国民を苦しめる4つのもの:”移民”、”金利”、”インフレ”、そして”狂気”(ベッセント財務長官)
現地2025年11月25日(火)、スコット・ベッセント財務長官を迎えて行われたCNBCのインタビュー・コンテンツを紹介します。
本インタビューでは、米中首脳会談を受けた外交・貿易の最新進捗から、市場の関心が集まる次期FRB議長人事の選考状況、さらには次期ニューヨーク市長に対する見解や、今後の金融政策と米国経済の先行きに至るまで、幅広いテーマで議論が交わされました。以下は、インタビューで取り上げられたサブテーマです。ご参照ください。
◆ 米中外交と貿易協定の履行状況
米中両首脳の電話会談の結果。米国と中国の公式発表におけるニュアンスの違いについて
◆ 次期FRB議長指名プロセスの現状
次期FRB議長の選考の進捗度合い。また、複雑化するFRBの業務や適任者の選定
◆ FRBの組織運営と高官への批判
現在のFRB理事や地区連銀総裁の振る舞い、および組織の構造的問題について
◆ 金融政策の方向性と経済認識
現在の経済データの解釈と利下げの是非について
◆ ニューヨーク市長選と国内政治
NY市長マンダミ氏の主張する生活費負担軽減(アフォーダビリティ)への取り組みとマンダミ氏評
◆ AI投資と設備投資サイクルの展望
経済成長がAI設備投資に過度に依存するとの見方についての見解
1. インタビュー
[ベッキー・クイック](CNBC)
トランプ大統領は、習近平・中国国家主席との電話会談を経て、4月に北京を訪問すると発表しました。両国は、中国による米国産大豆の購入合意と、米国による対中関税の引き下げについて協議を続けています。
今朝は、財務長官のスコット・ベセント氏をお迎えし、米中貿易の最新情報について伺います。
長官、本日はありがとうございます。

[スコット・ベッセント](米国財務長官)
おはようございます、ベッキー。おはようございます、アンドリュー。

[ベッキー・クイック](CNBC)
まずは最新の状況から始めましょう。トランプ大統領と習主席の電話会談についてですが、両国の発表内容には少々食い違いがありました。米国は中国に対し、大豆の購入拡大を強く求めていますが、現状はいかがでしょうか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
まず誤解のないように申し上げますと、今回の電話会談はトランプ大統領が主導したものです。韓国の釜山での歴史的な会談から30日が経ちましたが、両首脳の関係は極めて良好です。大豆に関しては、中国側の購入ペースは計画通りに進んでいます。今後3年半で、少なくとも8750万メートルトンを購入する予定であり、その進捗は順調です。

[ベッキー・クイック](CNBC)
中国側の報道では、ウクライナ情勢や台湾に関する米中の立場が強調されるなど、少し異なる点が報じられています。現時点で、台湾に対する米国の立場はどうなっているのでしょうか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
台湾に関する米国の立場に変更はありません。ウクライナに関しては、トランプ大統領と習主席は、この紛争の和平プロセスを進めるべきであり、そのために協力することで合意しました。
[ベッキー・クイック](CNBC)
これは休戦と捉えて良いのでしょうか、それともまだ不安定な状態なのでしょうか。現在の中国との関係について、どの程度安定しているとお考えですか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
1年間の「一時停止」と言えるでしょう。私が非常に前向きに捉えているのは、両首脳の関係です。トップ同士が最高レベルで対話できていれば、最悪の事態は避けられます。トランプ大統領のリーダーシップが事態を沈静化させました。もちろん、我々は常にライバルであり、それは自然なことですが、協力できる分野もあります。トランプ大統領は北京を公式訪問し、習主席も米国を訪問する予定です。さらに、ドーラル(※)でのG20や、11月に深圳で開催されるAPECにもトランプ大統領が出席する可能性があります。年に4回も顔を合わせれば、関係に大きな安定をもたらします。その安定こそが、米国民と世界経済にとって良いことなのです。
※ 2026年12月に開催予定のG20サミットは、フロリダ州マイアミのトランプ大統領の私有地「トランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ」で開催される予定となっている。
[アンドルー・ロス・ソーキン](CNBC)
長官、話題を変えさせてください。秋の間ずっと、次期FRB(連邦準備制度理事会)議長の指名について議論してきましたが、年末も近づいています。現在の状況についてアップデートをいただけますか。

[スコット・ベッセント](米国財務長官)
本日、第2ラウンドの最後の面接を行います。5名の非常に強力な候補者がおり、全員に感銘を受けています。当初11名の候補者から絞り込む中で、私の選考基準も少し変化しました。候補者と話すうちに、FRBの運営がいかに複雑化しているかを痛感したからです。単にお金の価格を決めるだけでなく、金融政策、バランスシート、規制政策の間で非常に複雑な計算が求められます。面接では、米国経済にとって最善の道を進むために、これらの要素をどう調整するか、そして国民と経済を守りながら、いかにしてデュアル・マンデート(二重の責務)を果たしていくか、それぞれの視点を重視して聞いています。

[アンドルー・ロス・ソーキン](CNBC)
ヒントをいただけませんか。「二人のケビン」、つまりケビン・ウォルシュ氏とケビン・ハセット氏が有力候補だと言われてきましたが、今もその状況は変わらないのでしょうか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
まだ面接が一人残っていますので、ヒントを出すのは控えさせていただきます。ただ、クリスマス前に大統領から発表がある可能性は非常に高いと思います。もちろん、クリスマス前になるか新年になるかは大統領の判断次第ですが、プロセスは順調に進んでいます。
[ベッキー・クイック](CNBC)
長官、先週大統領が冗談めかして、あるいは本気だったのかもしれませんが、「あなたの仕事ぶりは素晴らしいが、FRBに早く利下げをさせなければクビにするかもしれない」といった発言をされました。これについてはどう思われますか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
その場にいらっしゃれば分かったと思いますが、あれは冗談ですよ。繰り返しになりますが、金融政策は非常に複雑化しており、単に利下げをすれば良いという話ではありません。バランスシートの問題もありますし、FRBは「潤沢な準備金」という新しい体制を導入しましたが、システム内の準備金が本当に潤沢なのか、ほころびが見え始めています。常設レポファシリティなど様々な仕組みがありますが、もう少し単純化する必要があると考えています。
以前、スティーブ・ライズマン氏(CNBC)との番組で、FRB理事や地区連銀総裁を野球カードのように紹介していましたが、FRBはかつてのように黒子に徹するべきです。事態を沈静化させ、米国民のために働き、金融政策を正しい軌道に乗せることに集中してほしいのです。これはスポーツではなく、人々の生活がかかっています。地区連銀総裁たちが頻繁に講演を行っていますが、次の会合の短期的な見通しばかり語るのではなく、米国民にとって本当に重要な課題について語るべきではないでしょうか。
[ベッキー・クイック](CNBC)
公平に見て、FRB理事、少なくとも連銀総裁たちは、自分の地区の人々から話を聞いていますし、それぞれが、雇用市場やインフレの状況について、少しずつ異なる話を聞いているのかもしれません。そして、それは全国から集められる有用な情報だと思います。私の大きな疑問は・・・
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
いや、ちょっと待ってください。彼らが講演で話しているのはそういうことではありません。地元の話ではなく、マクロ経済のことばかり話しているのです。
[ベッキー・クイック](CNBC)
ボストン連銀総裁のスーザン・コリンズ氏は、先週スティーブ・リーズマン氏との番組に出演した際、自分の地区内でインフレについて多くの話を聞いていると言っていました。私にとっては、その部分が特に印象に残っています。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
興味深い点として指摘しておきたいのは、地区連銀総裁というのは本来、その地域の出身者が就くべきだということです。それはニューヨーク連銀の影響力を分散させるためでした。しかし現状では、少なくとも3つか4つの地区連銀で、地域外から採用された人が総裁を務めています。彼らはその地区に住んですらいない。ニューヨークから通勤しているようなものです。ニューヨークの人間が地方へ行き、週末に戻ってくる。これはFRBが本来意図した姿ではないと思います。
[アンドルー・ロス・ソーキン](CNBC)
長官、この質問にどう対処されているのか、興味があります。大統領、そして長官ご自身も、おそらく金利を引き下げる必要性について話されてきました。大統領は、明らかにその主張をされています。ニール・カシュカリ氏を含め、一部のFRB総裁たちの話を聞くと、失業率の増加、あるいは若干の失業率の上昇と、インフレ懸念とのバランスを取ろうとしています。
この二つの問題が衝突している現状で、長官はご心の中でどのようにバランスを取っていらっしゃるのでしょうか。

[スコット・ベッセント](米国財務長官)
まず、ニール・カシュカリ氏は地区連銀総裁であり、FRB理事ではありません。興味深いことに、理事たちは利下げに傾いているようです。先ほども申し上げた通り、これは複雑な計算が必要です。金融政策において重要なのは、過去を知り、現在を把握し、そして未来を見通すことです。よくある間違いは、バックミラーばかり見ていることです。現在の数字は不透明ですが、これまでに2回の利下げがありました。シューマー上院議員による政府閉鎖は史上最長となり、GDPを1.5パーセント押し下げ、少なくとも110億ドルの永続的な損失をもたらしました。経済が好転していないことは明白です。ですから、今の議論の余地がどこにあるのか私には疑問です。
[アンドルー・ロス・ソーキン](CNBC)
少し話題を変えますが、あるいは予想外の質問かもしれませんが、大統領とニューヨーク市長当選者のマンダミ氏との会談をご覧になってどう思われましたか。以前、番組で市長当選者について話した際、大統領は社会主義的だという見方をされていましたが、今回の会談では「生活費の負担軽減」という点で意気投合しているように見えました。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
私も同席していましたが、彼のような選挙戦を展開した候補者には敬意を払うべきでしょう。素晴らしいキャンペーンでしたし、彼は今や民主党のリーダー的存在です。シューマー上院議員は彼を支持しませんでしたし、会ったかどうかも分かりません。トランプ大統領の心の広さが、彼を大統領執務室に招いたことに表れています。大統領はニューヨーク市民にとって最良の結果を望んでいます。
市長当選者に対する私の印象は、古いアイデアを持った若者、といったところでしょうか。彼の掲げる政策が衰退以外をもたらした例があるでしょうか。とはいえ、大統領はニューヨークの成功を願っています。選挙を戦うのと、実際にゴミを収集し、地下鉄を定刻通りに運行させ、市民の安全を守る実務とは別物です。お手並み拝見ですね。
[ベッキー・クイック](CNBC)
アフォーダビリティ(訳例:生活費の負担軽減)は、マンダミ氏だけでなく、ニュージャージーやバージニアで勝利した民主党候補にとってもキーワードでした。特に医療費やオバマケアの税額控除が大きな争点です。昨日、大統領がこの補助金を少なくとも1年間延長することを検討しているとの報道がありましたが、その後否定されたとも報じられています。短期的、長期的にこの問題にどう取り組むのか、政権の計画をお聞かせください。

[スコット・ベッセント](米国財務長官)
まずアフォーダビリティについて整理しましょう。2024年3月12日に私が発表した記事で、米国民を苦しめる「3つのI」について書きました。移民(Immigration)、金利(Interest rates)、インフレ(Inflation)です。これに民主党側の「狂気(Insanity)」を加えて「4つのI」としましょう。無秩序な大量移民は現在コントロール下にあり、国境は安全です。これにより労働者階級の賃金への下方圧力や家賃の上昇圧力は緩和されました。金利も低下し、債券市場は2020年以来の好調です。残るはインフレと、政府閉鎖を引き起こす民主党の「狂気」への対応です。彼らは医療保険の議論を交換条件に政府再開を求めましたが、結局話し合いにはなりませんでした。
今は瀬戸際の状態ですが、トランプ大統領は働く米国人が自分のお金を手元に残せるようにしたいと考えており、保険会社を仲介から外すことも視野に入れています。大統領は解決策を持つ人物ですから、必ず良い解決策が見つかるでしょう。
[ベッキー・クイック](CNBC)
今日のウォール・ストリート・ジャーナルの一面で、経済がAI支出に依存しているという記事がありました。今年上半期の実質GDP成長の半分近くをAI関連の設備投資が占めている可能性があるとのことです。この分野の成長が鈍化した場合、経済全体が落ち込むのではないかという懸念についてどうお考えですか。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
それについてはこう考えています。2週間前、故郷のサウスカロライナ州チャールストンに戻ったのですが、ボーイング社がドリームライナーの工場を大幅に拡張していました。数千人の高賃金の雇用が生まれます。来年は、貿易協定や税制改革のおかげで、設備投資のサイクルがより広範囲に拡大すると見ています。設備投資は歴史的に雇用増加につながります。AIへの投資も凄まじいものがあり、今後も続くでしょう。
友人のジョー・ロンズデールが言ったように、中国との競争においてAIでのリーダーシップ維持は「合格か不合格か」の死活問題です。しかし、私は規制緩和の効果も相まって、インフレを伴わない力強い成長が実現すると期待しています。
そしてFRBに関するあなたの質問の話に戻りますが、現在は1990年代のような状況かもしれません。当時、アラン・グリーンスパン議長は生産性の向上を見極め、前向きな枠組みを持っていました。今も同様の生産性向上が見られます。だからこそ、低金利、高成長、そして高い生産性を同時に実現できると考えているのです。

[ベッキー・クイック](CNBC)
ベセント長官、お時間をいただきありがとうございました。感謝いたします。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
ありがとう。ジョー(カーネン)に早く良くなるよう伝えてください。
[ベッキー・クイック](CNBC)
伝えておきます。ありがとうございました。
[スコット・ベッセント](米国財務長官)
ありがとう。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
CNBC Televisionより
(Original Published date : 2025/11/25 EST)
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だうじょん
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