50.マッスルイズパワー
僕は今自分でアパレルブランドを立ち上げているが、販売接客の経験もある。
それが健康器具の販売だ。元々、求人では「アパレルの販売員募集!」と記載されていたにも関わらず、つけたら痩せやすくなるという健康器具の販売員にされてしまった。なんというイリュージョン。
3日間、筋肉の構造、商品知識を実際に店舗に立って教わりながら過ごした。その後、巣から飛び出し、独り立ちだ。「3日で巣から追い出されるのは早くないか?まぁ、他の従業員さんもいるから大丈夫か」とたかを括っていたが、まさかのワンオペ。
家電量販店の一部のスペースを間借りした店舗となっていたそこは、お客さんでごった返していた。初日は同じ階で働く人達へ挨拶回りをした後に、店舗に立った。
50代くらいの女性のお客様がやってきて「あなた、営業感がなく話してくれるから心地が良いわ」と言ってもらえたが、3日間で巣立ちした者だ。製品を営業できるスキルは「下半身を鍛えれば痩せやすくなる」というスキルしかない。
勤務初日、1日の過酷なワンオペ労働が終わり、退勤しようと家電量販店の社員の方に退勤のハンコを貰いに行くと「誰?お前、挨拶されてないんだけど?」と言われる始末。家電量販店はこんなにも体育会系だったのかと初日から洗礼を受けた。冷や汗をかきながらすぐさま謝り、名前を告げた後、退勤のハンコを嫌々もらった。
僕はアパレルで働きたかったにも関わらず、健康器具のブランドへ飛ばされ、家電量販店の体育会系の洗礼を受けたことでその職場では長く続かなかった。そして「注力商品を売れ!マッスルイズパワー!!ノルマを達成しよう!!」と僕はもう、健康器具の社員が全員なかやまきんに君と松岡修造にしか見えていなかった。
僕の根本は闇属性なのでポジティブな光属性が眩しかった。販売接客はもう懲り懲りだ。自分の障害特性上、人の行き来に過敏になってしまっているので難しいだろう。
