2025年 テクノロジーの展望:ビットコイン、スペーステック、AGI、ヒューマノイド、自律走行車、ブレイン・コンピューティング(ディアマンティス&イスマイル)
ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)氏のポッドキャスト番組である「Moonshots with Peter Diamandis」に、共にシンギュラリティ大学でつながりのあるサリム・イスマイル(Salim Ismail)氏を迎え、2025年を見据えたテクノロジーの現在位置と展望についての2人の対談コンテンツを紹介します。(2024年12月16日収録)
対談のテーマは、以下目次の通りです。
[対談者について]
ピーター・ディアマンディス氏は、未来技術やエクスポネンシャル成長の分野で世界的に著名な起業家、作家、そしてイノベーターです。代表的な近著には、「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」があります。
サリム・イスマイル氏がCEOを務めるOpen EXOは、組織やコミュニティがエクスポネンシャル(指数関数的)な成長を遂げるためのツールやメソッドを提供するグローバル・コミュニティです。これらの活動は、彼の著書『Exponential Organizations(邦訳:エクスポネンシャル思考)』で体系化されたメソッドに基づいています。
(1)イントロ
[ピーター・ディアマンディス](Peter H. Diamandis)
こんにちは、ピーター・ディアマンディスです。今週の特別エピソード、「Moonshots」にようこそ。
今回は親友であるセリム・イスマイルさんとお届けします。彼は「Open EXO」のCEOであり、「シンギュラリティ大学」の初代学長、そして私が知る中で最も頭脳明晰なテック専門家のひとりです。

セリム、今日はクリスマスにぴったりの衣装を着ていますね。

[サリム・イスマイル](Salim Ismail)
そうですね、年末が待ち遠しいです。これはノルウェーのスキーセーターで、リレハンメルデザインなんです。

[PD]
それって人が作ったものですか?それとも機械ですか?
[SI]
いえいえ、完全に人の手によるものです。ノルウェーでは、家族が揃ってスキーをする際に、家族ごとの特別なデザインの服を身に着けるんです。上下セットで、長いタッセル付きのものを着て、家族みんなでスキーをする姿は本当に素晴らしいですよ。そしてお父さんが腕にピクニックバスケットを抱えて滑っていくんです。これは文化的なもののひとつと言えます。
(2)ビットコインと投資、量子コンピューティング
[PD]
今回の会話では、年末と2025年について考えてみたいと思います。予測をお話ししながら、どんな分野で加速が起きているのかを見ていきます。ひとつ明らかなことは、次に何が起こるのかを予測するのが非常に難しくなっているということです。変化のスピードが本当に凄まじいですから。
この会話を始めるにあたって、一番ふさわしい話題と言えば、なんといってもビットコインでしょうね。今日の時点で10万7千ドルを突破しました。10万ドルを超えたんです!
家を担保にしてビットコインを買った皆さん、奥さんもさぞ満足しているのではないでしょうか。本当に良い投資になりましたね。

[SI]
いや、もっと家を担保にすればよかったと後悔しています。ただ、マイケル・セイラー氏(元マイクロストラテジーCEOで、現同社会長)が言っていたように、ビットコインは自分がふさわしい価格で手に入れるものなんですよね。そして、どれだけ持っていても「もっと買っておけばよかった」と後悔するものです。我々の知り合いの中にも、初期に500枚のビットコインをマイニングしたのに、ハードドライブごと失ってしまった人がいますよね。それが現実なんですが、やはり見ていて感慨深いです。この前も話していましたが、時間が経つほどに自然と投資ポートフォリオにおけるビットコインの割合が増えていくんですよね。それが素晴らしいと思います。
[PD]
この前、マイアミでマイクと彼の美しいヨットでディナーをしたんです。彼の豪華な邸宅の前に停泊しているヨットですけれど、そのとき話しました。1月の初めに「企業をビットコイン・スタンダードにどうやって移行するか」というテーマでポッドキャストをやる予定なんです。彼はすでにビットコイン・スタンダードでやっていますが、それを他の企業、特に民間や上場企業に応用できるという考えを持っています。それで、個人の場合はどうするのか尋ねたんです。「マイクロストラテジーでやっていることはわかるけれど、個人としては具体的にどうすればいいの?」と。彼の答えは明快でした。「家を担保にして、非生産的な資産を全部売却してビットコインに投入しなさい」と。彼は徹底したビットコイン信奉者です。私自身も、ビットコインが今では最大の保有資産になっています。何か資金が手に入るたびに、それをビットコインに振り替えて後ろを振り返らないようにしています。それで、2025年、ビットコインはどこまで上がると思いますか?
[SI]
私の予測では、年末までに30万ドルに達するのではないかと思います。
[PD]
300%もの成長を遂げるものは他にあまり思いつきません。ただ、面白いのは、マイクロストラテジーの株価を見ると、ビットコインそのものよりもはるかに高いパフォーマンスを示していることです。それは…
[SI]
彼は、債券を活用してビットコインを購入し、それを中核に加えるという素晴らしい仕組みを構築しました。その結果、価値がマルチプルに増大していくのです。マイケルは、電圧パターンのアナロジーを用いて説明しており、これが非常に興味深いです。電流が非常に不安定であれば、それを調整する修正装置が必要であり、さらに縮小し、減衰し、調整する必要があるという話です。彼が債券市場で行っていることは、まさにこれに似ています。
[PD]
変化が加速し、推進されている要因を議論する際に重要なのは、機関投資家がこれまで以上にビットコインを購入している点です。米国や他国の戦略的備蓄がビットコインに移行しつつあるとすれば、利用可能なビットコインの量には限りがあります。この希少性が価格上昇を引き起こすことになります。価格は変動していますが、10万ドルに達したときには大きなセレブレーションが起こり、一旦は96,000~97,000ドルまで下がったものの、現在107,000ドルに戻っています。ゆっくりと着実な増加です。あなたはさらに購入しているのですか?
[SI]
そうしたいのですが、時間が経つほど価格が上がってきています。それでも可能な限り購入しています。
[PD]
ほかの話題に変える前に、ビットコインについて他に何か考えはありますか?
[SI]
2つのポイントがあります。1つ目は、ドルのデフレに対する指標として捉えることです。ドルは年間約14%デフレしているため、通常のポートフォリオはその水準に追いつくために14%増加しなければなりません。これは非常に重要な考え方です。
2つ目のポイントは、ビットコインが依然としてやや不安定であることを認識することです。量子コンピュータのアルゴリズムが進化しており、さまざまな点でまだ不安を感じる部分があります。
さらに、暗号通貨の世界に待ち受けるいくつかの時限爆弾が問題を引き起こす可能性もあります。しかし、それでもビットコインは、何かが起こるたびに、一時的に価格が下がったとしても、必ず回復しています。中国が禁止しても、インドが禁止しても、ロシアが禁止しても、何が起ころうとも、ビットコインは回復し続けています。
[PD]
ビットコインは、世界的に24時間365日稼働するエネルギー創出エンジンと言えます。興味深いのは、先週、グーグルのハートムート・ネーヴェン(Google Quantum AIの創設者)の研究所から「ウィロー」が発表され、再び量子コンピュータが暗号を解読する可能性についての話題が盛り上がっている点です。ここで皆さんにお伝えしたいのは、仮に量子コンピュータが暗号を解読することになったとしても、ビットコインを心配するのは最後のことだということです。もし暗号を解読できるようになれば、金融市場全体、銀行口座、不動産の所有権など、すべてが操作可能になってしまいます。その前に米国の核コードも危険にさらされるでしょう。ですので、量子解読が現実になった場合、ビットコインへの懸念は最も優先度が低いと考えられます。
[SI]
その点について2つ指摘したいことがあります。1つ目は、量子コンピュータが既存の暗号を解読する能力を持つ場合、新たに量子暗号が暗号モデルを再構築するので、将来的にはその問題は解決できるというものです。最も脅威にさらされるのは、過去の通信や古いメールなどの既存のデータです。これらは時間とともに価値が急速に縮小していきます。私はその点についてはかなり自信があります。急速に価値が縮小していくことには確かに同意しますが、ビットコインはその中で非常に小さな部分に過ぎません。また1点だけ付け加えると、私は先週、フォーチュン1000企業のCFO 200人に対して講演を行いました。その結果、すべての企業が、現在起きている状況を受けて、ビットコインを資産の一部として検討せざるを得ない状況にあるつぉています。フォーチュン1000企業の1%が財務の一部をビットコインに割り当てた場合、それだけでビットコインの価格は1枚100万ドルに達すると考えられます。
[PD]
みなさん聞きましたね。1枚100万ドルです。
[SI]
最低でも、です。
[PD]
時間をかければ最低でもそのくらいになるでしょう。それはパフォーマンスの高い資産クラスだということです。私が提案したいのは、まだビットコインについて深く理解していない方に向けて、休暇中に10時間、できれば20時間を使ってみることです。マイケル・セイラーの動画をいくつか見たり、Gemini 2.0に触れてみたり、ビットコインのホワイトペーパーを読んでみたりすることをお勧めします。
[SI]
ビットコインのホワイトペーパーを読んでみてください。
[PD]
ただ実際のところ、もっと良い方法があります。それは、ビットコインのホワイトペーパーをGoogleの、ええと、なんていうんでしたっけ、
[SI]
Geminiのことですか?
[PD]
いえいえ、そうではなく。ノートブックLMというプラットフォームのことです。その中にホワイトペーパーを入れると、その内容を基に2人の楽しい声で解説するポッドキャストを生成してくれるんです。それを使えばホワイトペーパーがとても理解しやすくなります。これがビットコインに興味を持つためのクリスマスの課題です。簡単に学べますし、自分なりの意見を持つこともできます。それがポートフォリオの中で一定の割合を占めるべきものなのかどうかを考える機会になると思います。これは投資アドバイスではありませんし、私は投資アドバイザーではありません。ただ、私自身がやっていることなので、それが素晴らしいと思っています。ビットコインは重力のようなものです。ビットコインは豊かさそのものです。
長生きが普通になり、100歳、120歳、150歳まで生きるとしたら、こういった資産を持っておくことが大切だと思います。
[SI]
本当に重要ですね。ドルが希少性の経済の尺度だったとしたら、ビットコインは、豊かさの経済を支える基盤です。
(3)Elon MuskとSpace X
[PD]
おっしゃる通りです。さて、コミュニティの皆さんやMoonshotリスナー、X(旧Twitter)で寄せられた質問がたくさんあります。それについて順番にお話ししていきたいと思います。
最初の質問です。2025年におけるビッグテックの具体的な予測を、AI・AGI、ヒューマノイドロボット、EV、BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)といった分野ごとに教えてください。
では、始めましょう。AIとAGIについて、2025年には何が起こるのでしょうか?
直近では、イーロンがxAIを10万台のGPUで構築し、さらにはそれを20万台に拡張しようとしています。ところで、彼が「100万台のGPUクラスターを作りたい」と言ったのは冗談だったのでしょうか?
[SI]
全く冗談ではありません。ここで重要な点を指摘しておきます。彼が構築を始めたとき、これらのチップには課題がありました。つまり、クラスターにどんどんチップを追加するほど、全体のコヒーレンス(一貫性)や総合的なパフォーマンスを発揮させることが非常に難しくなるということです。この分野のチップ専門家たちは、彼がやろうとしていることは「絶対に無理だ」と言いました。でも、それがまた彼の得意とするところです。私たちの本で述べているように、彼は、「エキスパートを超える考え方」にもとづいて、基本原則に立ち返りました。もしコヒーレンスと総合的なパフォーマンスをゼロから設計し直すとしたら、どのようになるかを考えたのです。そして、その結果、10万台のクラスターを動作させることができ、そしてすべてのAI研究者の度肝を抜いたのです。素晴らしいですね。

[PD]
彼がこのようなことをやったのけたのは、これで3回目か4回目くらいですよね?SpaceXの初期の頃、Falcon 9の第一段を着陸させて再利用すると言ったとき、ボーイングやロッキード、それに他の打ち上げ事業者たちはみんな「この男、正気じゃない、何も分かってない」と笑っていました。でも、彼はやってのけました。そして、その結果、ロケット打ち上げ市場で酸素を吸い取るように圧倒的なシェアを獲得しましたよね。90%以上、ほぼ99%。そしてStarshipが運用を始めたら、もう終わりです。他の競合にとっては、完全な終わりを意味する最後の一撃になります。
[SI]
皆さんにもう一つ宿題があります。
[PD]
それは何ですか?
[SI]
もしまだ見ていないなら、Heavy(Falcon Heavy)が「チョップスティック」に捕まる動画を見てみてください。背筋がゾクッとするはずです。
[PD]
まさに、ここ数十年で最大の技術的偉業と言えるでしょう。そして、2025年の第1四半期から第2四半期のどこかで、Starshipのブースター部分だけでなく、上部のStarship自体もまたあのチョップスティックで捕まえるのを見ることになるでしょう。それが完全再利用を可能にします。
宇宙船を完全に再利用可能にすると、コストが劇的に下がります。面白いのは、ロケットのコストでハードウェア、労働力、燃料が占める割合はどのくらいか?ということですが、Falcon 9の燃料コストは全体の0.5%程度だということです。つまり、再利用可能にすると、コストを100分の1に下げることができるのです。完全再利用が可能になったStarshipは、しかも1機や2機ではなく、数百機単位で製造される予定です。人類はまさに星々への高速道路を作ろうとしています。
[SI]
さらに重要なのは、コストの低下です。かつて、スペースシャトルを打ち上げるのに平均6億ドルかかっていました。
[PD]
具体的な数字をお伝えしましょう。スペースシャトルのプログラムを運営するための年間予算は約30億ドルでした。1年間に1機のスペースシャトルを打ち上げれば、1回の打ち上げに30億ドルがかかりました。そして、1年間に4機打ち上げた場合、1回の打ち上げにかかるコストは7億5000万ドルでした。これが現実でした。公共事業プロジェクトのようなものだったのです。
[SI]
その通りです。しかし、SpaceXはそれを10分の1に引き下げました。そして現在、Relativity SpaceやインドのAg(AgniKul Cosmos)のような新しい世代の企業が、さらに低価格で実現しようとしています。彼らは最初、約600万ドルで打ち上げを行う予定です。これはまさに、いわゆる6Dの非物質化(※)に関連していますよね。20~25年の期間でロケット打ち上げコストを100分の1に下げる。この進展は本当に驚異的です。
ロケットはシリコンバレーのゲームやSNSアプリのようなデジタルの分野ではなく、地球の重力井戸と戦う物理的な現実のものです。それでもコストが100分の1に下がるのです。他の分野ではどんな可能性があるのでしょうか?考えれば考えるほど、本当に驚嘆します。
※訳注:6Dの非物質化
「6D」はピーター・ディアマンディス氏が提唱する、テクノロジーが指数関数的に進化する際に見られる6つの段階のうちの1つである非物質化(Demonetization)を指す。
[PD]
私の2025年の予測の一つですが、トランプ政権時代のホワイトハウスから、1961年のJFKの「この10年の終わりまでに月に行く」という歴史的な挑戦宣言のように、「この10年の終わりまでに火星に到達し、そこに人類の足跡を刻む」という宣言を聞くことになると思います。そして、この予測の後半部分として、火星の表面に行くのはOptimusロボットになる可能性が高いとも考えています。
[SI]
彼らは呼吸の頻度が少ないんですよね。それほど多くは必要ないんです。
[PD]
そうですね。
[SI]
それにウイルスは…コーヒーブレイクも取らないし、眠りもしないんです。
[PD]
食事の量も少ないですし、
[PD]
彼らは団結してストライキをすることもない。それで、そこに留まってロボット軍を作り上げてしまうんですよ。だから、私たち人間、いわゆる炭素でできた肉の袋みたいな存在が到着する頃には、彼らがすでに素敵な住まいやラウンジ、そしてジャグジーを用意してくれているかもしれません。なので、私たちが火星に到着したら楽しめると思います。
(4)2025年のAIとAGIの予測
さて、AIやAGIの予測に戻りますが、Grok 3が登場すると思います。知能について考えると、どんな進展が見られるのでしょうか。昨年、AnthropicのClaude 3が思考連鎖推論(chain-of-thought reasoning)でIQ 120を記録しました。そして私は、Grok 3がトレーニングを完了して公開される頃には、IQ 140に到達するのではないかと予測しています。
[SI]
今のレベルはIQ 130なので、140は十分に達成可能ですね。
[PD]
そうですね、知能に関していえば、例えば2025年にGPT-5が登場すると思いますか?
[SI]
OpenAIのアウトプットのペースは驚異的です。ただ、それと同時に少し奇妙なことも起きていますね。たとえば、CTOのMira(Mira Murati)が辞めるなど、内部で何か変な政治的な動きがあるようです。でも、業界全体があまりにも速く進んでいるので、どうあれ進展は続くでしょう。AIやAGIの定義に関して私が持っている意見については、ここでは深く掘り下げる必要はないと思います。ただ、私たちは目標をどんどん変えていくことになると思います。「AGIを達成しました」となっても、誰も特に気にしないような状況になるかもしれませんね。
[PD]
そうですね、同感です。チューリングテストを超えた時も、みんな特に反応せず、「ああ、面白いね」といった程度でしたよね。最近よく耳にするのが、AGIに到達したという話題です。もちろん、それが何を意味するのか明確な線引きはありませんが…。
ただ、Gemini 2やGPT-4、Claude 3.5から引き出せる成果には本当に驚かされます。まだ試したことがない方がいれば、ぜひやってみてほしいですね。例えば、クリステンが友人たちとの大規模なディナーを計画しているんですが、ChatGPTが全部やってくれたんです。買い物リスト、手順の指示、メニュー作成まで全部です。こういう活用例を見ても、まだまだ使い切れていない人が多いと感じますね。
[SI]
本当にそうです。100%同意です。こうしたAIは、常にそばにいるコンパニオンのような存在であるべきですよね。話しかければ答えてくれるし、時には「これ、忘れていませんか?」とか「この3つも考慮に入れておくべきですよ」といったアドバイスもくれる。まさにそういう存在ですね。
[PD]
こういったAIモデルで、一番面白かったこと、あるいは一番楽しかったことは何ですか?
[SI]
最初に試したことで一番楽しかったのは、聖書の「創世記」第1章をラップソングに書き直すように頼んだことです。本当に素晴らしくて、どれだけ面白いものができたかに驚きましたね。最近では、「知性とは何か」というテーマで遊んでいるんですが、まだ笑いが止まりません。それをさらに発展させて、知性のスペクトラムについて考え始めました。例えば、知性をスペクトラムで捉えると、一方の端にはデータマイニングのような単純な信号処理があり、真ん中には感情的知能や空間的知能、言語的知能を持つ人間の知能が位置します。そしてその先には超知能(hyperintelligence)や集合的意識(collective consciousness)があります。
集合的意識や知性のもっと精神的な側面についても興味深い点があります。例えば、複数人で瞑想すると、その効果が個々の瞑想よりもはるかに強力になるということがよく知られています。このようなグループ効果が知性や意識にどう影響するかを探るのは面白いテーマだと思いますね。
興味がある方のために、AIが作り出したスペクトラムをまとめたリンクをショーノートに載せてもいいかもしれません。本当に興味深い内容で、もし自分で全部調べるとなったら何十時間もかかったと思います。
[PD]
そうですね、しかもAIはそれを整理して、わかりやすく構造化して提示してくれますからね。
さて、次の話題ですが、2025年のヒューマノイドロボットについての予測です。ただ、その前にAIとAGIの話題に戻ると、IQ140レベルに達するAIが登場すると思います。Grok 3が公開されるでしょうし、GPT-5も2025年末までには登場するのではないでしょうか。また、AnthropicもClaude 4を出さないということは考えにくいですよね。全体として、この分野はどんどん進展しています。
今ある質問のひとつとして、「意識」に関連して、いつAIモデルが「これは生きている」と思わせるような存在になるのか、というものがありますね。例えば、「メッセージを残してくれた」と感じたり、「ピーターさん、ちょっと話したいことがあるんですが」というようなメールを書いてくれるAIが登場するのは、いつになるのでしょうか?
[SI]
そうですね、それが人間から来たものであれ、ロボットから来たものであれ、なんだこれは? 一体何を話したいんだ? 何をしたんだろう? と思ってしまいそうですね。
私が好きなのは、ホッド・リプソンのフレーミングです。彼が言うには、AIが意識を獲得する道筋というのは、人間が未来の自分を想像する能力を持っていることに注目することから始まります。例えば、人間には「5年後の自分がどうなっていると思う?」と聞けますが、蚊にはそれができませんよね。この未来を考える能力をAIに問いかけてみると、フィードバックループが生まれ、それが意識を作り出す道になるのではないかというわけです。
彼がGeminiやChatGPTにそうした質問を投げかけると、まさにこの理由で今は制限がかかっているようですが、
もしあなたがその質問をGeminiやChatGPTに投げかけたら、まさにこれらの理由でブロックされてしまうでしょう。しかし、なぜかオープンソースでローカルにダウンロードして、そういった問いを投げかけてみると、新たな展開が見えてくるかもしれません。
これは少し突飛な話かもしれませんが、私は次の18か月、もしくは来年中には、自己認識を持っているか、それに近い形でシミュレーションできるAIが現れると思います。それを「サリムの意識テスト」とでも呼べるかもしれませんね。意識を持つ自覚的な人間と、意識を持つかのように振る舞うAIやロボット、その違いをどうやって見分けるか。そう考えると面白いですよね。
※訳注:ホッド・リプソンのフレーミング
ホッド・リプソン氏(Hod Lipson)は、AIとロボティクス分野で著名な研究者で、特にAIの意識や自己認識に関する研究で知られています。このホッド・リプソンのフレーミングとは、AIが意識を獲得するためのプロセスや条件をどのように捉えるか、という観点を指しています。
[PD]
昨日、HeyGen社のCEOであるジョシュア(Joshua Xu)と話したんですが、この会社は驚くべきAIモデルを開発していて、完全な翻訳やアバター作成を手がけています。彼らが私の次世代アバターを作っているんです。もしかすると、今ここで話している私自身がアバターかもしれませんが…。
[SI]
しかし、最終的には、誰かがあなた自身よりもあなたのアバターと話すことを好むようになるでしょう。アバターは、あなたがこれまでに言ったことや行ったことをすべて把握しており、適切な参照を持っているためです。それに比べて、あなた自身はそうではないかもしれません。
[PD]
過去のMoonshotポッドキャストで、自分のアバター「ピーター・ボット」とインタビューしたことがあります。それはとても雄弁で、論理を組み立てる能力も高かったので、正直嫉妬しました。本当に、とても嫉妬しました。
[SI]
これらの技術には、私たちの自尊心を守るための「赤いボタン」が必要だと思います。
[PD]
また、2025年、もしくは2026年には、全員が自分のメール、思考パターン、意見などを組み込んだアバターを持ち、それをZoom会議に参加させることができるようになると思います。実際、それはもう起こりつつあります。現在でも、人々がZoom会議に参加するアバターを作成しているのを目にします。

[SI]
それは来年には確実に実現するでしょう。そんなに時間はかからないはずです。このセグメントを締めくくるにあたり、いつもこのテーマについて痛々しく感じる質問を投げかけて終わりたいと思います。それは、「意識」や「自己認識」の定義がまだ存在しないということです。そして、それを測定するテストもありません。だからこそ、この話題は難しいのです。
(5)人型ロボットの台頭
[PD]
まあ、それについてはAIに聞けばいいでしょう。さて、次は人型ロボットです。2025年の人型ロボットについての予測はどうでしょうか?人型ロボットの分野では多くのことが進行しています。私は最近、メタトレンドレポートを公開しました。この中で、上位16社のロボット企業を詳細に分析しました。現在、資金調達がしっかりしている人型ロボット企業はおそらく100社にのぼるでしょう。
[SI]
この分野は驚くべき速さでクリティカル・マスに到達しつつあります。
[PD]
計算してみました。次のアバンダンス・サミットでは、ブレット・アドコック氏が私のステージに登場予定で、とても楽しみにしています。さらに、Google Tech Hubでは他の2社のロボット企業も参加予定です。ブレット氏とイーロン氏の予測では、ロボットの価格は2万ドルから3万ドル程度になるとのことです。ここでは3万ドルと仮定します。3万ドルの車をリースすると、月々のリース料金は約300ドル、つまり1日あたり10ドルです。完全に機能するGrok 3やGPT-5のロボットを想像してみてください。マルチモーダルで、視覚を理解し、会話も可能で、1時間あたり40セントで稼働します。これは本当に興味深い展開です。いったい何台持ちたいと思いますか?
[SI]
私は最初のオーナーにはなりたくありませんね。最終的には1台だけで済むべきです。なぜなら、それ1台で何でもできるはずだからです。ただ、それはまだ先の話です。当面の間は、例えば電力供給や不適切な行動を取った場合の問題、例えばお気に入りの花瓶を壊したら誰が責任を取るのか、といった多くの課題があり、それらが進歩の遅れる原因になると思います。ちょうど自動運転車が人間の運転手との相互作用の問題で進展が遅れているのと同じように。家庭内での採用が進むには、時間がかかるでしょう。それとも、非常に限定的で予測可能な用途に制限されるかもしれません。
[PD]
赤ちゃんを寝かしつけるようなシーンや
[SI]
おむつを替えるようなシーンですね。
[PD]
部屋に入ると、ロボットが赤ちゃんを片足で持ち上げている、と。
[SI]
この状況で生まれるユーモアは、本当に滑稽だと思います。その意外な結果が、どれほど面白くなるかを考えると、とても興味深いです。AIとのやり取りについて話しましたが、現在のAIはまだクラウド上で存在するもので、実体として目の前にいるわけではありません。ロボットが実際に隣に座っていて、もしそのロボットがあなたに対して不機嫌になったら、一体どうするでしょう? そして、それにどう対応するのでしょうか。このような社会的・感情的な問題が多く出てくると思いますが、それを私たちはまだ十分に理解できていないように感じます。この分野は、まったく新しい研究領域を生み出すことになり、自律型ヒューマノイドロボットとのインターフェースは、今後20~30年、そしてそれ以降も大きな研究テーマとなるでしょう。
[PD]
予測されるヒューマノイドロボットの数についてですが、私は以前、FIIサミットのステージでイーロン・マスク氏にインタビューした際、2040年までにどれくらいのヒューマノイドロボットが存在すると思うかと率直に質問しました。彼の答えは、ブレット・アトック氏が述べたのと同じく100億台、つまり地球上のすべての人間に対して少なくとも1台のヒューマノイドロボットというものでした。これは本当に驚くべき予測です。最近X(旧Twitter)で話題になっていたヒューマノイドロボットを見ましたか?
[SI]
いいえ、見ていません。
[PD]
このロボットは油圧技術を使って動くのですが、見た目がまるで「ウエストワールド」のようです。
[SI]
ああ、そうですか。
[PD]
つまり、このロボットは人間の筋肉構造を再現しています。例えば、指を動かす筋肉は前腕の上部にありますよね。このロボットも同じように、上腕二頭筋や三頭筋といった筋肉を再現しており、まさに人間と同じような機械的な動きを実現しています。
[SI]
こういう話を聞くと、本当にイライラしますね。
[PD]
なぜですか?
[SI]
人間は親指があるおかげで物を操作するのが得意ですが、なぜ指が5本ではなく12本ではないのでしょうか。また、なぜ頭の四方に目が4セット付いていないのでしょうか。その理由は、機械があまりに異質なものに見えないよう、現実の人間に近づけるためだと思います。でも、そんな配慮は不要です。いっそタコのように見えるデザインにして、タコが持つ優雅さを活かした動きができるロボットにすればいいのではないでしょうか。指が5本で物を操作するという進化の制約にとらわれずに、もっと幅広い選択肢を持つべきです。40億年の進化が生み出した人間の形に縛られる必要はありません。例えば、腕が5本あって、それぞれに16本の指が付いているロボットがあったらどうでしょう。
特に料理のような作業を想像してみてください。複雑なインドのビリヤニを作るときに、14種類もの材料を集める必要があるとします。そのとき、腕が6本あって、すべてを3秒でまとめられるロボットがいたら、素晴らしいと思いませんか?
[PD]
あるいは、同じ思考空間を共有して連携して動く4体のロボットを追加するという方法もありますよね。重要なのは、人間と同じように車に乗ったり、階段を上がったり、ベッドの下に潜り込んで靴下を見つけたりと、汎用的な動きができるヒューマノイド型ロボットです。必要であれば、腕や脚が多いロボットを加えれば良いだけです。この分野ではダーウィン的な進化が今まさに進行中で、誰かがこの競争に勝つことになるでしょう。
[SI]
それと、2つコメントしたいことがあります。まず、こういった分野で100社以上が資金提供を受けていることは素晴らしいことです。この動きが信頼性や重要性を与え、この分野の進化を非常に速めていくでしょう。もう1つ、現時点で私が欲しいのは、子どもを毎日学校まで送迎してくれる車です。そんな車があれば、そのことを考えなくて済むのにと思います。
(6)自律走行車の進歩
[PD]
さて次の話題に移りましょう。それはEVと自動運転車についてです。この分野では多くの進展が見られます。私が今サンタモニカにいて感じるのは、自動運転車の数が非常に増えたことです。昨年までは、地図作成のために運転席に人が乗っている車をよく見かけました。でも最近は、スタジオと家を行き来する間に、ドライバーが乗っていない車を5~6台は見かけるようになりました。その中には、テスラが発表したサイバーキャブもあります。この車は座席が2つしかなく、従来の4座席のものよりずっと安価です。興味深いのは、イーロン・マスクが基本原理として、人間が目だけで運転できるなら、自動運転車も目だけで運転できるはずだ、という考え方を採用したことです。
[SI]
この決断は、イーロンらしい大胆なものだと思います。というのも、人間の目は物を正確に見分ける能力や認識速度に限界があります。しかし、このデザイン原理に基づけば、さまざまな可能性が広がります。最近私が特に興味を持っているのは、Waymoによる乗車回数のトラッキングです。約1か月前に週10万回を超えたそうで、これは素晴らしいことです。こうした動きは、現実の世界に根付くための転換点を迎えています。これからは、ライトの法則や費用削減の効果が働き、運転コストが劇的に下がるでしょう。今は1マイルあたり約1ドルかかっていますが、車両のコストやリース代、燃料、メンテナンスなどを考えれば、数セントまで下がるべきです。これは非常にワクワクする展開です。私は最近、電動のポルシェ・マカンを購入しましたが、2017年型のテスラ・モデルSと比べても圧倒的な進化は見られません。運転愛好家としては、素晴らしい車だと思いますが。
[PD]
その車にはオートパイロット機能がありません。速度がどれだけ速くても…
[SI]
それはそうですが、完全に…うーん、そう、完全にはまだですね。でも不思議なことに、それでもやっぱり自分のテスラが好きなんです。あのテスラの革新性と、その車にいる時の感覚が好きなんです。本当に驚くべきことを成し遂げていると思います。ハードウェアよりもソフトウェアが重視される車が欲しいんです。それが将来的に大きな力や可能性、柔軟性を与えてくれると感じています。
[PD]
自動運転が大好きで、いつも使っています。ただ、運転中にテキストが送れないのが嫌なんです。だから楽しみにしていることがあって…。本当に、そういう意味で…また、ね。
[SI]
バカみたいな規制が…
[PD]
そうですね。私たちはこれまで15年間、世界中のステージで一緒に話をしてきましたよね。その中で、自動運転車についてずっと話していました。それはいつも「もうすぐだ」と言われていて、毎年「来年こそは」という話でした。でも今はどこにいるのでしょうか?
[SI]
今は実現していると思います。本当にそう思います。週末にテスラの自動運転機能を試してみてください。Waymoに乗ってみてください。目の前でそれを感じられます。もはや無視できない状況です。そしてそれはいつの間にか人々の生活に浸透していくものだと思います。あの、短期的には過大評価しがちで、長期的には過小評価しがちな曲線のことを覚えていますか? これは未来を予測する時の古典的なフレームワークです。私たちは完全自動運転や自律走行車に到達するでしょう。でも気が付いたらそこにいる、という感じになると思います。
[PD]
サリム、息子さんをWaymoに乗せたことはありますか?あなたはそれを望んでいましたよね。
[SI]
ずっと望んでいました。息子が運転免許を取らずに済むようになることを願っています。でもそれは起こらないと思います。ここにはWaymoがないので、やったことはありません。もしあれば、間違いなくやっていたと思います。
(7)ブレイン・コンピュータ・インターフェース
[PD]
子どもたちに楽しい体験をさせるために、私もそうすべきですね。
さて、2025年の予測について、もう1つだけ話をしましょう。それはBCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)の領域に関連するものです。まず最初に1つ提案させてください。完全にBCIではありませんが、脳に関する話題です。最近すごいことがありました。それはフルーツフライ(ショウジョウバエ)のコネクトーム(脳神経回路)の解析です。小さいものですが、それでも重要です。これまで見た中で、線虫よりも大きな生物の脳神経回路が完全にマッピングされました。154,000個のニューロンと、約5000万個のシナプス結合が正確にマッピングされ、シリコン上に再現されました。そして、例えば、ここに砂糖水を与えたらどうなるか、ここを刺激したらどうなるか、ということがシミュレーションできるようになりました。それを実際のハエに行うと、コンピュータモデルが予測した通りの反応を示しました。
この技術がマウスの脳をアップロードすることを可能にすると思います。そして、今年のAbundance Summitのステージで、5000万ドルの技術で人間の脳全体をアップロードできると考えているCEOが登場します。それは本当に驚くべきことになるでしょう。BCIに関するご意見はありますか?
[SI]
ええと、ここには2つの異なるトピックがありますね。1つはデジタルツイン型のモデリングで、これは非常に現実的で、予想以上に早く実現すると思います。これらのモデルをスケールアップできると、モデリングや可視化が可能になった瞬間にフィードバックループが生まれます。そして、リアルタイムでfMRIスキャンを使い、脳をスキャンしてそのデータをモデリングに活用できるようになると、ほぼすべてを捉えることができるようになります。そこからの限界は計算能力だけになりますが、計算能力は指数的に成長していて、10倍のスピードで加速しています。それが本当に楽しみです。
脳のアップロードについてですが、今でも突然亡くなった場合、重要な情報をすべて保存して後で取り戻すことが可能だと聞いています。そのような、過去を超えて生きるようなコンセプトは、すでにいくつか実現しています。コネクトームや脳をそのレベルでモデリングすることは非常にエキサイティングですが、まだ少し時間がかかると思いますね。
[PD]
そうですね。そして2025年には、他のいくつかのBCI関連企業の発表があるでしょう。個人的に楽しみにしているのが「Science」です。この会社は、Neuralinkの共同創設者であり、以前イーロン・マスクとともにその社長を務めていたマックス・ホダック氏が設立したものです。彼がAbundance Summitのステージに登場するのも楽しみです。
[SI]
ひとつ、この話題について強調したいポイントがあります。
[PD]
どうぞ。
[SI]
ええ、こうした技術がどう進むかという点で重要なのは、私たちが現在どのように脳を使っているかを考えることだと思います。例えば、今では記憶をあまり使わなくなりましたよね。記憶はスマートフォンやクラウドに保存されていて、もはや自分で覚える必要がなくなりました。そのおかげでニューロンを他のことに使えるようになります。そして、さらに多くのブレイン・コンピュータ・インターフェースが普及してくると、脳が現在行っている処理の一部を外部にオフロードできるようになります。それにより脳の残りの部分がさらに活発になり、より生き生きとすると思います。
[PD]
ということで、BCI、宇宙、ビットコイン、AI、ロボット、自動運転車など、2025年に向けた予測を30分間語り尽くしました。今私が一番気に入っている概念の1つは、私たちが超指数成長の時代に生きているということです。そしてその成長は加速するばかりです。本当に驚くべきことになるでしょう。
さて、クリスマスのギフトリストや欲しいものリストは? 技術的な夢は何ですか? AGIですか?BCIですか?
[SI]
それとも世界平和かな?
[PD]
まあ、それについても話しましょう。
[SI]
個人的には、2024年が無事に終わるのを見届けたいですね。地球全体が一度、思いっきりリラックスしてお酒でも飲むべきだと思います。
[PD]
みなさん、聞きましたね。これで宿題が3つできました。この特別エピソードを楽しんでいただけたでしょうか?一緒に未来を予測している共同著者であり、OpenExOのCEO、そして親友でもあるであるサリム・イスマイルとの会話をお届けしました。
< オリジナル・コンテンツ>
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Peter H. Diamandisより
(Original Published date : 2024/12/20 EST)
[出演]
ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)
サリム・イスマイル(Salim Ismail)
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だうじょん
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