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クスノキ出版活動記録 #13:加須・花崎に、子どもと本をつなぐ場所がある——レオ文庫を訪ねて

加須市の花崎に、25年以上にわたって、子どもたちに本を手渡し続けてきた場所があります。「レオ文庫」。ライオンズガーデン花崎の中にある、自治会のボランティアの方々が、見返りを求めずに守ってこられた、まちの図書館です。

先日、ご縁があって、このレオ文庫を訪ねました。そこで見たものは、私がぼんやりと思い描いていた「図書館」とは、少し違っていました。今日はその場所のことを、どうしても書き残しておきたくて、このnoteを書いています。


レオ文庫という場所

レオ文庫は、加須市花崎北の「ライオンズガーデン花崎」の中にあります。絵本や児童書を、子どもたちに貸し出している図書館です。会社でも、お店でもありません。自治会の活動の一環として、本の大好きなボランティアの方々が、25年以上にわたって続けてこられた場所です。

花崎北地区に住む方なら、子どもでも大人でも、どなたでも利用できます。棚には、長い時間をかけて集められた絵本や物語が、ぎっしりと並んでいました。開館日以外でも本を返せるようにと、受付カウンターには手作りのブックポストが設けられ、毎月の開館日には、おはなし会も開かれています。

そして、ここは本を借りるだけの場所ではありませんでした。駒(こま)や、体を使って遊ぶ昔ながらのゲーム——電源を使わない、手と体で楽しむ遊び道具が、あちこちに用意されていたのです。本を読みに来た子も、遊びに来た子も、どちらも同じようにあたたかく迎えられる。「子どもたちが素敵な本に出合えるお手伝いをしたい」。レオ文庫の方々は、そう話してくださいました。その言葉のとおり、ここは子どもが「また来たくなる場所」として、長い時間をかけて育てられていました。


「かぞの絵本作家」の心

訪ねて、まず心を打たれたのは、館内に手作りで掲示された「かぞの絵本作家」という展示でした。

加須にゆかりのある作り手を、子どもたちに紹介したい——そんな思いで、ボランティアの方々が自作されたものです。加須出身の絵本作家・まつなが もえさんと、私の『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』を並べて、ポスターやあらすじを、ひとつひとつ手で作って掲示してくださっていました。

とりわけ驚いたのは、物語の舞台をめぐる「聖地マップ」です。作品に出てくる場所が、加須の実在するどのお店なのか——地図の上に、お店の名前を書いたシールを一枚ずつ貼って、丁寧に追いかけてくださっていたのです。物語のあの場面は、このお店。子どもがそう辿れるように、フィクションの舞台と、本物のまちが、シールでひとつずつ結ばれていました。読んだ子どもが、実際にそのお店を訪ねてみられるように、という心づかいです。印刷して貼って終わり、ではありません。その手間のかかった一枚一枚から、「子どもにちゃんと届けたい」という気持ちが、まっすぐ伝わってきました。

館内には「かこさとし生誕100年」のコーナーもありました。子どもの本の世界で誰もが知る大きな存在への敬意と、地元の作り手への眼差しが、同じ棚の上でまっすぐに同居している。大きな名前も、地元の名前も、どちらも「子どもに良い本を」という一つの願いでつながっている。その光景が、とても印象に残りました。


訪ねて、感じたこと

私が訪ねた日は、あいにくの台風で、市内の学校がオンライン受講になり、来館する子どもは少なめでした。それでも——いえ、だからこそ、ボランティアの方々と、ゆっくりお話しすることができました。サイン本を、棚に寄贈させていただきました。

実は、レオ文庫のサイトでは、すでに私の1巻・2巻を紹介してくださっていました。それも、「ホームページにリンクを載せてもいいですか」と、レオ文庫さんのほうから声をかけてくださったのです。

正直に言うと、これは私が何かをお願いしたわけではありません。25年以上、見返りを求めず、加須の子どもに本を繋いできた方々が、私の本を見つけて、「子どもたちに広めたい」と言ってくださった。書き手にとって、これほど身の引き締まる出来事はありません。

そして、花崎は、ちょうど『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』第2巻の舞台でもあります。物語の中で子どもたちが歩いた、あの町。そこに、本物の「本の居場所」があり、本物の子どもたちが、本を借りに、遊びに、やってくる。聖地マップのシールのように、私の書いた場面が、この町の本当の場所と、そっと結ばれている。それを目の当たりにして、この物語を書いてよかったと、静かに、深く思いました。


本の渡し方

本を書く人間にとっていちばんありがたいのは、本がたくさん売れることよりも、本が「誰かの手から、子どもの手へ」と、丁寧に渡されていくことなのかもしれません。

レオ文庫には、その渡し方が、25年分、積み重なっていました。だれかが本を選び、だれかが棚に並べ、だれかが「この本、どう?」と子どもに差し出す。その地道な繰り返しの先に、本を好きになる子どもがいる。派手ではないけれど、いちばん確かな手渡し方が、ここにはありました。

加須の花崎に、こんな場所があります。花崎北地区にお住まいの方は、ぜひ一度、お子さんと覗いてみてください。本を借りるもよし、駒で遊ぶもよし。きっと、本やものがたりを好きになる「はじまりの場所」になると思います。

そして、もし物語を自分の一冊として手元に置きたくなった方は、加須市内の書店、または公式ショップでお求めいただけます。

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