「X-Energy」史上最大規模の原子力IPO:シリアルアントレプレナーと元DOE副長官が率いる次世代SMR企業の狙いと背景
現地 2026年4月24日(金)、次世代原子炉(SMR)のベンチャー企業、「X-Energy」(XE)がNASDAQへの上場を成功裏に果たしました。 取引開始直後に株価は20%以上も急騰し、時価総額は119億ドル(約1.8兆円)を突破し、原子力関連企業のIPOとして史上第大規模と記録しました。
2009年に設立されたX-Energyは、小型モジュール炉であるSMRと次世代型の核燃料を開発しており、従来の原子力発電所よりも安全で、かつコスト効率の良い選択肢を提供することを目指す企業です。
このX-Energyを立ち上げたのは、共同創業者であるカム・ガファリアン氏。彼は、米国民間企業として50数年ぶりに月面着陸を成功させたIntuitive Machines社や世界初の商業用宇宙ステーションの開発を進めるAxiom Spaceといった数々のディープテック企業を成功に導いてきたシリアルアントレプレナーです。そしてこのX-Energyの経営の舵を取るのは、元DOE(米国エネルギー省)副長官という経歴を持つクレイ・セル氏。規制や政策のハードルが高い原子力業界において、政府中枢を知り尽くした人物です。そして、シタデルの創業者で著名な投資家であるケン・グリフィン氏が自ら1億ドルを投じています。
同社は自社の原子炉を産業施設やAIデータセンターへの電力供給に活用する計画を立てており、既にダウ(DOW)やアマゾン(AMZN)、更にセントリカ(CPYYF)といった企業と契約を締結しています。
以下コンテンツでは、上場当日のFox Businessによるクレイ・セルCEOへのインタビューを紹介。加えて補足情報として、X-Energyの企業概要についての紹介しています。ご参考下さい。
1. インタビュー
[リズ・クレイマン](Fox Business)
原子力エネルギーは、投資家にとってもはや敬遠されるものではないという、また新たな兆しが見えています。
投資家は、本日NASDAQにデビューしたX Energyに殺到しました。昨夜の株価は1株あたり23ドルでしたが、東部標準時の午後12時45分頃に取引が開始されると、即座に30.11ドルまで値を上げました。現在はそれを少し下回る27.89ドルとなっていますが、それでも21.3%という素晴らしい上昇を見せており、時価総額は119億ドルに達しました。

この盛り上がりの一部は、AmazonやCitadelのCEOであるケン・グリフィン氏、そしてDow Chemicalといった非常に著名な投資家たちがX Energyを支援していることによります。X Energyは、脱炭素エネルギー分野で主導権を握り、AI革命に電力を供給しようと競い合う、数少ない上場済みの次世代型原子炉メーカーの仲間入りをしました。他の同業他社の株価が下がっているのが分かりますが、それはおそらく、脅威となる新たな参入者が現れたからかもしれません。そのあたりを詳しく見ていきましょう。
取引開始後、初めてのインタビューに応じてくれるのは、X EnergyのCEO、クレイ・セル氏です。

ストーリーをしっかりと市場に伝えることができたようですね。投資家が今日、これほどまでにX Energyに期待を寄せている理由は、何だと考えていますか?
[クレイ・セル](CEO、X-Energy)
投資家は、私たちが原子力発電所の建設方法を再発明していることに注目し、そして、私たちの顧客ベースがそれを裏付けていると見ています。私たちは、Amazon、Dow、イギリスのCentrica、Energy Northwestといった顧客を抱え、さらに144基という受注残があることで、建設を繰り返して継続した学びを積み重ねられることで、原子力エネルギーを広く、手頃な価格で利用可能なものとする道筋が見えているのです。


[リズ・クレイマン]
では、そのユニットについて詳しく説明してください。かなりの受注残があるようですが、これらは決して安価なものではありませんよね。

[クレイ・セル]
はい、各ユニットは電気出力が80メガワットで、通常は4つのユニットを共通のシステムと組み合わせて、320メガワットの発電所を構成します。まずはDow Chemical向けに最初の建設を行っており、その後、ワシントン州でEnergy NorthwestとAmazonのために、その320メガワットのプラントを3つ、つまり合計12基を建設する計画です。

[リズ・クレイマン]
Amazonはそれらを何に使うのでしょうか?
[クレイ・セル]
Amazonは、それらをデータセンターの電力供給に使用する予定です。彼らの最大のデータセンター群の一つがオレゴン州にあり、それは私たちが建設している場所から川を挟んですぐ向かい側に位置しています。
彼らは膨大な量の電力を必要としており、実際、約2年前に私たちの会社に投資した際、彼らは今後14年間で5ギガワット分のユニットを建設することをと求めており、現在、その実現を目標としています。
[リズ・クレイマン]
なるほど。私の理解では、1ギガワットあれば米国の約75万世帯に電力を供給できるということですが、正しいでしょうか?

[クレイ・セル]
ええ、その通りです。
[リズ・クレイマン]
そこで、重要な点を確認したいのですが、これらのユニットは1基あたりいくらなのでしょうか?
[クレイ・セル]
実は、それらは手頃な価格なのです。正確なコストについては、私たちはこれらのユニットを顧客に販売していることから、その発電コストは機密事項となっています。しかし、私たちが得ている顧客の採用状況からすると、事業展開している市場においては、クリーンで安定した電源としては、非常に高い競争力を持ち合わせていると判断していただけるはずです。
また、建設を継続していくことで、長期的には天然ガスに匹敵するレベルまでコストを下げることができると考えています。

[リズ・クレイマン]
2023年当時、あなたは別のルートで株式公開をしようとしていました。いわゆる逆さ合併のようなSPAC、つまり特別買収目的会社を経由する予定でしたが、その計画を断念しましたね。それはなぜですか?
[クレイ・セル]
そうですね、おそらく私たちはSPAC市場に参入するのが少し遅すぎたのです。その取引を完了させようとしていた頃には、SPACブームは終わっていました。しかし、実際にはそれは不幸中の幸いでした。SPACのパートナーの一つであるAriesは私たちを支持し続けてくれました。彼らが非公開企業であった私たちに資金を投入してくれたおかげで、規制面での進展が進み、AmazonやCentricaを顧客として獲得することができ、そして、燃料工場の建設を進め、Dowとの最初のプラントの建設に着手する機会を得ることができました。このように多くの進歩を遂げたことで、正面玄関から堂々と通常のIPOを行えるようになり、このIPOを支える世界クラスのロングオンリーの投資家を引きつけることができたのです。
[リズ・クレイマン]
その中の一人は、ビジネス界で最も賢明な人物の一人である、Citadelの共同創設者、ケン・グリフィン氏ですね。これまでの経緯を教えてください。彼はこの会社に多額の資金を投じましたが、今日はさぞかし喜んでいることでしょう。1億ドルの個人投資から、およそ3億ドルの含み益を得た計算になります。
[クレイ・セル]
ケン・グリフィン氏からは、もう数年前から個人の投資家として投資を受けています。彼が投資を決めた当時は、原子力発電のために資金を調達するのが今よりもずっと困難な時代でした。きっかけは、新聞に掲載された彼のコメントを目にしたことでした。そこには、米国が原子力発電所の建設を開始するかどうかは知能テストのようなもので、その頃の私たちはそのテストに落第している、といった趣旨の内容が書かれていたのです。

[リズ・クレイマン]
それで、あなたから電話をかけたのですか?
[クレイ・セル]
ええ、私は担当のバンカーに電話をしました。誰か、ケン・グリフィン氏を知っている人はいないか、彼に会いたいと伝えたのです。当時、私たちのバンカーだったケン・マリス氏が紹介の労をとってくれました。
まずは彼のチームと面談し、その後、ケン本人と45分ほどの短時間の集中的な打ち合わせを行いました。そこで彼、グリフィン氏は私たちの事業を評価し、Amazonが参加した投資ラウンドに彼も加わってくれることになったのです。彼のような人物に認められたことを非常に誇りに思っていますし、彼は投資を検討するにあたって、X Energyについて徹底的に調査をしてくれました。
[リズ・クレイマン]
先週セムール・カンファレンスで彼にお会いしましたが、彼はとにかく原子力エネルギーについて話しをしたがっていました。私たちはエネルギーについて語り合いましたが、その分野に関して、彼は本当に深く考えていらっしゃる方ですね。
さて、締めくくりとして伺いたいのですが、例えばOKLOのような状況になることを、どう避けるおつもりでしょうか? OKLOは10月に大きな高値を記録しましたが、それ以降は値を下げています。もちろん、投資家の皆様を落胆させたくはないはずですし、彼らも素晴らしいビジネスを展開しています。CEOも今週この番組に出演してくれましたが、あのような状況をどのように回避されようと考えていますか?

[クレイ・セル]
私たちは、OKLOが最善の結果を出すことを心から願っています。
X Energyとして取り組むべきことは、着実に進歩し続けることです。自分たちの発言には慎重でありつつ、公言したことは必ず実行に移し、時間をかけて価値を築き上げたいと考えています。そして、私たちが実際に世界の原子力発電所の建設方法を再発明し、AIの需要を満たすためにクリーンで安定した脱炭素電力を米国へ、そして最終的には世界中へ届けるのだという信頼を高めていくつもりです。

[リズ・クレイマン]
非常に自信に満ちた、力強いお言葉ですね。私たちはX Energyの動向に注目していきます。これからの展開を見るのは非常に楽しみです。
Amazonやその他の場所での設備導入の進捗について、ぜひまた教えてください。その進展を期待しています。
[クレイ・セル]
またお話しできる機会を楽しみにしております。
2. X-Energyの企業概要
(01)X-EnergyのIPO概況
2026年4月24日、メリーランド州ロックビルを拠点とする次世代原子力テクノロジー企業、X-Energy社が、ティッカーシンボル「XE」として新規株式公開(IPO)を果たしました。
X-EnergyのIPOは、事前の予想を大幅に上回って市場に迎えられました。同社は当初、1株あたり16ドルから19ドルの価格帯での売り出しを想定していましたが、最終的な公開価格はこれを21%以上も上回る23ドルに設定されました。投資家の需要が極めて旺盛であったことから、発行株数も4,425万株へとアップサイズされ、同社は約10億2,000万ドルの資金を市場から調達しました。上場初日の取引では、株価はさらに高騰し、一時36%高の31.33ドルを記録、最終的には29.20ドルで取引を終えました。これにより、完全希薄化後の時価総額は約119億ドルから120億ドルに達し、原子力スタートアップとしては史上最大規模の上場となりました。
この上場の成功の背景には、Amazonをはじめとするテックジャイアントによる強力な支援と、11ギガワットを超える膨大な商用パイプラインの存在があり、既にダウ(DOW)やアマゾン(AMZN)、更にセントリカ(CPYYF)といった企業とのプロジェクト契約を締結しています。
今回のIPOにおいて、主幹事を務めたのはJ.P. Morgan、Morgan Stanley、Jefferies、Moelis & Companyといったウォール街の主要投資銀行であり、また、著名な投資家であるキャシー・ウッド氏率いるARK Investが1億500万ドルの株式購入意向を示すなど、革新的技術を支持する機関投資家が名を連ねています。
(02)市場環境と上場の背景
世界は現在、エネルギーの安定供給、経済性、そして脱炭素化という「エネルギー・トリレンマ」の真っ只中にあり、特にAIとデータセンターの爆発的な拡大が、この問題を先鋭化させています。生成AIのトレーニングと推論には莫大な電力が必要であり、従来の再生可能エネルギーだけでは、24時間365日の安定したベースロード電源を確保することが困難であるという認識が一般化しています。。
ハイパースケーラー各社は、ネットゼロ目標を掲げながらも、電力供給の不確実性に直面しており、こうした中、炭素を排出せず、天候に左右されず、かつ従来の巨大な原子力発電所よりも柔軟に配置可能な小型モジュール炉(SMR)が、AIインフラのミッシングピースとして浮上しています。X-Energyは、この市場の要請に対して、第4世代(Gen IV)の高温ガス炉(HTGR)技術と、独自開発の極めて安全性の高い燃料「TRISO-X」を提供する企業としてポジションされています。
(03)創業の背景と経営陣
X-Energyは、2009年にカマル・ガファリアン博士(Dr. Kam Ghaffarian)によって設立されました。ガファリアン博士は、単なるエネルギー実業家ではなく、人類の進歩を技術で支えるシリアルアントレプレナーとしての顔を持っています。彼は、世界初の商業用宇宙ステーションを開発するAxiom Space、民間企業として初めて月面着陸を成功させたIntuitive Machinesの創業者でもあり、宇宙、防衛、エネルギーの三領域を統合的に捉えています。
ガファリアン氏がX-Energyを設立した際のビジョンは、「原子力エネルギーを、誰もがアクセス可能で、手頃な価格で、そして何よりも本質的に安全なものに再定義する」ことにありました。彼は、従来の原子力発電が抱えていた「あまりに巨大で、あまりに複雑で、建設に時間がかかりすぎる」という構造的課題を、航空宇宙分野で培った精密製造技術とモジュール化の概念を持ち込むことで解決しようとしたのです。
(04)経営陣とガバナンス
CEOのJ. クレイ・セル(J. Clay Sell)氏は、元米国エネルギー省(DOE)副長官であり、ブッシュ政権下での原子力政策の策定に深く関わった人物です。彼の政治的・行政的知見と、ガファリアン氏の起業家精神の組み合わせが、X-Energyを単なる研究開発ステージから、数十億ドル規模の商用展開ステージへと引き上げた要因といえます。
2024年10月には、Amazonが5億ドルの出資とともに取締役会に2つの議席を確保し、同社のガバナンスと商用戦略に対するテクノロジー業界の影響力が強まりました。これは、X-Energyがもはや伝統的な電力会社の一部門ではなく、テック企業のインフラ部門としての性格を強めていることを示唆しています。
(05)技術的優位性と製品ポートフォリオ
X-Energyの技術的優位性は、第4世代小型モジュール炉(SMR)である「Xe-100」と、その心臓部である独自燃料「TRISO-X」の二本柱に集約されます。
(a)Xe-100:モジュール型高温ガス炉の革新
Xe-100は、1基あたりの電気出力が80メガワット(MW)、熱出力が200MWの高温ガス炉です。通常、4基を1つのセット(4パック)として運用することで、320MWの電力を提供する設計となっていますが、必要に応じて最大12基(960MW)まで拡張可能です。
この原子炉には、従来の軽水炉(LWR)とは一線を画す複数の技術的特徴があります。
● 冷却材にヘリウムを採用
従来の原子炉が「水」を冷却材として使用するのに対し、Xe-100は化学的に不活性な「ヘリウムガス」を使用します。ヘリウムは高温でも相変化(沸騰)せず、放射化もしにくいため、腐食のリスクを抑え、より高い温度での運転が可能になります。
● 高温蒸気の供給能力
Xe-100の出口温度は、摂氏750度から800度に達します。これにより、摂氏565度の高温高圧蒸気を生成でき、これは発電だけでなく、石油化学プロセス、鉄鋼製造、水素製造といった「産業用プロセス熱」としての活用が可能であることを意味しています。
● モジュール化による建設期間の短縮
原子炉の主要コンポーネントは工場で製造され、道路や鉄道で輸送可能なサイズに標準化されています。現場での土木作業を最小限に抑えることで、従来の原子力発電が直面してきた建設費の高騰と工期の遅延を回避します。
● 負荷追従機能
風力や太陽光といった再生可能エネルギーの出力変動に合わせて、12分間で40%から100%まで出力を調整できる能力を持っています。これにより、不安定な再エネグリッドのバックアップ電源として最適化されています。
(b)TRISO-X燃料:世界最強の核燃料
X-Energyの真の差別化要因は、独自開発の「TRISO-X」燃料にあります。米国エネルギー省(DOE)が「世界で最も堅牢な燃料」と評するこの燃料は、安全性を物理的に保証するものです。
TRISO(Tri-structural Isotropic)粒子は、直径約1ミリメートルのウラン核を、炭素や炭化ケイ素(セラミック層)の3層構造で包み込んだものです。この構造により、以下のような本質的安全(Intrinsic Safety)が実現されます。
● 溶融不能(Meltdown-proof)
TRISO燃料は摂氏1,600度以上の極低温から極高温まで耐えることができ、いかなる想定事故条件下でも放射性物質を内部に閉じ込め、メルトダウン(炉心溶融)を起こしません。
● 格納容器が不要
燃料粒子自体が「封じ込め容器」の役割を果たすため、従来の原子力発電所に必要だった巨大で高価なコンクリート製格納容器を必要としません。これにより、プラントの設置面積を劇的に縮小でき、データセンターや産業施設の近くに設置することが可能になります。
● 連続給炭
Xe-100はペブル(ビリヤードボール大の燃料球)を使用し、運転を停止することなく燃料を交換できる「連続給炭方式」を採用しています。これにより、95%以上の高い稼働率を実現します。
(06)主要な商業プロジェクト
X-Energyは、単なる技術開発企業ではなく、既に膨大な商用受注を抱えるインフラ企業です。同社の受注残(パイプライン)は11GWを超えており、これはXe-100原子炉約144基分に相当する規模です。
(a)Amazon:データセンター向け5GWのコミットメント
Amazonとの提携は、X-Energyにとって最大の商用ドライバーです。両社は、2039年までに米国グリッドに最大5GWの原子力発電を導入することに合意しています。
● カスケード・アドバンスト・エネルギー施設
ワシントン州リッチランド近郊において、公営電力会社Energy Northwestと共同で、初期4基(320MW)のXe-100を建設するプロジェクトが進んでいます。これは最大12基(960MW)まで拡張可能であり、Amazonのデータセンターに24時間365日の炭素フリー電力を供給します。
(b)Dow:産業用蒸気供給の先駆モデル
化学大手のDow(ダウ)とのプロジェクトは、原子力エネルギーを電力以外に活用する「非電気利用」の代表例です。
● シードリフト・プロジェクト
テキサス州シードリフトにあるDowの巨大な化学コンビナートにおいて、老朽化した天然ガス火力インフラを4基のXe-100に置き換えます。これにより、電力とともにプロセス用の高温蒸気を供給し、工場全体の脱炭素化を実現します。2025年3月に建設許可申請(CPA)がNRCに提出され、2026年現在審査が進んでいます。Fluor社がエンジニアリング・パートナーとして参画しており、2030年代初頭の稼働を目指しています。
(c)Centrica:英国での展開
英国のエネルギー大手Centrica(セントリカ)とは、最大6GWのXe-100を英国国内に展開するための共同開発合意(JDA)を締結しています。ハートルプール(Hartlepool)などの既存原子力発電所サイトを利活用し、英国のエネルギー安全保障とネットゼロ達成に貢献する計画です。
(07)収益モデルと財務状況
X-Energyは、従来の原子力開発企業とは異なる、非常に洗練された収益モデルを提示しています。これを投資家は「リカーリング(継続)収益」と評価しています。
(a)知的財産(IP)ライセンスと技術手数料
原子炉の設計と構築段階で、IP使用料やエンジニアリング支援料を得ます。
(b)長期的サービス契約
運転期間中の技術サポートやメンテナンスに関わるサービス収益を得ます。
(c)独自の燃料販売
Xe-100は、X-Energyが特許を持つTRISO-X燃料を使用するように設計されています。一度原子炉を導入した顧客は、40年から60年の運用寿命にわたって、同社から独占的に燃料を購入し続けることになります。これが「替え刃」にあたる高利益率のリカーリング収益源となります。
[2025年度の財務実績]
上場時の目論見書に記載された2025年度の財務状況は、同社がまだ「研究開発から商用化への過渡期」にあることを示しています。
総収益(助成金含む):$109.1 Million
2024年実績から2% 減少
DOE 助成金依存度:81.8 %
米国エネルギー省 ARDP プログラムによる収入が中心
営業損失:$170.3 Million
R&Dコストおよび建設に向けた投資が先行
純損失:$390.0 Million
2025年末の現金残高は約 $458.9M
この財務データは、現在の売上高ではなく、将来の11GWのパイプラインが現実の収益に変換される「未来の価値」に時価総額120億ドルが投じられていることを物語っています。
(08)マイルストーンとなるライセンス
原子力ビジネスにおいて、最大の参入障壁は「規制(ライセンス)」です。X-Energyは、この分野で競合他社に先んじています。
2026年2月、X-Energyの子会社であるTRISO-X LLCは、テネシー州オークリッジに建設中の燃料製造施設「TX-1」において、NRC(米国原子力規制委員会)からライセンスを取得しました。これは、以下の点で画期的です。
● 独占的地位
米国で新しい核燃料施設がライセンスされるのは、実に約50年ぶりのことです。
● カテゴリーII承認
次世代原子炉に不可欠な「HALEU(高純度低濃縮ウラン)」を扱うことができる初の商用施設となります。
● 供給能力
TX-1は年間約70万個のペブル(11基のXe-100に相当)を生産する能力を持っています。
この燃料の独占供給という事実は、将来的に他のSMR開発者がX-Energyの燃料施設を利用せざるを得なくなる可能性をも示唆しており、同社のプラットフォームとしての強固な基盤となっています。
(09)市場ポジショニング
SMR市場には複数の技術方式が存在しますが、X-Energyは独自の強みを活かして差別化を図っています。
(a)主要競合他社との比較
● TerraPower (テラパワー)
ビル・ゲイツ氏が設立。ナトリウム冷却高速炉を採用しています。蓄熱機能に強みがありますが、ナトリウムの扱いに高い専門性が求められます。
● Kairos Power (カイロス・パワー)
Googleと提携。溶融塩冷却を採用しています。TRISO燃料を使用する点は共通ですが、冷却材が異なります。
● Oklo (オクロ)
サム・アルトマン氏が支援。超小型の「マイクロリアクター」に特化しています。
(b)X-Energyの強み(スウィートスポット)
X-EnergyのXe-100は、80MWという「大きすぎず、小さすぎない」サイズに設計されています。これにより、「電力網(ユーティリティ)」、「ハイパースケーラー(データセンター)」、「重工業(プロセス熱)」という3つの市場を同時に狙うことができます。特に「熱供給」ができる高温ガス炉であることは、重工業分野の脱炭素化において唯一無二の武器となっています。
(10)リスク評価
(a)実行リスク(Execution Risk)
まだ商用機が稼働していないため、建設段階でコストオーバーランやスケジュールの遅延が発生する可能性は常に存在します。
(b)HALEUの調達
TRISO燃料に必要なHALEUの供給網はまだ発展途上であり、米国国内での安定した供給体制を早期に確立する必要があります。
(c)規制の不確実性
原子炉本体の建設許可(CPA)や運転許可の取得プロセスは現在進行形であり、審査の遅延がプロジェクト全体に影響するリスクがあります。
3. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Fox Business
(Original Published date : 2026/04/24 EST)
<御礼>
最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。
だうじょん
<免責事項>
本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。

