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クスノキ出版活動記録 #12:うどんの日に、新装版を発行しました——うどんYouTuber・倫さんが、物語のうどんを監修してくれた

6月25日は「うどんの日」。この日に合わせて、『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』第1巻・第2巻の新装版を発行しました。

実は、この新装版の第1巻には、加須のうどんを知り尽くした方の目が、そっと入っています。今日は、その「監修」の話を、書かせてください。


なぜ、物語に加須うどんを書いたのか

加須は、知る人ぞ知る「うどんのまち」です。良質な水に恵まれ、昔から手打ちうどんの文化が根づいてきました。鯉のぼりの生産も日本有数。水が、うどんも、鯉のぼりも、この町の暮らしを育ててきたのです。

私は、加須に生まれ育った子どもたちに、「自分の住む町には、こんなに誇れるものがあるんだ」と感じてほしくて、物語の中に加須うどんを登場させました。第1巻には、主人公たちが地元のうどん店で「はじめての加須うどん」に出会う場面があります。何気ない一杯のうどんが、子どもたちにとって「自分の町を知る入り口」になる——そんな場面を書きたかったのです。


なぜ、専門家に監修を頼んだのか

ただ、食べ物を物語に書くのは、少しこわいことでもあります。生半可な知識で書けば、本当にその食を愛している人には、すぐ見抜かれてしまう。加須の食を物語に描くなら、本物の目を通したい——そう思って監修をお願いしたのが、うどんYouTuberの倫さん(埼玉うどん子TV)でした。

倫さんは、埼玉のうどんを県内300店以上も食べ歩き、その魅力を発信し続けている方です。2026年には著書『誇るべき埼玉うどん 26の物語』も出されています。ただ「おいしい」を伝えるのではなく、うどんを通してその土地の歴史や人を語る——その姿勢に、私はずっと敬意を抱いていました。この方にお願いできるなら、これ以上はない。そう思って、監修を依頼しました。


第四章「うどんと水の暗号」

第1巻の第四章のタイトルは、奇しくも「うどんと水の暗号」。加須の良質な水が、うどんも、鯉のぼりも、そして町の記憶も育ててきた——その物語の核になる描写を、倫さんに監修していただきました。

私が文献や記憶を頼りに書いた加須うどんの場面に、倫さんは、本物の食べ歩きの経験から、いくつもの確かさを足してくださいました。麺ののどごし、つゆの色合い、店の佇まい。一つひとつが「本物の目」を通ることで、物語の景色が、ぐっと確かなものになっていきました。フィクションの中に、本物の手ざわりが宿る。監修とは、こういうことなのだと、私自身が教わりました。


倫さんから、いただいた言葉

「うどんを300店以上、食べ歩いてきました。でも、まさか小説の監修をやらせてもらえるとは思っていませんでした。歴史ある加須の地で受け継がれてきたうどんは、コシよりも"のどごし"。その土地の水が育てた細麺の文化が、物語の中にちゃんと息づいていて、読みながら嬉しくなりました。加須の水が、うどんも、町も育ててきた。そのことを、子どもたちが物語を通して知ってくれたら、これほど嬉しいことはありません。地元を誇れる一冊です」

うどんを愛し、地域を愛する方が、私の物語をこう受け止めてくださった。「読みながら嬉しくなりました」——その一言を読んだとき、書き手として、これ以上の励ましはないと思いました。物語の中のうどんが、本物のうどんを知る人の心に、ちゃんと届いた。それが、何よりうれしいことでした。


すべての子どもが、自分の力で読めるように

今回の新装版は、本文のすべての漢字に、ふりがなを振った「総ルビ」版です。漢字を習いはじめたばかりの子どもでも、つまずかずに、自分の力で最後まで読める。加須の子どもたちが、自分の住む町を舞台にした物語を、誰かに読んでもらうのではなく、自分の目と力で読み切れるように——そんな願いを込めました。

加須の水が、うどんも物語も育てた。そのことを、加須の子どもが、自分で読んで、「へえ、そうなんだ」と思ってくれたら。それだけで、総ルビにした意味があります。


重なった縁

うどんの日に、新装版を発行できたこと。そして、加須のうどんを誰よりも知る方に、物語のうどんを見ていただけたこと。狙ったわけではないのに、いくつもの縁が「うどんの日」という一日に、静かに重なりました。

加須の水が育てた、うどんと、物語。よかったら、手に取ってみてください。新装版は、加須市内の書店、または公式ショップ(https://kusunokipub.official.ec/)でお求めいただけます。

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