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議事録の書き方講座【議事録ができる人はデザインもできる話】

こんにちは。くろにいです。 今日は議事録の書き方についてお話ししたいと思います。この記事がきっかけで議事録に対するイメージが変わったり、議事録が書けるようになった!という方が増えたら嬉しいです。それでは、いきましょう!

1 議事録とは何か?

皆さんは議事録を書いたことがありますか?
書いたことがない方は難しいイメージを持たれるかもしれません。 書いたことがある方は面倒くさいとか時間がかかるとか、ネガティブなイメージを持たれているかもしれません。
議事録とは、その名の通り議事における記録です。打合せの内容を文章でまとめます。 議事録は打ち合せの主催者、すなわちPJの担当者が書くことが一般的です。(その部下が書く場合もあります。)
建築設計のプロセスにおいても、お客さんとの打合せ内容や、社内の重要な会議を議事録としてまとめることが多々あります。 議事録にまとめることで、何が決まって何が決まっていないかを明確にできたり、打合せ内容を別の人に共有することができたり、内容を忘れてしまった時に内容を思い出すことができます。
本稿では、議事録の目的を5つ、議事録の書き方のポイントを5つご紹介します。これらのことを意識しながら書けば、議事録の内容が劇的に変わることでしょう。僕がどのように議事録を書いているかもご紹介したいと思います。
また、議事録をしっかりと書けるようになるとデザイン力も向上すると考えています。実際に私が、議事録を何度も作成することでデザイン力が向上しました。これについては最後に言及したいと思います。

2 議事録の目的

議事録を書く目的は様々です。 議事録の目的を以下に列挙してみます。

①備忘録
②他人に内容を共有する
③ 決まった事を明確にする
④ 決まらなかった事を明確にする
⑤ 決まった事の証拠(エビデンス)を残す

それでは解説していきます。

① 備忘録

人はいずれ忘れるので思い出す手段として、文章で打合せ内容を残します。

② 他人に内容を共有する

議事録を自分用として使うのであれば簡単なメモ程度で良いでしょう。 しかし、他人に内容を共有する場合は、他人が正確に理解できるよう書かなければなりません。どのように書けば他人が議事録の内容を理解してくれるかは後述します。

③ 決まった事を明確にする

打合せをする一番の目的は何でしょう?それは決めることです。物事を決めるために、様々な主体(PJメンバーや顧客)に意見をもらったり、合意形成を図ります。
決まったことを端的に書き示すことで、その内容を元に全員が次のステップに進むことができます。

④ 決まらなかった事を明確にする

打合せで決まらなかった事項を記載します。 そして、どうすればそれがクローズするかを話し合って、その内容を記載します。具体的には、誰々がいつまでに何をするかということを記載します。次回の打合せで議事録の読み合わせを行い、その項目がクローズできたのか確認します。

⑤ 決まった事の証拠(エビデンス)を残す

決まった事、決まらなかった事の証拠を残します。③で申しましたが、打合せの目的は議題に対して結論をつける事にあります。そして、決まった事を記載して証拠として残します。
後々、相手側がすでに決まったことに対して誤った理解をしたり、理不尽な対応をとってきた場合には、議事録に立ち返って相手側を正す事ができます。ビジネスシーンにおいては、裁判になる場合もあります。その時は議事録の内容が鍵となってきます。

3 議事録の書き方

議事録の書き方のポイントは以下です。

⑥ ③④の根拠を残す
⑦ 特定する。
⑧ 5W1H
⑨ 誰が誰に言ったかを明確にする
⑩ 体裁を整える

⑥ ③④の根拠を残す

決まった事、決まらなかった事の根拠を残します。決まった事、決まらなかった事を書くだけでは、何故そのような結果になったのかが理解できません。根拠を残さなければ、第三者が決まったことについて確認できても、本当にこの決定事項が正しいのかどうか理解することができなくなってしまいます。

⑦ 特定する。

議事録を読み返した時に内容が曖昧だと、もう一度同じ内容について話し合うことが必要になります。 例えば、実施設計(詳細設計)段階において、議事録の決定事項にマンション外壁の仕上げが「吹き付けタイル」と記載があった場合、どのような吹き付けタイルにすれば良いのか分かりません。実施設計では、 「吹き付けタイル エスケー化研 レナック同等吹放し 5分艶 カラーSR163」とここまで記載する必要があります。
打合せ中、曖昧なまま話しが進んであたかも決まったかのようになってしまうことが多々ありますが、その時は勇気を持って○○についてまだ決まっていませんと発言しましょう。

⑧ 5W1H

5W1Hとは、When、What、Who、Where、Why、Howのことです。
例えば「when」。図面の進捗を確認する段取りをする場合、「12/6 にABC社にて」という記載では充分ではありません。「12/6 15:00 ABC社3階306会議室にて」と記載があった方が親切です。
「why」を例にすると、「厨房の面積は食堂の0.2倍とし設置位置は外壁に接する位置に計画する。」という記載があった場合、0.2倍の根拠は何なのか?何故厨房を外壁に接する位置にしなければならないのかが分かりません。また、どれくらい外壁に接すれば良いのかが分かりません。「why」を意識すると「厨房の面積は◯◯不動産の仕様書により食堂の0.2倍とし、設置位置は厨房の人達に配慮してできるだけ採光が取れるよう外壁に接する位置に計画する。」という記載になります。

⑨ 誰が誰に言ったかを明確にする

合意形成において、誰が議題を投げかけて、誰がその内容に合意したのか明確にすることは非常に重要です。何故なら、全く関係ないのない人物がOKといっても合意を図れたとは言わないからです。議事録では、しっかりと誰がOKといったのか記載しましょう。「○○会社営業」とかではなく、「○○会社営業○○さん」と特定することが重要です。何故なら、合意形成を図るのは組織ではなくキーパーソン(その分野の責任者クラス)だからです。

⑩ 体裁を整える

「です」「ます」であったり、「承知しました」「了解」等の言葉の表現は全て統一しましょう。また、固有名詞は同じ語句を使いましょう。例えば、「RC」なら「RC」。「鉄筋コンクリート」なら「鉄筋コンクリート」と表現を統一しましょう。

4 議事録をどのように使うか?

議事録はPJを有利に進めるにあたり、非常に有効なツールとなります。
議事録の内容は、人によって異なります。それは、人によって何が重要で何が重要でないかが異なるからです。要は議事録には書き手の主観が介在するということです。なので、ある人の議事録には記載されている内容が別の人の議事録には記載されていないなんてことが多々あります。

議事録は、話し合われた内容(事実)を元に、自分でストーリーを作り上げることができます。
例えば、打合せ中にあやふやになって決まったのか決まらなかったのか、分からないような事項があった場合、あやふやな内容を具体的に言語化し決定事項としてまとめます。そして、次の打合せ時に相手側に内容が間違っていないことを了解してもらえればそれは事実として残ることとなります。
議事録は打合せ内容を少し自分の都合の良いように解釈したり、発言のニュアンスを微妙に変えてみたり、色々と改編が可能なんです。これは、議事録を書く人の特権です。

僕が上司によく言われてきたのは、裁判で負けないための議事録作りです。議事録を使い、自分の組織の優位性や立場が良くなるように微妙に文章を改編してエビデンスとして残すのです。やりすぎは注意です!笑

5 僕の議事録運用方法について

具体的に僕自身はどのように議事録を運用しているかについてご説明したいと思います。議事録は、会議中、あるいは会議の後に書くというイメージがあるかもしれませんが、僕は打合せ前に議事録を9割仕上げています。議事録に費やす時間は会議前に9、会議後に1の割合です。

図1 打合せ前の議事録

議事録のフォーマットは、左列に「議題」右列に「回答」の欄をつくっています。「議題」には相手側と議論したい内容を記載します。「回答」には相手側の回答や意見を記載します。
打合せ前に「議題」の列を全て書きます。5W1Hを意識してきめ細かく記載するのでけっこう時間がかかりますが、話したい内容を整理できたり、打合せと打合せ後の議事録をまとめる作業が短時間で済みます。
「議題」を書く時のポイントは、その内容を提示した後に相手側がどのように回答するかを予測して「議題」の内容を練り込むことにあります。どのような内容であれば(あるいは資料を作れば)項目の内容がクローズするのかを考えます。

図2 打合せ後の議事録

そして、僕の目指している究極の議事録は、「回答」の欄を全て「宜しいです」と相手側に回答させる事にあります。 なかなか難しい事ですがいつもこれらを意識して議事録作成に取り組んでいます。
「判定」の欄は◯が決定事項、△が積み残し事項となっています。 後で見返した時にどの項目が決定事項で、未決定事項なのかが一目で分かります。

6 議事録が書けるとデザイン力が上がる

入社して1-3年目くらいは議事録をよく書いていました。専門的な語彙が多く、ほとんど内容が分からない状態でした。
お客さんと上司に許可を得て録音して、打合せ後に4-5時間かけて議事録を作成していました。議事録は大嫌いでしたが、少しずつ打合せの意図や内容が理解できるようになってきて、議事録を書く時間が短くなっていきました。 慣れてくると、意図を持って議事録が書けるようになってきました。
この内容は今後の打合せに関係ないから書き留めなくて良いだろうとか、この内容は重要だから細かい仕様まで書いておこうみたいな感じです。 すると議事録の内容に無駄がなくなっていき、少しずつ中身が洗練されていきました。
「意図を持って書く」「無駄をなくしてより意図が伝わりやすいように文章を書く」というのは、デザインと同じです。思考のプロセスが全く同じなんです。 なので、実際に建築のデザインをする時にも議事録の考え方をそのまま適用することでデザインへの理解がより深まり、デザイン力が向上していきました。
また、議事録は言語を使って分かりやすく端的に意図を持ってまとめます。人間の思考は言語で行いますので、思考力も向上すると考えています。

7 最後に

メイン担当のPJ議事録を作成する際はPJの内容が予め分かっているので書き易いです。しかし、ビジネスシーンおいて、全く経緯を知らないPJの議事録を上司にいきなり書いてと言われることがあります。そういう時は、とにかく聞き取った会議内容をひたすら書いてみたり、会議後に上司と打ち合わせしてPJの経緯を教えてもらいながら内容の確認を行ったりすることもあるでしょう。
いずれにせよ、大事なのは何度も数をこなすことです。議事録を書くことは、慣れるまでは時間がかかりかなり面倒です。しかし、これほど自分を成長させてくれるものはないと考えています。議事録には可能性がたくさんあります。
慣れないうちは大変かもしれませんが、ぜひ頑張ってみてください!


以上です。

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