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daisaw33
続く境界|シロクマ文芸部
昨日から一直線にきて薄闇に溶けた時間を、忘れたときが覆う。溶けてそれとまったくひとつになったはずの私の耳の奥に
「どっちがいい?」
と囁く声がした。
仕方なく頭の一部分だけを形にした。
(私に聞いてるの?)
「え!? いや……は……っ」
どうやら驚かせてしまったらしい。私が初めてなのだから声にとっても初めてのことなんだな、なんとなくそう思った。
「どうしよう……」「……どうする?」「どうなるの?」
声は一つか、それともすべてか。よくわからなかった。無かもしれなかった。
また溶けてしまおうかと思ったときに、今度は私の背を転がす小さな手が当たった。手だったか? 桜の花びらは小さな手なのだな、と思ったのだからあれは手だ。
(どっちに転がしたいの?)
「んな!?……どっ、って……」
想定範囲が狭いから、「だっ」とか「へ……」とかなるのだろう。人のふり見て我がふり直そう。
(寝返りをうつよ)
花びらの手は、どこかへ潜り込んで行った。
そうか──。あなたがそちらへ潜るのなら、わたしが寝返るのはそちらだ。壁に背を向けたはずだが、夜の、夜より黒いざらつきが鼻の先にあいている。
溶け合いに戻ろう。
まだ薄闇に溶けていていい時間だ。
明日との繋ぎ目は厚みや奥行きをもたされて続け──あ、今日はいつなのだろう。
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