困難を上手に乗り越えるコツを教えてくれる人生の達人
どん底の気分を上げる力を与えてくれた作家として2番目に紹介するのは、斎藤茂太さんです。
斎藤茂太さんは精神科医ですが、数多くの著書を世に送り出したエッセイストでもあります。
若い頃は小説家を志していたそうで、文章が大変上手です。
また、文章からは朗らかな人柄がにじみ出ていて、ホッとさせてくれます。
文才に恵まれているのは、遺伝もあるでしょう。
斎藤家からは、歌集「赤光」で有名な斎藤茂吉(茂太さんの父親)、「楡家の人びと」「どくとるマンボウ航海記」などの著者である北杜夫(茂太さんの弟)という偉大な文学者が出ています。
ちなみに、二人とも精神科医です。
斎藤茂太さんの生きる姿勢は、100%を求めず、悲観せず、焦らず、自分は幸せになれる運命だと信じて楽しく生きるというものです。
そうすれば不思議と運が向いてきて、困難を乗り越えられるとおっしゃっています。
どうして斎藤茂太さんは、そう考えるのか?
それは、すべての人が望まれて生まれ、幸せになるために生きているので、自分を信じ、明るく前向きに生きれば、必ず自分にふさわしい道が開けるという人生観を持っているからです。
それとは逆に、自分をダメだと思い、自分を追い詰めてしまうと、幸せになれないと言います。
マイナス思考に支配されることで、元気を失い、チャレンジができなくなり、人が寄りつかなくなってしまうからでしょう。
どんな人にも、困難は降りかかり、悩みはあるものです。
しかし斎藤先生は、困難や悩みは人生に必要だと捉えています。
困難が必要なのは、困難が降りかかってマイナスを背負うことになっても、一生懸命目標に向かえば、大きな人生のプラスを手に入れられると考えているからです。
その主張に説得力があるのは、斎藤茂太先生の父である斎藤茂吉氏が火事で家と病院を失い、神経衰弱になったものの、焼け残った風呂場で執筆した作品が後世に残る名作になったことと、自身も戦争で病院を焼失して大きな借金を背負うことになったけれど、病院を立て直す大変な苦労があったおかげで、エッセイストとしても成功できたからでしょう。
「火事がなければもっと幸せに暮らせていたのではないか」という意見もあるかもしれませんが、斎藤茂太先生は穏やかな毎日でも満足できなければマイナスなので、そうは思わないと述べています。
悩みが必要な理由については、悩みがあるから成長できるからだとおっしゃっています。
また、悩み苦しんだ先に見えるものが、本当に進むべき道だとも述べています。
そういう視座から、困難や悩みがあっていいのと同じく、マイナス思考になる時があってもいいとも。
なぜかと言うと、マイナス思考は絶対してはいけないと自分を縛ってしまうと、マイナス思考が少し浮かんだだけで、自分を責めてしまい、生きずらくなってしまうからです。
それよりも、マイナス思考をしてもよいという緩やかな発想のほうが幸せに暮らせます。
以上の理由から、本当のプラス思考とは、プラスやマイナスにこだわりすぎないことだとおっしゃっていました。
心配性であることも、否定的な見方をしません。
生きていれば先行きが不安になって当然であるし、その心配に対処して準備をするので、大事な時に結果を出すことができるからです。
そして心配性は一見ネガティブに見えるかもしれませんが、ポジティブな人の特徴だとも言います。
なぜなら、本当にネガティブな人が現実と向き合うことを恐れるので、何も準備しないで「何とかなるさ」と気分をごまかし、結果としてうまくいかなかったことを他人や運のせいにするからです。
ただし、悪い予想ばかり立てるのはやめるべきだと忠告しています。
未来を悪く考えすぎると、チャレンジができなくなったり、全力投球ができなくなったりして、人生がつまらなくなってしまうからです。
これは、ポジティブな心配性でなく、悲観主義者です。
悲観してその予測が当たったとしても、それに何の意味があるでしょう。
予想通り自分が不幸になったことを自慢しても、馬鹿馬鹿しいだけです。
それよりも、失敗を恐れず、全力でトライをする。
そうして得られる成功の感動のほうが素晴らしいし、失敗をしても取り返しのつかない失敗などそうそうないので、またチャレンジをして後悔のないように生きたほうがいいと主張しています。
大事な人を失った深い悲しみの克服の仕方については、落ち込む自分を「早く立ち上がれ」と鞭を打つよりも、大切な人の死からすぐに立ち直れるはずがないので、落ち込むところまで落ち込んでいいという姿勢で心と体を休めるのが正解だと述べています。
そしてその悲しい気持ちを、信頼できる人に聞いてもらうことが重要だとも。
そうすれば、時間はかかっても、必ずその気持ちと共存し、日常を取り戻せる日が来ると断言しています。
だから、絶望して自分自身を投げ出してしまうのはやめてほしいと訴えていました。
そのおかげで自暴自棄にならずに済み、自分のペースで立ち直ればいいのだという穏やかな気持ちになれました。
喪主については自分が喪主を務めた経験から、「喪主ができて幸運。人生を得したと考えればいい」とも述べており、喪主を務めなければならない重圧も和らげてくれ、とても助かりました。
斎藤茂太先生の本には、昔から辛くて眠れない夜に何度も助けてもらいました。
繰り返し読んでも、感銘を受けるのは、そのアドバイスが適切であるからでしょう。
そして適切なアドバイスをできるのは、経験豊富な精神科医であり、数々の試練を乗り越えてきた人生の達人だからだと思います。
枕元に置くと、斎藤茂太先生の本は睡眠薬代わりになります。一冊、試しに所有することをおススメします。
限界家族日記の目次はこちら
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは明るい未来を創造する活動費として大切に使用致します。