見出し画像

「不器用」にはワケがある。発達性協調運動障害(DCD)

共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


ADHD、ASD、LD。

発達障害と呼ばれる症状は、
主にこの3つが主たるものとして
取り上げられることが多いです。

しかし、
これまでの記事でもまとめてきたように、

場面緘黙であったり、
起立性調節障害であったりと

神経の多様性である
ニューロダイバーシティーの視点でみると
まだまだ関連する症状は
数多く存在します。

その1つが、
発達性協調運動障害

この神経発達症の症状は、
結構な頻度で見られ、
ただの不器用さとして
見過ごされてしまうケースが多い。

今回は、そんな
発達性協調運動障害という症状を
解説する記事にしていきます。

何か気付きを得る記事になれば幸いです。



発達性協調運動障害とは?

発達性協調運動障害は、
英語では

Developmental
Coordination
Disorder

と訳され、通称DCDとも言われます。

発達性協調運動障害とは、
どのような定義なのでしょうか。

DSMー5の定義を
非常に簡単にかみ砕いて説明すれば、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

書字やスポーツなど
生活や余暇に必要な協調運動において、
年齢水準よりも著しく低い
「不器用さ」をもつ症状

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

といった感じになります。

そのことによって、
様々な不適応が起きている状態ということです。

DCDは、
5~11歳の子どもの5~6%に見られ、
1クラスに2~3人いる割合と言われています。

そして、
他の神経発達症の症状と
併発している割合が非常に多いです。

ASDの約70%、
ADHDの約30~50%、
LDの約50%に併存している

言われるデータもあります。

筆者自身は、
DCD単発のケースというものを
あまり見たことがありません。

DCDをもっている子は、
神経発達症とまではいかなくても、
多少はグレーでASD、ADHD、LDの一部の特性を
もっている場合がほとんどでした。

よって、
ASD、ADHD、LDをもつ場合は、
DCDもグレーレベルで少しはあるのかも

捉えるぐらいで、
色々な支援を想定できると思います。


DCDの具体的な特徴

DCDの子どもは
以下のような特徴をもつケースが多いです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・ボタンやファスナーなどの操作が苦手
・ケンケン、スキップなどが苦手
・球技やダンス、運動全般がぎこちない
・うまく顔を洗ったり水を飲んだりが苦手
・鉛筆や箸を握るのが苦手
・書くときの筆圧の調節が苦手
・文字を枠の中に収めて書くのが苦手
・滑り台やブランコをこわがる
・エスカレーターで乗るタイミングがつかめない
・お絵かきや工作が苦手
・ピアニカやリコーダーの指運びが苦手
・家庭科の裁縫や調理が苦手
・なわとび、水泳など
 2つ以上の動作の組み合わせが苦手

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とにかく、
身体の操作の不器用さ
大きく捉えることができます。

運動会の練習に参加するのがいやな子は、
何をするのか見通しが立たないのが
嫌なのかもしれませんし、

集団行動に押し込められるのが
触覚に過敏性があることによって、
圧迫感を感じ、恐怖なのかもしれません。

突然の音や音楽、大声に関する
聴覚過敏もあるかもしれませんが、

シンプルに、
ダンスといった運動が苦手
という
身体の不器用さからくる原因も考えられます。

このような
見極めの視点の1つとして
とても大事な症状となります。

自分が表現したいことがあったり、
意欲はあったりするのに

身体がうまく動かず
歯がゆい思いばかりをしていれば、

「自分はできない」
という自己有用感、
自己肯定感の低下につながる
可能性があります。

ストレスがたまって、
かんしゃくを起こしたり、
学校に行きたくなくなる原因
にもなり得る。

それぐらい、
注意して見ていかなければならない
症状であると言えるでしょう。


支援の原則

まず、支援の大原則として大事なのは
叱る、焦らせる行為はNGということです。

その子なりのペースの尊重をする。
「できる」ことを増やすことに重点を置く。

そして何よりも大事なのは、
環境調整

人的な環境調整ならば、
不器用さでからかいなどが生じないような
学校の環境をつくること。

物的な環境調整ならば、
道具に頼るべきところは
思いっきり頼る
ことも大切です。

筆圧が調整できず、
枠内に文字が収まらなかったり
鉛筆がうまく握れないのであれば、

鉛筆が握りやすくなる道具を使う、
筆圧を調整できる下敷きを使う、
ノートを拡大コピーする、
ホワイトボートにペンで書く、

といった調整が可能です。

もちろん、本人の同意を得てからですが。

だからこそ、
周囲の目がそこまで気にならない
低学年からの支援
が重要となります。

子どもの不得手をサポートする教具は、
色々なものがあります。

以下の記事に一部をまとめてありますので、
興味のある方はご覧になってみてください。

そして、
不器用さの根本の要因となっている
感覚の部分にアプローチをしたり、

運動の技能の習得を
よりスモールステップで
専門的に設計していくことが大切です。

それは次章で解説します。


多様なアプローチ

発達性協調運動障害へのアプローチとして
ここでは主に3つのものを挙げておきます。

それは、

・感覚統合
・原始反射の統合
・作業療法の視点

です。

■ 感覚統合

感覚統合については、
以前に違う記事にまとめました。

感覚統合は、
人間の全身の器官から受ける感覚を
脳が統合していく
ことにより、
バランスよく発達を促すことができる考え方です。

以下の図のように、
聴覚、前庭覚、固有覚、触覚、視覚などの
土台がしっかりしていることにより、

4段目、3段目、2段目、1段目と、
段々と高度な感覚を
バランスよく発達させていくことができます。

この図で言えば、
身体の位置の把握、姿勢、バランス、眼球運動、
ボディイメージ、身体の両側統合
などは、

ダイレクトに、
DCDに関わる感覚となっています。

それらが十分にできて初めて、
目と手の協調運動ができ、
そこから学習につながっていきます。

本来ならば、
発達の過程上で
上記の感覚を十分に積むことができるのですが、

神経が多様である子どもは、
好き嫌いの凸凹が激しく
一部の感覚運動を極度に避けたり、
ステップを飛ばしていたりします。

だからこそ、
必要な土台部分から立ち返って
その運動を十分に積ませる
ことが大切。

ボタンをはめるのが苦手であれば、

ビンの蓋を開け閉めさせる運動や、
新聞や花紙をバラバラにする運動、
ブロックの玩具で遊ぶ運動などを

積ませるところから
焦らずに行っていくことが大切になります。

■ 原始反射の統合

階段の上り降りが苦手。
鉄棒やマット運動で前回り、前転ができない。
なわとびやボール運動が苦手。
板書をノートに写すのが苦手。

こういった特徴は、
原始反射の統合が十分に行われていない場合に
生じると言われています。

感覚統合と重複する部分もありますが、
脳幹が十分に鍛えられていないが故に
身体操作が不得手になっていると考えることもできる。

だからこそ、
脳幹の発達を促進する運動を行い
原始反射の統合を促す
ことも有効になり得る。

風船をボールにして
ラケットを使ってバトミントンを行う。

雑巾がけレースを
様々な障害物を避けて行ってみる。

とび箱のような高いところに乗って、
空中にあるポールを見上げて
跳びながらタッチしてみる。

そのような、
協調運動に関する原始反射の
統合を促すような運動を
行うことも効果があると言えるでしょう。

なわとびや水泳といった運動が苦手なのは、
その前段階の運動を
十分に詰めていないから。

そこに立ち戻ってから、
焦らずじっくりと
力を付けていくことが大切です。

■ 作業療法の視点

作業療法の視点で、
生活動作の1つ1つを
解説しているような書籍なども参考になります。

例えば、
スプーンやフォークをもつ動作について。

まず、確認しておきたい動作は、

・小さなものを人差し指と親指でつまめるか
・じゃんけんのチョキができるか
・鉛筆を三本の指で持てるか

といったものになります。

その上で、
食べる手だけではなく
支える方の手をうまく使わせるために
すべり止めマット
などを使う視点がある。

手にごはんつぶが嫌がるレベルなら
触覚の過敏性が残っているものとして
砂遊びや粘土遊び
を行う視点もある。

力のコントロールが苦手なら、
洗濯ばさみを使って練習もできる。

食材の形をみる力が弱い場合は、
食器やランチョンマットの色を工夫し
食材を見やすくする支援もできる。

身体のイメージがとらえにくい場合は、
小鉢のような壁がある食器を使い
スプーンの先が壁に当たるようにし
動かす方向を分かりやすくすることもできる。

このような複数の視点に立った支援を
複合的に行っていけるのが
作業療法からのアプローチです。

本を1冊でもいいので持っておき、
辞典的な感じて使うのもいいと思います。


まとめ

発達性協調運動障害と
はっきり診断されるレベルではなくても、

「ちょっと不器用」ぐらいの
グレーの子どもはたくさんいるはずです。

この記事のような
専門的な視点からのアプローチがあれば、

「ちょっとぐらい不器用な子もいるよね」

で終わらせることなく、
適切な支援や根本となる土台を
築き直す
こともできるはず。

DCDの概念を知っている/いないで、
子どもにサポートできる幅は
確実に変わります。

「不器用」も脳の特性の1つとして
適切に支援する文化が広がるといいですね。


DCDに特化した
1つ1つの運動動作に対しての
アプローチを詳しく解説している
辞典のような書籍も存在します。

気になる方は
手に取ってみてください。


この記事の内容が少しでも
「よかった」「ためになった」
と思われた方は、
スキやフォローをしてくださるとうれしいです!
コメントも残してくださると有難いです!
コメントを読んだ方々が、
より教育についての知見が深めることができる
図書館でありたいと思います。
いつもいつも、最後まで読んでくださり
本当にありがとうございます!
皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊



いいなと思ったら応援しよう!