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淡白宣言

君を嫁にもらってから早六年。
いろんな事があったが、なんとか今日も夫婦として同じ屋根の下で日々を過ごしている。
普段は何をされたり言われたりしても一切気にしていないように見えるかもしれないが、
僕は僕なりに気にしていることや思うこともある。
今日はそれについて話したい。
かなりきびしい話もするが、僕の本音を聞いておいてほしい。


僕より先に寝てもいい。
僕より後に起きるのも全然構わない。
でも、早朝にアラームをセットしたスマホは自分の枕元に置け。

何故リビングに置く。

己の聴覚に絶対の自信を持っているというのか。

どんなアピールだ。

そして、君はそんなアピールをする割には一切起きない。

どういうつもりなのだ。

毎度毎度、僕がそれで先に起きてリビングまで取りに行っていることを君は知らないだろう。
いい加減にしろ。


めしは上手く作ってくれている。
それ自体には本当に文句はない。感謝しかない。
ただ、君が豚の角煮を作る際に絶対入れる八角。

あれだけは辞めなさい。

いいかい。
八角はね、食材ではない。

凶器だ。

二度とやらないでくれ。

…そう言ったのが四年前。

それ以来、君は一切豚の角煮を作らなくなった。

なんでだよ。

どんな意地の張り方だ。

八角入れなきゃいいだけだ。

何故、豚の角煮ごと捨てる。
何故その選択肢ごとなくす。
豚の角煮自体は大好物なのに。


それから、バスに乗っているときとか病院の待合室で。

周りがシーンとしているとき。

いつものトーンで話しかけてくるな。

TPOというものをわきまえなさい。

いいか。その会話はその場にいる全員に聞かれている。
僕はそれがなんだか堪らなく嫌だ。
ひそひそ話せ。
耳元で話せ。
君にそうされるのは嫌じゃないから。


あと、焼き肉屋さんに行って食事をするとき。

カルビクッパ、冷麺、キムチ盛り合わせ、etc…。

好きなものを頼みなさい。せっかくの外食だ。

しかし、これだけは言いたい。

肉がいい感じに出揃い、いよいよこれからが本番というときに。

既にサイドメニューで満腹になっているとはどういう事だ。


馬鹿なのか。

君は何をしにここに来たのだ。

肉を焼きに来たんじゃないのか。
肉を食べに来たんじゃないのか。


最後に。

寝ているときに手を握ると鬱陶しそうに眉間にしわを寄せるのも辞めなさい。

どうかしたら舌打ちをするのも辞めなさい。

冷え性である僕の手が冷たくて嫌なのはわかる。
でも、少しの間だけでいい。手を握り返してくれ。
そうすれば段々僕の手も君の手で暖かくなる。
君が長い年月をかけて僕に寄り添い、暖め、支えてきてくれたように。だ。


君と家族になって。
ときに三歩後ろをついてきてくれ、ときに僕の手を引っ張ってくれて。
そして家族が増えて、その子を真ん中に置いて、三人で歩いていく。
これからしばらくは三人で歩いていくのだ。
この一家の頼りなく冴えない大黒柱ではあるが、君と娘の矢となり盾となり、精一杯守っていくつもりだ。…いや、あの、出来るだけね。


まぁ、そういう事だ。


…あ、そうそう。

気づいていないみたいだから教えておくけど。


買い置きのビールがなくなったよ。昨日の夜ので最後だったから。


いや、

「だ か ら ?」

じゃなくて…。


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逆佐亭 裕らく お金は好きです。