フォロワー推奨の『超かぐや姫!』で若者の感性に胃もたれした話
1. 電波の悪い実家滞在
少し前に父親が他界した。
残された母親がひとりになってしまうため、このひと月ほどは実家に身を寄せていた。
実家での生活は、思っていた以上にやることがない。
テレビ番組はどれもつまらないし(あ、テレ東の番組だけは別ね)、Nintendo Switchで『ドラゴンクエストX』をやろうにも、実家のネット回線が不安定すぎてパーティプレイなんて怖くてできたもんじゃない。
結果、ソロでサブキャラのレベル上げを黙々とこなす毎日を送っていた(笑)。
「よし、こうなったらスマホでNetflixを観よう!」
そう心に決めたものの、マイリストを開くとついつい手が伸びてしまうのは、ここ最近ハマってしまった映画『爆弾』。
実家にいる間に、都合3回もリピートして観てしまった。
この『爆弾』への熱い想いは、またいずれ別の記事でじっくり書くとして。
さすがに違う作品も観てみようと思い、X(旧Twitter)のフォロワーさんに聞いてみたのだ。
「ネットフリックスで2時間くらいのおススメ映画教えて下さい」
すると、あるフォロワーさんから「未視聴なら『超かぐや姫!』はいかがでしょうか」と、熱いプッシュをいただいた。
世間でかなり人気があったというのは耳にしていた。
でも、「アラフィフの俺の感性に合うのかしら……」ともちょっと思った。
しかし、食わず嫌いは良くない! ということで、おっさんが意を決して視聴してみたので、正直なレビューをここに残しておこうと思う。
※ここからは盛大なネタバレを含みます!未視聴の方は、ぜひここで引き返しくださいまし。
2. 『超かぐや姫!』あらすじ(※ネットの海より引用)
物語の骨組みをざっくりと説明すると、こんな感じだ。
【出会い】 バイトと学業に追われる女子高生・彩葉(いろは)は、七色に光るゲーミング電柱(笑)から現れた赤ん坊を拾う。赤ちゃんはわずか数日で同い年ほどの少女へと急成長し、「かぐや」と名乗る。
【ライバーデビュー】 かぐやは、彩葉の憧れのトップライバー「月見ヤチヨ」に嫉妬し、彼女を追い越すために自身も仮想空間『ツクヨミ』でライバー活動を開始。彩葉がプロデューサーとして音楽を提供し、かぐやが歌うことで二人は距離を縮めていく。
【驚愕の真実】 物語が進むと、かぐやを月に連れ戻そうとする影の存在が明らかになり、実はカリスマライバーの「ヤチヨ」の正体は、8000年もの間、彩葉との再会を待ち望み、未来からやってきた「かぐや」本人であったことが発覚する。
3. 豪華な「幕の内弁当」と、昭和のおっさんの胃もたれ
観終わった感想としては、とにかく「これでもか!」と色んなエンタメ要素が詰め込まれた作品だった。
仮想空間『ツクヨミ』でのドタバタ劇は、観ていてどこか**『サマーウォーズ』**のあのネット世界の躍動感を思い出させる感じだったし、今年二十歳になる次女に言わせると『竜とそばかすの姫』を彷彿とさせたという(俺はそっちは未視聴なのだが・笑)。
また、終盤の月からのお迎えシーンは、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を想起させる。
さらに、8000年前の過去に行って肉体が滅びてしまったくだりの独白は、手塚治虫先生の『火の鳥』の「肉体は滅んだが意識は現存している」というセリフが頭をよぎったし、時空の歪み的なロマンは新海誠監督の『君の名は。』っぽさもある。
エンディング付近の展開も、藤子・F・不二雄先生の『ドラえもん』の、ある有名な都市伝説を実体化させたような優しい展開があって良かった。
初見のはずなのに、どこか懐かしさも感じられる。
まさに「エンタメ界の豪華な幕の内弁当」みたいな映画だ。
・・・しかしながら。
この主人公たちにどうしても共感できないのが、おっさんの辛いところである。
かぐやが、彩葉に何でもかんでもすぐ頼る姿勢には正直イライラさせられたし、文句を言いつつもそれを受け入れてしまう彩葉にも若干イラッときてしまう。
声は大大大好きな早見沙織さんなのに、ツクヨミの言っていることがどこか見当違いに聞こえてしまい、終始冷めた目でストーリーを追う展開になってしまった。
これはこれで、なかなかに精神的修行の2時間だったと言える。
また、ヒロインである彩葉の「完璧超人っぷり」もどうにも鼻につく。
東大狙えるほどの成績優秀だわ、友だちに恵まれているわ、家事もこなし、育児(?)もして、音楽の才能もあって、何よりひとりで生きているという凄さ(家庭環境はこの際一旦横に置いて)。
ちょっと待て、そこまで完璧な人間おる?!
「努力・友情・勝利」という少年ジャンプ三原則に鍛えられ、育てられた昭和のおっさんには、最初から完璧すぎるヒロインは、どうにも胃にもたれるのじゃよ・・・ごめん、彩葉、いい子なのは分かってる。
4. 音楽は「バンド形式こそジャスティス」なのじゃ
そして、一番ついていけなかったのが「音楽」だ。
ボカロや初音ミクという、現代の若者の登竜門すら通ってこなかった俺の耳には、作中の楽曲がどうにもこうにも「騒がしい曲」にしか聞こえなかった。
ここが映画の最重要シーンだと分かっていながらも、あまりのうるささにスマホの音量を下げ、「うるせえな……」と部屋でボソッと呟いてしまう始末。
我ながら感性の鈍さに呆れてしまう。
だが、こればかりは仕方のないことなのだ。
なにせ俺は、B'zやMr.Childrenを聴いて育ってきた世代。
音楽とは、ドラムがいてベースがいてギターが鳴っている「バンド形式こそがジャスティス」の頭になっているのだから。
でもの、決してこの映画を全否定する訳じゃないんじゃよ。
ただ単に「儂の感性には合わんかった」、それだけのことじゃ。
これだけ世間で人気を博しているのだから、作品が悪いのではなく、俺が完全に時代に取り残されただけなのは百も承知。
採点するなら、5点満点中【3.8点】。
ストーリー展開とか、起承転結もしっかりしてると感じたし、何より先にも書いたけどエンタメ山盛りで、ああこのシーンはあの作品のオマージュ?!みたいな発見していく楽しさは十分にあった。
でも、もう一度観たいなーまではいかなかった。
「おじさん、もう若者の最先端の感性にはついていけないよ……」と、自分の衰えを身をもって教えてくれた、ある意味で忘れられない一本となった。

