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<安全問題研究会 声明>日本航空界が達成した画期的「国内旅客死亡事故ゼロ30年」~一方、羽田事故が提起した問題は解決せず~

(写真=異常発生直後のJAL123便機内 事故後、遺族が公開 圧力隔壁が崩壊、機体後部に穴が空いたのに酸素マスクをしていない乗客も 「御巣鷹の謎を追う」(米田憲司・著、宝島社、2005年)に掲載)


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 単独機としては世界最大の航空機事故である日本航空123便墜落事故から41年を迎えた。当研究会は、改めて520名の犠牲者に哀悼の意を表明する。

 この事故以来、日本の航空会社による営業旅客機の事故では1名の犠牲者も出さず、昨年8月12日の事故40周年を迎えられたことは当研究会にとって大きな喜びであった。

 日本国内における営業旅客機の死亡事故は、外国航空会社によるものを含めても、1996年6月13日に福岡空港で起きたガルーダ・インドネシア航空機の離陸失敗事故(死者3人)が最後である。これ以降、日本国内において営業旅客機による事故で乗客に1人の死者も出さずに今年、30年を迎えられたことは、航空会社にとどまらず、航空機メーカー、空港職員など航空機の運航に関わるすべての労働者にとって、昨年の「国内航空会社による営業旅客機乗客死亡事故ゼロ40年」に続く偉業である。言うまでもなく、この偉業は「御巣鷹山の貴い犠牲と教訓」を強く深く胸に刻んだ航空関係者による不断の努力なくしてはあり得ず、当研究会は、すべての航空関係者とともに、2年連続の偉業達成を喜び合いたいと考える。

 一方で、昨年の123便墜落事故40年に当たって発表した声明「世界情勢激変の中で迎えた日航機墜落事故40年 羽田事故が象徴する空の危機克服し「その先」へ」で述べた航空業界の危機はまったく克服されていない。2024年1月2日、JAL機と衝突した海上保安庁機の乗員5名に犠牲者を出した羽田空港事故で浮き彫りになったのは、安全への配慮なく野放図に拡大した羽田拡張計画や都心上空を飛ぶ新ルート、爆発的な発着便数の増加の一方で続けられてきた航空管制官数の削減などの問題であった。

 これらは効率・採算優先、安全軽視の新自由主義的航空行政がもたらした必然的結末である。日本政府は、半世紀ぶりの強制収用までちらつかせながら成田空港の拡張を狙っているが、こうした野放図な拡大政策を強行すれば、行き着く先が羽田と同じになることは、改めて指摘するまでもない。

 国内大手航空各社の状況も、安全・安心とはほど遠い。当研究会代表は、今年に入ってからだけでも、すでにJALを利用する機会が2度あったが、その際、機体の整備・離陸準備が整っているにもかかわらず、他便の遅延によって乗務員が到着しないことによる1時間もの大幅遅延を経験した。また「会社は、経験を積んだベテラン乗務員の価値を認めず、ベテランから先に解雇する」(JAL争議団)とされたJALで、最近はベテラン乗務員がたびたび乗務していることを当研究会は確認している。これらの事実は、最近のJALにおいて、乗務員運用が厳しさを増していることを示している。乗務員運用が、定時運行も困難なほど危機的状況にあるにもかかわらず、稲盛会長(当時)みずから「必要なかった」と認めた2010年末の解雇当事者を職場復帰させないことの不当性はさらに高まっている。この機会に、当研究会は改めてJALに対し、不当解雇者らの職場復帰を強く求める。

 ANAでも、システムトラブルや運賃制度の改悪など顧客不在のサービス切り下げが続いている。自社の利益優先経営のしわ寄せを一方的に顧客に転嫁するANAの現状は、御巣鷹にジャンボ機を墜落させたJAL経営陣と何ら変わらない。

 JAL123便事故の原因について、運輸省航空事故調査委員会(当時。以下「事故調」)が行った調査のやり直しを求める当研究会の方針も従来から変わらない。すでに、当研究会は、①ボイスレコーダーに「ドーン」音が記録されている1985年8月12日午後6時25分35秒時点の飛行高度(事故調公表の飛行高度記録によれば6千メートル以上)において、後部圧力隔壁が崩壊しているにもかかわらず、大半の乗客が酸素マスクの着用すらしておらず、また低酸素症も発生していない ②事故調報告通りの急減圧があった場合、実際の飛行高度が6千メートルよりかなり低くなければ、これらの事実を説明できない ③事故調報告どおりに急減圧があった場合、機長は直ちに「デコンプレッション(急減圧)」と唱呼し、副操縦士も復唱確認する手順が定められていたにもかかわらず、事故調が公表したボイスレコーダー筆記録に唱呼の記録がない――ことなどを指摘してきた。これらは、事故調という国の正式な調査機関による調査の結果、公表された報告書のデータに矛盾があることを示す重大な事実であり、これ1つだけであっても、事故調査はやり直しに値すると当研究会は考える。乗員組合連絡会(ALPA)も、日本の航空機事故の調査手法が、国際民間航空条約第13付属書(ICAO Annex13)が定める国際基準に準拠していないことを指摘している(参考記事)。このような国の不審かつ不誠実な姿勢こそ、今なお「陰謀論」がやまない原因であることは重ねて指摘する必要がある。

 事故から41年を経過し、新たな事実の発掘など、当研究会にとって実のある報道はほとんどなくなっている。だが、御巣鷹の山中で散った520人の無念に応えるためにも、事実を明らかにする義務が私たちには課せられている。当研究会は、引き続きこの事故の原因究明に関わり続けたいと考える。

 昨年の声明で明らかにしたように、事故50年となる2035年頃には、この事故に関する多くの公文書の機密指定が米国で解除になると見込まれることから、民間渡米調査団を組織する構想まで当研究会は持っている。懸念材料は、トランプ政権がみずからの意思に沿わない政府機関の閉鎖や、予算・権限・人員縮小を強化していることだ。当研究会は、民主主義の基礎である情報管理・公開体制を破壊するトランプ政権のこのような措置に強く抗議するとともに、米国公文書の適正な管理保存に世界が関心を払うよう、これを機会に訴える。

 昨年の「国内航空会社による営業旅客機乗客死亡事故ゼロ40年」と、これに続く今年の「外国航空会社を含めた国内旅客死亡事故ゼロ30年」の偉業も、長い航空史の中では通過点に過ぎない。この偉業に満足せず、さらにその先へ、当研究会は今後も行動を続ける決意である。

2026年8月12日
安全問題研究会

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