NVIDIA決算発表直後CEOインタビュー:トランプ、Huawei、イーロンを語る[5/28]
現地5月28日、2026年度第1四半期の決算発表およびカンファレンスコールを終えた後のNVIDIA ジェンスン・ファンCEOを迎えてのBloomberg Technologyのインタビュー・コンテンツを紹介します。
発表された決算自体は、中国市場の影響はあったものの、コンサバな市場予測に対して期待値を超え、市場もそれを評価する、という無難かつ、今々の良い市場モメンタムが続く下地を整えた感のあるとても良い決算だったかと思います。
[インタビュー・コンテンツ]
・中国市場の動向とNVIDIAの戦略、Huaweiの評価
・米国政府の関税政策やAI拡散ルールのNVIDIAへの影響
・NVIDIAとイーロン・マスク(Tesla、x.ai)との協業の将来
・NVIDIAのヨーロッパ・ツアー
1. インタビュー
[エド・ラドロー](Bloomberg)
NVIDIAの決算発表とアナリスト向けの説明会を終えたジェンスン・フアンCEOにお越しいただきました。ジェンスンさん、ご出演いただきありがとうございます。
中国についてかなり詳しくお話されていましたが、個人的に気になった点がひとつあります。第2四半期の売上見通しが、プラスマイナス2%で450億ドルという数字でしたよね。そしてその中で、中国およびH20に関連して約80億ドル分の売上機会を失ったというお話もありました。ということは、別の製品や別の地域、あるいは市場の別のセグメントで、その分の需要を補えたということなのでしょうか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
現在、いろいろなエンジンが一斉に動いている状況です。中でも一番大きいのが、推論型のAI、つまりReasoning AIの需要です。今、ChatGPTやGemini、GrokといったAIサービスの人気が非常に高まっていて、それらのAPIや、そこに構築されたエージェント型AIサービスも、全体として非常に順調に伸びています。AIの能力が飛躍的に進化したことで、推論処理が巨大なワークロードになったわけです。
次に、Blackwellが非常に高く評価されています。NVLink72というアーキテクチャもまた、大成功といえるもので、思考する機械、つまりReasoning AIシステムとして設計されました。そして今、このReasoning AIの飛躍と、Grace BlackwellやNVLink72の登場という要素が重なったことが、非常に大きな意味を持っていると思います。加えて、サプライチェーンも順調に成長しており、急ピッチで拡大していて、こちらも非常に良い結果を出してくれています。そういった複数の要因が組み合わさって、今の成果につながっています。
[エド・ラドロー]
ということは、Blackwellの供給体制が整ってきたことと、その需要の高さによって、中国市場での売上機会の損失分を少なくとも今期の見通しにおいては補えた、と言えるのでしょうか。
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
そうですね、そういう言い方もできるかもしれません。ただ、中国市場の重要性は決して過小評価してはいけません。中国は世界で2番目に大きいAI市場であり、世界最大規模のAI研究者が存在する場所でもあります。私たちは、世界中のAI研究者や開発者の皆さんに、米国の技術スタックの上で構築してもらいたいと思っています。ですので、たとえ短期的に良い売上成果が出ていたとしても、中国市場の重要性を無視することはできません。
[エド・ラドロー]
Hopperアーキテクチャについて、最低限のスペックまで設計を落とし込んだという点について、改めて詳しく説明されていましたね。つまり、Hopperを中国市場向けにさらに何か変更することは不可能ということですね。ただ、それとは別に中国市場向けの新しいアーキテクチャやチップの開発を検討しているのでしょうか?それは、ゼロから設計した新しいクラスの製品ということでしょうか?そして、そのような提案を米国政府に行ったのでしょうか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
現在、それについてはまだ検討中です。現状の制限は非常に厳しく、制約も大きいです。H20は、Hopperを限界まで性能を落としたモデルであり、これ以上削る方法が正直わらず、現時点での限界点に達していると言えます。
こういった制限がある中で、我々は慎重に検討する必要があります。最終的に開発する製品は、必ず市場に価値を提供しなければなりません。そこが非常に難しい点です。というのも、中国の競合企業もここ1年で大きく進化していて、他国と同様に性能を倍増させたり、4倍にしたりというペースで進歩しています。出荷量も著しく増加しています。
また、これらはデータセンター向けのチップなので、小型である必要はなく、大型のチップも十分に可能です。ただし、米国のテクノロジーが供給されない場合、中国のテクノロジーだけでは市場に十分な価値を提供できないと考えています。ですので、我々が提供する製品も、少なくとも競争力があり、市場に価値をもたらすものでなければなりません。
[エド・ラドロー]
Huaweiには、H20や他のNVIDIA製GPUと同等の性能を持つAIアクセラレーターやGPUは存在すると見ていますか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
Huaweiの技術について、現時点で我々が把握している限りでは、H200と同等の性能を持っている可能性があります。彼らは非常に速いスピードで進歩しており、新たにCloudMatrixというシステムも発表しています。これは、我々の最新世代であるGrace Blackwellを超える規模までスケールできるものです。
ご存じのとおり、Huaweiは非常に優れた技術力を持つ企業であり、彼らは決して立ち止まることなく、常に競争の方法を模索しています。非常に手強い相手です。
[エド・ラドロー]
そのような状況を踏まえると、NVIDIAが中国市場でどのように活動していくか、見えてくるものがあります。今年だけでも、世界のAI研究者の約50%が中国にいる、あるいは中国出身であるという話を何度かされていましたよね。ただ、例えばTencent、Alibaba、BaiduといったH20の購入を検討していた大手企業が、今回の政策変更を受けてHuawei製品へとシフトしてしまったという感覚はお持ちでしょうか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
ええ、現時点では、彼らには他の選択肢がない状況です。政策変更によって生じた課題の一つは、中国市場がNVIDIAや米国のプラットフォームを信頼できるかどうかという点です。ですので、中国の顧客がHuawei上で自社スタックを構築するという判断は、非常に賢明だと思います。現時点では、米国の技術に依存するのは難しい状況ですので、このことは政策変更によってもたらされた、非常に残念な現実です。
とはいえ、私は米国企業の競争力には全幅の信頼を持っています。競争の場があれば、米国企業は必ず競争します。米国のテクノロジー企業を見限るのは賢明ではありません。なぜなら、ここは世界でもトップクラスのコンピューターサイエンティストが集まる場所だからです。米国の企業は非常に競争力があります。我々には競争に出る自信が必要であり、その自信さえあれば、きっと勝てると信じています。
[エド・ラドロー]
決算発表の場で、トランプ大統領を信頼していて、大統領にはビジョンと計画があるとおっしゃっていましたよね。その計画について実際にトランプ大統領とお話されたことはありますか?また、その中にNVIDIAと連携した形でのテクノロジー輸出規制に関する政策調整も含まれているのでしょうか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
もちろん、彼のすべての考えを把握しているわけではありません。ただ、私が非常に素晴らしいと思うアイデアを2つご紹介します。まず1つ目は、本当に先見性のあるビジョンで、関税を戦略の柱として国内製造業を再興し、世界中から米国への投資を促すというものです。これはまさに次の時代を形作るアイデアだと思っています。我々もこの考えに全面的に賛同しており、国内での工場設立を進め、世界中のパートナーに対して米国への投資を促しています。すでに多くのプロジェクトが動き出しており、非常にワクワクしています。
そして2つ目は、AI拡散ルールの撤回です。これは、米国の技術を制限するという発想ではなく、むしろ世界中に米国の技術スタックを広げていこうという考え方に基づいています。AIという歴史的な転換点において、世界が米国の技術基盤の上に構築できるようにすることが重要だという認識です。これら2つの取り組みは、どちらも極めてビジョナリーで、米国を大きく変えていく力を持っていると考えています。
[エド・ラドロー]
この会話の最中に、国務長官のルビオ氏が、中国人留学生の一部に対してビザを取り消す方針を発表したというニュースが入ってきました。こうした外国人留学生に対する米国政府の制限が、NVIDIAのような企業に与える影響についてどうお考えですか?特に、カリフォルニアなど米国内でのエンジニアの人数や構成を考えると、影響は大きいのではないかと思いますが。
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
私自身も移民ですし、米国にやってきて素晴らしい人生を築こうとした、たくさんの移民を知っています。そして、その多くがテクノロジー業界やアメリカの社会に大きく貢献してきました。
私は、今の政権も移民の重要性については非常に強く意識していると信じています。世界中の人々が米国に来たいと願っているこの国は、本当に素晴らしい機会にあふれた場所です。私たちは、その中でも特に優秀な人材に来てもらいたいと考えています。
もちろん、誰でも受け入れるべきというわけではなく、ルールは必要です。ただ、真に貢献できる人たち、違いを生み出したいと願う人たちには、ここで夢を実現できる道を開き、彼らの素晴らしいアイデアや知性を取り入れ、一緒に偉大な米国を築いていきたいと思っています。今の政権もそうした考えに共感していると感じていますし、今回の発言によってその方針が変わったとは思っていません。
[エド・ラドロー]
視聴者の皆さんにアンケートを実施してあなたへの質問を集めました。その中で最も多かった質問のひとつが、いわゆるハイパースケーラー以外のNVIDIAの顧客についてです。特に注目が集まっていたのが、「Elon Inc.」、つまりテスラやx.aiがNVIDIAにとってどれほど大きな顧客なのかという点でした。データセンター向けのチップだけでなく、Optimusや車載用のチップ、Omniverse関連なども含めての話です。これについてお話しいただけますか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
テスラやx.aiとは、多くのビジネスを一緒に行っています。ご存じのとおり、イーロンは本当に卓越したエンジニアで、一緒に仕事をするのがとても楽しいのです。これまでにも素晴らしいコンピューターを一緒に作ってきましたし、これからもさらに多くのシステムを一緒に作っていく予定です。
彼が手がけているGrok、自動運転車、Optimus、どれもが世界に誇れるレベルのものであり、革新的であり、そして巨大なビジネスチャンスを秘めた取り組みです。彼と一緒に仕事ができることを本当にうれしく思っています。中でもOptimusは、もう間もなく大きな展開が始まるタイミングにあると感じています。人型ロボットが現実に社会へ展開される日が近づいており、このロボットこそが、高いスケーラビリティとテクノロジーの進化を実現する初めての存在になるかもしれません。この領域は、将来的に何兆ドル規模の新産業へと成長する可能性が高いと思っています。私は彼の取り組みにとても期待しています。
[エド・ラドロー]
最後に、ヨーロッパについて伺います。来週、ヨーロッパを訪問されるご予定とのことでした。インフラの整備が進んでいるようですが、具体的にどこを訪問し、どのような方々とお話しされる予定でしょうか?
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
どなたとお会いするかは、当日のお楽しみということにさせてください。ただ、各国の首脳とお会いする予定です。訪問先は、フランス、イギリス、ドイツ、ベルギーを予定しています。
今や、AIが電気やインターネット、通信と同じように国家のインフラの一部であるという認識が、各国に広がってきています。インテリジェンスなしに社会は成り立たない、そうした認識が世界中で高まっていて、どの国も自国のAI活用を本格的に進める必要があると考えるようになっています。
私たちは、ヨーロッパ諸国と協力してAIインフラを提供し、AIファクトリーの構築を一緒に進めていくことを大変うれしく思っています。すでに数多くのAIファクトリーに関するプロジェクトが議論され、開発も進行中です。今回のヨーロッパ訪問は、そうした取り組みをさらに前進させる重要な旅になると思っています。ヨーロッパ中を回る予定です。
[エド・ラドロー]
NVIDIA CEO ジェンスン・フアンさんでした。
[ジェンスン・ファン](CEO、NVIDIA)
ありがとうございました。お会いできてうれしかったです。
3. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Bloomberg Technologyより
(Original Published date : 2025/05/28 EST)
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だうじょん
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