『自分の取扱説明書』を作れるアプリを思いついた話 ──個人開発の構想を AI とどう詰めたか

あなたの取扱説明書、見たことありますか?
ぱっと見はクールなのに、実は朝が極端に弱い。
頼まれごとは全部「はい」と返してしまうけど、半分は忘れる。
そういう、自分でも持て余している「仕様」みたいなものが、もし紙の取説に書かれていたら、人ともう少し気楽に付き合えるかもしれません。
そんな思いつきから、Webアプリ『わたし型番』を作りました。
20問の質問に答えるだけで、あなただけの「型番(001〜999)」と、それ専用の「取扱説明書」、そしてオリジナルのピクセルキャラが生成されます。
今回からは、このアプリを構想から公開まで作りきった工程を、3回に分けてまるごと記録していきます。
第1回(今回):構想編 ── アイデアを AI と練り上げる
第2回:実装編 ── 決定論的ハッシュとピクセルアートの設計
第3回:公開と拡散編 ── GitHub・Vercel・OGP・X 戦略
「個人開発、始めてみたい」
「AIコーディングと一緒にどこまでやれるのか知りたい」
そんな方の参考になれば嬉しいです。
『わたし型番』というアプリ
公開しているWebアプリの全体像から先に共有します。
『わたし型番』は、20問の質問に答えると、あなたの「型番」と「取扱説明書」、そしてオリジナルのピクセルキャラが生成される、無料の診断系Webアプリです。
特徴は次の3つです。
型番は 001〜999 の3桁。同じ名前で同じ回答をすれば、何度やっても同じ型番が出ます
5段階のレアリティ。一番レアは「Legendary(伝説級・出現率 0.9%)」
999通りの個性的なピクセルキャラ。型番から自動生成される、唯一無二の見た目
ふざけたアプリですが、診断結果はそれぞれの選択肢ごとに細かく書き分けています。
この記事は、こんなアプリをどう思いつき、どう形にしていったか。
「個人開発をやってみたい」「AIコーディングと一緒にどこまで作れるのか試したい」
そんな方向けに、構想・実装・公開の3部に分けて記録していきます。
取扱説明書、書けたら面白くないですか?
『わたし型番』を作ろうと思った最初のきっかけは、ふと「自分の取扱説明書があったらいいな」と思ったことでした。
人間関係って、お互いの仕様がわからないせいで揉めることが多い気がします。
「この人、急かすと固まる人だったのか」
「この人、お願い事は紙に書かないと忘れちゃう人だったのか」
そういう細かい個性って、家電なら必ず取扱説明書に書いてあるんですよね。
直射日光を避けてご使用ください。
動作環境:室温5〜35℃。
⚠ 高負荷で連続使用すると故障の原因となります。
これを人間に置き換えたら、絶対面白いはずだと思いました。
しかも、ただ性格診断するだけじゃつまらない。
診断結果に「希少性」が加わると、人はシェアしたくなります。ガチャ的な要素を入れて、最高レアを引いた人が思わずスクショを撮りたくなる構造。
このふたつの掛け合わせが、私の作りたいアプリの輪郭でした。

アイデアを「3つの要素」に整理する
頭の中のぼんやりした思いつきを、まずは3つに分解しました。
① 型番
001〜999 の3桁の数字。
同じ入力には必ず同じ番号が出る、決定論的な計算で出します。
家電らしさを出すために、表示は「WK-007」のように接頭辞をつけました。
② レアリティ
型番に5段階の希少性を持たせます。
| レアリティ | 範囲 | 出現率 |
|---|---|---|
| Legendary(伝説級)| 001〜009 | 0.9% |
| Epic(超希少)| 010〜049 | 4.0% |
| Rare(希少)| 050〜149 | 10.0% |
| Uncommon(やや希少)| 150〜399 | 25.0% |
| Common(標準)| 400〜999 | 60.1% |
ガチャの黄金比ですね。
レアが出にくいから、出たときのシェアモチベが跳ね上がります。
③ ピクセルキャラ
型番ごとに違う見た目のキャラを生成します。
これは型番という「数字」に、視覚的な顔と名前を与えるための要素。
体・目・口・カラーパレットの組み合わせで、見た目の総数は1万通り以上。
カタカナで造語の名前も自動でつきます(例:「ザクリムス」「キピーペ」)。
「型番 × レアリティ × キャラ」の三位一体。
これが『わたし型番』の中核設計です。

AIコーディングエージェントを相棒にする
ここから実装フェーズに入るわけですが、私は正直、フロントエンド開発の経験がそこまで深くありません。
そこで、Anthropic の Claude Code(CLI型のAIコーディングエージェント)を相棒にすることにしました。
ChatGPT のような対話型 AI と違うのは、Claude Code は ファイルを直接読み書きできて、テストやビルドも自分で実行できる ことです。
最初に与えた指示はとてもざっくりしたものでした。
20問の質問に答えると「自分の取扱説明書」と「型番」が生成される
Webアプリを作りたい。Next.js で。
ここから Claude が「設問の例を出しましょうか」「型番のレアリティ配分は?」と提案してくれて、決まったところから順に実装が進んでいきます。
AI を「考えてくれる人」ではなく「叩き台を出してくれる相棒」として使う。
私が決めることと、AI に任せることを明確に分けるのが、いちばんスムーズでした。
たとえばこんな分担です。
私が決めること
世界観・トーン
設問のテーマ
UI のテイスト
レアリティ配分の思想
Claude に任せること
実装の細部
TypeScript の型設計
テストコード
デプロイ手順
「全部 AI に任せる」でも「全部自分でやる」でもない、中間の距離感を意識しました。

仕様が固まる瞬間
何往復かのやり取りで、最終的な仕様は次のように着地しました。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 設問数 | 20問(各4択)|
| セクション数 | 5(警告・推奨動作環境・使用上の注意・推奨される使い方・特殊機能)|
| 型番 | 001〜999(FNV-1aハッシュで決定論的に算出)|
| レアリティ | 5階層(出現率合計 100%)|
| キャラ生成 | 体8種 × 目8種 × 口8種 × パレット12種 = 約6,000パターン |
| 名前生成 | カタカナ造語(頭40 × 中28 × 尾28 = 約31,000通り)|
決定論的アルゴリズムなので、サーバーは不要。
すべてブラウザ内で完結する設計にしました。
これなら静的サイトとしてどこにでも置けます。
「同じ名前・同じ回答なら、必ず同じ型番が出る」
このルールが、アプリの「再現性」と「占いっぽくない真面目さ」を担保しています。
次回以降の予告
ここまでが構想と仕様の話です。
次回からは、実装と公開のリアルな手順に入ります。
第2部:実装編
決定論的ハッシュの仕組み、ピクセルキャラの生成ロジック、取説テキストの設計など、コアの中身を細かく書きます。第3部:公開と拡散編
GitHub→Vercel→OGP整備→X戦略まで、「動くものを世に出す」工程をスクショ付きで全部見せます。
このマガジン全体を通して伝えたいのは、「個人開発は、ひとりじゃなくなった」 ということです。
AI とふたりで、企画から公開まで持っていける時代。
そのリアルな手触りを、最後まで記録していきます。
第1部、読んでくださってありがとうございました。
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実際に作ったアプリも、よければ触ってみてください。
あなたの型番が何になるか、見てみると楽しいと思います。
#わたし型番
でXなどで拡散していただけると嬉しいです。
あと、もしよければ私のポートフォリオのぞいてみてください
ニッチな市場で、誰かの「ちょっと便利」や「ちょっと楽しい」を
目指して開発しています。
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