人魚って、こんなに怖かったの?
先日、図書館で借りてきた絵本。
絵がとってもステキで。こんな感じ。

マーグリット・メイヨー再話
フェイン・レイ絵
百々佑利子訳
マーグリット・メイヨーが、世界各地の神話や民話の本を収集し、子どもたちに語りきかせたお話を集めたものだそうです。
この本に収められているのは「ペガサス」「ユニコーン」「サンダーバード」などのさまざまな空想上の動物。
美しい絵がとても魅力的です。
このなかに「人魚」のお話があります。
これは、ディズ◯ーアニメで知られる、アンデルセン童話ではありません。イギリスで語られた民話を元にした再話だそうです。
「人魚」は洋の東西問わず、そして内容もさまざまに物語になっているのですね。でも、わたしは一つも知りません。ディズ◯ーも見ないし、絵本で読んだ覚えもない。
これが、わたしのはじめての「人魚」。
……怖かった。
びっくりしました。
モルヴェナという名の人魚は、自分を助けてくれたリュティという若い漁師を海へ引き摺り込もうとします。美しい歌声を聴いていたリュティは、そのうちに
じぶんののぞみはただひとつ、人魚といっしょに行くことだとおもうようになりました。
ふらふら〜と、つい……。あぶないあぶない。
この物語、「人魚のお話」として読んでも怖いですが、現代のわたしたちにも置き換えられそうです。魅惑的なものに抗えず、つい……。
引き際を見失って……。
うぅ、こわいこわい!
このあと、漁師リュティはかろうじて正気を取り戻します。自分の「だいじな茶色い犬」の海岸じゅうに吠える声を聞いて、やっと目を覚ますのです。遠くに自分の息子やおかみさんも見える。そして、必死にもがいて人魚モルヴェナから離れようとするのですが、ものすごい力で絡みついてきて引き剥がせません。軽くて弱々しいのに、強い力で海に引きずりこもうする人魚。
ヒェー!
そして最後、漁師がズボンのポケットにあった小刀を出して「はなしてくれ」と叫ぶと、人魚は離れます。ただ、別れ際のひとことが──。
「九年のながいあいだのおわかれです……それからまた、わたしたちは会うでしょう」
と、漁師リュティの周りを泳ぎながら言い残します。
若い女性の純粋な強い愛──?
そんなふうに読むことも、できなくもない……。
いやいやいやいや! コワイ!
「この人やばくない?」と思ってしまう。
人魚なんですけどね。
もし、実際こんなこと言われたらどうでしょう。
9年間、ずーっと恐ろしい思い。そりゃ月日が経てば、徐々に薄れていくでしょうが、わたしなら、忘れることなんてできません。自分を海に沈めようとした女の最後の言葉なのですから。
このお話の最後、どうなるかというと──。
幸せに暮らした9年ののち、漁師リュティはじぶんの息子と漁に出ます。風もなく、穏やかな海。そこに突然、大波がきます。それが去ると人魚モルヴェナがあらわれます。歌います。リュティはみずから海にとびこんで、それきり。
お、おぉ……。
それがね、この9年間の恐怖に終わらないのです。
実は漁師のリュティは、人魚を助けた礼に不思議な力を手に入れました。それは末代まで受け継がれます。病人を快くすることができる。平和をつくることができる。子孫に引き継がれます。
だけど。
きっちり9年ごとに漁師リュティの子孫のひとりが、海に消えていってしまうのですって──。
余韻すごー!
このお話は、
ロバート・ハント『イングランド西部の、よく知られた冒険譚』(1865)と、ウィリアム・ボットレル『西コーンウォールに伝わる炉ばたの物語』(1870)を参考にした再話です。
でね、わたし今日、これを写経したんですよ。
そうだ、そうだ。こっちが本題でした。

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