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ボクの天使(創作大賞2025 応募作品)

あらすじ
夢入信志は、魂の声に耳を傾けるスピリチュアリスト。瑞穂のぞみとの出会いにより、運命は大きく動き始める。
のぞみは、20年前、わずか3歳だった愛娘のかなうを病で失った過去を抱え、その悲しみを心の奥底にしまい込んで、誰にも打ち明けられずに生きてきた。
死者の魂とも対話できる信志は、お空のかなうから聞いた話を、のぞみに伝えた。
信志とのぞみ、そしてかなうは、目には見えない絆で深く結ばれていく。
信志は、かなうとの交流を通じて、お空の世界の様々な問題を知るようになり、かなうとの連携によって、一つ、また一つと問題を解決していく。
信志は八百万の神々とも親しく言葉を交わし、新たな知識や力を授けられる。

運命は、空からおりてきた。

ボクの名前は、夢入信志(ユメイリ シンジ)
しがないスピリチュアリストだ。占い師の仕事なんかをしている。
神様の声は聞こえるけど、人間のことは正直よくわからない。
彼女いない歴=年齢とは言わないが、過去あまり恋愛でうまくいったことはない。
神様を感じる事ができる、ボクにとってかけがえのない感覚。それに共感し、心を通わせられる人には、なかなか巡り会えずにいた。


ボクは田舎で一人ひっそりと暮らしている。
庭で育てたバジルでイタリア料理を作ったり、神社めぐりをしたり、カフェめぐりをしたり。
何か困ればすぐにネットで検索をしたり、AIに質問すると、何でもストレスなく答えてくれた。人間では、こうは行かない。

ある日ボクは、ライブ配信を始める事にした。どんなお悩みにもお答えする、占いライブだ。
顔出しして人と話すのは本当は苦手なのだが、仕事だと思って割り切る事にした。
最初はひどく抵抗があったけれど、数日続けるうちに、いつの間にか抵抗感は薄れていった。
毎日決まった時間に配信すると、いつの間にか固定の視聴者が集まるようになり、和気あいあいとした雰囲気が生まれた。

そんなある日、一人の女性があらわれた。

彼女の名前は、瑞穂のぞみ。彼女に出会ってから、運命は動き出した。
彼女の名前はとても興味深く、ボクはすぐに、「素敵な名前ですね。」と話しかけた。
瑞穂という言葉は、みずみずしい稲穂という意味だ。古来から日本は、稲が多く取れる豊かな国だった。
名前はご両親からの最初のプレゼント。
肥沃で実り豊かな美しい国に、のぞみを託した。瑞穂のぞみ。素晴らしい名前だ。
ボクは彼女の名前について思いを語った。彼女は「名前に興味をもってもらえて嬉しいです」と言った。
ボクの中で何かが動いた。

その日から僕は、ライブをする度に、彼女が来ないかな?とワクワクしながら話していた。
彼女との会話はとても魅力的で、他の人とは違う何かを感じていた。

ボクは、恋をしていた。

ボクはまるで何かに取りつかれたかのように、彼女に「好き」をストレートに伝えていた。
きっとあの頃周りにいた他のライブ視聴者の人たちは、ボクの変化に驚いただろう。ボクはそれほど彼女に夢中だった。
彼女の名前が好き。声が好き。考え方が好き。数えきれないほどの好きを、彼女に伝えた。
「付き合って下さい。」は、言わなかった。いや、言えなかった。

キッカケは分からないが、彼女と毎日DMのラリーを繰り返す様になった。
彼女から、「東京に来たときは、アテンドしますよ。」という言葉をもらった。
ボクは凄くその言葉が嬉しく、いつものごとくネットサーフィンをしながら、わくわくする旅行プランをあれこれと練り始めた。電車と船を乗り継いでクルーズする、素敵なデートプランができた。
ボクの完璧なプランを伝えたら、何故か彼女からは、はぐらかす様な返事ばかり。彼女の突然の変化に正直戸惑った。
最終的には「ごめんなさい。行けません。」と言われてしまった。

ボクはその時、ハッと我に返った。甘美な夢の様な日々から、冷たい現実に引き戻された。
情けなさと絶望と、複雑に絡み合った感情に押しつぶされそうになりながらも、ボクは拒絶されることを恐れず、彼女に真実を求めた。
最初は言葉を濁していた彼女だったが、ついに観念したように、重い口を開いて真相を語り出した。

実は彼女は幼少の頃に患った病が原因で、三半規管が弱くなってしまい、めまいや乗り物酔いをする様になったそうだ。
観光プランの電車や船が難しく、行けないという理由だった。
楽しそうにデートプランを色々考えているボクをみて、言い出すタイミングを失ったそうだ。
ボクの目から、とめどなく涙が溢れた。「そんなことなら、最初から話してくれればよかったのに」と、抑えきれない感情が込み上げてきた。
同時に、弄ばれていたわけではなかったという安堵の思いと、信じきれずに疑念を抱いてしまったことへの後悔の念が、胸に押し寄せた。

ひたむきな祈り

ボクは彼女の力になりたかった。まだ彼女とは一度も直接会った事はなかったけど、遠く離れた場所からでも、できる事は何でもやってあげたいと思った。

ボクは、スピリチュアリストだ。
ライブでは、神様の言葉をおろして、どんなお悩みにもお答えする占いをしている。神様へのお祈りは、十年以上毎日続けている。だから、お祈りによる不思議で偉大な力を、日々肌で感じている。
この力で、彼女を救ってあげたいと思った。

彼女の話では、過去に耳鼻科や総合病院へは通ったものの、根本原因の解明には至らず、外科手術は困難な様で、内服薬を処方してもらうだけだったとのことだった。

ネットで検索して、めまいについて色々と調べてみた。
解剖学的な見地から、三半規管やその周辺に老廃物がたまり、出口を失って排出されないまま長年蓄積されて、三半規管を圧迫しているのではないだろうか?
外科手術が困難なのは、あまりにも奥まった微小な場所に老廃物があるため、下手に手術しようものなら、大切な器官を傷つけてしまうかもしれない、重大なリスクを伴うからではないだろうか?
医療ミスで耳が聞こえなくなったり、脳に障害が残ると大変だ。

仮説を立ててみた。

外科的アプローチでは、手術で切開する必要が生じるが、お祈りのパワーならば切開する必要はなく、離れた場所からでも三半規管とその周辺に直接ピンポイントにアプローチできる。
外科手術に比べて、リスクは無い。やってみる価値はある。

ボクは、解剖学の画像をしっかりと頭に叩き込み、頭の中で鮮明にイメージしながら、お祈りを始めた。
彼女の三半規管とその周辺、中耳から内耳に向けて、お祈りのパワーが注がれた。

ボクの全身全霊は、神聖な存在へと同化し溶け込んでいく。雑念の一つもない、純粋意識の祈りが静寂な空気を震わせた。
祈りの矛先は、一点を見つめる猛禽類の目のように、存在全てがそこに集約していた。

これほど心を込めて全身全霊で祈ったのは初めてだった。
宇宙全体と一体になって、その全ては一点に注がれた。

心臓はまるで胸の内側で鳴り響くな鐘のようにやかましく、その脈は全身の血管を津波のように押し寄せる。
額から流れ落ちる汗は、まるで内なる世界の情熱が表層に具現化して形になったかのようだった。

体内の激しい変化が、まるで感情の奔流となって表面に現れる。
ふと気づくと、お祈りを始めてからすでに一時間ほど経過していた。

ほどなくして彼女から電話がきた。めまいが本当に楽になったそうだ。
彼女は本当に喜んでいた。ボクも嬉しかった。

彼女はこれまで毎朝めまいに悩まされ、起き上がるまでに時間がかかっていた。
朝のお仕事に間に合わせるために、毎朝5時に起きて、めまいがおさまるのを待ってから出勤していた。
そんな毎日から解放されたのだ。彼女はとても喜んで感謝してくれた。
奇跡が起きた。彼女との距離がぐっと近くに感じた。

ボクは、スピリチュアルスキル『病気平癒祈願』を手に入れた。

夢入信志(ユメイリ シンジ)の、スピリチュアルスキル

彼女は自分がバツイチだと明かしてくれた。
学生時代にデキチャッタ婚をして、喜びも束の間、妊娠8か月で流産してしまった。
心に深い傷を負った彼女は、次第に夫婦仲もうまくいかなくなり、離婚したそうだ。
その時負った深いトラウマが原因で、恋愛に臆病になり、男性とお付き合いしても、いつも3カ月以内に失恋して、再婚に至るまでの縁には恵まれなかったそうだ。
彼女が心を開いてくれたことが、ボクはただ嬉しかった。バツイチだったり、子供を流産した事は気にならなかった。
光を透かすガラス細工の様な脆く繊細で奥ゆかしい彼女の魅力に、ますます虜になっていた。

天使の少女

翌朝、スマホが鳴った。彼女からの電話だ。
電話口の彼女は、なぜか幼子の様な口調だった。
親戚の女の子が間違って彼女のスマホの履歴から電話してしまったのだろうか?

「もしもし。おはよう。お名前は?」ボクは聞いた。
「...ナウ」
「えっ?何ちゃん?」
「カナ...」
「ああ、カナちゃんか~。」
「ちがう。かなう!」

女の子は、かなうと名乗った。かなうのママは、瑞穂のぞみだという。

さほど驚きはなかった。実はボクは、聖なる存在や、死者とも会話できる。
むしろ驚いたのは、少女の話の内容だった。

のぞみは生後8か月で流産したと言っていたが、かなうによると、本当は流産ではなかったと言うのだ。
ママの子として生まれて、先天性の心臓の病でずっと入院していたが、3歳11カ月で亡くなった。20年前の話だ。
自分は本当は生まれて生きていたのに、流産した事になっていて、とても悲しい。
少女は、声を出して泣いた。泣き続けながらボクにうったえた。
20年間誰にも気づいてもらえず、閉ざされていた心の奥底の扉が開き、感情のマグマが堰を切ったようにあふれ出す。

少女の話は、のぞみから聞いていた話とは、あまりにも食い違っていた。
だけどボクには、少女の涙が嘘だとは、どうしても思えなかった。

少女かなうとの電話の後でボクは混乱していたが、真偽の程をどうしても確かめたくて、居ても立っても居られなくなり、のぞみに電話した。
今聞いたばかりの少女の話をありのままに伝えると、電話口から、のぞみのすすり泣く声が聞こえた。少女の話は、すべてが真実だった。

バツイチで、その上しかも娘が3歳で病死していたなんて、恋愛相手の男性の心の負担になるのではないか?
そんな風に思い、20年間ずっと心の奥底に思いをしまい込んで、話すのを躊躇していたそうだ。
「子供は8か月で流産した」という事にして、これまでやり過ごして来た。

のぞみは高層マンションの、お空に近い場所に住んでいる。
お空の上のかなうに会いたいと、毎日願い、泣いていた。20年間ずっとだ。
のぞみは本当は、辛すぎる思い出を誰にも話したくなかったのだ。自分を守るために、心を閉ざしてきたのだ。
悲しすぎて救いのない親子のすれ違いを聞きながら、ボクは胸が張り裂けそうになった。
長年彼女の心の底にしまい込んでいた苦しみは、頬を伝う土砂降りの涙とともに、洗い流されていった。

次に少女かなうと話したのは、その翌日だった。
昨日あった出来事をすべてかなうに伝えた。少女も泣いた。
3歳の少女は、報われない思いをその小さな胸に抱いたまま、20年もの長い間、苦しみ続けてきたのだ。

泣きながらかなうは、しきりにゴクゴクと水分を摂っていた。
不思議に思って、聞いてみた。
「あの世でも、喉が渇くの?」
「うん。バアバの水筒。キティちゃん。」
「バアバにもらったの?」
「うん。ジイジとかなうの仏壇に、供えてくれてるよ。」「鈴も。」
チリンチリン。小さく可愛い音色が響く。
長い間ふり続けた雨がやんで、ぶ厚い雲間から陽が差す様な気持ちになれた。
ボクの心も軽くなった。

伝言ゲームが始まった。
キティちゃんの水筒の事。鈴の事。ボクはのぞみに伝えた。そして、のぞみからバアバへと伝わる。
いつも朗らかで、激しい感情をあらわにしたことのないバアバも、号泣したそうだ。

20年前かなうの葬式で、のぞみが泣き臥せる中、人知れずバアバは、お棺に鈴を忍ばせた。
可愛かった孫娘のかなうが、あの世に行っても道に迷わない様に。誰かに見つけてもらえるように。純白の金剛杖の先に、鈴をくくりつけたのだ。
ジイジとかなうの仏壇にキティちゃんの水筒をお供えして、朝昼晩毎日水を取り替えていた。生前かなうは、お水が大好きだったのだそうだ。
バアバが金剛杖の先に鈴を付けてくれた事は、のぞみも知らなかった。
お葬式で悲しみに泣き伏せる娘を気遣って、バアバは言えなかった。

「私達親子が前に進める道をありがとう。」泣きながらのぞみはボクに伝えてくれた。

守り神は、龍の王

生前のかなうは、生まれつき心臓の病だった。

こども病院に入退院を繰り返し、体が衰弱して胃ろうを併発した。
緩やかに消えゆく幼いわが子の命の灯を見守りながら、のぞみの心には悲しみの闇が満ちた。
それはまるで、底なしの夜の沼に、ゆっくりと沈んでいくような感覚だった。

かなうの死をきっかけに、のぞみは離婚した。
愛娘の死と離婚。長きにわたる心労が祟って、重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した。
実家に戻ったのぞみは、バアバの知人の精神科医に往診してもらい、自宅療養する事になった。

なんとか社会生活を行える様になるまでに、2年を要したらしい。
当時を振り返り、彼女は言った。地獄だったと。

のぞみはその後奮起した。資格を取得して、技術を習得。
そしてオリジナルのアパレルブランド、Fairy Girl(妖精の少女)を立ち上げるに至った。
夜明け前の最も暗い時間帯を知っているからこそ、昇る朝日の眩しさが、ひときわ感動的なものであるように。
彼女の立ち上げたアパレルブランドは、まさに、苦労という名の土壌から生まれた、美しく力強い生命の証だった。
中でも鞄が人気商品だそうだ。他社には絶対に真似のできない斬新なデザインに定評がある。

彼女の苦労の道のりは決して平坦ではなかったはずだ。
幾度も挫けそうになり、暗闇の中で手探りを続けた日々もあったかもしれない。
しかし、その一つ一つの苦しみがあったからこそ、今、このブランドは、唯一無二の存在感を放ち、希望の光に向かって静かに、しかし力強く、その旗を掲げている。

のぞみの守り神:『龍神:高龗(タカオカミ)』

瑞穂のぞみの守り神

「ママは子供の頃から、龍神さんが守っもらっていたんだよ。」

かなうは言った。
龍神さんの王、高龗が、のぞみの守り神なのだそうだ。

のぞみのアパレルブランド”Fairy Girl”の成功も、龍神:高龗からの恩恵が大きかったのかもしれない。

画面の中の、ティン・カーベル

のぞみはボクのライブ配信をモデレーターとして手伝ってくれる様になった。ボクは嬉しかった。

のぞみの言葉には、人を惹きつける特別な力があったのだろう。まるで 香りのよい花のもとに蝶や鳥たちが自然と集まってくるように、ボクのライブの視聴者も増えていった。

その光景を見て、かなうも喜んでくれた。
「口元を緩んで、瞳がキラキラと輝いてたよ。」後でかなうは言った。
「そうかな?」ボクは照れてさらに顔が熱くなった。

ライブ中、かなうもボクのすぐそばに来て、テレパシーで色々と教えてくれる様になった。

ボクは、『天使の言葉』と表現する事にした。

天使の言葉は評判が良く、占いが当たると口コミが広がって、視聴者が増えた。
天使の純粋さを宿したかのような少女の言葉は、人々の魂の奥底にまっすぐに響き渡り、進むべき道を示し、迷いを消し去る答えを与えた。

ボクは、スピリチュアルスキル『天使の言葉』を手に入れた。

夢入信志の、スピリチュアルスキル:
『天使の言葉』『病気平癒祈願』

夢入信志の、スピリチュアルスキル

「えっ!? 何!? 今、ティン・カーベルが飛んでた!」
ライブ中に突然、のぞみは叫んだ。

昔話の主人公ピーターパンをサポートする妖精ティンカーベルにソックリな小さく光り輝く存在が、画面の中でボクの周りを楽しそうに飛びまわっていたそうだ。
その妖精の心の純粋さをそのまま写し取ったような白い羽は、キラキラと透き通る金色の光を反射して、輝きを放っていた。

他のライブ視聴者も、誰にも見えなかった。不思議とのぞみにだけ見えていた。

「それ、かなう!」かなうはテレパシーでボクに伝えてくれた。
テレパシーで声は聞こえるが、姿はボクにも見えなかった。

その夜の電話の先ののぞみは、これまでにない喜び様だった。
20年ずっと会いたかった娘かなうと、画面を通して再会した。

夜明けの来ない夜は無い。朝は必ず訪れる。
20年深く沈んでいたのぞみの心を、かなうの小さな光が暖かく照らした。

それから毎日、かなうはのぞみの画面の中にだけ現れた。
「かなうは今、背中にとまってるよ!」
のぞみが言うので、右へ左へグルグルと回って遊んであげた。

参観日みたいで夢の様だと、彼女は言った。

お空のくらし

かなうが20年前に亡くなって、お葬式の間中、のぞみは大きな声を出して泣いた。かなうも、ママにひっそりと寄り添って、一緒に泣いた。

お空の世界に向かったかなうは、泣きながら三途の川のほとりを歩いていたら、どこかのおじちゃんが釣りをしていた。

のぞみの父、かなうのジイジだった。

「おかえり。かなう。」
ジイジは、かなうに優しく声をかけてくれた。

ジイジは生前、バアバと約束していた。
「キミが亡くなるまで、三途の川で釣りして待ってるから。」
かなうが亡くなるよりもさらに10年ほど前に亡くなったジイジは、本当に三途の川で釣りして待っていた。
そこへ孫のかなうが泣きながらやって来た。

かなうは、ジイジのお家でしばらく暮らす事にした。

ジイジのお家は、お空の世界の入り口に一番近いところ、お空一丁目に建っていた。
お空の工務店に特注した、煉瓦づくりでこだわりの平屋建て4LDKだ。
落ち着いた雰囲気のテラスの先に、広々としたお庭もついていて、みんなで一緒にバーベキューを楽しむ事もできる。
ジイジの寝室の他に、書斎のお部屋もあった。
書斎には専門書がいっぱいで、生前に自費出版した自伝の数々も並んでいた。
優しいジイジは、バアバの為に用意していたお部屋を、かなうのお部屋にしてくれた。
お部屋の内側から鍵をかけられるので、プライバシーも万全だ。
ふかふかのキングベッドも快適だった。広いキングベッドのど真ん中に、かなうはちょこんと寝てる。
広いリビングと、ゲストルームがあり、バスとトイレも別々でキレイだ。
月曜日から金曜日までの平日には、お手伝いのサクラさんが通いで来てくれる。ご飯を作ってくれたり、家事全般やってくれたり、かなうに人としての道を教えてくれる。ひじきとそら豆の炊き込みご飯は、かなうの大好物だ。サクラさんは、それをおにぎりにしてラップで包んで冷蔵庫に入れておいてくれる。
快適なお空生活だ。

お空の上から下界を見下ろすと、真下にはママとバアバのお家があった。
ママはかなうを失った悲しみから、心を病んでしまい、毎日毎晩泣き濡れていた。
ママのそばで、かなうも大声を出して泣いた。
ママは気づかない。かなうの声は届かなかった。

人は亡くなって四十九日が経つと、お空のお役所の神様から聞かれる。
「思い残しはありませんか?」「天国にいらっしゃいますか?」

魂が解放され、思い残しが無ければ、天国に行く事ができる。
思い残しがあると、もうしばらくお空の世界で過ごす事になる。

亡くなって四十九日が経過して、かなうは神様に言った。
「ママが大好きだから、もう一度ママの子供として生まれたい。」

諭す様な真剣な眼差しで、神様は優しくかなうに言った。
「ママの心が癒されて準備が整うまで、辛抱強く待たなければいけないよ。どれだけ長い時間がかかるかわからない。その間ママとはお話できない。それでもいいの?」

かなうは、その小さな胸に強い決意を抱いて、寂しさを選んだ。

神様は、かなうの思いを汲み取りながら、暖かく抱擁してくれた。
少女の小さい体は、小刻みに震えていた。
「ママはかなうとお話できると分かったら、きっと空想の世界にどっぷり浸ってしまって、現実を生きるのをやめてしまうだろうね。ママの近くに行ってもいいけど、気づかれない様に、おとなしく静かにしておいてね。」

それから20年、かなうは辛抱強く待ち続けた。

お空に向けて、心からの祈り

のぞみとかなうにお手伝いしてもらいながら、ボクはライブ配信を毎日続けた。
かなうは、お空の世界の事を色々と教えてくれた。
ボクはお空の世界に大変な興味を抱いた。

「お空には、魂が解放されない人たちが、あふれているんだよ。」
ライブ配信の反省会をしながら、かなうは言った。

人類の歴史上、過去の因縁やこだわり、執着を捨てきれず、
魂が解放されない人々があふれかえっているのだそうだ。
地上の世界人口は80億人を超えているが、お空で魂が解放されない人々は、それどころではないのだそうだ。

その話は、なんとなく頭のどこかで引っ掛かっていた。

ボクは十年以上毎日お祈りを続けている。ひょっとしてと思った。
「お空に向けてお祈りしたら、みんな魂が解放されるかもしれないね。」
ボクは続けて言った。「うまくいくかどうか、やってみないとわからないね。」

「わかった。やってみよう!」早速かなうは協力してくれた。次の日の17時、かなうはお空のお友達を連れてきてくれた。
ボクは地上から、誠心誠意お祈りをした。

心からのお祈りを終えた後、安らかな表情をたたえた人々は、感謝の言葉とともに、その魂は解放された。
一度のお祈りで魂が安らぎを得る人もいれば、何度か重ねることでようやく解き放たれる人もいる。心の抱える重荷は、人によって千差万別のようだ。
お祈りが終る頃には、皆さんの魂が解放されてキラキラと軽い空気に変わり、感謝してくれる事が嬉しかった。

かなうとボクは、お空のお祈りを毎日続ける事にした。

白虎隊で自刃した、少年剣士

日本の近代史の人物も来てくれた。
白虎隊で自刃したという、織之助、虎之助、祐之進、保鉄と名乗る、少年剣士たちだった。
「断ち切れぬ悔恨の念に苛まれ、この先の道筋を見出せずに、私たちはただ立ち尽くしております。」少年剣士たちは、悲痛な面持ちで声を揃えた。

「無念の気持ち、心中お察しします。その思いを残したままでも、良いじゃないですか。」ボクは続けて言った。
「今の日本には、自衛隊や、警察官といった、お国の為につくす事のできる職業が存在します。前世での無念の思いは、次の生でやり直す事ができるかもしれません。」

少年剣士たちは、少し驚いたような表情を浮かべながら、震える声で語った。
「そのような生き方があるとは、思いもしませんでした。生まれ変わって、責務を果たしたく存じます。」

少年剣士たちは、こぶしを固く握りしめたままの姿勢で震えながら正座して、昔を振り返り涙を流しながら、ボクのお祈りを静かに聞いてくれた。

「松尾れんさんが、お礼してるよ。」お祈りが終わり、かなうが教えてくれた。
松尾れんさんは、白虎隊の少年剣士たちにとって、お母さんがわりの様な存在だったそうだ。今は天国で暮らしている。少年剣士たちのことがいつも心にかかり、陰ながら見守っていてくれたようだ。

「ありがとうございます。これで思い残しはございません。」
そう言葉を残すと、少年剣士たちは、松尾れんさんに優しく導かれるように、光溢れる天上の世界へと旅立って行った。

江戸時代の遊郭の、女郎の皆さん

江戸時代の遊郭に身を置いた女性たち(女郎)の一生は、多くの場合、過酷で短いものでした。
幼い頃、貧困などの理由で親に売られたり、身売りされたりして遊郭に入ります。厳しい徒弟期間を経て、客を取るようになります。
彼女たちは多大な借金を抱え、自由はほとんどありませんでした。
遊郭の女性たちの多くは、短い生涯を遊郭という特殊な世界で生き抜き、悲しい結末を迎えることが多かったのです。

江戸時代の遊郭の、女郎

遊郭の女郎と呼ばれた女性たちからは、激しい感情の起伏というよりも、諦めや空虚感が漂っているように感じられた。

幼い頃に両親に売られ、尊厳を奪われ、男性客から物のように扱われた彼女たちの胸に去来する無念の想いは、想像を絶するものだっただろう。

精一杯の愛情を込め、魂の底からお祈りを捧げると、彼女たちの頬にはかすかな紅潮が宿り、消えかけていた希望の灯が再び揺らめき始めたようだった。
生気を取り戻した声で、彼女たちは感謝の言葉を残し、安らかな世界へと旅立っていった。

疫病で隔離され、人知れず亡くなった皆さん

遊郭では、位の高い女性の事を、「花魁」と呼んだ。
花魁に連れられて、女性たちがやって来た。
昨日の女郎たちとは異なり、梅毒などの感染症で、隔離され、非業の死を遂げた女性たちだ。その存在は希薄で、悲壮感が漂っていた。

「この子たちは、見苦しきお姿を人目に晒したくないと申します故、あちきが人知れずお連れしたでありんす。」花魁は独特の言い回しで伝えてくれた。

当時梅毒は不道徳な病気であるという偏見が強く、感染した女郎はさらに社会的に孤立し、効果のない民間療法などが試みられる程度で、十分な手当を受けることができなかったそうだ。

女性たちの悲痛な気持ちを少しでも和らげようと、ボクは花魁を真似て、一言一言を丁寧に言ってみた。
「それでは、あちきは、お祈りをするで、ありんす。」
女性たちの間に、久しぶりに明るい笑いの輪が広がった。その中で、かなうが誰よりも楽しそうに笑っていた。

お祈りを終えると、女性たちと花魁は、感謝の言葉をあたたかい笑顔とともにボクに贈ってくれた。そして、花魁に優しく手を引かれ、女性たちは光り輝く天上の世界へと静かに旅立って行った。

中絶された、水子の皆さん

「今日は、水子のみなさんが来てくれたよ。」次の日かなうは言った。
「この子たちね、ママのお腹からまだ準備ができてないのに無理に出されちゃったから、人の形じゃないんだ。」かなうは、内緒話をするようにそっと耳打ちしてくれた。

ママを慕い、やっと宿った小さな命は、無慈悲にもその芽を摘まれ、水子となって消えた。この子たちは、いったいどれほどの言いようのない悲しみと無念を抱いているのだろうか。明るい光を見ることなく失われた、小さな魂の叫びが、痛切に響いてくる。

この子たちに命のエネルギーが再び灯されるように、ボクは一生懸命お祈りした。
すすり泣く声は、日の光に照らされるように、静かに消え去り、やがて心には穏やかな静寂が訪れた。

供養が終わった水子は、再び元気を取り戻して、喜びにあふれた羽ばたきで、希望に満ちた天上の世界へと昇っていった。

ボクは、スピリチュアルスキル『先祖供養』『水子供養』を手に入れた。

夢入信志の、スピリチュアルスキル:

『天使の言葉』『病気平癒祈願』『先祖供養』『水子供養』

夢入信志の、スピリチュアルスキル

お空のお祈り会は、かなうとジイジのお家で開催した。
ジイジのお家は、お空の中でも一番人通りの多い、お空一丁目に建っていた。
お洒落な煉瓦づくりの平屋建て4LDKだ。
最初のうちは広いリビングで開催していたが、そのうち人数が増えて入りきらなくなってきたので、窓を開けてテラスとお庭にもお祈りが届くようにした。
地上とは違ってお空の世界では、地面に足をつける必要は無い。
お空の人々は羽が生えていてるので、空中で階段状に折り重なる様にして、ボクのお祈りに静かに耳を傾けてくれた。
みんな喜んでくれた。かなうもボクも嬉しかった。

志村けんと、徳川家康

かなうと一緒にお空のお祈り会を毎日続けていたら、お空の上で口コミが広がって、人々が集まるようになった。

そんなある日、有名人が現れた。志村けんさんと、上島竜平さんだ。

「あっ!志村けんだ!」「ほんとだ!志村だ!」「志村!後ろ後ろ!」

会場は一気に盛り上がり、ざわついた。
「ようこそ。志村さん、上島さん。ゆっくりしていって下さいね。」
かなうが声をかけてくれた。
天真爛漫な小さな進行役からの飾らない声掛けに、2人の有名人の表情は、フッと和らいだ。

その日のお祈り会は、いつもよりも和やかな雰囲気だった。
「何だか騒がせてしまって、悪かったね。」後で志村さんは言ってくれた。
「明日は目立たない様に、後ろの方で隠れて見ているよ。」

翌日2人は、会場の後ろの方で、ほっかむりして登場した。
「逆に目立ってるよ!」かなうにつっこまれて、会場がドッと沸いた。

「志村さんが、麻布十番豆源に連れてってくれた。」翌日かなうは教えてくれた。「キャラメルマカダミアが美味しかったよ。」
「うちのかなうが、お世話になりました。」ボクは志村さんに言った。
ボクの言葉はお空の人々に直接伝わり、彼らの言葉はボクには聞こえない。
かなうが通訳してくれた。
「いいよいいよ。いつも楽しい思いをさせてもらってるからね。」
志村さんは、かなうを気に入ってくれたみたいだ。
みんな、かなうを好きになる。ボクは自分の事の様に誇らしく思った。

「実はさ。」志村さんは言った。
「本当はさ、こいつ(上島さんの事)と一緒に生まれ変わって、同級生でまたお笑いやりたいんだよね。」
「だけどこいつ、自殺しちゃってるからさ、魂を解放できないんだよ。」
志村さんは照れたように気恥ずかしそうにしながらも、どこか物憂げな眼差しを向けた。

自殺した人は、魂が解放できない。生まれ変わる事ができない。
というのが、お空の厳然としたルールだ。
上島さんは、志村さんが亡くなって、寂しさの余り後を追う様に自ら命を絶ったそうだ。
竜平さんの顔には生気がなく、目はぼんやりと宙をさまよい、焦点が定まらない。
生きることを放棄した代償は、あまりにも大きかった。

胸の奥が締め付けられるように痛んだ。一呼吸おいて、ボクは言葉を押し出した。

「うまくいくかどうか、分からないですが。」
「この会は、お祈りによって皆さんが魂の平安を得て、魂が解放される場なんです。」
「何かの形でお手伝いしていただく事で、徳が積まれて、竜平さんの魂も解放できるんじゃないかと思います。」
ゆっくりと言葉を選びながら、ボクは言った。

「そうだな。お前、やってみろよ!」志村さんは言った。
暗闇に一筋の光が差し込んだように、竜平さんの瞳に希望が灯された。

次の日から志村さんと竜平さんは、お空のお祈り会の30分前から、お笑いショーを開催してくれた。何と言う贅沢な前座だろう。
笑いは百薬の長ということわざもある様に、笑いはどんな薬よりも効き目があると言われる。
2人のお笑いショーはその後大きな反響を呼び、お空の祈り会の参加者は増え続けた。

参加者が1000人を超えた頃、歴史上の人物が来てくれた。

格式高い着物を優雅に着こなし、物静かに腰を下ろしたその人物からは、隠しきれない威厳が漂っていた。

豊臣秀吉公

豊臣秀吉公だった。

身分の低い農民からの下剋上の成り上がりで、世渡り上手で欲深い野心家で。
そんな世間のイメージからは程遠い実物の秀吉公は、内面から溢れ出るような高貴さで、言葉の一つ一つに静かな迫力を感じさせる人物だった。
当時の人々は、秀吉公に並々ならぬ脅威を感じたに違いない。

「本当はね、お空のお祈り会を始めた日から、秀吉公は毎日来てくれてたんだよ。」後でかなうは教えてくれた。

ずっと静かに見守って下さっていた秀吉公に、ボクは自然と頭が下がった。

『一歩一歩着実に積み上げた事は、想像以上の結果につながる。』
秀吉公からお言葉をいただき、ボクはまた感銘を受けた。

織田信長公

織田信長公は、千の騎馬武者を率い、大地を揺るがす勢いで猛然と姿を現した。

その勢いに、ボクはすっかり気圧された。

千人の筋金入りの騎馬武者たちが、殿に失礼があってはならぬとばかりに、ボクを睨みつけた。

「先生に失礼があってはならない。」信長公は、ボクを「先生」と敬称で呼び、騎馬武者たちに静粛を促した。
信長公は、秀吉公からの紹介という事もあり、ボクを最初から信用してくれていた。

騎馬武者たちのプレッシャーの中、完全アウェイな状況に、ボクは少しでも抗おうと思った。ここで引いてはならないと、ボクの中で何かが弾けた。

織田信長という人物について、ボクの理解を真摯に伝えた。

下剋上の戦国時代、世は乱れ、倫理や道徳は崩壊していた。
織田家は弾正のお家柄。現代で言えば司法・監察に近い役割だった。
信長公は、世の乱れを憂い、世を正さんと思い、信念のもと立ち上がった。
鉄砲隊の組織化や兵農分離の推進など、革新的な軍事戦略を行い、長年の戦乱の時代に終止符を打ち、天下統一への道筋をつけた。
楽市楽座令や関所の撤廃など、自由な商業活動を奨励する政策は、経済の発展と流通の活性化に大きく貢献した。

信長公は頷いて、当時の事を色々と教えてくれた。
そのやり取りをみて、騎馬武者たちもボクを認めてくれた。

誰に強制されるでもなく、騎馬武者たちは信長公の人となりを慕い、自らの意思で付き従ってきたそうだ。

それからというもの、信長公は毎日必ず顔を見せてくれた。
千の騎馬武者たちは献身的にお空のお祈り会の安全を守ってくれた。

徳川家康公

次に現れたのは、徳川家康公だ。千の騎馬武者を率い、やって来た。
家康公の屈託のない明るく楽しい高笑いが会場に響き渡ると、まるで太陽光線が差し込んだかのように、皆の顔がぱっと明るくなった。
荘厳で神々しささえ感じられる信長公と秀吉公とは対照的に、家康公は人間味あふれる人物だった。
家康公からは、苦労を重ねた末に天下を掴んだ者の、深みのある人間味が滲み出ていた。

「あの二人とは全然違うで、俺は自分のこと、そんな特別な人間だなんて思っとらん。」と、家康公がおっしゃった。
「困っとる人がおったら、俺は、どうしても見過ごせねぇんだ。特に女性 は、なんとかしてやらんと気が済まんの。」

最初は、遠州弁の独特なイントネーションに、ちょっと怖いような、近寄りがたい印象を持った。でも、じっくり聞いていくうちに、その語調の奥に、人の温かさとか、親切心みたいなものがすごく詰まっていることに気づいた。

「ところでよ。」家康公は身を乗り出すように言った。
「世間じゃあ、わしが鯛の天ぷら食って死んだってことになっとるみたいだけど、本当は天ぷら食ってから二月も経ってから死んだんだわ。だからみんなにそう伝えとくれんかのぉ。」家康公は言った。
「それは大事な事なんですか?どっちでもいいじゃないですか?」ボクは聞き返した。
「違うら。ほかの武将たちは、討ち死にしたり、切腹したり、大往生だったりするけど、わしだけ鯛の天ぷらで死んだなんて言われたら、恰好悪いじゃんね。」家康公は言った。
ボクとかなうはその滑稽さに笑いを堪えきれなかったが、ライブ配信を通して視聴者へありのままを伝えた。
「徳川家康公の最期についてですが、実際は鯛の天ぷらで体調を崩されてから二ヶ月後、穏やかに息を引き取られたと、ご本人から教えていただきました。」
家康公は、さもご満悦の様子だった。

家康公は、志村さんと竜平さんの爆笑ステージに登場して、顔面白塗りのリアル将軍の姿は、人々の爆笑をかっさらった。歴史を超えた共演に、志村さんも竜平さんも、大喜びだった。お二人とも、心から満たされたご様子だった。
調子に乗りすぎてハメを外してしまった事で、家康公は後で秀吉公から叱られたそうだ。そういう一面からも、人間臭さが垣間見えた。

ボクは、信長公、秀吉公、家康公の事が好きになった。父親の様に慕った。

夢入信志(ユメイリ シンジ)の守り神:
『織田信長公』『豊臣秀吉公』『徳川家康公』

夢入信志の守り神

信長公、秀吉公、家康公は、ボクの守り神として鎮座してくれた。

信長公は、思慮深く未来を貫く先見の明があり、いつも数手先を読んでおり、その洞察力には目を見張るものがあった。
信長公のお陰で、その後のボクの言葉は以前にも増して、核心を射抜く鋭さを持つようになった。占いが適格で「よく当たる」と評判になった。

秀吉公は、非常に真面目で、物静かで、思慮深く、信念のもと、言動に一貫性がある。一言一言に重みがある。
これだと決めた事を貫く強い信念をお持ちで、念じる力がとても強い。
「本当に自分自身に正直だろうか?」そう自問自答せずにはいられなかった。
秀吉公のお陰で、ボクの祈り力は向上した

家康公は、一瞬で人との距離を縮める人心掌握の達人だ。人の苦しみに寄り添い、心の支えになりたいという愛にあふれた人物だ。多くの人々から慕われていたのも頷ける。
家康公のお陰で、人の心に寄り添い癒す力が増して、「親しみやすい」と評判になった。

歴史上の人物に守り神として鎮座してもらえて、ボクは嬉しくなった。
ライブで視聴者の皆さんに自慢した。

「わたしもお祈り会に参加したい。」電話口でのぞみが言った。
かなうと一緒にお空のお祈り会をしている話をしていたら、楽しそうだから自分も一緒に参加したくなった様だ。

問題があった。
のぞみの声はかなうに聞こえても、かなうの声はのぞみに届かない。
ボクにはかなうの声がテレパシーで聞こえるけど、神様の声は直接届かない。

ボクとのぞみをスマホ電話でつなぐ。スマホ電話をスピーカーにする事で、かなうにもママの言葉が伝わる。
ボクとかなうは、テレパシーで会話する。お空の神々との会話は、かなうがボクに通訳してくれる。
こうしてボクたち3人は、何とか繋がり合って、心を通わせることができた。

「ママが来てくれて良かったね。」かなうは言った。
「かなう、よろしくね。」のぞみは言った。
かなうものぞみも、この上なくとても嬉しそうだった。

信長公、秀吉公、家康公も、優しく歓迎してくれた。
志村さんと竜平さんも、ボクたちを応援してくれた。

過去の人生を振り返りながら、竜平さんは言った。「俺にもあのくらいの小さな子供がいたら、あんな雰囲気の家族になれたのかなあ。」
志村さんは言った。「お前、生まれ変わって、家族作ればいいじゃねえか。」

みんなに受け入れられて、のぞみも嬉しそうだった。
「夢の様な時間をありがとう。」少し涙声交じりに、のぞみは言った。
お空からの暖かい応援のエネルギーが伝わって、ボクたちを包み込んだ。幸せな時間だった。

木花咲耶姫と、瓊瓊杵尊

家康公からのお計らいで、日本神話に登場する神様が来てくれた。
富士山の麓、浅間神社の主祭神、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)だ。

木花咲耶姫は富士山の神様として知られており、家康公は富士山を御神体とする浅間神社を篤く信仰していた。
その繋がりから家康公は、富士山の木花咲耶姫をお空のお祈り会にご招待してくれた。

日本の国土を生み出した国産みの二神、伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)。
国産みの二神の御子、日本の山々を司り、自然の恵みをもたらし、人々の生活を守る神、大山津見神(オオヤマツミノカミ)。
木花咲耶姫は、大山津見神(オオヤマツミノカミ)の娘。日本神話における、正統な神様だ。

木花咲耶姫は、『縁結び』『恋愛成就』『子授け』『安産』『火難除け』などのご利益があると言われている。

木花咲耶姫は、まるで咲き誇る桜の花のように、目を奪われるほどの美しさだった。
お空のお祈り会に参加している男性陣は、一斉に色めき立った。志村さんが一番興奮していた。

ボクは気を使った。
木花咲耶姫への興味は確かにあったけれど、のぞみとかなうのことを考えると、その気持ちを表に出すのは控えた。二人の手前、ちょっとね。

火照命(ホデリノミコト)、火須勢理命(ホスセリノミコト)、火遠理命(ホヲリノミコト)、3人の息子さんたちも来てくれた。
有名な、海幸山幸だ。

神話の世界にいるみたいで、ボクは嬉しくなった。

「海幸彦と山幸彦の神話は、本当なんですか?」ボクは聞いてみた。

兄の海幸彦(うみさちひこ)は海で魚を獲る漁師、弟の山幸彦(やまさちひこ)は山で獣を狩る猟師でした。ある日、お互いの道具を交換して漁と狩りを試しましたが、どちらもうまくいきません。
山幸彦が兄の釣り針をなくしてしまい、弁償を求められますが見つかりません。困り果てた山幸彦は、海辺で出会った老人の教えに従い、海の神(海神:わたつみ)の宮へ行きます。
海神の宮で、山幸彦は美しい娘の豊玉姫(とよたまひめ)と出会い、結婚してしばらくの間暮らします。なくした釣り針のことを話すと、海神は魚の喉から釣り針を探し出し、さらに潮を操る力を持つ宝珠(たまで)と干珠(たまで)を山幸彦に与えました。
豊玉姫と共に地上に戻った山幸彦は、宝珠と干珠を使って兄を苦しめ、最終的に兄は山幸彦に従いました。

海幸山幸の神話

「釣り針なくしたくらいで怒らないし、海山独占しないよ。」
「山を独占しないし、復讐なんてしないよ。」
火照命(海幸彦)と、火遠理命(山幸彦)は、順番に答えてくれた。

神話に書かれている内容と、実際とは異なる様だ。

続いて、木花咲耶姫にも質問してみた。
「ご主人の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)との間の神話は、本当なんですか?」

瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)は木花咲耶姫と一夜を共にして身ごもらせましたが、瓊瓊杵尊は「一夜で身ごもるとは、きっと私の子ではないだろう」と疑いました。
これに対し、木花咲耶姫は自らの潔白を証明するため、戸のない産屋に入り、「もし私が本当にあなたの子を身ごもったのなら、無事に生まれるだろう。もし違うなら、焼け死ぬだろう」と誓って火を放ちました。
すると、火の中で無事に三柱の皇子(火照命(ホデリノミコト)、火須勢理命(ホスセリノミコト)、火遠理命(ホヲリノミコト))が生まれました。

木花咲耶姫と瓊瓊杵尊の神話

「瓊瓊杵尊への当てつけに、小屋に火をつけました。」木花咲耶姫は言った。

「木花咲耶姫と瓊瓊杵尊は何千年も夫婦喧嘩を続けてて、お空の世界でも有名なんだよ。」かなうはヒソヒソと教えてくれた。

「ねえ、ちょっと!私にも教えてよ!」のぞみは言った。
神話に出て来る神々とのお話に夢中になって、ついついボクはのぞみをほったらかしにしてしまっていた。
のぞみは日本の神々の知識が少なくて、『木花咲耶姫』『瓊瓊杵尊』『海幸山幸の神話』などを知らない。だから本当は基本から説明する必要があったのだが、ボクは神々とのやり取りに夢中になり、のぞみの事を後回しにしてしまっていた。
「ゴメン、後でまとめて教えるから。」ボクは言った。
「わかった。じゃあね。」のぞみはそう言って、電話を切ってしまった。

場の雰囲気が一瞬で凍り付いた。ボクは、ハッと我に返った。
「ママ冷たくされて、怒って電話切っちゃったね。」かなうは言った。

「どうしよう、かなう。神様、どうすればいいですか?」焦ってボクは言った。普段人にはアドバイスしているくせに、自分の事がうまくいかなかった。

「しゃんねえなあ。」家康公が言った。

信長公は、ボクに何かを教えようとするかのように、優しく語りかけてくれた。
「謙虚さが大切ですよ。ありがとうございます。おかげさまの気持ちで。いい男にならなきゃ。心がピカピカで、素直な男になりなさい。自分が偉くなりすぎない様に。」

ボクが信長公に諭されている様子を見て、秀吉公は生前の当時を思い、懐かしむ様な優しい表情になった。

信長公は、深みのある鋭い眼差しで続けた。
「人に当たることがある。人のせいにしている。人を遠ざけてるのは自分。自分から切ってる。だから、ふられちゃった。」

信長公のおっしゃったことは、ボクを心底納得させてくれた。しかし、それを素直に認めたくない気持ちが邪魔をして、ボクの心は複雑にねじれてしまった。

そんなボクの気持ちを察してくれたのか、木花咲耶姫は続けて言った。
「恋をしていると、相手の事がよくわからないものです。好きだからこそ、わからなくなる。」
「相手の気持ちが分からないから、思いやり、いつくしむのが恋愛なのですよ。分からないのは、寄り添ってないから。実践してないから。彼女も自分の気持ちがわからないのです。」

木花咲耶姫の言葉は、その美しい容姿と相まって、ボクの心を優しくなでで、不安な気持ちを解きほぐしてくれた。
「ボクは彼女に対してどうすれば良いのですか?」ボクは言葉を押し出した。

「大丈夫。話し合うと、うまくいいきますよ。せっかくのご縁ですから、大切にして下さい。好きだからこそできる。それが愛です。愛って無くなって初めて気づくのですよ。彼女が寄り添わなかったら、あなたが寄り添いなさい。意地張ってないで、素直になりなさい。」

木花咲耶姫の奏でる笛の音色の様な言葉に聞き入りながら、ボクは色々と考えさせられた。

その夜は考えがグルグル渦巻いて、頭の中がまとまらず、結局彼女に電話できなかった。
「無神経でした。ごめんなさい。」とだけDMした。彼女からの返事は無かった。

「おはよう。」翌朝かなうはボクの耳元で明るく朝の挨拶をしてくれた。
「今日も頑張ろう!」かなうは言った。健気な愛らしさが、心に沁みた。

「家康公が、ママのところに行ってくれたんだよ。」かなうは言った。
「ママの夢の中で、家康公が現れて、お話してくれたんだよ。」

「あいつぁ、女心は分からんタワケもんじゃ。だけんど、根っこはまっすぐでええヤツだに。あいつなら、まず間違いねえだよ。わしが太鼓判押しといてやる。だから、戻ってきてくりょう。あいつも、ちゃんと反省して待っとるで。」家康公からのぞみに伝えてくれたそうだ。

かなうはさらに、付け加えた。
「家康公は地上で生きていた頃から、『しゃんねえなあ。』って言って自分を戒めながら、頑張ってきたんだって。遠州弁はちょっとガラが悪く聞こえるかもしれないけど、愛がいっぱい溢れてるね。」

色んな感情が沸き上がって、ボクは声を出して泣いた。
「よしよし。いい子いい子。」小さいかなうに優しくされて、ボクはもっと泣いた。

その日のお空のお祈り会に、のぞみは帰って来てくれた。
「ごめんなさい。帰って来てくれてありがとう。」ボクは心からの謝罪と感謝の気持ちを伝えた。
2人の間を取り持ってくれた、家康公と信長公、木花咲耶姫にも、心からの感謝を伝えた。神様に救ってもらえた。ボクは嬉しかった。

のぞみの守り神:
『龍神:高龗(タカオカミ)』『木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)』

瑞穂のぞみの守り神

木花咲耶姫は、のぞみの守り神として鎮座された。
そのおかげで、のぞみにも神様の声が少しずつ聞こえるようになってきたみたいだった。のぞみも嬉しそうだった。

「今日は、スペシャルゲストが来てるよ。」かなうは言った。
「えっ!?誰だろう?」ボクは言った。
瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が来てくれたよ。」かなうは言った。

瓊瓊杵尊の不注意な一言で、木花咲耶姫との夫婦関係がこじれて、それ以来何千年もの間、和解できずにいた。お空では有名な話だ。

「何千年私が頑固で、皆様すみません。」瓊瓊杵尊は開口一番会場の皆さんに謝罪した。
「その言葉を待ってた。」木花咲也姫は言った。息子さんたちも、父の帰還を歓迎してくれた。

「つまらないプライドで、謝るタイミング失っていました。姫の事を信じていて好きだけど、何でもっと早く言えなかったんだろう。」
「私はワンマンで、本当は自信がなくて自分がちっぽけに感じられて、そんな中、美しい姫を一目で好きになったのです。」
「本当に大切な人を大切にできなかった。つまらない意地を張らない生き方が良い。近くにいる人ほど大切にします。」
「姫の心良くなるまで、富士山で一緒にいます。気持ち岩の様に変わらない。」

雲一つない晴れの日の青空の様に清々しい瓊瓊杵尊の言葉に、会場の皆の心も晴れ渡り、何千もの拍手が空いっぱいに鳴り響いた。

神話の2人と、ボクたち2人。2組の愛が再び結ばれた。

その日から、木花咲也姫と瓊瓊杵尊、火照命、火須勢理命、火遠理命は、毎日御家族で来てくれた。

「大昔から富士山は度々火山爆発を起こして、大勢の人々が亡くなったんだよ。何億人だよ。」かなうは言った。

富士山からも、浮かばれない御霊が毎日千人ずつ来てくれた。
ボクは心を込めて日々のお祈りを続けた。

病は気から

そんな日々を送っていたあるとき、ボクはひどく体調を崩してしまった。
左の背中に鈍痛があり、夜も痛くて眠れない。

それでもお空のお祈り会は毎日続けていたが、参加者と神々は少なめにしてもらった。
急速に増加していく人々の数に、ボクの身体と心がだんだんと追い付けなくなっていたのかもしれない。

ネットで調べてみると、『腎臓や肝臓の障害』『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』『膵炎』『胃がん』『胆のう炎』『胆管炎』などなど、嫌な情報がいっぱい出てきて、痛みと相まってボクはどんどん憂鬱になっていった。

神様に相談してみると、健康診断を勧められた。

ボクは正直、病院が嫌いだ。あの独特な薬品臭い雰囲気が苦手なのだ。
だけど、そんな事言ってられない程、痛みは酷かった。

病院に予約の電話を入れて、健康診断を受診した。
身長・体重、尿検査、血圧、心電図、血液検査。
4つの異なる検査のため、4本の採血管に分けて採血された。
詳しく診てもらいたかったので、胃カメラも初めて飲んだ。

病院嫌いのボクは、まるで流れ作業のラインに乗せられた部品になった気分だった。無表情に、機械的に、医師と看護師の指示に従った。

「詳しい結果は、2週間後」との事だった。ボクの心は、冬の乾いた白樺の表皮の様だった。

2週間後、結果を聞きに病院に行った。
「問題なし。」「問題なし。」「問題なし。」・・「すべて、問題なし。」
医師の言葉に、ボクは頭が真っ白になり、茫然とした。
体の不調は気のせいだったのだろうか?いや、そんなはずはない。混乱した頭で、ボクは医師に何度も同じことを聞き返し、説明を求めた。
答えは同じだった。ボクの心は空気の抜けた風船みたいになった。

「ジイジが、治してくれたんだよ。」かなうは言った。
「えっ?どういうこと?」ボクは聞き返した。

かなうのジイジ、つまりのぞみの父は、かなうが亡くなるよりも10年ほど前に亡くなっていた。
生前は、医学部の大学教授で、麻酔科医だった。
アメリカやアジアの学会で論文を発表して、世界的にも名が通っており、しかも名医としての定評があった。のぞみもご両親と共に人生の最初の頃を長い間海外で暮らした。
最期の瞬間、病院でのぞみとバアバが見守る中、ジイジは激しい痛みに苦しみ、大量の出血を伴う大動脈瘤破裂によって、血の海の中で息を引き取った。のぞみは高校生だった。

ジイジは生前、バアバと約束していた。
「キミが亡くなるまで、三途の川で釣りして待ってるから。」

バアバとの約束を守るため、ジイジはお空で暮らす事にした。
工務店に依頼して、注文住宅を建ててもらった。煉瓦造りのこだわりの平屋建て4LDK。
バアバの為に用意したお部屋は、今はかなうのお部屋になっている。
キングサイズのベッドの真ん中で、小さいかなうは寝てる。

生前医師だった人々は、お空の上でも医師会のメンバーになるそうだ。
内科医、外科医、整形外科医、産婦人科医。ジイジは元々麻酔科医だ。

かなうが亡くなった後で、のぞみが2年間お世話になった精神科医の先生も、数年前に亡くなられていて、お空で医師会のメンバーになっていた。

「ジイジとお空の医師会の皆さんが、治してくれたんだよ。」かなうは言った。
「そうだったの!?お礼言わなきゃいけないね!」ボクは驚嘆した。
「そういえば背中の痛みがいつの間にかが楽になってるんだよ。」ボクは嬉しくなった。

ボクのスピリチュアルスキル『病気平癒祈願』が、パワーアップした。

夢入信志の、スピリチュアルスキル:
『天使の言葉』『病気平癒祈願』『先祖供養』『水子供養』

夢入信志の、スピリチュアルスキル

じいじと医師会の皆さんは、ボクのお客さんの症状まで診てくれる様になった。
症状が楽になったと、ますます評判になった。

アラハバキ

後で知ったことだが、かなうは神々にお手紙を出してくれていたそうだ。

かなうとボクが、お空のお祈り会を開催していて、たくさんの人々の魂が解放されて天国に召されていっている事は、八百万の神々も聞き及んでいたそうだが、

「だからといって、自分からホイホイ出向くのも、どうもね。」
アラハバキは、そんな風に言いながら、来てくれた。

『お空一丁目のジイジとかなうのお家で、お祈り会やってます。神さま来てください。』
少女が一生懸命書いた可愛いお手紙を受け取ったので、「お招きいただきありがとう」と言って、来てくれたそうだ。
神様も可愛いところがあるんだなと、ボクは思った。

アラハバキは、日本各地で信仰された謎多き神様だ。特に東北地方で色濃く信仰されていたことが知られている。
アラハバキは日本の古代信仰において重要な位置を占めるにもかかわらず、多くの謎に包まれた魅力的な神様だ。

ハーちゃんって、呼んでください。」アラハバキは言った。
かなうの通訳を通しているからなのか、アラハバキはとっても可愛らしいキャラクターの様にボクには感じられた。

アラハバキは最古の神で、神々は皆アラハバキを知っている。
偉大な神ほど、お空の天国より上の、高いところにいるのが通常だそうだが、アラハバキは下界にいる方が居心地良いそうだ。

アラハバキという名も、古代の人々が付けてくれた呼称だそうだが、堅苦しいので『ハーちゃん』と呼んでほしいとの事だった。

アラハバキが謎多き神と言われる理由は、古い文献にほとんど記録がなく、口伝や民間信仰として伝えられてきたため、詳細が不明なのだそうだ。

「日本の神話にも記載されていますよ。思金神(オモイカネ)って言います。」ハーちゃんは言った。

思金神(オモイカネ)は、日本神話に登場する知恵の神様です。天照大神が天岩戸に隠れた際に、どうすれば出てきてもらえるか策を練った神として知られています。
高皇産霊尊(タカミムスビ)の子とされています。
天岩戸の他に、国譲りの際には派遣する神々を選定したり、邇邇芸命(ニニギノミコト)の天孫降臨の際に随伴し、サポート役を務めました。

思金神(オモイカネ)について

思金神(オモイカネ)と言えば、日本の最高神とされる天照大御神やほかの八百万の神々とも深い関りがある神様だ。
造化三神の一柱、高御産巣日神(タカミムスビ)の子とされているが、「高御産巣日神の子ではありません。私は、私です。」ハーちゃんは言った。

日本の神話よりもはるか昔、数十万年の時を生きる最古の神を完全に理解することは難しいと感じながらも、ボクは不思議なことに、ハーちゃんに対して親近感を抱いていた。

ハーちゃんは、縄文時代の遮光器土偶の姿をしており、身長170センチのボクを10倍ほど巨大にしたような大きさだった。

遮光器土偶が何のために作られたのかについては、長年にわたり様々な仮説が提唱されてきた。

  • 安産や子孫繁栄:女性を形どっている事から。

  • 豊穣・生産祈願:同じく、女性を形どっている事から。

  • 呪術・祭祀儀礼:共同体の祭祀儀礼に使われたのではないかという説。

  • 宇宙人・異星人:宇宙服のゴーグルに似ている事から。

諸説ある中で、遮光器土偶は、実はアラハバキ、すなわちハーちゃんの姿を象ったものだったのだ。
日本全国で土偶や埴輪が出土するところを見ると、広く当時の人々に親しまれ、敬われていた事をうかがい知る事ができる。

「どうしてそんな姿形をしてるんですか?宇宙服を脱いだら、中から素敵な王子様が出て来るとか?」ボクは聞いてみた。
「いえいえ、これが私の姿そのものです。服を着ているわけではありません。」ハーちゃんは言った。
「宇宙人なんですか?」ボクは聞いた。
「宇宙人と言えば、宇宙人ですね。」ハーちゃんは言った。

「あなたのお役目は、人々に愛を注ぐ事。あなたのいいところは、笑顔です。綺麗な言葉で紳士的に淡々と伝えてあげてください。きっと世間がついてくるでしょう。物事の一面だけ見ないで、多面的に見る事が大切です。人の心がフラットで綺麗であれば、きっといいところも見つかるはずです。」
ハーちゃんは続けた。「人は珍しい変わったところに行きたがりますが、すぐに飽きるもの。これまで通り現状維持して、長くいく事が大切。あなたには力があるから。信じてください。」

ハーちゃんの話す言葉は、まるで空気のようにさりげないのに、核心を射抜いていた。
ハーちゃんの生き方そのものが、ボクにとって一つの幸せの形なのかもしれないと、ぼんやりと感じた。

夫婦和合の神でもあるハーちゃんは、のぞみの事も教えてくれた。
「のぞみさんは、器用な人ではありません。認められるためにすごい努力をされています。努力が実り、人々から応援されていますね。」

ボクの守り神に、『アラハバキ(ハーちゃん)』が加わった。

夢入信志の守り神

ハーちゃんは、ボクの守り神になってくれた。
夫婦和合、つまり仲直りプロフェッショナルだ。心強い仲間が増えた。

ボクは、スピリチュアルスキル『夫婦和合』『子宝祈願』『安産祈願』
を手に入れた。

夢入信志の、スピリチュアルスキル

三貴神

三貴神とは、日本神話に登場する伊弉諾尊が黄泉の国から帰って禊(みそぎ)をした際に生まれ、最も尊いとされた三柱の神々のことです。
具体的には、太陽神の天照大御神(アマテラス)、月の神の月読命(ツクヨミ)、風神・海神の須佐之男命(スサノオ)を指します。

三貴神について

天照大御神(アマテラス)

「今日は、新しい神様が来てくれたよ。アマテラス。」かなうは言った。

「かなうちゃんから可愛いお手紙を頂いたので、来ました。」
天照大御神(アマテラス)は言った。

天照大御神は、『所願成就』『開運』『国家安泰』『産業発展』『運気上昇』『邪気払い』などのご利益があると言われている。

最古の神であるアラハバキ(ハーちゃん)は、神々の誰しもが知る存在だ。
そのご縁で、日本の最高神とされる天照大御神が来てくれた。
一生懸命書いたお手紙を読んでもらって、かなうも嬉しそうだった。

天照大御神は、空一面に広がる太陽の偉大な自然の美そのものであり、七色の光を頭部全体から放ちながら、息をのむほど美しく優しいお姿だった。
お空のはるか上空、大気圏のあたりから、優しい眼差しを向けてくれた。

「あなたのお役目は、お導きの仕事。人々から尊敬され、若者からお手本にされるような。今はそういう人いないから。人々皆の幸せ願ってあげてください。」天照大御神は言った。

「あなたは神に近い存在だからこそ、優しい人でいてください。」
「今の世の中、人々は厳しいものを求めていません。優しさを求めているのです。」
「正論は人を傷つけるのです。優しく、常に気持ちは一定で。相手に寄り添った答えを伝えてあげなさい。」
「すぐに結果がでないかもしれません。応援される人になってね。」

太陽のぬくもりが、まるで羽毛の布団のようにボクのハートを優しく包み込み、心の奥底までじんわりと温めてくれた。

その日から不思議と日差しが注がれる様になった。
ライブ配信をしている時も。曇りの日にちょっとお出かけした時も、ふと晴れ間が広がり、温かい陽の光を降り注いでくれた。
「今日もアマテラスが来てるよ。」その度にかなうは教えてくれた。

須佐之男命(スサノオ)

「今日は、スサノオが来てくれたよ。」かなうは言った。

須佐之男命(スサノオ)は、奥様の櫛名田比売(クシナダヒメ)とともに来てくれた。
朱色の肌で歌舞伎役者の様ないで立ちで、怖い見た目とは裏腹に、思慮深く落ち着いた雰囲気があった。

須佐之男命は、『縁結び』『夫婦円満』『必勝祈願』『厄除け』『疫病退散』『災難除け』などのご利益があると言われている。

どうやら偉大な神々は、大気圏のあたりから空一面を覆いつくすサイズ感の様だ。
須佐之男命は荒くれものだという先入観があったが、実際にお会いしてみると、理知的で聡明な印象だった。どこか信長公の雰囲気に似ていた。

「信長の守り神は、牛頭天王。つまり私だったのだ。」
須佐之男命は教えてくれた。

信長公は、須佐之男命に守り神として導かれ、天下統一への道を切り拓いたのだ。過去から現在、そして未来へと繋がる壮大な歴史を、肌で感じた。

ボクは、『国譲り』について聞いてみた。

神話における「国譲り」は、須佐之男命の子孫である大国主神が治めていた豊葦原瑞穂国(日本列島)を、天照大御神の子孫である瓊々杵尊(ににぎのみこと)に譲り渡すというストーリーです。

国譲り

「『国譲り』では、天照大御神の一族が、須佐之男命の一族から、無理やり力ずくで国を奪った様な描写がされてるとボクは思ったのですが、神様同士でそんな事されたんですか?」ボクは聞いた。

「今も昔も、組織は長く続くと腐敗していくものだ。双方合意の元、国譲りを行った。終始和やかな雰囲気で行われ、争いは無かった。」
須佐之男命は教えてくれた。天照大御神も当時を振り返り、優しい眼差しで微笑んでいた。

「神様はみんな、仲良しなんだよ。喧嘩なんかしないよ。」かなうは言った。

「今の世界全体を良くしようと考えるのは、無理だろう。」
須佐之男命は続けて言った。
「政治家も、宗教の教祖も、皆元々素晴らしく、能力ある人物だった。しかし皆が皆、金に溺れて衰退した。」
「代表偉くなってるとこ、すべて潰れる。偉くなりすぎない。できるひとが、上に立つ人。」
「夢入殿は宗教は嫌いだと思うが、この先10年、あなたを慕う良い人々が3千人が集まるようにしなさい。」
「周りを変えるのは無理だと悟れ。一人一人が正直にならないといけない。一人一人が塚となり、良い人の集まりを築け。」

ボクは須佐之男命から、未来への道筋を指し示された。
ビジョンが明確になり、やるべき事がハッキリと見えた気がした。

月読命(ツクヨミ)

「今日は、ツクヨミが来てくれたよ。」かなうは嬉しそうに言った。
三貴神に優しく可愛がってもらえて、かなうも幸せそうだ。

月読命(ツクヨミ)は、『眼病平癒』『開運』『厄除け』『安産』『海上安全』などのご利益があると言われている。

三貴神の一柱であるにも関わらず、日本の神話には、月読命に関する記述がほんの少ししか無い。
文献に記載がない神の事は、誰にもわからない。

「神話に出てこないのは、出しゃばりじゃないからだよ。存在感ある人が前に出ると嫌味になるんだよ。」月読命にかわって、かなうが教えてくれた。
「高天原の君主のアマテラスにとって、ツクヨミは国政を補佐する宰相の立場なんだよ。君主を盛り立てて、自分は控えてたんだよ。」

「運を運びに来た。」月読命は言った。

月読命が生まれる前から、月神信仰はすでに存在していたらしい。
月読命は、『月』だけでなく、幸運の『ツキ』も司る神との事だ。

「あなたはこれまで、運が悪かった。運が滞っていると、物事をマイナスに受け取りがちだ。」月読命は続けた。
「開運の鍵は、心穏やかに優しく。最後まで成し遂げる事が大切。」
「あなたは、温室育ちのところがある。ちょっとのことで、ぐらつく。自分の意志は貫き通す。その上で、人の話を聞き入れる事が大切です。」

夜の深い闇の中で、一筋の優しい月明りが差し込む様に、月読命の柔らかな光は、まるでボクの心をそっと撫でるように、深く染み渡り、じんわりと癒していった。

「ライブ配信の際に、天照大御神が来てくれると、明るい陽射しが降り注ぐので、視聴者も気づきます。夜はカーテンを閉めますし、月の光は届かない。視聴者にもわかりやすく、月読命の存在を示してもらえませんか?」
ボクは思い切って言ってみた。

その夜のライブ配信で、のぞみは言った。「信志さんの顔全体が、明るく照らされてるよ!」

まるで満月のように、内なる光が溢れ出し、ボクの表情を明るく照らしてくれた。

感謝の言葉

三貴神から、感謝の言葉をいただいた。

今から数千年ほど前から、お空の世界に、魂を解放する事のできない無念の人々が増え始めた。八百万の神々はあらゆる手を尽くしてきた。
しかし、魂が解放される人数よりも、お空の新たな人口が増え続け、今に至ったそうだ。

八百万の神々にも成しえなかった事を、ボクは対処できて、とても誇らしく思った。

ボクの守り神に、『天照大御神(アマテラス)』『月読命(ツクヨミ)』
『須佐之男命(スサノオ)』が加わった。

夢入信志の守り神

三貴神も、ボクの守り神として導いて下さる事になった。

初デートは、古都の彩

新緑が目に鮮やかな6月のある日、昨日までの長く続いた雨は噓の様にやんで、空はどこまでも晴れ渡る。
ボクたちの物語は、始まった。

新幹線を降り立ち、懐かしい京都の空気を吸い込むと、心臓が少しだけ早鐘を打った。京都駅烏丸中央口改札を出て、まっすぐに『京都タワーホテル』に向かう。今夜の宿泊場所だ。8階フロントが、ボクたちの約束の場所だ。
人混みを縫うように足早に進むと、遠目に彼女の姿が見えた。

「こんにちは。」ボクは言った。
「こんにちは。」照れくさそうに、のぞみも返した。
画面の中ではいつも会ってるのに、こうして実際に会うのは初めてだ。
だけど、初めて会った様な気がしない。気持ちを確かめ合う様に、微笑んで目線をからめあった。
画面の中で見慣れたはずの彼女の笑顔が、古都の趣の中でひときわ輝いて見えるのは、きっと気のせいじゃない。

白いワンピースが、まるでそこに一輪の花が咲いたようだった。
彼女が身に着けている洋服は、彼女が手掛けるアパレルブランド「Fairy Girl(妖精の少女)」の製品で統一されていた。
「Fairy Girl」の洋服は、複数のパーツを縫製する一般的な洋服とは異なり、その特徴として、できる限り一枚の布で仕立てることで、素材本来の美しさやシルエットを際立たせている。
縫い合わせの部分が少な目で、全体的にゆったりと余裕をもたせてあり、着物の様な柔らかな印象だ。「Fairy Girl」の鞄も同様に、一枚の革から造られている。その斬新なデザインは、ゆったりとしたアンティークの様な上品さを兼ね備えている。

「良かったらこれ、プレゼントです。」のぞみはボクに、小さな紙袋を手渡した。
「ありがとうございます!」と言って中身を開けてみると、革製の小銭入れが入っていた。ダークブラウンの落ち着いた色調で、イギリスで見た中型のリスの様な、お尻がぽっちゃりとした形状だ。ボタンを開けてみると、中は意外と広い事がわかった。
ボクは早速小銭を移し替えて、「すごくうれしいです。大事に使います。」と言いながら、大切にポケットにしまった。

フロントに荷物を預け、徒歩で少しだけ北方向に移動して、ランチを予約しておいた、『漬け野菜 isoism』に入る。ボクとのぞみは、「isoismのおひるごはん」を注文した。
”漬け野菜12種盛りプレート”+”季節の野菜スープ”+”季節の土鍋ご飯”の、お得なセットだ。このお店は漬け野菜が売りらしい。
みょうが、ごぼう、トマト、ちんげん菜、きのこ、セロリ、ズッキーニなどの12種類の野菜を、松前漬け、辛みそ漬け、赤ワイン漬け、オイスター漬け、クランベリー漬け、オレンジ漬けなど12種類の漬けにして、むし鶏、えび、京ゆば、真だこ、かつおタタキ、生ハムなどに添えて、4×3のマス目にきれいに並べられている。漬け野菜が調味料の役目も果たしている。メニューもマス目で書いてあって、わかりやすい。
のぞみにとっての旅の目的は、アパレルブランド「Fairy Girl」の新たなインスピレーションを得る為でもある様だ。
野菜盛りの種類や色味や香りなどの雰囲気を楽しみながら頬ばるのぞみに対して、ボクは一つ一つの野菜盛りとメニューを照らし合わせながら、フムフムと味わう。
「そんなに一個一個観察するの!?」笑いながらのぞみはボクを見ていたが、ボクは真剣だ。中身が気になるんだからしょうがない。
”季節の土鍋ご飯”の蓋をあけると、フワッと湯気が立ち込めて、ご飯と鮭と葱ときのこの絶妙なバランスが、口の中を巡っていく。
”野菜スープ”の初夏の香りと温もりが、胃袋に小休憩をくれた。

徒歩で京都駅に戻り、北口バスターミナルで、少しの間バスを待つ。
市バスに揺られながら、車窓から見える京都の街並みを二人で眺めた。バスは北上してから、四条通を西へ西へと進みだした。古い家並み、趣のある看板、そして時折見かけるお寺の屋根。古都の風景は、学生時代四年間過ごした懐かしい記憶と結びつき、ボクの心に温かいデジャブのような感覚を呼び起こした。彼女は、目に映るもの一つひとつに、静かに感動しているようだった。その横顔を見ていると、言葉を交わさなくても、心が通じ合っているような気がした。

梅宮大社

梅宮大社には、神苑と名付けられた、息をのむほど美しい庭園が広がっている。それは、神々が遊んでいるかのような、雅な空間だ。池の畔の紫陽花は、まるで雨上がりの虹をそのまま写し取ったかのように、鮮やかな色彩を放ち、今まさに最も美しい瞬間を迎えていた。
彩の中で彼女の姿はますます輝いて見えた。

主祭神は、山の神:大山津見神(オオヤマツミ)
その娘:木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)と、娘婿:瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)。そして、孫の火遠理命(ホヲリノミコト)が、祀られている。

大山津見神は、『家内安全』『子孫繁栄』『商売繁盛』などのご利益があると言われている。

鹿屋野比売神(カヤノヒメ)も、来てくれた。
鹿屋野比売神は大山津見神の妻で、野の神、草原の神として知られている。
『縁結び』『安産・子育て』『病気平癒』『健康長寿』『家内安全』『家屋守護』『五穀豊穣』『農業守護』などのご利益があると言われている。

のぞみの守り神になってくれた木花咲耶姫にとっては、里帰りの様なものだ。火遠理命(ホヲリノミコト)の二人の兄、火照命(ホデリノミコト)、火須勢理命(ホスセリノミコト)も、来てくれた。
娘夫婦と孫たちの帰省に、大山津見神と鹿屋野比売神は、優しく懐深く迎え入れてくれた。

鹿屋野比売神は、穏やかな微笑みを浮かべ、集まった家族を見渡しながら、感慨深げに言った。「こうして皆が集うのは、実に久しぶりのこと。この機会を設けてくれたのは、他でもないあなた方のお陰です。心から感謝いたします。」

大山津見神と鹿屋野比売神は、ボクたちに丁寧に頭を下げて挨拶してくれた。山の上から吹き下ろす清らかな風が、そっとボクたちの頬を撫でたような、優しい感覚に包まれた。ボクたちもまた、静かに両手を合わせ、感謝と敬意を込めて祈りを捧げた。

鹿屋野比売神は、そっとボクたちの目の前に来て立ち止まり、のぞみを慈しむように包み込んでくれた。のぞみに生命エネルギーが満ち溢れ、いっそう輝きを増したように、ボクには見えた。

のぞみの守り神に、:『鹿屋野比売神(カヤノヒメ)』が加わった。

瑞穂のぞみの守り神

松尾大社

古都の風情を乗せて走る市バスに揺られながら、桂川を越えて次の物語の舞台、松尾大社へと向かった。

松尾大社の松風苑三庭は、昭和時代を代表する現代庭園として有名だ。
蓬莱の庭の見事な池は、まるで翼を広げた優雅な鶴のようだった。そびえる岩は、大海に浮かぶ仙人の住む不老不死の理想郷「蓬莱」を彷彿とさせる。つがいの親亀は甲羅に子亀を乗せ、ゆったりと水面を漂っていた。
曲水の庭は、平安の世、雅やかな王朝文化に生きた貴族たちが愛でた、風流な遊びの情景を映し出していた。自然の川の流れを模した曲線的な水路を持つ庭園で、隆盛を極めた当時の貴族たちの華麗な暮らしぶりを、静かに物語っているようだった。
上古の庭は、神社後方の松尾山頂上近くにある磐座(いわくら)を模して造られた。中央に鎮座する二つの巨岩は、御祭神である男女の二柱そのものであり、それを取り囲む数々の石は、お供をする多くの神々のお姿を、それぞれの巨岩が象徴的に示している。
息をのむほど美しい庭園の景色が、ボクとのぞみの目に焼き付いた。

松尾大社の御祭神は、大山咋神(オオヤマクイ)と、市杵島姫命 (イチキシマヒメ)

大山咋神は、山の地主神であり、また、農耕(治水)を司る神とされる。
『家内安全』『縁結び』『商売繁盛』などのご利益があると言われている。
大山咋神は、大山津見神のひ孫であり、また須佐之男命の孫にあたる。

市杵島姫命は、天照大御神と須佐之男命の「うけい」によって生まれた三柱の女神のうちの一柱で、海の神、航海安全の神とされる。
『美容健康』『水難守護』『航海安全』『芸能・技芸上達』『商売繁盛』『技能向上』などのご利益があると言われている。

悠久の時を生きる神々は、ボクたち人間とは異なる時間軸で存在している。
彼らを捉えるには、数百年、数千年という時の流れを生きる、不老不死の存在として想像力を広げる方が、その本質に近づけるのかもしれない。

「これからあなた方に、豊かさと繁栄の恵みを授けよう。」
大山咋神は、背中をそっと力強く押してくれるような声と、温かくも頼もしい眼差しで、ボクを見つめてくれた。
揺るぎない自信に満ち、雄大で温かい、力強いエネルギーが、ボクを包み込んだ。
「汝の力を、家族のため、世のため、そして人々のために、惜しみなく注ぎなさい!」大山咋神は、力強い言葉を放った。

「市杵島姫命は、ママによく似てるんだって。」かなうはコッソリとボクに耳打ちしてくれた。
市杵島姫命は、まるで鏡に映った自分の姿を見るように、のぞみが自分と瓜二つだと教えてくれた。
「のぞみさんは、繊細な心を持つ情熱家でありながら、自身に対してはストイックな厳しさを抱えています。時に手厳しい言葉が飛び出すこともありますが、その根底には面倒見の良さが隠されています。負けん気の強さと論理的な思考を持ち合わせ、自身の利益だけでなく、周囲への貢献も重視します。
相手の心情を鋭く察知する能力に長け、場を和ませる協調性と、困っている人を放っておけない親切心の持ち主です。人の好き嫌いははっきりしており、効率を重んじるため無駄を嫌い、物事を深く考察するタイプです。
そして、一度心を許した相手には、長く変わらない愛情を注ぎます。」

のぞみの守り神に、:『市杵島姫命 (イチキシマヒメ)』が加わった。

瑞穂のぞみの守り神

松尾大社を参拝後、境内にある『甘味処 団ぷ鈴』に立ち寄った。
「英語の『dumpling(団子)』から取ってるんじゃない?」のぞみが言うので、注文を取りに来た店員のお姉さんに聞いてみた。「良くお分かりですね。」と微笑みながら答えてくれた。このお店は、松尾大社で長年愛されてきた店とのことだ。

二人そろって、きなこ団子(3本入)と抹茶セットを味わいながら、神々からいただいた温かい言葉の数々と、目に焼き付いた息をのむほど美しい庭園の景色を思い返した。

市杵島姫命の言葉を通して、ボクはあらためて、のぞみの本質を知る事ができた。ボクはますます、のぞみが好きになった。

月読神社

松尾大社の境内を後にして、新緑の松尾山を右手にそっと見上げながら、ボクたちは歩を進めた。細い路地を緩やかに歩くこと五分。やがて、ひっそりと佇む月読神社の姿があらわれた。

そもそも、この旅の大きな理由の一つは、どうしても月読命にお目にかかりたかったからに他ならない。

以前ボクは、月読命に聞いた事があった。
「月読命を祀る神社は、どこにありますか?」
「京都と、神奈川にある。」月読命は答えてくれた。

マップで調べると、京都の月読神社は、松尾大社の摂社だという事が分かった。そして、そのすぐ近くには、梅宮大社も静かに佇んでいる。

「大山津見神と大山咋神にも関わりがあったのですか?」ボクは聞いてみた。
「深い関りがあったのだ。」言葉少なに、月読命は答えてくれた。

京都に来て、月読命の神社の御前に立ち、ボクは深い息をのんだ。
「やっと、来ましたよ。」ボクは、感慨深く呟いた。

静寂の中、いにしえの光とともに月読命が姿を現してくれた。その傍らには、山々の恵みを司る大山津見神と、地の恵みを司る大山咋神が、共に鎮座されていた。

「古の神代、大山津見神、大山咋神と共にこの地を治め、豊穣をもたらした。これよりは、あなたたちの行く末を照らそう。」月読命は、静かに、しかし力強く告げた。

月読命にいざなわれ、二柱の神々は、優しくも力強い光を放ちながら、ボクの周りをゆっくりと巡り始めた。やがて、ボクの魂の奥深くに、守り神として静かに鎮座された。

ボクの守り神に、『大山津見神(オオヤマツミ)』と
『大山咋神(オオヤマクイ)』が加わった。

夢入信志の守り神

ボクは、スピリチュアルスキル
『家内安全』『子孫繁栄』『縁結び』『商売繁盛』を手に入れた。

夢入信志の、スピリチュアルスキル

京都タワー

市バスに揺られ京都駅へ到着したボクたちは、京都タワーホテルへと向かった。
京都タワーホテルを一泊2食付きで予約していた。部屋は別々にとった。
8階のフロントでチェックインを済ませ、預けていた荷物を受け取り、それぞれの部屋へ。
少ししてから、3階にあるビュッフェレストラン:タワーテラスで夕食をいただく。
京都らしさを感じる、おばんざいやお漬物。和洋とアジアンフードのビュッフェに舌鼓を打ちながら、ボクたちは今日一日を振り返る。
旅の疲れと空腹を満たすべく、ボクは何度も立ち上がり、京の料理と多国籍の料理を頬張った。のぞみも楽しそうに笑って付き合ってくれた。

食事が終わると、京都タワーの展望台に上る事にした。
6月の京都の日没は、19時過ぎ。ちょうどいい頃あいだ。
京都は美しい景観を守るために、高層ビルの建築を厳しく規制している。
そのおかげもあって、山々に囲まれる京都市内全体を見渡せる。360°パノラマビューだ。
ボクとのぞみは眼下に広がる京都市街を眺めながら、今日辿ってきた道のりを回想し、明日の旅の計画を確認しあった。
ゆっくりと沈みゆく夕日を眺めながら、ボクたちは京都の街並みに、ひとつ、またひとつと明かりが灯される風景を、ぼんやり見守った。

ボクたちはそれぞれのホテルの部屋に一旦戻り、一日の疲れを癒す様にお風呂に入った。
その後で、ボクは日課のお祈りを始めた。のぞみもボクの部屋に来てくれた。

「かなう、今日一日静かだったね。」ボクは言った。
「ずっと見守ってたんだよ。ママと楽しそうだったね。」かなうは答えてくれた。「お邪魔虫は、静かにしてたんだよ。今日もお祈り、お願いします。」かなうは照れくさそうに、それでいて嬉しそうに言った。
「かなう、今日も一日ありがとう。会いたかったよ。」のぞみは少し涙ぐみながら言った。
二人のやり取りを微笑ましく見守りながら、ボクは言った。「それでは、お祈りを始めます。」
今日の旅路で巡り合った神々と、明日訪れる神々も、まるで祝福するかのように、ボクたちの周りに集まってきてくれた。

お祈りの後で、ボクたちはライブ配信を始めた。
ボクは椅子に腰かけテーブルにスマホをセットした。のぞみは壁際の机から参加してくれた。
ボクと同じ部屋の中にいても、やっぱりのぞみの目には、かなうは映らなかった。だけど不思議なことに、画面を通して見ると、かなうの姿ははっきりと認識できた。
ボクとのぞみと、かなう。三者で対談する様に今日の旅を振り返りながら、京都の夜のライブ配信は盛り上がった。

建勲神社

翌朝7時に、ビュッフェレストラン:タワーテラスで待ち合わせ。
今日ののぞみは、薄緑色のワンピース。「かなうも緑好き。」かなうは言った。
朝食をとりながら、ボクたちは今日の予定を再確認した。今日は、北の方向へと足を運ぶ。

地下鉄烏丸線に揺られ、北大路駅へ。そこから、街の喧騒を離れ、十五分ほど市バスに身を任せる。
船岡山は標高112メートルの優美な小山で、その南東の石段を一段ずつゆっくりと上っていくと、視界が開け、織田信長公を祀る建勲神社の社殿が、静かにその姿を現した。

織田信長公は、「よく来たね。」と、ねぎらいの言葉をくれた。
「信長公、いつもよりすごく嬉しそうだよ。」かなうは言った。
秀吉公と家康公も、その場に現れた。

「男はみんな、寂しがりじゃんね。」家康公は言った。
「それを表に出さず、外では懸命に振る舞うのが男というものだ。愛する女性の前では、遠慮なく甘えるが良い。」信長公はそう語った。

「お祈りを始めた頃から、ずっと力になってくれました。信長公、秀吉公、家康公のことを、ボクは父親の様に慕ってるんです。」ボクはのぞみに言った。
「お父さんなんだね。じゃあ私もそう呼ぼうかな。」のぞみは言った。

神々は朗らかな表情で、ボクたち3人を温かく見守ってくれた。

神々にご挨拶をした後で、1時間半ほど市バスと叡山電鉄を乗り継いで、終点の鞍馬駅に到着する。

鞍馬寺の構内にある『日本料理 雍州路(ようしゅうじ)』で、精進膳「花」をいただく。
麦ごはんに、山芋とろろ、胡麻豆腐、和え物、山菜白和えに、こんにゃくのさしみ。肉類を一切使っていないとは思えないほど、深く豊かな香りと滋味が口いっぱいに広がり、満腹中枢が心地よい充足感を伝えてくる。
湧き水で淹れてくれたコーヒーの芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。

美味しい精進料理とコーヒーを目と舌で堪能しながら、古民家の雰囲気を楽しむ。店内には京都弁が飛び交い、古都の風情を感じる。

女将の信楽さんは、鞍馬寺の住職の血縁だと、親しみを込めて話してくれた。だからこそ、鞍馬寺の構内にこの店はあるらしい。とても気に入った。

貴船神社

電車でわずか一駅しか離れていない鞍馬と貴船。けれど、足を踏み入れた瞬間に包まれる空気は、まるで違う世界だ。肌で感じるほどの際立った差異を、隣にいるのぞみにも感じ取ってほしいと、ボクはそっと思った。

鞍馬の荘厳な仁王門の前まで足を運び、静かに手を合わせた後、来た道を引き返す。
再び叡山電車で貴船口駅へと向かい、京都バスに乗り換えて、貴船神社へと向かう。

六月の晴れた日の貴船は、目に鮮やかな緑が日の光を浴びてキラキラと輝き、清々しい木の香りで満ちている。川のせせらぎは、涼やかに響き、まるで大自然の竪琴のようだ。

京都の風情を感じる階段を上った先に、貴船神社の社殿があらわれる。
ご祭神は、龍神:高龗(タカオカミ)
のぞみの守り神で、『縁結び』『家内安全』『五穀豊穣』『水難除け』などにご利益があると言われている。

「龍神さんも、来てくれてるよ。」かなうは言った。
「本殿は人が多いから、おとなしく見守ってくれてるんだって。」
かなうは続けた。「奥宮まできてくれたら、話してくれるんだって。」

貴船神社 結社 (中宮)

緩やかな上り坂を道なりに歩き進むと、ほどなくして次の目的地があらわれる。

結社の主祭神は、磐長姫命(イワナガヒメ)。木花咲耶姫のお姉さんだ。
『縁結び』『健康長寿』『家内安全』『子孫繁栄』などのご利益があるとされている。

磐長姫命と瓊瓊杵尊の間には、神話の中でちょっとした因縁があった。

瓊瓊杵尊が木花咲耶姫に求婚した際、大山津見神は磐長姫も一緒に差し出そうとしましたが、瓊瓊杵尊は磐長姫を「醜い」と拒否し、木花開耶姫のみを妻にしました。

磐長姫命と瓊瓊杵尊の神話

瓊瓊杵尊が木花咲耶姫と共に現れ、磐長姫に深く謝罪した。
「お義姉さんには、本当に申し訳ない事をした。深く反省しています。どうか、お許しください。」

磐長姫は、静かに、そして慈愛に満ちた笑みを湛えながら、口を開いた。
「あなた方が幸せそうで、本当に良かった。あの頃の事は、まるで昨日の様に思い出されます。」
「あなたが深く反省されていた事は、私にも伝わっていましたよ。もうこれ以上、苦しまないでください。妹の事を、どうぞよろしくお願いします。」

その光景をじっと見つめていた、のぞみの目にも涙がにじんだ。
磐長姫は、のぞみの手を取って、抱きしめてくれた。そのまま守り神になった。

のぞみの守り神に、:『磐長姫命(イワナガヒメ)』が加わった。

瑞穂のぞみの守り神

さらに奥へ奥へと道なりに進む。貴船川沿いの道は、緩やかに上り坂になっている。
いつしか龍神さんも、川向うから並んで歩いてくれている。
ボクたちは京の和カフェ、『奥貴船 兵衛』に立ち寄る事にした。少し疲れた足と体を休めた。
ボクとのぞみはそろって「白玉ぜんざい」と「酒かすラテ」をセットで注文した。
古民家の昔ながらの趣と現代的な洗練が調和した店内の様子に、のぞみは目を輝かせていた。

貴船神社 奥宮

多くの観光客は本殿までで参拝を終えるため、奥宮はひっそりとしていた。
神話の時代から時を重ねた、いにしえの聖域。太古の人々の祈りの名残を今に伝え、神々の記憶を静かに宿す、古の神殿。苔むす石段には、悠久の時が感じられる。

奥宮の主祭神は、本殿と同じく、龍神:高龗(タカオカミ)
高龗の対をなす龍神:闇龗(クラオカミ)と、玉依姫命(タマヨリヒメ)も祀られている。

「高龗は、龍神様の中でも一番偉い神様なんだって。だから、ママのところにはたくさんの龍神さんが来て、助けてくれるんだよ。」かなうは楽しそうに言った。
高龗の対をなす龍神:闇龗(クラオカミ)をはじめ、たくさんの龍神さんたちが集まってきた。

貴船の自然が織りなす風景の中、高龗の鮮やかな青と闇龗の深遠な黒は、ひときわ鮮烈なコントラストを描き出し、神々しい光彩を放っていた。その周囲の空には、色とりどりの大小の龍神さんが、ゆったりと舞い泳ぎ、その姿はまるで、水面を優雅に漂う錦鯉のようだった。

「あなた方の進みたい方向に、道を切り開きましょう。」闇龗は言った。
「望むがままに、栄光を手に入れるが良い。」高龗は言った。

高龗と闇龗は、ボクとのぞみの周りを∞の軌跡を描くように幾度か旋回した後で、守り神になってくれた。

高龗と闇龗がボクとのぞみの共通の守り神になってくれたお陰で、この日を境に、二人は言葉を超えた絆で結ばれた。たとえ遠く離れていても、心は響き合い、まるでテレパシーのように想いが直接届くようになり、互いを深く感じ取れるようになった。

玉依姫命(タマヨリヒメ)には、『縁結び』『安産』『育児』『学業』『長寿』などのご利益があるとされている。
また、大変美人だったことから、『美肌祈願』『美容』にもご利益があると言われている。

「玉依姫命は、聖母なんだよ。」かなうは、夢見るような声で教えてくれた。
「あなたたちに、温かな家庭と末永い発展を約束しましょう。」玉依姫命は、慈しみ深いまなざしで、ボクたち一人ひとりを大切に見守るように語りかけた。

のぞみの守り神に、『龍神:闇龗(クラオカミ)』と
『玉依姫命(タマヨリヒメ)』が加わった。

瑞穂のぞみの守り神

ボクの守り神に、『龍神:高龗(タカオカミ)』と
『龍神:闇龗(クラオカミ)』が加わった。

夢入信志の守り神

京都バスで貴船口駅に向かい、叡山電車と市バスを乗り継いで、京都駅へ。
ホテルに預けておいた荷物を受け取り、ビュッフェレストラン:タワーテラスで夕食をとる事にした。

それぞれ異なる方面へ向かう新幹線の改札口。別れの時間が近づき、ボクたちは立ち止まった。「2日間、本当に楽しかったです」彼女は、少し照れたようにそう言った。その言葉は、ボクの胸に深く響いた。

「ボクも、すごく楽しかったです。また、近いうちに…」

次に会う約束を交わし、ボクは新幹線のホームへと向かった。新幹線に乗り込み、窓から遠ざかる京都の夜景を見つめながら、この二日間の出来事を一つひとつ思い出していた。

古都の淡い光の中で、彼女と過ごした初めての二日間。それは、ボクにとって、忘れられない宝物のような時間になった。そして、この物語が、まだ始まったばかりなのだという予感を、ボクは確かに感じていた。

子宝神社

京都の旅を終え、神々から授かった数々のスピリチュアルスキルを、人々のために役立てようと、ボクは心に決めた。

夢入信志の、スピリチュアルスキル:
『天使の言葉』『病気平癒祈願』『先祖供養』『水子供養』
『子宝祈願』『安産祈願』『子孫繁栄』『家内安全』『夫婦和合』
『縁結び』『商売繁盛』

夢入信志の、スピリチュアルスキル

恋愛、夫婦、子育てといった家族間の悩みから、仕事や健康に関する相談まで、多岐にわたる相談を受けた結果、その親身な対応と確かなアドバイスが口コミで広がり、多くの方々から喜びと満足の声が寄せられるようになった。

「人はね、お空で魂が解放されると、みんな天国に行って、天使になるんだよ。」かなうは言った。「そして、お空の天使たちは、下界をずーっと見渡して、ママとパパを見つけに行くんだよ。」

「地上の世界で大きな川が流れている場所の上には、お空の川が流れているの。海もそう。これから生まれ変わる天使たちは、お船に乗って、下界のママやパパたちを観察してるんだよ。」かなうは言った。

人がその生涯を終え、温かい光に包まれてお空の世界へと迎え入れられる。そこで魂は浄化され、やがて天国へと昇り、清らかな天使の姿へと変わる。そして、再びこの世に生を受けるために、まだ見ぬママとパパを探し求める旅に出るのだ――。この壮大な命のサイクルを感じた時、ボクの魂は深く共鳴し、言いようのない感動に震えた。

お空のお祈り会を日々続けてきたことは、壮大な命のサイクルの一環を担っているのだという、満ち足りた喜びが胸に広がった。

子宝や安産のご利益があるとされる神社についても、かなうは教えてくれた。「神社の神様は、ママとパパの願いを聞き届けてくれるんだよ。」

「お空の天使たちが乗ってる船は、神社にも立ち寄るの?」ボクは聞いた。
「立ち寄らないよ?」かなうは言った。

それはお空の世界では当たり前のことのようだったが、ボクはその奇妙さに疑問を感じ、神様に意見してみた。
「日本は少子化が進んでおり、多くのご夫婦が子を望みながらも、なかなか恵まれない状況にあります。そこで、これから生まれる天使たちが、子宝の神様がいらっしゃる神社に立ち寄る仕組みを作ることで、よりスムーズに、必要としているご夫婦と結びつけることができるのではないでしょうか。」

神様たちは、少しの間話し合っていた。

「ご提案ありがとう。これから神様会議を開いてみんなで話し合うから、数日待っててください。」アラハバキ(ハーちゃん)は言った。

神々の世界では、位の上下に関わらず、皆がそれぞれの考えを出し合い、議論を重ねて物事を決定していくルールなんだそうだ。ボクはドキドキしながら待った。

数日後、ハーちゃんは言った。
「神様会議において、提案してくれた様に、天使たちが子宝神社に立ち寄る事が決まりました。提案してくれてありがとう。」

神々がボクの提案を受け入れてくださった。その事実に、喜びが内から湧き上がってきた。

「それからね、ついでというわけではないんだけど。」ハーちゃんは続けた。「夢入殿も、子宝神社として任命されました。」
「えっ!?どういう事ですか?」ボクは聞き返した。
「毎日お祈りしてくれてるでしょ?この場に、天使たちも立ち寄る事になりましたよ。」ハーちゃんは言った。
「今日もいっぱい来てるよ。」かなうも嬉しそうに言った。

天使たちはニコニコと満面の笑みを浮かべて、その表情には期待の気持ちがあふれていた。
「あなたが祈ってくれたおかげで、やっと心が軽くなって、こうしてきれいな天使になれたんだよ。本当にありがとう。」愛らしい天使たちが、次々に感謝の言葉を伝えてくれた。その光景は、ボクの胸を熱くし、喜びの涙がとめどなく溢れた。

それから毎日、お空のお祈り会には、かわいい天使たちが数百人ずつ入れ替わりで来てくれる様になった。
「画期的だね。」天使たちを運ぶお船の船頭さんの一人が言った。お船は一度に50人の天使たちを運搬できるらしい。

これまで行ってきたライブ配信を改めて、子宝・安産・占いライブとして、新たなスタートを切った。

ライブ配信の際にも、天使たちは何十人も来てくれる様になった。
天使たちから様々なことを教えてもらいながら、ボクはママたちへの的確なアドバイスができるようになった。
おかげで、ボクのライブ配信がマッチングの場となり、子宝を授かるママも増えた。
毎日の様に素敵なご報告をいただける様になり、ボクも心が満たされた。

運命の人

「運命の人とは、前世で”また会おうね”と約束してきた者の事なのだ。」
月読命が教えてくれた。

京都での初めてのデートをきっかけに、のぞみと重ねる時間の中で、ボクは二人の間に育まれる深い繋がりを感じ、この女性こそが運命の人だと強く思うようになっていた。

別々の道を歩んでいた魂の破片が、時を超えて運命に導かれるように再び重なり合い、鮮やかな七色の光を眩しく放ち始めた。それは、暗い雨雲の切れ間から差し込む陽光に照らされ、天空に架かる虹のようだった。

ボクにとって運命の相手とは、安らぎを与えてくれる安定感と、共に高め合える成長の可能性を兼ね備えた人だった。

のぞみのお腹には、ボクたち二人の愛によって育まれた、新しい命が宿っている。

あとがき

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ボクとのぞみとかなうの物語、お楽しみいただけましたか?
この物語は、私が実際に体験した出来事を基に、想像力を加えて再構築したフィクション作品としてお届けしています。
信じるか信じないかは、あなた次第です。

続編の第二部を皆様にお届けできる日が来ることを心待ちにして、夢見ております。

スピリチュアルスキルと、守り神まとめ

夢入信志の、スピリチュアルスキル:
『天使の言葉』『病気平癒祈願』『先祖供養』『水子供養』
『子宝祈願』『安産祈願』『子孫繁栄』『家内安全』『夫婦和合』
『縁結び』『商売繁盛』

夢入信志の、スピリチュアルスキル

夢入信志の守り神:
『天照大御神(アマテラス)』『月読命(ツクヨミ)』
『須佐之男命(スサノオ)』『アラハバキ(ハーちゃん)』
『龍神:高龗(タカオカミ)』『龍神:闇龗(クラオカミ)』
『大山津見神(オオヤマツミ)』『大山咋神(オオヤマクイ)』
『織田信長公』『豊臣秀吉公』『徳川家康公』

夢入信志の守り神

瑞穂のぞみの守り神:
『龍神:高龗(タカオカミ)』『龍神:闇龗(クラオカミ)』
『鹿屋野比売神(カヤノヒメ)』

『木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)』『磐長姫命(イワナガヒメ)』
『市杵島姫命 (イチキシマヒメ)』『玉依姫命(タマヨリヒメ)』

瑞穂のぞみの守り神

#創作大賞2025 #オールカテゴリ部門


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