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傘を持つと家に引き返すはめになる、わたしの脳のクセ



今日も家へ引き返すことになった。
雨のせいだ。──自分のせいだけど。
出がけに傘を持つと、どうしても忘れてしまう。



うちの人と車で外出するときは
先に彼が家を出て車のエンジンをかけ、
車内でわたしを待つ。

わたしは、犬に出かける挨拶を済ませると、
靴を履き玄関を出る。
そのときには、すでに玄関の鍵穴に
鍵が差してある。
先に出た彼が、差していくのだ。

じゃらじゃらといくつもの鍵をまとめてあるこの束は、ゴツくて重い。

わたしはその鍵をくるっと回すだけ。
車に乗り込むと、運転席と助手席の間に
じゃらん、と鍵を置く。

これが、日常のパターン。

朝起きてトイレを済ませ、顔を洗い……
という一連の流れに等しいくらいの。
なにも考えることなく、体が動くほどの。

これ以外はない、という行動手順。



なのに、忘れてしまうんだ。

「あ、傘持って出なきゃ」
と玄関先でひとつ動作が加わると、
見事に忘れる。

鍵穴に差してある鍵を回すのを。

傘を持つと、鍵を忘れる。
ひとつ増えると、ひとつ抜ける。

これも、いまや定番化してしまった。



そのまま、車でブーン──。

しばらく行ったところで、
うちの人に
「あれ? 鍵は?」
と言われる。
そこでやっと気づく。

「あ、今日は傘持っちゃったから
 鍵忘れた」






引き返し家に戻ると、
玄関の鍵穴にじゃらじゃらと
でかい鍵が差さったままになっている。



かわいいわたしの脳は
ひとつのことで満ち満ちている。






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くろいるすけ ◇お読みいただきありがとうございます◇心の糧です◇記事の購入に使わせていただきます◇部屋を彩る花になるかもしれません◇犬のおいしいごはんやおもちゃになるかもしれません◇いただいたお気持ちを大切にいたします◇