“好き”でつながる組織のつくり方。ピクシブが社内交流に「食」を活用する理由
こんにちは!くるめしです。
くるめしでは「働く人の食の探し方、楽しみ方の体験を変える」をミッションに掲げ、法人向けフードデリバリーサービス「くるめし弁当」「シェフコレ」「ヒトハコ」を運営しています。
組織が拡大し、働き方が多様化するなかで、部署を越えたコミュニケーションや社内文化の醸成に課題を抱える企業は少なくありません。そのような状況下で、社員一人ひとりの「好き」を起点に、ユニークな社内交流の場を生み出しているのが、ピクシブ株式会社様です。
今回お話を伺ったのは、同社の社内交流機会「#P-HUB(ピーハブ)」の企画・運営を担うカルチャー推進Teamの岡田様。社内外問わずクリエイターを応援するピクシブ様ならではのカルチャー、その土壌のなかで「食」はどのような役割を果たしているのでしょうか。
ピクシブ株式会社
「創作活動を、もっと楽しくする。」を理念に掲げ、イラスト・マンガ・小説作品の投稿プラットフォーム「pixiv」を中心に、創作物の総合マーケットプレイス「BOOTH」、ファンコミュニティ「pixivFANBOX」など、クリエイターの活動を多角的に支えるサービスを展開している。
Corporate Division 経営基盤Section
経営企画Unit カルチャー推進Team
岡田 恵 様
経営基盤を担うカルチャー推進Teamに所属し、社内交流機会「#P-HUB」の企画・運営をはじめ、新卒オンボーディングやMVV推進など、組織カルチャーの醸成に関わる施策を横断的に手がけている。
“好き”が共通言語になる職場。ピクシブの社内交流を支える「#P-HUB」
―― クリエイターをサポートするサービスを多数展開するピクシブ株式会社様。カルチャー推進Teamの役割や、ピクシブ様ならではのカルチャーについて教えてください。
岡田様:
会社組織の特徴としては、実際にクリエイターとして活動していたり、なにかに熱中する“オタク気質”の社員が多いことが挙げられます。サブカルチャー全体への理解が深い土壌があるからこそ、自分の「好き」をきっかけにして、年齢や職種を問わず関係性が築きやすい雰囲気があるんです。
その中で、カルチャー推進Teamのミッションは、仲間のつながりというきっかけを提供することで、新しいビジネス価値の創造をサポートするというものです。
バリューのひとつに「Entertain(遊び心で楽しませよう)」という言葉があり、ユーザーに対してはもちろん、社員同士のあいだでも遊び心を大切にする風土が昔から根付いています。その文化を当たり前に感じられる状態を維持し、より良いかたちで継承していくことが、カルチャー推進Teamの存在意義だと考えています。
―― サービス利用者と近い視点を持つ社員の方も多いのですね。そうしたカルチャーが体現されている社内の取り組みはありますか?

岡田様:
まさにそうした土壌から生まれたのが、社内交流機会「#P-HUB(ピーハブ)」です。
ピクシブらしいつながりが生まれる場所として毎月開催している任意参加のイベントで、定時後にご飯を食べながら交流する「#P-HUB NIGHT」定時内に気軽に参加できる「#P-HUB TIME」会社として交流を推奨している「#P-HUB DAY」の3つの形式があります。
#P-HUB NIGHTの直近の参加者は平均70〜80名ほどで食事をしながらの交流に加えて、社内の部活動である「Z活動」と連動した企画も取り入れています。たとえばコーヒー好きのメンバーが豆を持ち寄って提供コーナーをつくったり、音楽好きのメンバーがDJを披露したりと、社員の「好き」がそのままイベントのコンテンツになっているんです。
手元に残るメッセージで「お疲れさま」を届ける。歓迎と労いを込めた「#P-HUB NIGHT」

―― 直近の「#P-HUB」では、どのような企画を実施されたのでしょうか。岡田様:
直近の「#P-HUB NIGHT」は、ちょうど新卒社員が入社したばかりのタイミングだったので、新入社員の歓迎と今年2年目になる社員への「1年間お疲れ様」という意味をこめた慰労がメインの回になりました。なかでも特徴的だったのが、先輩から2年目社員に向けたメッセージカード企画です。
ピクシブでは、新卒社員にOJT期間と本配属でメンターが2人つくので、それぞれのメンターからメッセージを受け取り、家に持ち帰れる仕組みにしています。
普段はデジタルなコミュニケーションが中心で、1on1などもオンラインで行う機会が多くなってきています。だからこそ、あえてメッセージを手元に残すかたちにしたことで「自分のために考えてくれた」という気持ちが伝わり、受け取った社員からはとても喜ばれました。また、メッセージをきっかけにメンターにお礼を伝えたりと、新たな交流が生まれたりもしました。

ほかにも、毎年4月1日に行う2年目の社員が1年間かけて準備する「新卒歓迎会」や、入社前年の10月には内定者懇親会での「先輩企画」など、新卒の社員を歓迎する場がいくつも用意されています。入社前から入社後まで、一貫して新しい仲間を迎え入れる文化がピクシブにはあるんです。
―― そうした歓迎の文化を支える「#P-HUB」自体は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

岡田様:
「#P-HUB」の前身として、定時後に開催する交流イベント「TGIF」と、ご家庭などのご都合で定時後の参加が難しい社員にも気軽に参加してもらえるよう日中に開催する交流イベント「TTT(Tea Time Talk)」という2つの交流イベントがありました。
どちらも参加者でワイワイできる楽しい場になっていましたが、運営を続けるうちに「会社として何のために、この場を創っているのか」を、あらためて整理する必要を感じるようになったんです。
目的を整理してみると、時間帯や手段は違えど「ピクシブ社員同士の交流」「つながりを生む」という根本の目的は共通していると気づきました。それであれば、別々の名前で残しておく必要はないのではないか――。
そう考え、社内のデザイン組織であるコミュニケーションデザイン室にもプロジェクトに加わってもらい、3〜4ヶ月かけて目的の整理から進めました。
その結果として決めたのが「あたらしくつながる」「すきでつながる」「もっとつながる」という3つのつながり方を目指すことです。新しく入ってくる仲間と新たな関係を築き、自分の「好き」を起点に仲が深まり、すでにいるメンバーとさらに距離を縮めていく。この3軸を統合した「ピクシブらしいつながり」が生まれる社内交流機会として「#P-HUB」を立ち上げることになりました。
歓迎と労いを込めて。2年目社員のリクエストからはじまる人をつなぐ食選び

―― 「#P-HUB」は食事面でも、ピクシブ様ならではのこだわりや施策があるのでしょうか?
岡田様:
直近の「#P-HUB NIGHT」では、2年目になる社員への労いも込めて、彼らから食べたいもののリクエストを募りました。
「実現可能性を無視して、好きなように言ってください」と言ったら、お肉系のケータリングやチーズフォンデュ、ドーナツチェーンのドーナツ、ホテルのマカロンまで、ラインナップを見ているだけで楽しくなるような内容でしたね。
リクエストにあったお肉系のケータリング『最上級の肉づくしデリバリー皇プラン』やチーズ&チョコフォンデュ『《温製》 小分けブッフェ‐チーズ&チョコ・2つのプレミアムフォンデュ・セレクション‐』をシェフコレで手配しました。
若手社員が自由に声を上げられる環境があり、それを会社が受け止めて実現しようとする。その往復のなかで、信頼感や歓迎ムードが育っていくのだと感じています。
―― それは2年目の方もうれしいですね。そのほか「#P-HUB」での食事メニューを選ぶ際に、意識されているポイントはありますか?
岡田様:
大きく2つの軸を意識しています。1つは、立食形式が中心なので、交流の邪魔にならず、手に持って動きやすいメニューであること。もう1つは「会話のきっかけ」や「体験」を生み出せるメニューであることです。
たとえばチーズフォンデュは「どれをつけようか」とみんなで話しながら食べるので、自然と会話が生まれます。
過去には、夏祭り企画で「落書きせんべい」を取り入れたこともありました。机いっぱいに並べたせんべいに、社員が自由に絵や文字を描いていく企画です。
絵が得意な社員はもちろん、字がきれいな人は達筆な一文字を書いたりと、それぞれの個性が出てとても盛り上がりました。ピクシブにはさまざまなクリエイティブ活動に取り組むメンバーが多いので、自分で何かをつくることへの積極性が高いんです。

―― 「つくる」も交流のキーになるんですね。とくに印象に残っているメニューや企画があれば教えてください。
岡田様:
昨年10月の内定者懇親会と同時開催した「#P-HUB TIME」が印象に残っています。このときは、内定者が座る場所や交流する相手を探すのに困らないよう、いつもの立食ではなく座席指定の着座形式にしました。
そこで企画したのが「自分だけの秋の行楽弁当をつくろう」という体験型メニューです。
約10種類のお店からおにぎりや唐揚げ、ポテトなどを発注し、空のお弁当箱を用意して、参加者が好きなものを詰めて自分の席に戻る、という流れにしました。お弁当の中身に人となりが表れ、それ自体が会話のきっかけにもなる、思い出深い企画になりましたね。
シェフコレを使えば、サンドイッチもおにぎりもお肉もデザートも、かんたんにいろいろなお店から注文できるので、準備の負担も少なく助かりました。

運営は「適度にドライ」に。メンバーの自律性を信じることが、主体的な交流を生む
――「#P-HUB」で交流を生むために、運営として大切にされていることはありますか?
岡田様:
運営として大切にしているのは「適度にドライでいること」です。「#P-HUB」は任意参加で、メンバーの自律性を求める部分が大きいんです。結局のところ、運営がどれだけ至れり尽くせりの準備をしても、本人が必要だと思って動かない限り、関係性は生まれません。
だからこそ、運営はあくまでもきっかけの提供に過ぎないと割り切り、「準備」に全力を注ぐようにしています。きっかけを使って参加者がどう動くかは本人たちに委ねる。そのほうが結果として、主体的な交流が生まれると感じています。
加えて「一緒にこの場所を作っている」という感覚を持ってもらえるよう、当日の準備や片付けもみんなで一緒に行うようにしています。
みんなに手伝ってもらえることで、運営側も少人数で継続しやすくなります。コストやリソースを抑えつつ、参加者の自律性を高めていく。その掛け算がうまく回ると、良いイベント運営につながっていくのではないでしょうか。
―― 最後に、カルチャー推進Teamとしての今後の展望と、食を活用した社内コミュニケーションを検討している企業のご担当者様へのメッセージをお願いします。

岡田様:
今、取り組みたいと考えているのは「ピクシブのカルチャーの棚卸し」です。
これまでは社員同士が、なんとなく同じ解像度でカルチャーを共有できているからこそ良い組織が保たれていました。しかし、今後会社が成長していくなかで、その感覚が薄れてしまう可能性があります。
とはいえ、カルチャーを一方的に定義してしまうと組織の在り方や未来を縛ることにもなりかねません。ピクシブらしさの軌跡を「事実」として残しつつも、未来の社員たちが自由に描ける「余白」を残したカルチャーづくりをしていきたいですね。
そのうえで感じているのは、「食」は立場や職種を越えたフラットな関係を築くための、最も叶えやすい「最適解」でありながら、あくまでも目的を達成するための「手段」でもあるということです。
「会話のきっかけになるか」「交流しやすいか」「イベントの目的に合っているか」。この視点で選定することが、交流の質を大きく左右すると感じています。
そしてなにより大切なのは、参加者の自律性を信じること。きっかけの設計に全力を注ぎ、その先は委ねる。そのバランスが取れたとき、食の場は本当に豊かなコミュニケーションの起点になるのだと思います。
ピクシブ株式会社
ピクシブ様のお話を伺って印象的だったのは「好き」を起点にしたつながり、参加者の自律性に委ねる運営姿勢といった一つひとつの取り組みが、すべて「ピクシブらしさ」という一本の軸でつながっていたことです。そして、その軸を体現する場として「食」が自然に組み込まれていました。
若手社員が食事をリクエストできる関係性、空のお弁当箱に好きなものを詰める時間、せんべいに思い思いの絵を描く瞬間。そのすべてが、社員一人ひとりの「好き」を尊重するピクシブ様のカルチャーから生まれています。
食を「手段」として捉え直し、目的に寄り添った設計を重ねていくことが、社内コミュニケーションの質を変えていく鍵なのかもしれません。

