【PREP研究評】遊びが子どもの幸福感を高める理由【ブルッキングス研究所】
読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない――
そんなあなたのために、「PREP研究評」をご提供します。
この企画では、私が読んで勉強になった研究の概要やポイントをわかりやすく紹介し、皆さんの読書、noteやブログの執筆に役立ててもらうことを目指しています。
具体的には、PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張))を使って、研究の魅力を分かりやすくお伝えします。
今回ご紹介するのは、ブルッキングス研究所さんの『遊びが子どもの幸福感を高める理由(Why Play is Serious Work)』です。
【Point(主張)】
「遊びこそが、子どもの幸福感と学びを深める“真剣な仕事”である」
ブルッキングス研究所によると、子どもにとって遊びは単なる娯楽や気晴らしではなく、心身の発達や社会性の獲得に欠かせない活動とされています。
2023年3月26日、国連が毎年6月11日を「国際的な遊びの日」に正式に設定し、140を超える国々がこれを支援している事実は、遊びが世界的に注目されている証拠です。
同研究所は、子どもたちの「遊ぶ権利」が国際的に認められた意義を強調するとともに、実際に遊びがもたらす多面的な恩恵について多くのデータを提示しています。
子どもが感じる幸福感はもちろん、大人にとってのリフレッシュや創造性の刺激にも役立つというのです。
一方で、世界的な調査結果によれば、約78%の子どもは「大人は遊びをそこまで重要だと思っていない」と感じているという報告もあります。
さらに73%の子どもは、「大人は遊びを学びに活用できる手段としてしっかり評価していない」と捉えているようです。
こうしたギャップが存在するからこそ、あえて「遊び」を真剣に見つめ直すことが大切だと、本書は説いているわけですね。
【Reason(理由)】
「遊びにはストレスを和らげ、学習や社会的スキルを伸ばす効果がある」
まず、遊びは子どもにとってストレスを軽減する大きな要素になり得ます。
遊びの場では失敗を恐れずに試行錯誤できるため、感情をコントロールする能力や、問題解決への柔軟性が育まれやすいとされています。
動物実験の分野では、ネズミを使った研究が有名です。
遊びを十分に経験したネズミは、社交性や問題解決スキルを司る脳の領域が発達し、情緒面でも安定が見られたという結果があるのです。
人間の子どもに当てはめても、遊びが豊富な子ほど、仲間とのコミュニケーションや共感力を高めやすいという傾向が多く報告されています。
さらに、現代社会はパンデミック後のストレスや気候変動、政治的・経済的不安など、多くの要因が積み重なっている時代でもあります。
世界保健機関(WHO)は、コロナ禍を経てうつや不安症状が25%増加したと報告していますし、13の研究を取りまとめた結果でも、子どもの15%がうつ、9%が不安、9%が睡眠障害を抱えているとされます。
そうしたメンタル面の負担が高まる今こそ、遊びを取り入れることで心の安定を図り、勉強やコミュニケーションに向かう意欲を引き出してあげることが大きな意味を持つわけです。
また、学習面でもコロナ禍での学校閉鎖やオンライン授業への移行によって、子どもたちの読解力や数学力が以前と比べ大きく後退したことが指摘されています。
ニューヨーク・タイムズは「20年分の教育進歩が失われた」と報じましたし、世界銀行のJakubowskiらによるレビューでも、国際的に学力低下が進んでいると結論づけています。
そんなときにこそ、遊びを学習の延長として活用し、子どもが楽しく学びに向き合える環境を整えることが欠かせないのだ、と本書では強調されています。
【Example(具体例)】
「私が実感した『遊びの力』と周囲のエピソード」
私自身、コロナ禍で子どもが長期間自宅学習を余儀なくされた際、遊びの効果を強く体感しました。
学習面でも集中力が途切れ、家の中に閉じこもることで運動不足やイライラが募っていた時期に、ブロックやカードゲームなどで遊ばせるようにすると、子どもの表情がみるみる明るくなっていったんです。
遊びに没頭しているときは、嫌々やる勉強とは違って「もっとやりたい」「こんなふうに作りたい」という好奇心に満たされています。
そういう時間を十分に取ると、終わった後に机に向かったときの集中力が高まるのをはっきりと感じられました。
これは単なる気分転換というより、遊びを通じて子どもの頭と心がリフレッシュされ、新たな学びに向けてリセットされているからなのだと、後から気が付きました。
【Point(再主張)】
「遊びは子どもの幸福感と学び、大人の創造性とコミュニケーション力を高める最強の鍵である」
ブルッキングス研究所は、国連が制定した「国際的な遊びの日」の意義を高く評価しながら、「世界が抱える深刻な問題こそ遊びの力で向き合う余地がある」と語ります。
確かに、気候変動や政治的混乱、経済的不安など、私たちは解決しなければならない課題を山ほど抱えています。
けれども、そうした社会問題と向き合うには、創造性や共感力、柔軟な問題解決能力が欠かせません。
それらの資質を養うプロセスとして“遊び”が有効であることは、多くの研究で示唆されています。
子どもに対して遊びを保障するのは、子どもの笑顔を守るというだけでなく、社会全体が学びの基盤を強化することにもつながります。
大人も含めて、遊びを取り入れることで「こうじゃなきゃいけない」という固定観念から解放され、新しいアイデアや視点を見つけやすくなるのではないでしょうか。
私自身、遊びを意識的に取り入れてからは、「これは面倒」と敬遠していた作業にも「ちょっとしたゲーム性を入れたら楽しいかも」と工夫するようになりました。
結果として作業効率が上がり、やる気も高まるという好循環を感じています。
本書『遊びが子どもの幸福感を高める理由(Why Play is Serious Work)』は、子どもがいかに遊びを通して成長するかを科学的に裏付けると同時に、大人にも遊びの恩恵があることを熱く説いている点が大きな特徴です。
「忙しいから無理」「遊びは子どものためのもの」という先入観を取り払い、小さな取り組みでもいいから日常に遊びの要素を取り入れてみる。
それが、私たちの人生に“幸せ”と“学びの質”をもたらす鍵なのだと、改めて実感させられる内容でした。
きゅうさんの本棚:さらに研究に興味をお持ちの方へ
この記事をお読みいただき、さらに『遊びが子どもの幸福感を高める理由(Why Play is Serious Work)』に興味をお持ちになった方は、下記のリンクより原文を見てみてください。
きっと理解が一層深まることでしょう。
