反貧困ネット全国集会㊥
日本では中道政党やリベラル左派政党の後退が顕著である一方、米ニューヨーク市長にマイノリティであり、リベラルな主張を展開するマムダニ氏が当選するなど、海外に参考になるような例がある。
そこで、続くセッションでは、三牧聖子・同志社大学大学院教授よる「マムダニ市長誕生の背景」と題しての話があった。
まず、資本主義の権化のような街ニューヨークに社会民主主義者のマムダニが市長として誕生した背景について語った。
「アメリカは冷戦を長く闘ってきたこともあり、少し前まで社会主義はタブーでした。選挙でも相手に社会主義者というラベリングをすれば、それで選挙が有利に働いたのです」
「でも、この10年くらいでそれが変わってきたのです。若者が資本主義に疲れて、それに代わる社会を望んでいる」。
資本主義に代わる社会を望む若者
三牧教授はトランプ政権がいまだに3割の支持を得ていることに言及して、「億万長者のための政治を行い、庶民を顧みる政治など全くする気がない政治家がなぜ人気を保っているのか」という問いを提示した。
三牧教授によれば、答えは庶民のための政治をすると思いこませたことだという。しかし「Day1から庶民のための政治は打ち捨てられました。就任式の写真を見ると隣にいるのがトリオネアのイーロン・マスク」だと指摘。
「マスクは政府に寄生して、政府まで金儲けの道具にしていく。さらに写真にはグーグルのキチャイやアマゾンのべセス夫妻も写っている。世界有数の大富豪が最前列にいました。庶民のための政治をやる人はこんなことはしない。庶民のための政治などしないというのを見せつけたのです」。
庶民を苦しませながらもレガシー作り
イラン戦争が始まって1か月超となった。ガソリン価格は1ガロン4ドルと危機的な水準にまで上がり物価の高騰に人々が苦しんでいるのにトランプはインフレ対策を取っておらず、「庶民に苦しみを与えておきながらトランプが今取り組んでいるのは3.5億ドルをかけてのトランプボールルーム設立計画。自分のレガシー作りです」と三牧教授はいう。
トランプは大統領職を利用してかなりの私財を蓄えており、2期目発足から1年間で14億ドル(2200億円)の蓄財をしたといわれる。とりわけ暗号資産ベンチャーによってだという。
マスクは政府効率化省(DOGE)を率いて、食料支援などは弱者に悪用されているとXで世論操作。そしてトランプ減税の財源を生み出すためもあり、低所得者への食料支援や医療保険補助を削減した。
三牧教授は「二重三重にグロテスクなことがアメリカ政治に起こっているのです」とあきれたように話す。
「国民は絶望し、今やアメリカンドリームを信じていない人は7割と、過去最高を記録しています」。
「事実、富裕層の上位1割が冨全体の7割近くを保有し、すさまじい格差社会が進行し続けています」。
おぞましいガザ・リゾート計画
アメリカの友好国であるイスラエルが行っているガザでの虐殺行為。そんなガザにリゾートを計画しているとトランプはイスラエルのネタニエフ首相との会見で明らかにしている。「本当におぞましい構図」だと三牧教授。
「国内で庶民を苦しめ、国外でも苦しんでいる人たちのことなど考えない、お構いなし。パレスチナの人たちのことなんか考えない」。
そうした政治が行われているなかで、「マムダニのような政治家がどんどん出てくれば、民主党は信用されるようになり、勝てるようになるでしょう」との見通しを三牧教授は示す。
トランプ政治への不満が高まっている証として昨年6月と10月そして今年に入ってからの計3回にわたって行われてきた「ノーキングス(王様はいらない)デモ」を挙げた。
特に3回目のデモは800万人規模だったという。
とはいえ、現状は民主党の低迷が続いている。
左右の政治から上下の政治へ
三牧教授は「左右の政治から上下の政治になっている。”反エスタブリッシュメント”の新しい風が吹いています。それによって、マムダニ州下院議員が市長選でクオモ元州知事に勝利することが出来たのです。これは非常に重要です。ウガンダから移民したインド系住民でイスラム教徒のマムダニが市長選で勝利したのです」と話す。
とはいえ、「マムダニが属性を前面に打ち出さず、アイデンティティー政治とは距離を置き、物価高問題という課題に注力することによって”みんなの政治家”になれたのです」と三牧教授。
三牧教授は2024年の大統領選挙で民主党が出来なかったことをマムダニがやったということだとみている。
