#3_18 2024年地下アイドル業界分析 ~解散/休止と25年の可能性~
(記事内で表現している序列については食前舌語の独断と偏見による判断であるためご容赦いただきたい。)
昨年、一昨年とご好評をいただいた業界分析だが、本年の特徴といえば夏フェスメインステージ常連グループの「解散・現体制終了」以外に思いつく人はなかなかいないのではなかろうか。
2024/08/19 神宿(現体制終了)
2024/09/28 夢みるアドレセンス(現体制終了)
2024/11/04 真っ白なキャンバス(解散)
2024/11/22 アンスリューム(現体制終了)
2024/11/30 GANG PARADE(現体制終了)
2024/12/27 Devil ANTHEM.(活動休止)
2025/01/05 でんぱ組.inc(エンディング)
2025/01/30 NEO JAPONISM(活動休止)
2025/03/29 ナナランド(現体制終了)
本年度はそういった解散・現体制終了に対しての考察ではなく、そこに残された2025年のライブアイドルシーンにおいて、どのような変化があり、どこに活路を見出すべきなのかを考察していきたい。
2023年から2024年の変化
前回:2022年4月/2023年12月の振り返り


前回までこのような図を前提としつつ、地下アイドル・ライブアイドルを前提としてピラミッドを作成しこの時、TOPのまねきケチャの現体制終了・26時のマスカレイドの解散という、いわゆる「地下アイドル業界の再編」があった。そして、その中で様々なグループがいわゆるTOP層にどれだけ近づけるか、というのが勝負であった。

このピラミッドは単なる人気、という話ではなく、 地下アイドル業界における人の
流入の入り口としての機能に着目したものである。
2024年の年末も、同じピラミッドを前提として、新たに2024年のピラミッドを作成した。
まず、本年度は定義を大きく変更した。理由としては、よりワンマンの箱など集客力を前提に検討したほうがもっと納得度が上がるのでは?という前提があるが、もう一つフェスでの立ち位置は昨年検討している中でも「フェス主催との関係値」が大きくかかわってくるとともに、それ以上にメインステージを張っていたアイドルの解散・活休により、(実力不足と言いたい訳ではなく)メインステージが陳腐化しており、もはやそれを基準として比較することは難しいと考えたためである。

その中で、本年のピラミッドをこのように設定した。

2024年の現状を可視化する
まず昨年の23年ではTOP層だったFRUITS ZIPPERが圧倒的な成長を果たし、武道館2days・来年のSSA・紅白落選でのバズりなど、もはや地下/ライブアイドルの範疇に収まりきらないグループへと進化した。その中で坂道と同じ位置に記載をしているが、もはや(とき宣はおいておいて…)坂道に近い・並んだと表現しても遜色ないだろう。
一方で、1~2層目のアイドル層に関してもかなりの苦戦を強いられている。特に#ババババンビはゲームタイアップ、高嶺のなでしこは映画タイアップと強いコンテンツとの掛け合わせを実施するも、特段そのターゲット層からの流入は見られず、むしろ勢いに陰りが見え始めている。何より、Appare!の武道館公演の台風に伴う中止など、ある意味この層はこれからの進むところとして少し見えずらいところがある。
一方で、23年末に3段目だったアイドルが2段目に進む、とは言えないところであるが、着実に進んできているとともに、さらに下からも多くの可能性を秘めたアイドル達が渋谷O-EASTでのライブを成功させるに至る。
2024年、何が起こったのか?
①TOP層の喪失と囲い込み戦略
まずはFRUITS ZIPPER/iLIFE!についての分析をしていきたい。
それは「これらの事務所が”地下アイドル業界”ではなく”自社ブランドへの囲い込み”を強化した」ことを反映した記載である。
実は過去にもFreaKについて書いたことがあるのであるが、特に自社商材からのスイッチング(アイドル界でいうことの他界)が多い業界では、自社のブランドに囲い込むためのCRM戦略・LTVの最大化といったことはよく言われるものであるが、この2ブランドでも囲い込みをしっかりしており、そして成功した部類といえる。
もちろん、現在この2ブランドに流入している人たちが過去の流入したファンの属性(:まねきや虹マスからライブアイドルに通い始めた人)と大きく異なることは自明であるが、特に通っているファンの人たちが「ライブが好きだから通っている」「特典会が楽しい」というリアル偏重というよりかは、むしろ「あのSNSで見たかわいい女の子と話してみたい」というバーチャル偏重であるところも、あくまでリアル偏重のライブアイドルとの相性の悪さが他ブランドが奪い切れていない遠因にもなっていると考える。
そのため、ピラミッドを敢えて書き換えると、単純な変化ではなく、むしろピラミッド自体は独立したものになってしまっており、ついにTOP層(=地下アイドルを最初に体験する地上との接点)といえるアイドルが消えてしまったとも言える。

②地下アイドルの限界:O-EASTライブ
この分析において最も書いていてつらいパートになった。それが、「ライブアイドルの限界がO-EASTを一つの境になり始めている点」である。
2024年の年初話題になったが、Appare!のプロデューサーであるカノウリョウさんは、「ライブアイドル的な騒ぎ方をするファンは(23年12月時点での発言で)2000人」ということを言っている。

https://x.com/katasechan777/status/1742842287229636964
Appare!が武道館に向けて進む中で、既存のライブアイドルシーンの限界を感じていたが、もはや25年のタイミングで2000人どころかその1-2割がまたこの1年間でいなくなってしまったのではないか?と考えられる。
その中で、月に10-20公演の対バンに出演し、基本的にブランドとの接触がファン流入のチャンスであるライブアイドルとなると、この2000人をゼロサムで奪い合うわけであり、もはやレッドオーシャンの何物でもない。
その中で、2024年に行われたO-EASTのワンマンライブの多くでは、”ファンの招待制”が採用されていた。
これは非常に悔しいが、そのグループのファンや、能動的に行きたいと思える人のみではO-EASTをワンマンをするレベルまで埋められない、という状況に他ならないと考える。ただ、それを言うと23年までも招待はあったし、そもそも22年まではコロナ禍の関係で着席ライブなどもあり、その点も含めると、今年の話なのか、過去にもあった話なのかは審議のしようがない。
※ただ、私もドラマチックレコード・衛星とカラテアのO-EASTワンマンライブにご招待いただいたが、ライブの内容については非常に素晴らしいものであり、あくまで「実力不足」と言いたい訳ではない点は補足したい。
今後は圧倒的な音楽性を伴うyosugalaを筆頭に、Merry BAD Tune.やかすみ草とステラなど、楽曲はもちろんのことある程度のパフォーマンスを求められるわけである。
最終的に、今まで以上にニッチな”個性”があるというものではなく、よりマスに受ける”王道”のグループが求められることになる。
③全く別ケースとして考察したいタイトル未定
そんな中で特筆すべきは北海道発のアイドル、タイトル未定である。
2024年5月にメンバーの1人が脱退し、パフォーマンスや楽曲に定評がある中で少し燻ぶりを感じている中で、FNS歌謡祭への出場権争奪戦で優勝、見事なパフォーマンスを披露した。
#タイトル未定 の皆さん
— FNS歌謡祭【公式】 (@fns_kayousai) December 11, 2024
ありがとうございました!!
激アツの
♪ #鼓動 を披露していただきました💓
感想を #FNS歌謡祭 でポストして
教えてくださいね🙌🏻
このあともまだまだ
豪華な方々が登場します!!!📣 pic.twitter.com/fXsIAORR24
タイトル未定の3人が生バンドをバックに歌う姿、格好良かったですね。最高の「鼓動」でした。
— シャカール🐎 (@shakur0901) December 11, 2024
PCかスマホから、TVerを開いて追っ掛け再生で見られますよ。https://t.co/ktACnwyL8W
見られない人の為に、抜けてる箇所ありますが、どうぞ。この投稿は削除する可能性あり#タイトル未定がFNS歌謡祭に pic.twitter.com/QiTSbT5kRB
とはいっても、こんなことは実は過去の地下アイドル業界にはよくある話といってもいいだろう。
アイドル国会、アイドリアル…どちらも私が地下アイドルに通い始めたきっかけの番組であるが、CX(フジテレビ系列)を中心に、過去にも多くの番組を通じて、地下アイドルを触れるきっかけを作っていた。
しかし、25年のタイトル未定は、このFNS歌謡祭の一件ではない別の要因で非常に大きな成長を魅せると考えられる。
これについては、また25年の別の記事でぜひ分析させていただきたい。
2024年の地下アイドル業界をマーケティング的に分析してみる
①なぜ女性ファンが増えたのか?
上記の前回の投稿にも記載をしましたが、やはりまずターゲットが男性から女性に移ってきていることは大きなトレンドとして考えられる。
その中で、前回にも記載の通り、男性が求める「ガチ恋感」ではなく、女性が求める「憧れ」という点に焦点を絞って訴求しているコンテンツといえよう。
ただ、ここで重要なことは「憧れ」というものは全く別の話であるため、「ガチ恋」の訴求軸を基軸とするライブアイドルだとそのずれから魅力が伝わらないという問題点も存在する。
つまり、今までは人気のあるグループと対バンに出ていれば何かしらのきっかけでファンを奪える、というチャンスの場としての対バンだったのだが、今の対バンにはファンを奪うチャンスがなくなってしまったのではないか、とも考えられる。
そのため、もちろん2ブランドの囲い込み、という話とは別の要因としてTOP層がなくなってしまった原因だとも考察される。
②ついに始まる”おわりとはじまり”
実は以前にも同様のことを記載しているのだが、マーケティング用語における「製品ライフサイクル」をもう一度考察していきたい。
製品ライフサイクルの終末である衰退期には①撤退②市場再拡大③残存者利益の3つの方針がある。
その中で、主要グループが①を船体くしている一方、2ブランドは女性ファン獲得という②を選択したわけである。
一方でいまのライブアイドルシーンで闘い続ける、我々昔ながらのオタクたちの需要を達成するには③の残存者利益を狙っていくことが重要となる。
③残存者利益
ライバルの大部分が撤退した中で、残った企業が利益を享受する。すでに成熟したために、普及率の向上や生産設備の投資なども不要であり、低コストで利益率が高くなる場合がある。
いま、上位層が抜けている中で、2-3層目の中間層にとっても、この残存者利益を取りに行くチャンスになっている。
例えばFES☆TIVEや#ババババンビのように別グループの卒業メンバーで補強するなど、残存者利益を獲得するには実力の圧倒が必要であり、ここをしっかり見ていく必要もあるだろう。
③勢いのあるアイドルに共通する「脱ロリ」感
ここからはデータのない考察であるが、2024年数少ない「勢い」を感じ他グループにyosugala、衛星とカラテアがあげられると考える。
その中で、この2つに共通していることが、メンバーの年齢層である。
といっても私もそこまで詳しくない2グループなのであるが、大体20歳以上あたりの年齢層をメンバー構成の基軸として置いているところが勢いのあるグループに増えてきているのでは?と感じている。
例に「一女と三女」という話で議論したい。
よくサークルで大1の女子を一女、大3の女子を三女というが、アイドルシーンにおいてコロナ前はいわゆる一女のような「若さ」に需要があったといえる。
一方で、コロナ後には若さよりも実力(経験)が求められることが多く、そういう観点でも「脱ロリ」してきているのでは?と思われる。
これは努力が報われる、年を取ることで若さが失われ、魅力がどんどんなくなるわけではない、という意味も含めて、ファンとしてはよいパフォーマンスが求められる環境をうれしく思う限りであるが、嫉妬の三女ではなく、華の三女になり始めているのではないだろうか?
④本当にきつくなる2025年の夏フェス
そんな中で、特に2025年の夏フェスは、いわゆる主要なメインステージクラスのアイドルという中核の出演が見込めない中で、来場人数が見込めない可能性が高い。
さらに、J-LODなどのコロナ禍支援の補助金についても徐々に終了していくことで、ビジネスとして成り立たない状況がより顕在化する。
そのため、特に地上アイドルとのコネクションの薄い夏フェスについては壊滅的な財政状況になり、それを皮切りとしたフェスの中止・隔年での開催などが考えられる。
ある意味「イベンターが金稼ぎのために夏フェスを作りすぎた」論者の私としては、当然の淘汰だと考えられるが、その中でいかに夏フェスの差別化ができるか、も大きな課題になると考えられる。
まとめ
2024年はライブアイドルを代表する2グループであるFRUITS ZIPPER/iLIFE!が自社のレーベルグループ(KAWAII LAB./ヒロインズ)への囲い込みをすることで、今までの「地上アイドルから流入するライブアイドル市場」の流入お構造が崩壊し、ついにライブアイドルシーンの既存のビジネスモデルの限界が顕著になり始めた年であるといえる。
一方で、引き続きのTikTokを基軸とした新規ファンの獲得、残存者利益としてマスに受ける&質の高いパフォーマンスを実現することで、このライブアイドルシーンでの勝ち筋として引き続き見えてくるものがあると考えられる。
閑話休題
24年も長らくお世話になりました!
25年もよろしくお願いします。とりあえず参戦予定は3/30の清竜人25といぎなり東北産のツーマンライブです。まさかの最速先行で900番台…ちょっとすごすぎて引いてます…
来年もちょろちょろと投稿は続けていく予定ですので、よろしくお願いします。
閑話休題②
もともと推していた子がまた一人卒業しました。
社会人を辞めて熊本から上京し、グループが解散の危機になっても一人残り、つらい時も踏ん張り続けていました。
さらに、腰痛の悪化もあり、本当に最後は自分の思い通りにいかないところにも悔しさがあったのではと推測されます。
最後の雄姿は見れなかったですが、彼女の一心に頑張る姿に尊敬します。本当にお疲れ様でした。
