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PERFECT DAYS

ヴィム・ヴェンダース監督の『パーフェクト・デイズ』というのを観ました。
役所広司さん演じる平山:トイレ清掃員の、特に事件が起きるわけでもない、ただ繰り返される日常を描いた作品です。派手なドラマは全くないのに、観終わったあとは心が洗われたような感覚になります。

【繰り返しの日常に宿る美しさ】
平山の1日はいつも同じ。盆栽に水をやり、朝同じ時間に起きて、家を出たら最初に空を見上げ、缶のカフェオレを買い、自家用の車で通勤。仕事は公衆トイレを丁寧に清掃すること。昼は公園で木漏れ日を撮影し、仕事が終われば馴染みの銭湯、居酒屋、寝る前に文庫本を読んで就寝。週末はコインランドリーで作業着の洗濯と写真の現像。
一見、単調で「つまらない」と感じる人も多いかもしれませんが、ヴェンダース監督はここに「完璧な日々」の本質を描いていると言われています。
平山は、世間的な成功や富などを選択せず、小さなことに喜びを見出しています。木漏れ日の写真、古いカセットテープの音楽、中古の本など、これらが彼の人生を豊かにしています。
姪の訪問や妹の登場など、少しノイズが入ったりして、平山の感情が乱される場面も何度かありますが、ラストの運転中の表情は、喜びと悲しみがどちらも共存しているような、淡々とした日常の裏にある平山の複雑で深い人生を表現しているとおもいました。

【禅の教えとのつながり】
この映画は、海外で特に「禅的な作品」と評価されているようです。姪に言うセリフ「今度は今度、今は今」は、禅の─過去や未来に囚われず、今この瞬間に集中しなさい、という教えを体現しています。
禅では、日常の動作(掃除、食事、労働)にこそ悟りがあると言われます。
世間が「低地位」と見なすような仕事でも、彼は誇りを持って取り組む。そういうのが、日本の「わびさび」の美学につながっているのでしょう。

現代人は、忙しい日常で常に「何か」を追いかけがちですが、木漏れ日を眺め、その都度写真を撮る彼のように、日常の小さな変化に気づくことが、どれだけ大切かなことでしょうか、、、
トイレ掃除という「地味な」仕事を、毎日丁寧に繰り返す。結果(社会的評価)ではなく、行動そのものが自分を形作る。派手さはないけど、日常の積み重ねで「完璧」を体現しています。

年末年始の不規則な生活でリズムが崩れがちな人が増えるかと思いますが、自分のリズムを整えたい方は観ておいて損はないかと思います。

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