音楽が。夜が。
音楽ができあがる。
それは大体夜中。
オレンジ色の街灯が遠くまで続くのが見渡せる透明度の夜。
仕事が終わって帰ると「モノづくり」の日は台所で食事を済ませてしまったりする。
スーパーで買ったカニクリームコロッケ5個とチキン南蛮弁当なんて言う揚げ物コンビを食べながら、マシンを立ち上げてstudio oneを起動し、作りかけの曲をループで流して粗探しながら流しに腰かけて食べる。
お酒はあまり飲まないけれど、友人から貰ったクラフトビールだとか華やかなベルギービールなんかを瓶のまま少しずつ含む。
が、やっぱり苦いなー。と思う。
シャワーも手短に済ませて、冷たい水を飲みながら鉄筋コンクリート剥き出しの出窓から眼下の街並みと流れる車の光をボーッと眺めたり。
窓を開けて風を通したり。
ループで流していた曲の粗を幾つか見つけてウンザリした所でデスクに座る。
消しゴムが嫌いなのでボールペンでしか書かないノートはページを跨いでアイデアが飛んで居るので、掘り起こすのに手間で、やり方を考えたいところ。
部屋はいつも床の関節照明2つだけ。
壁紙のないコンクリートの室内は洞窟の様な涼しさで道路沿いのマンションの割に夜は静かで気に入っている。
真夜中にギターを爪弾いても文句を言われない。家の周囲は空き家で助かっている。
トラックの粗を一通り処理して落ち着くと。その曲をマスタリングする前に、他の作りかけの曲に浮気してしまう。
何故か複数の「作りかけ」を同時並行に作業する癖が有るのだけれど。
そのおかげでマスタリングまで漕ぎ着けて無い曲が7個ぐらい常に溜まっている。
ドラムトラックとベースとシンセで概ねイメージが纏まったトラックを前に、ギターを録るかと重い腰を上げてストラトを担ぐ。
マルチエフェクターで音作りをしながら、オケを流して音が抜けるサウンドを調整し、録音をスタートする。
正直ギターの録音が1番神経を使う作業で、ミュートミスやらカッティングのビミョーな違和感が気になって一晩で何十テイクもやってしまうから困ったものだ。
翌日も出勤なのに気づけば深夜の3時を回っている。
街灯の水玉の中を誰かが歩いて行くのが見える。こんな夜中なのに車は走り続けている。
肩が凝るので伸びをする。
またやってしまったなぁと
しばらく立ったままボーッとする。
仕方が無いので切り上げて寝ようと思うが、妙に目が冴えて結局冷たい空気を肺に入れながら近くのコンビニまでトコトコ歩いては無糖のタンサンを買い出しに向かう。
帰ってくる途中近所に住んでいるラッパーの家の明かりを横目に「いるなー」と思いつつ、次はいつ彼の手料理をご馳走になろうか期待したりしている。
彼の作るご飯は何を食べても美味しい。
煮卵って家でできるんだなと感心した。
そう言えばオートワウはやっぱりしっくり来ないのでペダルを新調したいと思う。
遠くのガソリンスタンドに貼られた進入禁止ロープのプラカードが路面に擦れてカリカリ音を立てている。
家に帰ってベッドルームを覗く、セミダブルのベッドと服掛けと、描きかけの抽象画以外は何もない。
そんな日は大体デスクの有るリビングのソファか床のフカフカのカーペットの上に年柄年中おいてあるコタツ用毛布に包まって眠る。
床から洞窟を見渡す。
下の通りを行き交う車のヘッドライトとブラインドの隙間が不規則な模様を映している。
壁にも描きかけの油絵やペン画がランダムに飾ってある。その内の一つは大学時代から手元に残してある気に入った作品で、結局売らずに人生の側にある。
寝つきが悪い事はあまり無く。いつも朝までぐっすり眠れる。
近くの水路で魚が跳ねる音やバイクが通りすぎる音を聞きながら夜を過ごす。
どの曲も大体こんな感じで出来上がっていく。
こんな夜をなんども繰り返して。
誰も知らない私だけの薄明かりを繰り返して。
曲は夜に出来る。
ふーっと吐く息が心地よい夜風で抜けて行く夜に。
オリジナルinst曲「 Nightcrawler :take2」by KusanagiWatch
この曲が出来た経緯はまた今度です。
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Thank you for watching‼︎
