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(短編小説)人の上には立てますか?⑤

筆者の日々の会社員生活について。
事実ベースで創作を加えて、書いております。
過去の自伝小説の延長線上のお話ではありますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。

(登場人物)
・新井 ・・・ 筆者の分身 (総務部長40代)
・大下 ・・・ 新井の直属の上司


「じゃ、この書類に記入お願いします」

新井は、新入社員の入社手続き中だ。
今回の新人は、大学出て1年半就職歴がない。
正社員になるのは初めての24歳だ。

就職しなかったのか、できなかったのか。
定職に就かず1年半、何してたのかね?
口には出さないが、思ってはしまう。

けど、思い直した。
「お前も、そうだったじゃないか」って。

新井は大学卒業後、最初の会社を半年で退職。
半年ほど引きこもった後、専門学校に入学した。
まともに社会人を始めたのは、この子より遅い。

「今時の若い子は」

そんなセリフ、言えた義理ではない。

気を取り直し、新人の子と話していると。
まじめで、大人しそうな子だ。
少し心配なくらい、緊張は伝わってくる。

「本日付で入社した、○○君です。
 24歳ですが初めての正社員という事で。
 皆さん、長い目で育てるつもりで。
 面倒見てやって下さい!」

新井の上司、大下から社員への紹介が始まった。
「長い目で育てる」とか、珍しい事を言う。
退職の日が近付き、心境の変化でもあるのだろうか?

そう、大下は退職の日まで1ヶ月を切っていた。

思えば、自分がこの人に初めて会った時。
自分も、この24歳と同じように。
緊張しまくってたもんな、、、

いや、あの時の自分と比べれば。
この子の方が、ちゃんとしてるかもしれない。

「かも」じゃないか。
この子の方が落ち着いてるな。

もう、20年以上前。
この会社に入社した日の事を、
新井は思い出していた。。。

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