世界中の、誰よりも謎
世の中に分からないことはごまんとあるが、
俺はコイツのことが一番分からない。
他の誰でもない『自分』のことだ。
基本は小心者でおとなしいはずなのに、
わりと定期的にキレる。
最大HPは会社でも間違いなく底辺なのに、
平日は、朝から晩まで一切の休憩をとらない。
「休んだら死ぬ」とすら思っている節がある。
体力ゲージが常に真っ赤なのに、
仕事中は『暑い・寒い・腹減った』といった、
生理現象など自分には関係ないと嘯いている。
そのくせ、周囲には
『メリハリつけて休む時は休め!』などと、
説得力のないことを言っているから始末が悪い。
会社ではお金や備品の管理に、
神経を尖らせているというのに、
自分のお金や持ち物の管理は、ひどくずさんだ。
かと言って、浪費家というわけでもなく、
酒もタバコもギャンブルも一切しない。
他人がそれらを楽しむ分には、
「やりたい奴は大いにやればいい」と思っている。
そう言いながら、頻繁にタバコ休憩に行く同僚には、
心の底からイライラしている。
我ながら、面倒なヤツだw
矛盾の塊のような存在だ。
他の誰よりも付き合いが長いのだが、
『何やってんの?』と呆れることは、
いつまでたっても後をたたない。
『謎』と言うなら、これほど答えが出ない、
謎は他にないだろう。
何せ、この世に生まれ出でてから半世紀。
ずっと一緒にやっているのに、
未だに分からないことだらけなのだから。
『謎』は、答えが出ないままだと気持ちが悪い。
隣の部屋で娘がドラマ『VIVANT』を見ながら、
『誰が裏切り者なのか?』と盛り上がっている。
ドラマや小説なら、最後まで見れば謎は解けるだろう。
だが、俺と言う人間の謎は、
果たして、いつか解けるのだろうか?
叶うならば一度、自分を外から見てみたい。
自分の目には、どんな風に映るだろうか?
少しは『おっ、俺かっこいいじゃん』
そう思える場面も、あるのだろうか。
「あっ、缶コーヒーはやめとこって誓ってたのに、
自販機に直行したぞ。
しかも、医者に注意された微糖だ!」
「朝、早出してから昼も食べずに14時間。
もう、ノンストップで働いてる!
でも、気持ちはとっくに切れてるよな、アレ
帰ればいいのにw」
我ながら、よく分からない男だ。
この謎が、自分で解けることはないかもしれない。
どなたか、傍で俺を見てる人。
ぜひ、小説にでもしてくれませんか?
絶対に読みますから。
かなり、恐ろしいですけど。
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