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電子書籍とデザイン

いろんな人が「本を読めー」「本を読めー」とおっしゃいますし,私も本を読みます。

「本は好きか嫌いか」と問われると,うーん…読む本にも寄りますが,だいたい私は好きな方だと答えたい。

別に私は読書家を名乗るわけではありません。世の中には私なんかよりもっとたくさん本を読んでいらっしゃる方は多いです。

大学の先生ともなると,読書についてものすごいエピソードが満載な方だっていらっしゃいます。私たちが書店で本を買うときは,本棚をぼーっと眺めて「よし,これにしよう!」とかなんとか言って,それで購入です。でも私が学生の時,先生が「この棚のココからココまで」といって買ったことがある話しを聞きました。これが本ト…本当の大人買いってやつか…といって衝撃を受けた覚えがあります。

今月はそんな読書について,ちょこちょこ記事を書いてみようかと思います。

電子書籍の効用

マンガの電子書籍

昔は自分の部屋にマンガが並んでいたんですが,場所が…ねぇ…。
だから私もマンガは電子書籍で読む派です。

もうそろそろ正月休みがやってきますからね。どこに行っても読める。

教科書のデジタル化

一時期,学校で電子書籍を導入する話しが盛り上がっていたでしょうかね。教科書が電子書籍になるのかーと驚いた覚えがあります。

私なんぞは能天気なもので,小学校の頃には重たいランドセルを背負ってヒィヒィ言って通っていた身からすると,荷物が軽くなるやん!と小躍りします。

電子書籍で学習ははかどる?

まァこんな感じで電子書籍にもいいところがあります。使い勝手がイイ。

でも遊べないですよね。

紙の教科書に落書きしたことはありませんか? ガキんちょだった私の話しですみません。でも人物のイラストに落書きしたくなる年頃だったんですよ。パラパラ漫画みたいなものを描いたり,文字の隙間(「品」という字の四角く区切られたスペース)をペンで塗りつぶして遊んだり。

そうやって遊んでいると,そのページに書いてあることがいつの間にか頭の中に入っていることがあります。

紙の辞書もそうです。「集中力が切れたわー」とか言って,辞書をペラペラしてテキトーなページをめくって遊んでました。「何かおもろいワードないかなー」とか何とか言ってカタログを眺めるみたいに辞書を見てるだけですが,そういう経験が積み重なるとバカにならない。

教科書も一緒です。テキトーに眺めるからイイんじゃないか。

外国語の分厚い文法書や問題集を進めていて「飽きたー」と思ったら,別の単元をチラチラと眺める。頭が緊張していない,弛緩した脳でぼんやり眺めていると,結構すいすい入ってくる。

デジタル教科書を導入したものの,紙の教科書に回帰する国の例だってありますからね。

使い方次第だ

…って言う方もたくさんいらっしゃると思います。

もちろん言いたいことも分かります。「使い方次第」って言っておけば結構丸くおさまる。それはそう。

でも,デジタル教科書って,使い方が1通りに限定されている気がするんですよねェ…。「こういう風に使え!」と制作者が命じる方法で,まさにその方法でしか使えない。

ほどほどのデザイン

私が好きな本があります。
佐藤卓『塑する思考』(新潮社,2017年)では,デザインは「ほどほど」に留めておく話しが登場します。

…「ほどほど」とは,やりきることも承知しながら,敢えて手前のほどよいところを見極め,そこで仕上げておくことなのです。
 この,少し手前でほどほどに留めておくデザインによって生まれる「空き」こそが,人がものと自分なりの仕方で付き合うことを可能にする余地になります。その人その人なりにものをカスタマイズできるのだと言ってもいい。そもそも人は,それぞれ価値観も違えば生活におけるあらゆる行動のとり方も一人ひとり違います。しかるに,完成しきって「空き」を持たないものを前にして,なんだか壁に阻まれているみたいだと感じたことのある方は少なくないと思います。…

佐藤卓『塑する思考』(新潮社,2017年)p.109~p.110

デジタル教科書には「ほどほど」がない

電子書籍だと1ページずつしか進まないんです。1ページずつしかめくれないんです。

でも本を使って勉強するときって違います。あっち行ったりこっち行ったり,メモを書き込んだり,付箋をつけたり,千切ったり,丸めたり,落書きしたり,枕にしたり,いろいろです。読み飛ばすこともあります。好きな時に好きなページを開くこともあります。ヤギのエサに……はダメですけど。

勉強の仕方は人それぞれじゃないですか。時間の使い方も,進み具合も,教科書の使い方も。

上の佐藤卓さんの言葉を借りれば,紙の教科書には「空き」があるんです。使い手の創意工夫を受けとめてくれます

でも電子書籍は違います。電子書籍は,それをデザインした人が想定するたった1つの方法で使うことを,使い手に命じます。「ページのめくり方はこうです」「マーカーはこんな風に使いなさい」「栞(しおり)はこれです」。

なんて窮屈な生活だ!

「たった1つ」という表現に引っかかる方もいらっしゃるかと思いますが,紙の教科書の自由度と比べてどうですか?

結局のところ,電子書籍のほとんどは,学習にはあまり向いていないんじゃなかろうか。マンガや雑誌を適当に流して読むように,情報を消費するような仕方で本を使うのなら,電子書籍はイイと思います。便利さに振り切った使い方です。ゴミも出ない。でもコンテンツを消費するようなやり方は,学習には当てはまりにくい。

だから落ち着いてよく聞いてほしい,私が今日リビングで子どもの絵本を枕にして寝ていたといっても,それは決して絵本を粗末に扱っているわけじゃあないんだ,違うんだ聞いてくれ,ちょうどいいところに絵本があったんじゃなくて,高さがちょうどよかっ…ハイごめんなさい。

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