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Ranを終えて。 そして身も心もおじいちゃんになる。

こどもが主役のミュージカル『Ran』が終演しました。
腹筋さんがこどもミュージカルの作品を何本も手がけているのは知っていて、作品を配信で観たこともあったけど、ガッツリ関わったのは初めてのこと。舐めていた訳ではありませんが、子供たちの凄さ素晴らしさに慄く日々でした。

自分が演じたのは教頭先生で、パワハラめいた言動で子供たちの前に立ちはだかる役。作品内のポジションとしてラスボスのような存在です。また、今回の座組の立ち位置としても、何人かいる大人の中で明らかに自分だけ年配なので、作品を支える屋台骨としてどっしりと存在していないといけないところだよなあ、というのは最初から理解してました。まぁでもメインはこどもたちだし、そこまで気張らずとも何とかなるだろと気楽に考えてました。

ところが初めて稽古に参加した時から、なかなか衝撃的でした。今回、大人が稽古に合流するのは後からで、こどもたちはその一ヶ月ぐらい前から稽古してました。合流の時点で、台詞・歌・動き、こどもたちは全て入ってました。プロなら当たり前だろと思うかも知れませんが、今回は歌が15曲ほどあり、その間の芝居パートはメインのこどもたちは出突っ張り、しかも激しい走りのパワーマイムもかなり組み込まれます。大人の役者でも全部こなすのは大変な分量です。それが稽古に合流した時点で全員こどもたちは入ってました。この時点で、あヤバいコレはガチで挑まないと作品に貢献できない、と焦りを覚えました。

もちろん、こどもだから未熟な部分は多くあります。単純なことで言えば声の大きさ。身体もまだ出来ていないので肺も小さいから単純に声が小さい。
とはいっても、メインの子達よりも小さい低学年の子たちの方がむしろ大きい声は出ていたので、自意識の芽生えが発声の阻害しているのかも知れませんが、ともかく身体操作の技術はまだまだ追いついていない。
また、台詞の裏にある感情の機微にも気付けない。戯曲の台詞は文字面とは違う感情を抱えていることがほとんどですが、そのことを知識としても知らないし、日常生活でそんなことを考えることも少ないでしょう。単純に人生経験が短いのだから、当たり前です。

こどもだから出来なくても当たり前、ではありますが、お客さんからお金を取って舞台をやるからには、そうはいきません。こちらの記事でも書きましたが、こどもたちは常に最高レベルの作品を目指してました。
腹筋さんに声が小さい・台詞の読み込みが甘い、じゃあどうすれば良いと思う?と問い掛けられて次の稽古までの宿題が出されると、それに応えるようにこどもたちの演技はどんどん良くなっていきました。アドバイスを素直に受け止めて、その中でも取捨選択をして、チャレンジをする。それを繰り返すことで成長していく。その積み重ねで以前よりも高いレベルに到達できる。

本番の10日前ぐらいに、本番で使う劇場で稽古をさせて貰う機会がありました。本番と同様の照明と音楽を使っての稽古。本番と同じように動くために照明・音響の位置・大きさ・タイミングを色々試してみて、その都度に変わっていく段取りをしっかりと覚えていかないといけません。大人でも集中力を使う、かなり疲れる稽古です。その日は作品のラストまで段取りを決めて、最後に通しの練習をしました。通しの前の時点で、かなりこどもたちは疲れてるように見えたので、ちゃんとやれるかしらと不安に思いましたが、それでもしっかりと通しをやり切りました。何ならそれまでの通しの中で一番良かったように思います。その時に、この子たちは本当にプロとしての意識がちゃんとあるな、と思いました。

そのようにこどもたちが稽古の中でチャレンジを重ねていく中で、自分はどのように役割を全うできるか。あくまで今回はこどもたちが主役なので、自分はブレずにこどもたちに立ちはだかる壁として存在しないといけない一方、かと言って凝り固まった演技をしているようじゃプロとは言えません。
普段だったら何かミスしても誰かがカバーしてくれるだろぐらいの気軽な気持ちで臨んでいるのですが、今回は自分が一番しっかりしていないと(=少なくともそう見えるような説得力を持っていないと)いけない、という気持ちがあって、こどもたちと比べたら教頭先生は全然出番も少ないのに、何だかとっても疲れました。これも、こどもたちがしっかりプロとして動いていたから自分もプロとして応えなきゃいけない、という俳優としての本能が働いたということです。俳優の本能を呼び覚ましてくれてありがとう。

今回のこどもたちの良いところはプロとしての自覚を持ちつつも、こどもとしての瑞々しい感性をしっかり持ち合わせているところです。変に業界慣れしないで、どうかそのままの感性で、色々なことを吸収しながら素敵な大人になってくれたらと思います。

実は『Ran』の10日前ぐらいにギックリ腰をやって身体はボロボロだったのですが、日に日に良くなっていくこどもたちの演技を見て自分ももっと頑張ろうと素直に思えました。腰も痛いし、こどもたちの成長っぷりに目を細めてしまうし、もう身も心もおじいちゃんです。終演後にこどもたちからお礼の品々をもらっておじいちゃんは胸いっぱいです。いつかまた共演できたらおじいちゃんは嬉しい。

ありがとう。まずは腰をちゃんと治します。

田中先生とパチリ。
最高でした!!

という訳でアーカイブ配信中です!
31日(日)22時まで視聴可能なので、ご自宅で何度でもお楽しみくださいませませ。

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