シャーロック・ホームズに学ぶ「あるものがない」ことに気づく視点
僕たちは、「ない」という事実に、どれだけ気づけているでしょうか?
たとえば、いつも賑わっているカフェに、ある日なぜか人がいない。いつも返信していた同僚が、急に既読スルーになった。毎日流れていたSNSの投稿が、今日はまったく更新されていない。
こうした“静けさ”や“不在”には、しばしば大切なサインが隠れています。
この「あるはずのものが、ない」ことに敏感だったのが、あの名探偵シャーロック・ホームズです。
僕の好きな短編に「白銀号事件」という作品があります。
舞台はイギリスの競馬界。期待の競走馬「白銀号」が、レース直前に謎の死を遂げるという事件が発生します。
警察が関係者に聞き込みを進めるなか、ホームズはルーペを片手に現場を這い回って観察します。
そして彼が注目したのは、「番犬が吠えなかった」ことでした。
ホームズ「あの晩の、犬の不思議な行動が解りますか?」
グレゴリー警部「えっ、犬は全然何もしなかったはずですが…」
ホームズ「そこが不思議な行動なんですよ」
「もし侵入者がいたなら、犬は吠えたはず。それがなかったということは、侵入者は犬がよく知っている人物だったのでは?」
この“吠えなかった犬”という「なにも起きなかった事実」から、ホームズは真犯人が“身内”であることを導き出します。
この視点、実は私たちの暮らしや仕事の中にもとても役立つものです。
たとえば、ビジネスの現場で「急に売上が落ちた」と騒がれるとき、多くの人は数字の下がった理由を探します。
でも実は、その前兆として「あるべき声が聞こえなくなっていた」ことに気づけたかもしれません。
いつもフィードバックをくれる得意先が、なにも言ってこなくなった。アンケートの回答数がじわじわ減っていた。SNSでの話題が自然と消えていた。——こうした「静かなる異変」は、放っておくと大きな問題に発展することもあります。
また、転職活動やキャリアの選択においても、「みんなが注目している企業」ではなく、「本来あるべきなのに、どこかで名前を聞かなくなった企業」にこそ、真の変化や兆しが潜んでいたりします。
私たちはつい、「見えるもの」「派手な変化」にばかり目を奪われがちです。でも本当に大切なサインは、「ないこと」「語られないこと」の中にあるのかもしれませんよね。
日常でもビジネスでも、「気づける人」というのは、先を読める人です。
その第一歩は、「あるはずのものがない」という違和感に敏感になることから始まります。
今日、あなたのまわりで「あるべき何か」が、そっと姿を消してはいませんか?
シャーロック・ホームズのような視点をもてば、静かな変化の中に、大きなヒントが見えてくるはずですね。
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