オシロスコープ用プローブホルダの自作
オシロスコープで回路基板の測定をするとき、オシロスコープのプローブのフックを引っ掛けられない場合は、電線などをはんだ付けしてそこに引っ掛けるということをします。が、頻繁にやるのはめんどくさいし、はんだの付け外しで基板や部品を傷つけることもあります。1か所だけならプローブの針を直接基板に当てて測定できますが、複数個所だと手が足りません。そんな時はプローブを持ってくれるスタンドが欲しくなります。ので自作してみました。
とりあえず家にあったスタンドルーペはどうか?
コネクタや電線のはんだ付けをするときに使おうかと思って買ったスタンドルーペがありました。これを使えたらよかったのですが、位置決めが難しいし、プローブの保持や基板への接触が安定しません。この方式は難しそうです。

Pico Technology Two-footed probe positioner
ネットでプローブホルダを探してみたところ、計測器メーカのPico Technology社の製品が見つかりました。プローブポジショナというようです。これは基板に立てかけて接触させる方式で、モノタロウで5,298円で販売されているので購入もできそうです。なかなか良さそうですが、プローブの角度が限定されるので、もしかすると基板上の位置によっては使いづらい場合があるかもしれません。

ミコジック 2Dタイプ プローブポジショナ PFシリーズ
日本のミコジック社のプローブポジショナという製品もありました。こちらはスタンドについたアームの先にプローブを取り付けてそれを基板に当てる方式です。紹介動画によればプローブ先端の接触が安定していてとても良さそうです。ただ、価格が税別92,000円~と趣味の電子工作に使うには高いです。
これら2種のプローブホルダはどちらもプローブやアームの重さをプローブ先端にかけて測定対象に押し当てる仕組みで、このあたりがスタンドルーペと違うところだと思います。
自作を考える
ミコジックさんのプローブポジショナがとても便利そうなのですが、趣味の電子工作で使うには価格が高いので自作を考えます。
見た感じ複雑な機構ではなさそうなので、精度や剛性がちょっと心配ですが3Dプリンタで作ってみます。
一応、特許とかあるかなと思い調べてみたところ、ミコジックさんの近くの住所の公開特許公報「特開2007-278822」が見つかり、仕組みが説明されていました。これについては特許有効にはなってはおらず、経過情報は未審査請求によるみなし取下げとなっていました。
設計
いくつか工夫を入れながら、3DCAD(Designspark Mechanical)で3Dデータを作成しました。(下の図では複数使う部品は省略しています。)

アームを上下させたときにプローブ先端の角度が変化しない方が使いやすそうに思ったので、前腕にあたる部分は剛性確保を兼ねて並行リンクにました。(下の写真参照。)
手首にあたる関節は軸をたくさん入れると複雑になって作るのが大変なので簡略化してボールジョイントにしました。
多少重さがないとプローブの接触が安定しないはずなのですが、3Dプリンタの樹脂製部品では軽すぎるのでおもりが必要になります。わざわざ専用に重りを準備するのは無駄かなと思い、手近にある単3型電池を重りに使えるようにしました。
3Dプリンタで大きな部品を作ると出力時間や反りが大変なので、土台の部分はフィギュア用のスタンドを調達して流用します。
できあがり
3Dプリンタで部品を出力し、組み立てて完成です。土台の白い部分は一応プローブ保護のためにTPUです。
部品の精度やアームの剛性が心配でしたが、何度か微調整して私が使う範囲では特に問題なく使えるようになりました。

Arduino UNO R4のマイコンのリード部分で試してみました。基板を動かしても結構追従してくれます。

先端があまり細くないプローブなのですが、0.5mmピッチには使えました。

まとめ
便利なオシロスコープ用プローブホルダを安く作ることができました。これでオシロスコープをより活用できそうです。
