悪い政治家から身を守る対抗策
『新実存主義』(岩波新書)を書いたドイツの哲学者であるマルクス・ガブリエル氏がある新聞の記事で、権威主義的なポピュリズムは学問の自由を嫌うと述べていました。
なぜか?
日本の戦時中を振り返ると、その理由が見えてきます。
戦時中、政府や軍部に都合の悪いことが書かれている書籍は、発禁処分や削除処分の対象になりました。
政府に批判的な学者は弾圧され、科学者は兵器を作るために動員されました。
メディアにも圧力をかけ、自分たちに都合の良い情報だけを報じさせ、時には事実を歪める協力も求めました。
教科書も国が定めたものにし、子どもたちを洗脳しました。
権威主義的な指導者が学問の自由を恐れるのは、学問の自由を許すと客観的な事実が次つぎに明らかになることで自分の嘘がばらされ、立場が危うくなるからです。
残念ながら学問の自由への攻撃は、世界中で広まっています。
たとえば、アメリカではトランプ大統領がハーバード大学に対し、留学生らの受け入れ機関としての認定を取り消すと発表しました。
また彼は自分に都合の悪い事実をつきつけられると、それこそフェイクニュースだと攻撃して、異見者を解任するような無茶苦茶な人事を行っています。
日本でも日本学術会議を特殊法人化に移行する法案が可決されており、政府が介入できる仕組みに変えられようとしています。
権威主義的な政治家の特徴として、巧みなワードを使って敵対する相手を悪者であると人々に印象づけることがあげられます。
たとえば、「左翼」「意識高い系」「オールドメディア」など。
そういう言葉を使って印象操作を行っている政治家を見たら、この人がトップになったらとんでもないことになると警戒したほうがいいでしょう。
学問の自由が奪われ、AIの進化で人々の思考能力が低下すれば、悪い政治家の思うつぼです。
民主主義は、異なる見解をもつ他者と自由に意見を述べ合うことで誤りを修正していくものです。
そのための意見の根拠となる客観的なデーターを増やすために、学問の自由が重要になるわけです。
学問の自由が失われれば、民主主義が揺らぎます。
自分に都合の悪いことを報じるメディアを攻撃・排除したり、
デマや嘘を平気で言ったり、
ネットを悪用してこれが真実を伝える唯一のメディアだと言い張ったり、
人々を扇動するような過激なキャッチフレーズを使ったり、
自分に都合の悪い質問に対して紋切り型で返答したりする政治家が増えていることに危惧を感じます。
上記のようなことをする政治家に共通するのは、真実や客観性を尊重しないことです。
様々な問題を解決してくれるのは、真実や客観性を尊重する政治家なのです。
なぜなら、真実や客観性がないと正しく問題を把握できず、政策を間違えてしまうからです。
それは医者と同じです。
患者の声に耳を傾けず、検査結果を真剣に見ようともしない医者に、正しい診断ができるわけがなく、ましてや病気をなおすことができないからです。
数年前に『ファクトフルネス』という本が流行りましたが、真実と客観性を大事にして問題解決する姿勢が重要なのです。
悪い政治家から民主主義を守るには、詐欺師の手口を知らしめて詐欺師にだまされないようにするのと同じで、悪い政治家がよく使う手口を広めることが有効な手段になるかもしれません。
そう考えると、いまおかしな政治家が増えているのは、様々な手口を集められるチャンスと見ることもできます。
逆にこの乱れた状況を利用して、だまされない能力を高めていきましょう。
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