「請求書、いつ出せばいいですか」と聞けないまま、月末が過ぎていませんか。
納品した。検収も終わった。
さて、請求書を出すタイミングです。
……いつでしょうか。
契約書を見返します。「報酬は、検収完了月の翌月末日までに支払う」
支払期日は分かりました。でも、請求書をいつ出せばいいかは書いていません。
先方の締め日も知りません。
とりあえず、月末に出してみる。
——このやり方だと、入金が1ヶ月ずれることがあります。
■ 「締め日」を把握していますか
多くの企業には、支払いの締め日があります。
「毎月20日締め、翌月末払い」
「毎月月末締め、翌々月10日払い」
この場合、20日締めの会社に21日に請求書を出すと、その月の締めには乗りません。翌月の締めに回ります。
結果、入金が1ヶ月遅れます。
契約書に支払期日が書いてあっても、請求書が締めに間に合っていなければ、そのとおりには進みません。
■ 契約書に入っていると助かる一文
支払条件の条項に、こう入っている契約書があります。
「乙は、毎月末日締めで当月分の業務に係る請求書を甲に発行し、甲は当該請求書を受領した月の翌月末日限り、報酬を支払う」
締め日、請求書の発行タイミング、支払期日。この3つがセットで書かれています。
これがあれば、毎月迷いません。
ない場合は、最初の契約時にこう確認しておく方法があります。
「請求書の締め日と、送付先をご教示いただけますでしょうか」
一度聞いておけば、その後は同じサイクルで回せます。
■ 請求書に書くべきこと
インボイス制度が始まってから、記載事項が増えました。
適格請求書として扱われるためには、以下が必要とされています。
・発行者の氏名または名称
・登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
・税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等
・交付を受ける事業者の氏名または名称
登録番号は、適格請求書発行事業者として登録した場合に付与されるものです。
登録していない場合、取引先が仕入税額控除を受けられない可能性があるため、事前に確認しておくとよい部分です。
■ 屋号だけで出していませんか
請求書の発行者名。
屋号だけになっていませんか。
「〇〇デザイン」
個人事業主の場合、適格請求書発行事業者の登録は本名で行われます。
請求書が屋号だけだと、登録番号との照合ができないという指摘を受けることがあります。
契約書、請求書、振込先の口座名義、特商法表記
——これらの名義が揃っているかを確認しておくと、経理のやり取りがスムーズになります。
■ 振込手数料はどちらが負担するのか
意外と決まっていないことが多い点です。
報酬10万円の案件で、振込手数料が差し引かれて99,780円が入金される。
年間に何件もあれば、積み上がります。
契約書に一文あるかどうかで変わります。
「振込手数料は甲の負担とする」
書いていなければ、民法上の原則としては弁済の費用は債務者(支払う側)の負担とされていますが、実務では相手方の慣行に従うことも多く、揉めることもあります。
最初に決めておくのが確実です。
■ 源泉徴収されるケース
個人事業主の場合、報酬から源泉所得税が差し引かれることがあります。
対象となるのは、原稿料、講演料、デザインの報酬、特定の資格に基づく報酬など、法令で定められた種類の報酬です。
Webサイト制作や動画編集などは、内容によって扱いが分かれることがあります。
請求書に、こう記載しておく方法があります。
小計 100,000円
消費税(10%) 10,000円
合計 110,000円
源泉所得税 ▲10,210円
差引請求額 99,790円
源泉徴収の要否や税額の計算は税務の領域になりますので、具体的な判断は税理士にご確認いただくのが確実です。
■ 支払いが遅れたときの根拠
支払期日を過ぎても入金がない。
このとき、契約書にこの条項があるかどうかで、伝え方が変わります。
「甲が支払を遅延した場合、支払期日の翌日から支払済みに至るまで、年14.6%の割合による遅延損害金を支払う」
実際に請求するかどうかは別として、催促の際に条項を示せます。
「契約書第○条に基づき、○月○日までにお支払いいただけますようお願いいたします」
根拠を示せると、催促そのものがしやすくなります。
■ フリーランス新法の60日ルール
2024年11月に施行されたフリーランス新法では、発注する側に対して、成果物を受け取った日から60日以内に報酬を支払うことが求められています。
「検収完了月の翌月末」といった条件でも、検収が長引いて実質的に60日を超えるようであれば、この点との関係を確認する必要が出てきます。
催促の際に触れることもできます。
「フリーランス新法上、成果物の受領日から60日以内のお支払いが定められております。お手続きの状況をご確認いただけますでしょうか」
■ 最初に決めておくと、毎月が楽になります
請求まわりで確認しておきたいのは、この5点です。
□ 締め日はいつか
□ 請求書の送付先(担当者・メールアドレス・システム)
□ 支払期日はいつか
□ 振込手数料はどちらの負担か
□ 源泉徴収の対象になるか
契約時に一度聞いておけば、その後は毎月同じサイクルで回せます。
聞きにくいことではありません。むしろ、経理の担当者にとっては、最初に確認してもらえるほうが助かる部分です。
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