正月の遊び②(凧上げ──願いを、空に預ける遊び)
正月の空には、凧がよく似合います。
澄んだ青の中に、ゆっくりと浮かび、ときに風にあおられ、ときに静かに漂う凧。
あの風景を見ているだけで、心のどこかが少し軽くなる気がします。
●凧はただの遊びではなかった
凧上げは、単なる子どもの遊びではありませんでした。
もともと凧には、厄を遠ざけ、願いを天に届けるという意味が込められていました。
高く上がるほど、災いから遠ざかり、願いは空へ近づく。
だから、正月に凧を上げたのです。
●糸がついている理由
凧は、空へ飛びます。
必ず糸でつながれています。
どれだけ高く上がっても、地上と切れない。
ここに、凧上げの美しさがあります。
人は、空ばかりを見て生きることはできません。
同時に、地面だけを見て生きるのも、どこか苦しい。
凧は、夢と現実のあいだを教えてくれます。
●風を読む遊び
凧上げは、力で上げる遊びではありません。
風を読む遊びです。
走る速さを変え、糸の張りを感じ、風の向きを探る。
無理に引けば、凧は落ちます。
任せすぎても、凧は安定しません。
凧上げは、力を抜いて、力を使う遊びです。
●うまく上がらなくてもいい
凧は、何度も落ちます。
糸が絡まり、地面に引きずられ、思うように上がらない。
誰もそれを失敗とは言いません。
また走り、また風を探し、また空を見る。
凧上げは、「うまくいかない時間」さえ楽しめる遊びです。
●大人が見上げる正月
正月の凧上げは、子どもだけのものではありません。
大人も、自然と空を見上げます。
忙しい一年の中で、空を見上げる時間は意外と少ないものです。
凧上げは、大人に「見上げること」を思い出させてくれる遊びでもあります。
●凧は願いの形
凧には、文字や絵が描かれることもありました。
それは、ただの装飾ではなく、願いの形 です。
健康。安全。成長。平穏。
言葉にできない願いを、空に浮かべる。
凧は、祈りの道具でもあったのです。
●凧上げが教えてくれること凧上げは、
こう教えてくれます。
高く飛ばそうとしすぎなくていい。
落ちても、また上げればいい。
空を見上げる時間を、忘れなくていい。
凧は、人生の練習のような遊びです。
凧上げは、正月の空に浮かぶやさしい願いでした。
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