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【短編小説】悪夢 君

あらすじ
悪夢 君」は、見た悪夢が現実となる青年、夢二(あだ名:悪魔くん)と、見た良い夢が現実になる少女、夢羽(あだ名:悪魔ちゃん)の物語です。
夢二の悪夢は、彼自身の部屋に割れた鏡を出現させることから始まり、やがて信号機の異常、銀行強盗事件、そして人々の希望を奪う「黒い配達人」の出現といった形で現実を侵食し、世界に危機をもたらします。
夢羽は、身の回りに起こる不可解な異変から、それが「誰かの悪夢の具現化」であることに気づき、その原因を探り始めます。彼女は持ち前のポジティブな夢の力で、夢二の悪夢が引き起こした現実の歪みを次々と修復していきます。そして、夢二の悪夢の根源である幼少期のトラウマである湖での出来事を知り、ついに彼の夢の中へと入り込みます。
夢の中で出会った夢二に、夢羽は「もう孤独じゃないよ」と優しく語りかけ、彼の心を癒やしていきます。二人は協力し、夢二の悪夢が生み出した水の怪物と対峙。夢羽の「希望」を具現化した光が怪物を打ち破ることで、夢二の悪夢は晴れ始め、現実世界に起こっていた異変も急速に好転していきます。
夢の中で紡がれた絆はやがて現実の邂逅へと繋がり、桜舞い散る公園で夢二と夢羽は初めて顔を合わせます。彼らの悪夢は終わりを告げ、ここから、新しい現実の物語が始まります。

序章


夜の帳が降り、街の喧騒が遠のく頃、一人の青年、夢二はベッドに横たわっていた。しかし、彼にとって眠りは安息ではなかった。目を閉じれば、そこには常に「悪夢」が待ち構えている。それは単なる不快な夢ではない。彼の見る悪夢は、なぜか必ず現実になるのだ。
今夜もまた、悪夢は彼を捕らえた。暗く、じめじめとした路地裏。そこに転がる、無数の割れた鏡。その破片の一つ一つに、彼の恐怖が映し出されているようだった。そして、鏡の向こうから、影のような何かがゆっくりと現れる。それは、かつて夢二が忘れたかった、そして二度と思い出したくなかった「何か」の姿をしていた。夢二は冷や汗をかきながら目覚める。しかし、その顔には、安堵の色はなかった。むしろ、絶望が滲んでいた。なぜなら、彼の部屋の床には、夢で見た通りの割れた鏡の破片が散らばっていたからだ。

第一章:日常の歪み


夢羽は、最近身の回りで起きる奇妙な出来事に首を傾げていた。朝、いつものように目覚めると、お気に入りのマグカップにひびが入っていた。それは夢羽が昨日買ったばかりのもので、落とした記憶は一切ない。また、公園を散歩中には、突然ベンチの脚が折れて転びそうになったり、電柱の街灯がいきなり消えたりと、説明のつかない不運な出来事が続いていた。最初は単なる偶然だと思っていたが、日を追うごとにその頻度が増していく。まるで、見えない何かが、静かに日常を侵食しているかのようだった。


夢羽は生まれつき、ポジティブな夢を現実にする力を持っていた。そのため、彼女の周りでは常に良いことが起き、困難も不思議と解決してきた。しかし、この最近の異変は、彼女の「良い夢」の力をもってしても、防ぎきれない種類のようだった。


ある夜、夢羽は見たこともない奇妙な夢を見た。それは、ぼやけた暗闇の中で、無数の影がうごめいている夢だった。その中心には、深い絶望を湛えたような、見知らぬ青年の横顔が見えた。彼の周囲からは、ドロドロとした黒い液体が滲み出し、それが現実世界へと流れ出して、身の回りの異変を引き起こしているように感じられた。


夢羽は夢の中で「これは、誰かのネガティブな夢が現実世界に影響を与えているせいだ」と直感的に理解した。そして、目覚めてからも、その夢のイメージが頭から離れなかった。彼女は直感に従い、最近の奇妙な出来事を詳細に調べ始める。壊れた物の種類、起こった場所、時間帯…それら全てに、まるで一本の線が繋がっているかのように、ある傾向が見え隠れしていた。そして、その異変の中心には、常に“ある場所”の痕跡が微かに残されていることに気づいた。その場所とは、夢二が住むアパートの近くの、薄暗い路地裏だった。

つづく





読者様、第一章までお読みいただきありがとうございます。

「悪夢 君」の序章と第一章を通して、夢二の悪夢が彼の現実を侵食し始めた様子を感じ取っていただけたでしょうか。特に、彼の部屋に散らばる割れた鏡の破片や、交差点での混乱の描写で、夢二の抱える恐怖と、それが現実化する不気味さを表現しました。

この物語はまだ始まったばかりですが、これから夢二の悪夢がどのように世界を巻き込み、そして夢羽という希望の光がどう現れるのか、楽しみにしていただけると嬉しいです。

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