正月の遊び③(こま回し──回り続けるという、祈りのかたち)
正月の縁側や庭先で、こまが静かに回っている光景は、どこか懐かしく、そして不思議と心が落ち着きます。
ただ回っているだけなのに、ずっと見ていられる。
こま回しには、そんな力があります。
●こまは「円満」の象徴
こまが回る姿は、円を描き続けます。
円は、欠けることのない形。
終わりがなく、始まりもはっきりしない。
だから昔の人は、こまに円満・継続・調和の願いを重ねました。
こまが長く回るほど、家の中も、人の縁も、うまく回ると信じられていたのです。
●回す前の一瞬
こまは、いきなり回りません。
ひもを巻き、指先で角度を決め、静かに力を込める。
その一瞬の集中が、回り続ける時間を生みます。
人生も、よく似ています。
準備の時間は短く、結果は長く残る。
こま回しは、そのことを静かに教えてくれます。
●うまく回らなくてもいい
こまは、よく倒れます。
すぐ止まり、横に転がり、思ったように回らない。
誰もそれを恥とは思いません。
また立てて、また回す。
こま回しは、失敗を許す遊びです。
●速さを競わない遊び
こま回しは、速さを競う遊びではありません。
どれだけ長く、どれだけ静かに、美しく回るか。
そこに価値があります。
派手さより、持続。
強さより、安定。
こま回しは、日本人の美意識そのものです。
●子どもも大人も同じ目線で
こま回しの前では、年齢は関係ありません。
子どもも、大人も、同じようにこまを見つめます。
同じ床に座り、同じ目線で、同じ円を見る。
こま回しは、人と人の距離を自然に近づける遊びでもありました。
●こまは時間の形
回っているこまを見ていると、時間そのものを見ているような気がします。
止まらず、同じ形を保ちながら、少しずつ変わっていく。
こまは、時間の模型だったのかもしれません。
●こま回しが教えてくれること
こまは、無理に回そうとするとすぐに倒れます。
力を抜き、角度を整え、静かに手放す。
そうして初めて、美しく回り続けます。
人生も、同じかもしれません。
こま回しは、正月に回る静かな祈りでした。
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