美容院に行く前ってとても悩む
様々なことに疲れてしまって、人と距離を取り始めている。それが正しいことなのかは分からないけれど、正しいことなんかないんだってことは分かってきた。私がその選択を後悔するかどうかだけだ。
疲れたときはリフレッシュをしたくなるし、こういうときは美容院に行きたくなる。そう思って予約を入れようとしたら、数年お付き合いのあった美容師のお姉さんが離れた地に転勤していた。
最初に髪を切ってもらったのは、高校2年生のときだった。ヘアードネーションに興味のあった私は、2年くらい一切手を入れない状態で髪を伸ばしていた。修学旅行前に、そろそろ切るか、となって対応店を探した結果がお姉さんとの出会いだったわけだ。
2年しか伸ばしていないので、髪はヘアードネーションができる本当にぎりぎりの長さしかなかった。どれだけショートになってもいいので、とは伝えていたものの、お姉さんが切る直前になって、本当に大丈夫ですか、と聞いてくれたのをよく覚えている。
結果的に、ベリーショートになった私は、月一のペースで手入れをしてもらった。前の美容院では雑談をしたくないと思っていたけれど、お姉さんとおしゃべりするのはとても楽しかった。
髪がある程度伸びてからは通う頻度は減ったものの、お姉さんが話しやすい相手であることは今も変わらないし、ほとんどそのために通っていたような気もする。
通い始めて最初の誕生日にかわいい手描きのイラストを添えたカードをくれたし、10代の幼い恋の相談にときめいてくれたこともあった。それとは別に髪質については真剣にアドバイスをくれて、不器用な私がヘアセットを上手にする方法も一緒に考えてくれた。
高校を卒業した4月、お姉さんに髪を染めてみたい、と申し出た。
地毛の色をかなり気に入っていたので、インナーだけお願いした。色はどうしようか、と聞かれて、髪を染めている自分がイメージできずにもごもごと答えた。その様子を感じ取ってくれたのか、仕上がりは、髪を染めた、という宣言がなければ判別できないくらい些細な差にとどまった。しかし、当時の自分にとってはそれで十分だった。
その後何回か染め直しをしてもらい、今は誰が見ても分かる少し明るめのナチュラルなカラーが入っている。今年2年生として参加した新歓では、新入生の子に先輩みたいにしようかな、と言ってもらえることとかもあって、なんだか誇らしいような気持ちになった。
美容院に最後に行ったのは2月で、そのときは何も言われなかった。もう決まっていたことだったのかもしれないし、急なことだったのかもしれない。どちらにせよ、最後と思わずに最後を迎えたことへのやるせなさが心の底の方を漂っている。インナーかわいいって言われたんですよ、とは今まで伝えたことがない。
正直、お姉さんが転勤して行った先は、少し手間ではあるものの年数回なら通えない距離ではない。店長さんにも、お店は教えます、と言われた。
一度だけ行って心残りを消化するべきなのか、通い続けてみるべきか、はたまた新しい出会いを求めるべきか。
絶対的な決め手はない。私がその選択を後悔するかどうかだけだ。
そう唱えながら、一週間ほど過ごしてみている。伸びる髪に耐えられなくなるのが先かもしれない。
