NZ旅行記③【ワナカ, クイーンズタウン編】
12 Sep. @Pukaki, Wanaka
幸福感でいっぱいのままテカポ湖を出発した。
前日まで出ていた90%の雨予報を覆し、太陽が元気に照っていた。
次の目的地はプカキ湖。テカポ湖からは車で30分、昨日少し寄ったあの迫力満点の湖だ。
プカキ湖へ続く道は昨日と同じはずだ。しかし時間帯と天気によって景色は全く違った顔を見せる。
左右に広がる牧場は昨日よりも活力があるように見えた。
旅は早くも5日目。毎日日曜日が続いているようなもの、既に曜日感覚は失っていた。今日は木曜日らしい。
好きな曲を歌っていると30分なんて距離はあっという間だ。記憶のある道で再びプカキ湖とご対面〜
え!!!
本当に驚いた。
昨日とは全くの別人じゃないか。
前日と同じビューポイントで見たこの日のプカキ湖がこれだ。 (ワン トゥ- スリ-)

テカポより青いとの噂は本当だった。空の色とも全然違う。
昨日の時点で青いプカキ湖を諦めていたこともあり、プカキの本気を目にした瞬間の感動は大きかった。
昨日は緊張感漂う雰囲気だったが、それも昨日だけだった。今日はプカキ湖が優しい顔をしているように見えた。
これからプカキ湖をぐるりと回り、サザンアルプスの最高峰、マウントクックへ向かう。天気が良ければ3時間のトレッキングをする予定だ。旅の大きな楽しみの一つだった。
マウントクックは雨が多いことで有名である。降水確率90%だったこともあり昨日までは諦めていたが、もしかすると晴れのトレッキングが実現するかもしれない。そんな期待も胸にプカキ湖沿いを走った。
道中にビューポイントが沢山あった。時間に余裕があった訳ではないが、結局全部寄ってしまった。
そりゃ仕方がない。場所によってもプカキ湖は表情を変えてくれるんだ、見に行くしかないじゃないか。
ただでさえ朝のテカポ湖で出発が遅れていたのに、ビューポイント全通で時間が押しに押した。それと引き換えにプカキ湖の魅力を堪能できた。
さあ、プカキの青さをご覧あれ。




ちなみにこの4枚、どれも写真の編集はしていない。
本当にうっとりするほどの青さだった。晴れて良かった、、
プカキをぐるっと回り終えるとマウントクックはもうすぐだ。
しかしプカキを過ぎた途端、あたりが薄暗くなり雨が降り出した。先へ進むにつれ容赦なく雨は強くなる。風も勢いを増し、ハンドルを取られることも多々あった。
直前に貼った写真の左端、霧がかかっている場所の話だ。
さすがマウントクック、雨が多いと言われるだけあり、さすがにこの場所まで晴れとはいかなかった。
そこにマウントクックのかっこよさを感じた。ラスボス感
さっきまで後ろをついてきた車がいつの間にか引き返していた。見かける車はプカキ湖方面へ帰る対向車ばかりで、僕の前方にも後方にも新たな車が現れないことに少し不安を感じた。雨風はさらに強くなる。
15分ほど耐え、なんとか無事にフッカーバレートラックのスタート地点に到着。フッカーバレートラックとはマウントクックの人気トレッキングコースのことだ。
思っていたより雨風が強かったので、一旦車で待機することにした。落ち着いたらポンチョを着て出発しよう。
とはいえ既に時間が押していた上にここから待機となると、トレッキングの帰りの頃には暗くなり始める可能性があった。かと言ってこの雨で行くこともできない。
とりあえず今は待機することしかできなかった。
1時間経過
雨は全く治る気配がない。
ここで無理に行って風邪をひいてしまっても良いことはない。後日のことも考え、今回はトレッキングを断念することにした。

雨の中でも堂々と佇む山がかっこよかった。
またリベンジしに来ないとな。
こうしていつかもう一度ニュージーランドに来なければならない理由が増えていった。
トレッキングスポットを出発し、プカキ湖が見えてきた途端に晴れ間が見えてきた。そしてプカキ湖の横を通る頃には完全に晴れた。結局マウントクック周辺だけが雨だったようだ。
晴れのマウントクックを拝むにはもっと人として大きな器が必要なのかもしれないな。
決してそんなことはないと思うが、そう思えるくらいに神秘的な場所だった。

車の中からプカキに別れを告げ、次の街に向かった。
ここからは車で2時間半のドライブとなる。
その街の名前はワナカ。とても小さな街だ。
プカキを過ぎ1時間ほど経った頃から雲行きが怪しくなった。そして南へ行くほど雨が強まった。
どうやら今日のワナカは雨らしい。
そう考えると雨のワナカと雨のマウントクックの間に位置するプカキだけ晴れたのは本当に奇跡だったのかもしれない。プカキが見せてくれた綺麗な青色を僕は忘れることはないだろう。プカキにも感謝だ。
長めのドライブを終え無事ワナカに到着。この日は長距離の運転でかなり疲労が溜まっていた。
ワナカはやはり雨。この日宿泊するドミトリー近くの桜の前に車を駐め、1時間ほど休憩することにした。雨に打たれる桜をぼーっと眺めて目を休めた。
体感長めに休憩を取ったが、疲れは残っている感覚だった。時刻は既に17時半。もうこのままチェックインしてベッドで休んでも良かった。
しかしまだ17時半。せっかくワナカに来たのにベッドだけで終わるのはもったいない気もした。明日は朝早くにワナカを去るのだ。
というわけで傘を差し街を歩いてみることにした。

歩いてみても本当に小さい街ですぐに回り切ってしまったが、小さい街だからこそ持つこの平和な雰囲気が好きだった。居心地の良い街ワナカ
ワナカには変わった観光スポットがある。
その名前はThat Wanaka Tree
言ってしまえば1本の木のことだ。
1本の木のために片道20分歩くことなんてこの先なかなかないだろう。そんなことを考えながら1本の木のために片道20分歩いた。


少し先で写真を撮っている人が2, 3人見えた。
あれだ!
その一本の木は孤独に見えたが強く生きていた。

ずっと見ていると時々鳥が羽を休めに来る。
この木は決して孤独ではなかった。
仲間の木が近くにいなくとも、この木には生きる意味がある。
環境に負けず必死に生きる木が逞しく見えて、でもどこか可愛くて。実際に目にしてみて、この木が愛される理由が少しわかった気がした。
元気に生きるんだよ!
こうして再び20分かけてドミトリーに戻った。
小さな街に小さな木。見た目は小さくとも、僕に与えてくれた元気は大きなものだった。
ベッドに入るとすぐに眠気が襲った。
この日のストーリー更新は諦めることにした。
13 Sep. @Queenstown
ドキドキしながら目を覚ます。メールは来ていない。
何があっても大丈夫なように、朝早くにチェックアウトを済ませた。
この日、クイーンズタウンでスカイダイビングを予約していた。空から数十秒間の自由落下、一度やってみたかった。そして今回の旅が絶好の機会だと考えた僕は、3段階のオプションのうち最も高い15,000ftからのスカイダイビングを決断していたのだ。
しかし、空から落ちるというのはやはり危険なことだ。今回予約していたスカイダイビング会社NZONEさんは安全を最優先に考えている組織だった。何が言いたいかというと、ベストな天候でなければスカイダイビングはNOとなる。この日クイーンズタウンは曇り予報。飛べるのか飛べないのか、メールを待つしかなかった。
ワナカの朝、外は雨混じりの雪が降っていた。
クイーンズタウンまでは車で1時間。スカイダイビングは午前中で予約していたため、あまり時間はなかった。しかし雪が降っている手前、焦る気持ちは抑えてゆっくり運転しなければならない。
結局メールはまだ来ていないので、ワナカを後にしドキドキしながらクイーンズタウンへ向かった。
約10分後のことだった。
ビニールテープで固定しているナビ代わりのスマホに一件のメールが届いた。
チラッと目をやると、
NZONE, regret, cancel
の3単語が目に入った。
英語を勉強しておいて良かった。運転中に一目で情報を掴めた。
あ、今日はなしか。
あるのかないのか分からない状況が続いていただけに、ないとはっきりわかると少しホッとした。ゆっくりクイーンズタウンへ向かおう。
スリップしないようスピードに気を使い、なんとか旅の終着点、クイーンズタウンに到着した。
さっき届いたメールをしっかり読むと、やはり悪天候により今日は中止とのこと。小雨が降っていた。
実はクイーンズタウンには今日含め3日間滞在する予定を立てていた。その大きな理由は、スカイダイビングの予備日を設けたかったからだ。つまり今日飛べなくても明日飛べればいい。そう考えていた。
14日の天気を調べる。現れたのは晴れマーク
よし!
即席の英語ですぐに返信メールを送る。
Thank you for your early notice.
I would like to reschedule my appointment for tomorrow (14 Sep) at 1:00 PM. Is this possible?
10分後に返信が返ってきた。
Yeah no worries - have rebooked you for 1pm tomorrow.
良かった!明日はなんとか飛べそうだ。
全然関係ない話だが、中学であれだけ習ったNo problemという表現を使っている人は、今回の旅で1人も見なかった。代わりにNo worriesはたくさん聞いた。理由はないが僕はNo worriesが優しくて気に入っていた。
話を戻そう。
結局こんな流れで今日13日はフリーとなり、クイーンズタウンでのんびり過ごすことにした。
着いた頃には小雨だったが、数分ですぐに止み曇りに、そして分厚い雲はみるみるうちに薄くなっていった。一日かけて天気が回復していくような空模様だった。
クイーンズタウンはニュージーランドでもっとも美しいとされる街である。「ヴィクトリア女王が住むのにふさわしい」という意味でこのような名前がついたそうだ。
曇りの中の散策となったが、歩いてみて街が美しいと言われる理由が少しわかった。
クイーンズタウンはかなり南に位置する街である。南半球のニュージーランドでは、南下するほど寒くなる。
クイーンズタウンはこれまで訪れた中でも特に寒く、雪こそ降っていなかったものの、雪が降っている時のあのスローモーションのような雰囲気が街中に漂っていた。そしてワカティプ湖畔ではたくさんの鴨が楽しそうに生活しており、人も自然と湖畔に集まっていく。そんな街全体を、雪を被った険しい山々が見守る。
こんな構図の街だった。




この日行きたいと決めていた場所が一つだけあった。ボブズ・ピークという山である。頂上まではゴンドラが整備されており、頂上には街を見渡せるスポットがあった。
雲は確実に薄くなってはいたものの、街を囲む山々の頭はまだ隠れていた。山の全貌を上から見てみたかったので、ゴンドラで登る前にベンチに座って雲が切れるのを待ってみた。
しかし山の頭が見える気配は全くなかった。
まあいいか!
山全体は見えなくとも景色はいいはずだ。そう思いゴンドラに乗った。


久しぶりにゴンドラに乗ったが、こんなに重い数十台のゴンドラをワイヤー1本に委ねてもいいものかと考えると安心できなかった。考えるのが悪いのだが。ヒュッとする感覚は鷲羽山ハイランドのスカイサイクルに近いものだった。
ボブズ・ピーク頂上に到着。思っていたよりも高くて興奮した。
これがクイーンズタウンだ!

周りのどの観光客よりも長くここで眺望を楽しんだ自信がある。そこにはワカティプ湖と山に囲まれる美しい街が広がっていた。

全貌は見えないままだったが、それでもクイーンズタウンを守る山には威厳を感じた。全てを曝け出さなくとも魅力を発揮できる山はかっこよくて心惹かれた。昨日から僕は山にばかり惚れている。
Shall I take a photo?
あまりに長いことぼーっとしていたからだろうか。施設のスタッフらしき方に声をかけられたのでお願いしてスマホを渡そうとすると、上のカメラを見て!と言われた。
上のカメラ?
確かに大きなカメラがある。
頭を整理する間もなく、周囲に大きな音声が響き渡った。エコー増し増し
Three!! Two!! One!!
パシャ
注目を浴びている気がして恥ずかしかった。どうやら今の写真を後に有料でいかがですかというものだったらしい。買わなかった。
頂上は地上よりも一段と冷えており、さすがに耐えきれなくなって施設内に入った。カフェを見つけたので温かい飲み物でも頼むことにした。

そんな矢先のことだった。
スマホに一件のメールが届いた。NZONEからだ。
明日の天気は晴れだ。何のメールだろう。
それは予想外のメールだった。
今日までの雨で滑走路が浸水しているため明日は飛行機が飛べない。明日の予約はキャンセルします。
といった内容だった。続けて、
代わりにワナカでスカイダイビングを手配できる。希望する場合は本日17時までにご連絡ください。
と英語で書かれていた。今の時刻は16時。
カフェでしばらく考えて決断を下した。
スカイダイビングは諦めよう。
そう決断したのにはわけがあった。
今日を含めこれまで6日間旅をしてきた。その充実度は想像の何倍も高いもので、すでにこの旅に大満足だった。数字で表すならMAX100%のうち300%、と本気で思っているところだが、まあ上限100%のルールを守り95%と言っておこう。つまり、いくらスカイダイビングを楽しめたとしても5%しかメーターは上がらないのだ。
上手く伝わらないかな?別の表現をしてみよう。
スカイダイビングはもちろん最高の経験になることは間違いない。絶対的な感動もあるだろう。しかしここ数日感動続きの僕が今スカイダイビングをしてしまうと、相対的な感動は薄れてしまう気がした。これは実際に旅をしたからこそ感じた予感であって、日本で予約した時には決して想像できない感情だ。
そう考えると、明日スカイダイビングをしてしまうのは勿体無い気がした。それなら今回返金してもらったお金でまた今度、スカイダイビングだけを楽しむ機会を作った方が絶対的にも相対的にも感動が大きいのではないかと考えたわけだ。
だから滑走路浸水はラッキーだった。今でも全く後悔はなく、むしろナイス判断だったと思っている。
これらの考えの元、連絡を返すことなく17時を迎えた。
明日のプランを考えないといけない。
クイーンズタウンはほとんど回りきったしなぁ、
そんなことを考えながらTeriyakiが食べられるという居酒屋に寄った。2日に1回は日本食を食べている気がする。食に関してはせっかくの海外なのに勿体無いことをしている気もしたが、そんなのは関係ない。食べたいものを食べられるのが一人旅の特権だ。
店内には日本人の店員さんがいた。ワーホリで4月からクイーンズタウンに滞在しているとのことだった。
お冷を貰うタイミングでクイーンズタウンのおすすめを訊いた。
「ヒストリックダムの水バカ綺麗っすよ!絶対行った方がいいっす!あとジャックスポイントも!」
久々に日本の若者言葉に触れて嬉しくなった。
お冷を貰うだけなのに10分も話してしまった。
「明日おすすめ行きますね!」
と会計時に伝えると拍手で喜んでくれた。ありがとうございました!と店を出た。
あ、照り焼き定食の食レポ
めちゃめちゃ美味しかった。みんな行ったほうがいい。
寝る準備が整った頃、先ほど居酒屋でおすすめしてもらったヒストリックダムとジャックスポイントを調べてみた。知らなかった穴場スポットだったので、心の中で店員さんにもう一度感謝した。
しかしすぐに回れそうで、1日過ごすには少し足りない気もした。
クイーンズタウンにこだわらなくてもいいかも。
そう思えると明日の行き先は一つに確定した。
明日はワナカに戻ろう。
それと、今日はしっかり寝ておこう。
そう決断するとすぐにスマホを置き、目を閉じた。
この日もストーリーの更新は諦めた。
14 Sep. @Roys Peak
無事?
もう日本?
着信履歴
翌朝スマホにはこんなメッセージが数件届いていた。
あ、そうか。
思い当たる節があった。
旅を始めてから毎日写真をアップしていた。しかしここ2日間、急に音沙汰がなくなったわけだ。心配してくれたのだろう。少し申し訳ない気持ちになったが、こうやって何人か連絡をくれる人がいることにありがたさも感じた。
さて、昨夜決めた行き先とはワナカに位置する標高1,578mの山、ロイズピークである。
実はこのロイズピーク、当初旅の計画を立てていた頃には行き先の有力候補として挙げていたのだが、後のスカイダイビング挑戦の決断により早い段階で断念していた場所であった。
改めて検討してみると、ここからロイズピークまでは車で片道1時間、トレッキング所要時間は往復6-7時間であり、早起きすれば可能なことが判明していたのだ。
というわけで一度クイーンズタウンを離れ、再びワナカに向かった。まさか2度もワナカに行くとは思ってもいなかった。

ワナカに到着。晴れの日のワナカは一昨日とは違う明るい雰囲気を漂わせていた。
そしてロイズピークトラックのスタート地点へ。
頂上を見上げる。

半分より上は完全に霧で隠れており頂上は見えない。かなり濃い霧だった。
登る間にこの霧は晴れるかもしれない、し、晴れないかもしれない。つまり、頂上からの眺望を楽しめるとは限らない状況だった。
それでも僕は迷わず登山を決心した。景色は見えなくとも登ることに意味があると信じていた。

"PLEASE PAY 2$ TRACK FEE"と書かれた全く監視のないボックスにしっかり2$硬貨を入れ、片道3時間のトレッキングをスタートさせた。
今回のトレッキング、自分にとあるミッションを課していた。それはすれ違う人全員に挨拶をするというものである。僕が持つバリエーションはたったの3つ。
Hello! Hi! How are you?
いかにも英語慣れしてなさそうなレパートリーだが、そんなの気にしたら負けだ。これで堂々と挨拶するんだ。
登山開始10分。心が折れるかと思った。
想像以上の急斜面。息が上がり、半袖一枚になりたかった。
でも諦めたくはない。時間を気にせず、自分のペースで一歩一歩進むことにした。水をたくさん持ってきておいて正解だった。
みるみるうちに駐車場が小さくなっていく。茶色いレンタカーは点になっている。黙々と登るだけの時間だが、左手に見える景色だけが唯一の癒しだった。
なおも続く急斜面

開始1時間が過ぎた頃、あたりは霧に包まれ始める。

唯一の癒しだった景色さえも見えなくなり、残されたのは先の見えない道だけだった。
登るにつれ霧はどんどん濃くなっていく。恐らく頂上の景色は見えないだろうと悟ったのはこの頃だった。
ここまで来ると引き返す人もちらほら。無理はない。きつい思いをして何も見れないとなると、引き返したくなる気持ちはとても分かる。正直僕も揺らいだが、やはり諦めたくはなかった。マウントクックでトレッキングができなかった。その分ロイズピークではやり遂げたかった。もう景色は関係ない。
さらに登ると徐々に雪が増えていく。
足元はあっという間に悪くなっていった。

そして完全に雪道に。

疲れてはいたが、挨拶ミッションだけは継続中だ。挨拶の時だけは笑顔を見せる。
ここまで全員に挨拶をしてきた。無視をする人もいた。笑顔で返してくれる人、向こうから挨拶をしてくれる人もいた。優しそうな見た目で挨拶をしない人、怖そうな見た目でにっこにこの挨拶をする人。
ルックアウトまで残り30分ほどの頃だった。いつも通り追い越しざまに挨拶をする。すると、
Do you have frends?
と質問で返された。急な質問に驚いた。
友達がいない人に見えたのかな。日本にはいるんだけどな。いや、さすがに今いるかどうかを聞いているだけか。
そんなことを考え、Noと答えた。
オーストラリア出身の女性だった。友達と来ていたがどうやらこの霧でみんな引き返したらしく、一人で頂上まで登ることにしたという。相当強い意志の持ち主だ。
Noと答えたからなのか、沢山話してくれた。そのまま一緒に登ることになった。人と話すと疲労は忘れるものだ。
今日で旅は7日目。思い返すとこれまで特定の人とこんなに長く英語で会話をする機会はなかった。今回が初めて。そういう意味でもやはり景色だけに左右されずロイズピークに登ってみたこと、全員に挨拶をしてみたことには意味があったのだ。
結果的に、このオーストラリアの方と会話した30分では悔しさを覚えることとなった。一生懸命話してくれていることが全て聞き取れない。伝えたいことがうまく表現できない。英語ができればどれだけ楽しく会話ができただろうか。日本に帰ったら勉強しないとな、そう思った。
満足な会話ができなかったなりにも、多少のコミュニケーションは取れた。彼女はクライストチャーチで地震の過去に向き合ったそう。クライストチャーチの話で盛り上がった。僕が今回が初めての海外旅行だと伝えると、great!と言ってくれた。ぜひオーストラリアにとも。
こうしてあっという間に30分ほどが経ち、ルックアウトに到着した。
霧で何も見えなかったが、3時間登り切った達成感は大きなものだった。
実はここからさらに30分で山頂に着く。僕は時間のこともあり、頂上には登らずここで昼食を取って下ることにしていた。
そしてここまで一緒に登ってくれたオーストラリアの方はなんと頂上まで登るらしく、ここで別れることになった。
Enjoy!
You too!
彼女は霧に包まれていった。




霧が少し晴れてきたので待ってみた。
しかし、完全に晴れる気配はなかった。
また来よう!
そうして山を下った。
雪が積もっている。下りは危険で何度も滑った。
特に雪道は上りよりもはるかに時間がかかった。
Hello! ズルッ!
すれ違いざま挨拶をした瞬間に滑り、心配される一幕もあった。
下り続けると徐々に雪が減り霧が薄くなる。
霧が晴れると、そこには絶景が広がっていた。




どこまでも穏やかなワナカ湖。NZプレイリストの好きな曲を流す。
上りの時に見えなかったからこそ、下りの今目の前に広がる景色がより輝いて見えた。ずっと見ておきたくて、下りるのがもったいないように感じた。時間をかけてゆっくり下った。
無事車に到着。往復7時間のトレッキングを終えた。
疲れた〜けど楽しかったな!
挨拶の大切さを再認識した。
英語の経験値がぐっと増えた。悔しさも覚えた。
滅多に経験できない達成感を味わえた。
予期せぬ絶景に出会えた。
重なるマイナスの条件に負けず、登る決断をし続けて良かった。登ることに意味がある、最初にそう意気込んだが、意味を持たせるのは自分自身だ。
ロイズピークトラックでの収穫はとても大きなものだった。

クイーンズタウンに戻ってきた頃には16時半。
ジャックスポイントに行く時間はなかったが、昨日おすすめしてもらったヒストリックダムに行く時間はあったので向かうことにした。





最高の時間帯に来れたかもしれない。
教えてもらわなかったら絶対来ることはなかった。
水は川底が見えるほど透き通っていて冷たい。
トレッキングの疲労が吹き飛ぶ場所だった。
照り焼きの店員さんありがとう
クイーンズタウン市街地に戻る頃には日が沈んでいた。クイーンズタウンは西にボブズ・ピークがあるため、太陽が隠れるのが早いのだろう。徳島の眉山と同じだ。
日は沈んだがまだ明るい。曇りだった昨日とは街全体が違う表情を見せていたのでカメラを2台持って車から降り、急いで街へ飛び込んで行った。
夢中で2時間、写真を撮り続けた。
クイーンズタウンはニュージーランドで最も美しい街
これは本当なのかもしれない。








クイーンズタウンの魅力を存分に感じた時間だった。
ロイズピークで頂上まで登っていたら完全に日が暮れていただろう、早めに下る決断をしたからこそ出会えた風景。やはりどんなことにも唯一の正解なんてなく、考え方次第で自分で正解にできるんだ。
この日のクイーンズタウンの夜は2℃。
寒さが限界だったが、今ドミトリーに帰ると一つ後悔することがあった。それはクイーンズタウンの有名店、Fergburgerに行っていないことだった。
ハンバーガーの超人気店、この人だかりである。

今日しかない!と思い、30分並ぶことにした。
そしてNZビーフをふんだんに使ったこのハンバーガーは今まで食べてきた中でいちばん美味しかった。


最高に美味しいハンバーガーも食べ、クイーンズタウンを満喫し切ってドミトリーに帰った。
今日はなかなか疲れた。2日サボったストーリーの投稿を済ませ、ベッドの明かりを消した。
15 Sep. @Queenstown
旅の最終日。
天気は雨。気温も低いままだった。
この日は16時の飛行機でオークランドに帰らなければならない。クイーンズタウンとのお別れも近づいていた。朝はゆっくりチェックアウトし、カフェで朝食を済ませた。寒い朝のコーヒーは格別だった。
今日することはお土産を買うことくらい。時間は沢山あったので、町中のすべてのお土産屋さんを巡り、ゆっくり買い物をした。この日カメラは持たなかった。
13時半頃、クイーンズタウンと鴨たちにお別れを告げ、クイーンズタウン空港へ向けて出発した。
ラウンドアバウトにもすっかり慣れていた。
そして空港に到着。5日間お世話になったレンタカーはここで返却する。僕はものに愛着が湧きやすいのだろうか、レンタカーの返却さえ寂しく思えた。
事故なく運んでくれてありがとう
この日を含めて6日間の南島の旅を終え、思い出いっぱいでクイーンズタウンを飛び立った。
1週間ぶりにオークランド国際空港に帰ってきた。南島の旅が充実し過ぎたからだろうか、1週間しか経っていないとはとても思えなかった。
そして今日は楽しみなことがある。
少し贅沢をし、ドミトリーではなく個室を予約していたのだ。これまで7泊も気を遣うドミトリーで我慢したんだ、旅の最後は思いっきりくつろぎたいと思っていた。
空港付近はスーパーくらいしかなく、そこでもお土産を買って部屋に戻った。
明日は朝10時の飛行機で日本に帰る。
写真を見返して思い出に浸り、眠った。
16 Sep.
6時に起き、荷物をまとめてホテルを後にした。
ニュージーランドの空気を吸えるのはこれで最後。
朝の空気は澄んでいて気持ちよかった。
手荷物を預け終え、飛行機を待っていた時だった。
僕は1列10脚ほど並ぶ椅子の1つに腰掛けていた。そこに修学旅行生らしき高校生がちょうど10人ほどやってきたのだ。
みんなでここに座りたいだろうな。そう思い、その椅子を離れたとき
Thank you〜!!!
高校生たちがたくさんのThank youをくれた。
最後の最後で心が温まった出来事だった。
日本の旅行楽しんでね〜
(暑いけど大丈夫かな)
11時間のフライトを終え、無事に成田空港に到着。
8泊10日の旅を終えた。
17 Sep.
この日はちょうど中秋の名月だった。
家に帰ると満月が迎えてくれた。
ミッションベイでNさんと見たときはまだ三日月だったのに。まるで旅のコンプリートゲージじゃないか。
月明かりの中、少し溶けたチョコミントのカップアイスに手を伸ばした。
蓋を開け、チョコミントを服に飛び散らす。

