約30ヶ国・地域から集まったメンバーが活躍するHENNGEの場づくり。「誰ひとり取り残さない食卓」で組織を強くする
こんにちは!くるめしです。 くるめしでは「働く人の食の探し方、楽しみ方の体験を変える」をミッションに掲げ、法人向けフードデリバリーサービス「くるめし弁当」「シェフコレ」「ヒトハコ」を運営しています。
今回は「テクノロジーの解放」を経営理念に掲げ、クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」を展開するHENNGE(ヘンゲ)株式会社様にお話をお聞きしました。 社内公用語を英語とし、約30ヶ国・地域から集まったメンバーが在籍する同社(取材時、2026年2月時点)。組織が拡大し続けるなかで、いかにして心理的安全性と一体感を醸成しているのでしょうか。
キーワードは「意図的なインクルーシブ」。食を活用した独自のコミュニケーション施策を展開するHENNGE様に、多様なバックグラウンドを持つメンバーが共同するためのイベント施策について伺いました。
HENNGE株式会社
「テクノロジーの解放で、世の中を変えていく。」を経営理念に、テクノロジーと現実の間のギャップを埋める独自のサービスを開発・販売しているSaaS企業です。シングルサインオン(SSO)、アクセス制御、メールやファイル共有のセキュリティ、ゼロトラストに基づいた端末の防御・管理など多岐にわたる機能を備えた国内シェアNo.1のクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」、クラウド型メール配信サービス「Customers Mail Cloud」を提供しています。
社名の「HENNGE(ヘンゲ)」は「変化(HENNKA)」と「チャレンジ(CHALLENGE)」を組み合わせ、あらゆる変化に挑むとの決意を表している 。
【話し手】
People Division People Success Section
Anggya Pradita(アンギャ・プラディタ)様
人事部門内の組織開発チームである「People Success Section」に所属。全社的な事業戦略の浸透や部門間の連携促進を担当。組織の拡大に伴い、多様なメンバーが一体感を持ち続けられるよう、全社集会の運営や社内イベントの企画など、組織の結束感の維持向上に尽力している。
失敗すらも称賛しあう。ボトムアップの組織に根づく「Fail Fast」の精神

―― HENNGE様では海外出身のメンバーが約20%を占めると伺いました。あらためて、組織の特徴について教えてください。
Anggya様:
HENNGEでは2016年に社内公用語を英語に切り替え、約30ヶ国・地域のメンバーが活躍しています。組織運営においては、トップダウンではなく、一人ひとりが主導権を持つ「ボトムアップ」の文化。この文化は、多様なメンバーをつなぐ共通の行動指針「HENNGE Way」にも表れています。

HENNGE Wayは文化も国籍も異なる私たちが迷ったときに立ち返る、共通言語のような存在です。グローバルな多様性を強みに変えられる。それこそがHENNGEの魅力です。
たとえば、「自分から動き出そう、情熱をもって(Lead yourself with passion)」など、全部で9つの項目で構成されています。この共通言語があるからこそ、バックグラウンドに関わらず誰もがアイデアを出し合える場が生まれるのです。
―― 「HENNGE Way」が組織の軸になっているのですね。そのなかでも、特に大切にされている価値観はありますか?
Anggya様:
「HENNGE Way」には「挑戦しよう。失敗から学ぶために(Eat unripe fruits)」という言葉があります。挑戦した結果としての失敗は、隠すものではなく称賛されるべきものだという考え方です。
この文化を象徴する施策のひとつが、2024年7月から隔月で開催している「Fail Fail Fail Lightning Talk」。リーダー層を含むメンバーが、自身の失敗談とそこから学んだ教訓を共有するライトニングトークイベントで、お弁当を食べながらのカジュアルなイベントですね。
お弁当を食べてリラックスした雰囲気のなかで、リーダーたちが自らの失敗をオープンに語る姿を目の当たりにすることで「失敗しても大丈夫なんだ」とメンバーが肌で感じられる場になっています。こうした積み重ねが、組織全体の心理的安全性につながっていると感じます。
誰ひとり取り残さない。「意図的なインクルーシブ」が信頼を築く

―― HENNGE様の文化を浸透させるうえで、「食」を用いたイベントはどのような役割を担っているのでしょうか?
Anggya様:
主に、四半期に一度開催する全社集会「U&I」と、テーマ別のランチ交流会「コミュニケーションランチ」で食を取り入れています。それぞれ別の目的を持つイベントですが、食事の役割は同じ。メンバーが本音でつながり、信頼関係を育むことを目指しています。
「U&I」は「Unity(結束)」と「Insight(洞察)」の頭文字をとった名称で、会社の方向性を共有し、部門間の連携を深める場です。セッション後に交流の時間を設け、食事を囲むことで、一方通行の情報共有で終わらず、メンバー同士がフラットに話せるようにしています。
一方、「コミュニケーションランチ」は、特定のテーマに沿ってメンバーが交流するカジュアルなイベントです。国際女性デーやプライド月間など、DE&I(多様性・公平性・包括性)に関連するテーマを取り上げています。堅くなりがちなトークテーマでも、ランチを囲みながらであれば自然と会話が生まれるんです。

―― 約30ヶ国・地域からメンバーが集まるとなると、食事選びにもかなり気を遣われるのではないかと思います。特に意識されていることはありますか?
Anggya様:
もっとも大切にしているのは「意図的なインクルーシブ」です。ひと言で言えば「全員が同じテーブルで、同じように食事を楽しめる環境をつくる」ということですね。
約30ヶ国・地域出身のメンバーが在籍していますので、ハラール、ベジタリアン、ヴィーガン、アレルギーへの対応は欠かせません。これは単なる福利厚生としてではなく「信頼関係の土台」を築くうえで絶対に外せないことだと思っています。
もし自分だけ食べられるものがなかったら「この場に自分は歓迎されていないのかも……」と感じてしまいますよね。特別対応のメニューであっても、メインと見劣りしないものを厳選して、「自分だけ違う扱いをされている」と誰にも感じさせないように徹底しています。
―― 「食事への配慮が信頼関係の土台になる」。まさにHENNGE様らしい視点ですね。具体的にはどのようにお食事を手配されていますか?
Anggya様:
「くるめし弁当」や「シェフコレ」を活用しています。ヴィーガン対応なら『Vege寿司』、ハラール対応なら『マレーチャン』、安定して人気の『塚田農場おべんとラボ』など、さまざまな選択肢を一つのWebサイトでまとめて手配できるので、とても助かっています。
運用面で特にありがたいのは、直前の人数変更にも対応しやすいことです。イベントが近づくにつれて参加希望者が増えることが多いのですが、開催の1〜2日前でも注文を受け付けてくれるお店が多く、イベント運営チームにとっては本当に心強い存在です。
「ゴング」と「食」で物理的な壁を超える全社集会

―― 全社集会など大人数が集まるイベントで、交流を生むために工夫されていることはありますか?
Anggya様:
全メンバーが参加するキックオフのようなイベントでは、参加人数が増えても変わらず交流できる場にすることが、課題でした。出社メンバーが増えるにつれて、全社集会「U&I」の参加者が大幅に増えたんです。例年オフィスで開催しており、以前は170名ほどだったのが今年は300名規模にまで膨らみ、1フロアには収まりきらず、2フロアに分けて開催する必要が出てきました。
フロアが分かれると、どうしても一体感が薄れたり、親しいメンバー同士で固まったりしやすくなります。そこで導入したのが、ゴングの音を合図にCEOや役員がフロアやグループ間を移動する仕組みです。
また、これはCEOや役員だけを対象としたものではありません。グループや話題(トピック)を切り替える際のさりげない合図として、ゴングを活用するようメンバー全員に呼びかけました。ルールという「命令」ではなく「きっかけ」として機能し、自然な流れで部門を超えて交流が生まれるようになっています。
―― 「ゴング」というのはユニークな仕掛けですね。ほかにも、場づくりで工夫されていることはありますか?
Anggya様:
過去のコミュニケーションランチでは、テーブルに「Easy English(簡単な英語)」「Easy Japanese(簡単な日本語)」と書かれた札を設置していた時期もありました。「完璧に話せなくても大丈夫」というルールを目に見える形にすることで、会話のハードルを下げるのが狙いです。今ではこうした仕掛けがなくても自然と交流が生まれるようになっていて、文化として定着してきたのを感じています。
オフィス回帰が進むなかで、おいしい食事と交流の場はオフィスに来る楽しみのひとつになりました。「無料で食事ができる」という目新しさが薄れた今でも、イベント参加者は着実に増えています。「U&I」は出席率が毎回高く、アンケートでの満足度もおおむね良好な水準を保っています。

食事は「信頼関係の土台」への投資。HENNGEが食に込める想い

――ここまで食を活用した施策を中心に伺ってきましたが、食事以外にもコミュニケーションを生む取り組みがあれば教えてください。
Anggya様:
「Together Day」という、メンバーが家族や友人をオフィスに招待できるイベントがあります。このイベントの背景にあるのは「従業員としてではなく、その人まるごとを見たい」という考えです。仕事の肩書きの向こうにある、その人自身の人柄や大切にしているものを知ることで、自然と親しみが湧いて、仕事上のやり取りもスムーズになりますよね。
参加したお子さんから「次はいつオフィスに行けるの?」と聞かれることも多いそうで、メンバーの大切な人たちにも、HENNGEを好きになってもらえるのはうれしいです。
―― 最後に、この記事を読んでいる企業の皆様へメッセージをお願いします。
Anggya様:
「食」はコミュニケーションの壁を下げるもっともシンプルなツールだと思います。もっとも伝えたいのは「意図的なインクルーシブ」を大切にしてほしいということです。食事制限の有無に関わらず、全員が満足できる食事を用意する。それは単にお腹を満たすことではありません。「あなたのことを、大切に思っていますよ」というメッセージが伝わることで、メンバーは「自分はこの場所にいていいんだ」と感じられるようになります。
その安心感こそが信頼関係の土台であり、強い組織を築く基礎です。
HENNGEでも、さらにメンバー数が増えるなか、今ある仕組みが今の組織に合っているかをつねに見極め、ブラッシュアップを続けていきます。ぜひ、「誰ひとり取り残さない」場づくりを大切にしてください。
HENNGE株式会社
Anggya様の「意図的なインクルーシブ」という言葉には、多様なメンバー全員を「チームの一員」として迎え入れる強い意志が込められていました。同じテーブルを囲み、同じ体験を共有することで生まれる安心感。
食事への配慮は単なる「優しさ」ではなく、挑戦を支える「信頼関係の土台」です。徹底した配慮がイノベーションを生む土壌となっているHENNGE様の取り組みは、多くの企業にとって大きなヒントになるのではないでしょうか。

