒鳴られる度に胃が痛くなる。
でも、小学1年生になったばかりの娘のことを考えると夏休み開けに新しい学校へ移るのがベストだと考え、8月末の退職は譲れなかった。
1ヶ月近くやり取りが続き
何度も怒鳴られ
仕事中には無視されたりしたが
最後には「好きにしろ」
と言われ
なんとか、正式に退職が決まった。
心が軽くなり
ストレスが溜まったコップにも余裕ができてきた。
俺が退職で社長と揉めている間
妻は引っ越しの準備をどんどん進めていた。
引っ越し先のアパートは妻の従姉妹の旦那が不動産会社で働いていたので早々に決まった。
保育所と小学校の手続きも進めてくれていた。
妻のこういう時の行動力はすごい。
とても助かった。
ただ心配事がある。
引っ越しのスケジュールだが
7月中旬には先に妻だけがアパートに引っ越し、生活ができるよう新生活の準備をする。
その間僕と娘2人は俺の実家で暮らすこととなり、
8月のお盆には長女が妻のもとへ。
次女は8月末まで俺と実家で暮らす。
7月中旬からプチひとり暮らしが始まる妻はとても楽しみにしていた。早口だからわかる。羨ましい。
俺は妻と離れる娘たちが大丈夫か不安だ。
そんな話を妻とお酒を飲みながらしていた
ある晩のこと
いきなり妻が
「チャットレディーって知ってる?」
俺「?!」
ストレスがコップの上の蛇口から
一滴こぼれ落ちそうになっている。
