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愛する人の自傷行為に慣れていく恐怖。壊れかけていた僕の「最低な告白」

これは、僕たちが自己破産をしてお店を畳む、ずっと前の話。
うつ病の妻(当時の彼女)を支えようとして、僕自身が壊れかけていた頃の最低な本音です。
■「解決したい僕」と「聞いてほしい彼女」
僕たちは同じ飲食業界で働き、お互いに店長経験もあります。だからこそ、仕事の悩みは痛いほど共感できました。
しかし、ここで**「性格の違い」**が仇となります。
彼女は、根っからの真面目人間。手を抜くことができず、細かいところまで完璧にやらないと気が済まないタイプ。
対して僕は、真面目に働きつつも、「抜くところは抜く」「細かいことは気にしない」というタイプ。
彼女が仕事の悩みを話してくる時、僕は良かれと思ってアドバイスをしました。
「もっと楽にしたらいいのに」
「ここは手を抜いて、こうすれば効率いいじゃん」
僕としては、彼女に楽になってほしかったのです。
けれど、彼女が求めていたのは「解決策」ではなく、「共感」でした。
彼女の話を聞いているうちに、僕はだんだんイライラしてきてしまいます。
(なんでそんなに難しく考えるんだ?)
(だから、こうすればいいって言ってるだろ?)
■アドバイスが「攻撃」に変わる時
「楽にしてあげたい」という愛情から始まったアドバイスは、彼女がそれを受け入れられない(性格的にできない)姿を見るうちに、苛立ちへと変わっていきました。
気づけば、僕の口調は強くなっていました。
「なんでわかんないかな!」
「そんな非効率なことしてるから疲れるんだよ!」
彼女にとって、それはアドバイスではありませんでした。
(今のあなたのやり方は間違っている)
(あなたの頑張りは無駄だ)
そう否定されているように聞こえたはずです。
■初めて見た「ハサミ」
そして、言葉のナイフが彼女を追い詰めると、彼女は物理的な行動に出るようになりました。
初めて喧嘩をした時のことです。
感情が高ぶった彼女は、部屋にあったハサミを持ち出し、その刃先を自分の手首に押し当てたのです。
僕は凍りつきました。
ドラマや映画の中だけの話だと思っていた光景が、目の前にある。
(本当に、こんなことをする子がいるんだ……)
あまりの衝撃に、どう動けばいいのかわからず、ただ激しく動揺したのを覚えています。
■僕の中に生まれた「黒い感情」
しかし、人間とは恐ろしい生き物です。
あんなに衝撃的だった光景にも、繰り返されれば「慣れ」が生じてしまうのです。
喧嘩のたびに繰り返される自傷未遂。
最初は必死に止めていましたが、いつしか僕の心は冷え切っていました。
彼女がまた何かを持ち出し、自分を傷つけようとする仕草を見せた時。
僕の心に浮かんだのは、心配ではありませんでした。
(またか……)
(どうせ切る覚悟もないくせに、そんなことするなよ)
愛しているはずの相手に対して、決して思ってはいけない、冷酷でドス黒い感情。
(かまってほしいだけだろう?)
そんな風に突き放して見ている自分がいたのです。
彼女が苦しんでいるのは痛いほどわかっている。
けれど、それを受け止め続ける僕の心もまた、とっくに限界を超えて壊れかけていたのかもしれません。
当時の僕は、そんな最低な本音を抱えてしまうほど、追い詰められていました。

この後、限界を迎えた僕たちは「自己破産」という大きな決断を下すことになります。
どん底から這い上がった不器用な夫婦の再生の記録、続きはこちらでお読みいただけます。
▼『妻はうつ病、仕事は社長。』

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