脳の発達に必要な栄養素②
「神経発達に必要な栄養素①」という記事で DHA、鉄、ヨウ素、ビタミンB12・葉酸について触れました。この記事では、レビューで挙げられたその他の栄養素について簡単にまとめています。
栄養素は「適切に」摂取することが大事で、「とればとればよい」というよりは「不足する」ことが重要なようです。そのため、特定の栄養素だけ大量に摂取するよりも、バランスの取れた食事がやはり大切といえます。
1. 亜鉛
亜鉛は神経発生、神経細胞の移動、シナプス形成、GABA神経伝達に関与します。欠乏すると学習や注意、記憶に悪影響が出ることが知られています。
しかし、ヒト研究では摂取を推奨するという見解にはいたっていません。欠乏予防は重要ですが、サプリメントによる認知機能向上のエビデンスは弱いと考えられます。
2. ビタミンD
ビタミンDは胎児脳の形成や神経細胞の増殖に関与します。動物実験では欠乏により脳構造の異常が生じ、自閉スペクトラム症や統合失調症との関連も報告されています。
ただし、人での介入研究は十分ではなく、「欠乏が有害である可能性」は示されているものの、「補充で認知機能が向上する」とまでは言えません。
3. ビタミンA
ビタミンAはレチノイン酸を介して神経分化やシナプス可塑性、学習・記憶に関与します。動物研究では欠乏により記憶障害が生じます。
しかし、人での研究は少なく、認知機能への効果は限定的です。
過剰に摂取すると、頭痛をはじめとする身体症状が起こり、特に妊娠初期に過剰摂取すると、胎児の器官形成異常が起こる可能性が高くなることが知られています。
4. 極性脂質(MFGM、スフィンゴミエリン、ガングリオシドなど)
近年注目されている分野です。母乳中に豊富な乳脂肪球膜(MFGM)にはスフィンゴミエリンやガングリオシドなどが含まれ、神経細胞膜や髄鞘の材料となります。
一部のRCTでは認知・言語・運動発達の改善が報告されていますが、研究数がまだ少なく、どの成分が有効なのかもあまり分かっていません。
5. シアル酸・ガングリオシド
母乳に豊富な成分で、神経細胞膜やシナプス可塑性に関与します。特にシアル酸は記憶形成に重要なNCAM(神経細胞接着分子)の構成成分です。母乳栄養児の脳ではシアル酸濃度が高いことも報告されています。
ただし、ヒト介入試験はまだ少なく、現時点では「有望な候補」という段階です。
まとめ
繰り返しになりますが、不足しないことが重要で、身体に重要な栄養素であっても過剰な摂取で悪影響がでることも考えられます。重要なのはバランスよく栄養を摂取することです。
次の記事では、それぞれの栄養素を取りやすい食べ物をまとめてみました。
「魚を全く食べない」「脂質をとらないようにしている」など、食生活に偏りがある人は、是非、不足している栄養素を補うことを検討してください。
